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西加奈子『ごはんぐるり』その1

2013-06-29 05:58:00 | ノンジャンル
 フェデリコ・フェリーニ監督・・原案・共同脚本、ドナルド・サザーランド主演、ニーノ・ロータ音楽の'76年作品『カサノバ』をWOWOWシネマで再見しました。冒頭のヴェネツィアの祭りのシーンから、映画の
祝祭性に魅せられ、ビニールの波、機会仕掛けの鳥、目が覗き穴になっている彫金の魚、等身大の機械人形など、舞台を見ているような見事な装置と照明、幻想的な画面を十分に堪能しました。

 さて、西加奈子さんの'13年作品『ごはんぐるり』を読みました。『NHKきょうの料理』テキスト(2008年10月号~2010年10月号)、並びに『NHKきょうの料理ビギナーズ』テキスト(2012年2月号~5月号)に連載されたものに、大幅な加筆・修正を加えたものに、書き下ろし小説『奴』を加えてできた本です。
 「食」全般に対するエッセイなのですが、その中でも書き記しておきたいと思った箇所は、「(著者が料理を好きなのは)ただ、包丁を入れたときの大根のみずみずしい骨のような白さ、火を入れたときのガスコンロのポッと可愛らしい音、鍋を振るとき腕にずしりとくる頼もしい重み、などが好き、つまり料理を作っている、その行為、そしてそんな自分が、好きなのだ」、「(カイロの)お米は、たくさんの石と死んだ虫入り、洗う前にまず、お米をテーブルに広げ、ピンセットで石と虫をひとつひとつ取っていく作業から始まる」、「(日本の)スーパーに並べられた、色とりどりの形の揃った野菜、石や虫なんてまったく混じっていないお米、パックに入れられた鮮やかな肉と、蠅のたかっていない新鮮な魚。ネギのみじん切りがパックで売られているのを見た母などは、言葉を失っていた」、著者が引用している森茉莉さんの文章「フライパンを熱して黄色のバタァを溶かす、すると私はもう楽しくなっている。バタァが溶けるや間髪を入れず卵を割って落とす。ニ三度掻きまわし、ふんわりとまとめ、表面を一寸焦がして皿にうつす。全く楽しい作業である」(『貧乏サヴァラン』所収「食い道楽」ちくま文庫)、「普段私は、スナック菓子やアメリカンドッグなんかを、食べない。(中略)でも、車に乗る、しかも友人たちと! となると、どうしてもスナック菓子を買いたくなるし、パーキングエリアで売っているアメリカンドッグは、とてつもなく美味しそうに見えてしまうのだ」、「でも、大好きなのだ。エコノミークラスの、きゅうきゅうに狭い座席で、隣の人に遠慮しながら食べる、ぴっちり容器に詰まったあの、機内食を、いつの間にか、全部食べてしまっているのだ」、「よく考えると、お料理には、それに合ったお酒が、必ずある。(改行)ピザや、トマト風味のものには、やっぱり、少し苦味のあるワインが断然よい。(改行)酒盗、なんて酒を盗むほど美味しい、て意味なのに、きりりとした日本酒を飲まなかったのは、もったいなかった。(改行)テキーラは苦手だったが、ハバネロのフライや、タバスコのスパイシーな味に負けないものは、それしかないと、確かに思う。(改行)ジャンの甘辛さには、まっこりの深みのある甘さが、抜群に合うし、レバーのパテ、ねっとりと舌にからむそれには、シェリー酒の可愛らしい刺激がちょうどよい」、「セネガル料理は、アフリカの料理の中で、一番美味しいらしい」、「(セネガルの主婦が時間をかけて楽しみながら家事をしているのに対し)私は、いかに効率よく、楽に、そして早く家事を済ますかを、大切にしすぎている」、「一人旅が苦手な私が、それでも(ニューヨークに)足を運ぶのは、東京と変わらない都会であること、ガイドブックを広げて見ていようが、ぼんやり座っていようが、誰も自分に関心を持たない気楽さ、などが、心地良いからだ。遠さや英語力を除けば、唯一『旅行!』とふんばらず、気楽に行ける街なのである」、「いつも行く店が、ブルックリンのフォートグリーンにある、南アフリカ共和国料理の店、MADIBAだ。(改行)(中略)食パンにつけて食べるカレーは辛くなくまろやか、インドのカレーとも違う。もっと出汁の味がする、というか、野菜がたくさん入っているので、とてもヘルシーだ。(改行)もうひとつは、イーストビレッジのさらに東、アベニューに数字ではなく、A、B、などとついているエリアにあるプエルトリコ料理の店、『CASA ADERA(アデラおばさん)』。(改行)アデラおばさん(もうおばあさんと言ってもいい)が作るプエルトリコ料理は安くて量が多くて、何よりも美味しい!」明日へ続きます‥‥)

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto