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増村保造監督『巨人と玩具』その2

2013-06-22 04:34:00 | ノンジャンル
 昨日の続きです。
 西は路上で幼い頃から大学まで一緒だった横山に出会います。大学時代に溜まり場だった歌声喫茶を訪れる2人でしたが、2人は「歌ってる連中がバカに見える」と言います。西の勤めるワールドのライバル会社であるジャイアンツに、やはり宣伝部として勤めている横山は、自分の会社の次の特売の懸賞が生きてる動物だと明かし、今度の特売がお互い関ヶ原の戦いになると言います。今は敵味方に分かれたので、お互いに腹のさぐり合いになるから、今日はここで別れようと西は言いますが、横山は「お互いに探りっこなしだ!」と言って、行きつけのナイトクラブに西を連れていきます。「ここなら会社のツケで飲めるんだ」と言う横山。そこにやって来た若い女性を横山は「アポロの宣伝部の倉橋さん」と言って、西に紹介します。アポロも西が勤めるワールドの強力なライバル会社でした。倉橋は特売の懸賞の話を持ち出し、自分のところが何を懸賞にしたかは言えないが、と言って、西に「宇宙服のアイディアなんてどう?」と言います。
 翌日、西が課長に会いに行くと、課長はジャイアンツの懸賞が生きた動物であることを既に知っており、「アポロの懸賞の情報がほしい」と西に言います。西が宇宙服のアイディアを言うと、課長は3ヶ月前から自分も宇宙服のアイディアを考えていたと言います。そして課長は重役会議で、市場調査の結果、懸賞には宇宙に関するもの、例えば宇宙服、宇宙銃などがいいと力説します。
 一方、娘は課長から電話をもらい、課長の車に乗り込みます。課長は娘に試写会の切符を手渡し、これからカメラテストを受けてもらうと言います。こんな服と今の化粧じゃ嫌だ、と言い出す娘は、車から降りようとしますが、課長と西は娘を羽交い締めにして、何とかスタジオまで連れていきます。
 スタジオでは写真家の春川(伊藤雄之助)が待ち構えていて、18歳で名前は今日子だという娘を自在に操り、写真を撮っていきます。西に「そばにいて」という京子。
 ジャイアンツのシルバーキャラメルの宣伝カーと、そばを通るデモ隊。
 一方、西は倉橋を誘い出し、キスして、アポロの懸賞を聞き出そうとします。取材責めに会う今日子。課長は自分たちとの関係はまだ秘密にしておくように、と今日子に言い含めます。「稼いだお金は全て、生活に困っている家に入れている」など、模範回答を今日子に教え込む課長。今日子についての取材を受ける春川。政治談義をしていた学生たちは、カメラ雑誌の表紙を飾っている今日子を見て雑誌を手に取ると、「稼いだ金を全部家に入れてるなんて、今どきいい子だなあ」と話し合います。いよいよワールドのCMの録音に入る今日子。
 西は相変わらず倉橋に探りを入れますが、なかなか倉橋は懸賞について話しません。特売に今日子の写真を使うと課長が部長に言うと、自分の仕事を取られた部長はうなだれます。他の会社のCMに出ないことを条件に20万の契約金を払う課長と、うっとりと札束を見つめる今日子。
 今日子はアポロの女性から電話をもらったと西に言い、西は倉橋に会いに行くと、倉橋は今日子に電話をかけたことをあっさりと認め、アポロの懸賞は“一生の生活資金”だと西に教えます。西はすぐに課長にそれを報告すると、課長は「母親は皆それに釣られてアポロを買うだろう」と言い、激しい戦いになることを予想します。宇宙服を着た今日子の写真を撮る春川。ジャイアンツとワールドの宣伝カー同士の争い。宣伝カーに同乗してる課長は「3日寝てない」と言い、メディアはアポロの売上が3社の中で断然リードしていると伝えます。やがて今日子はジャイアンツに引き抜かれ、課長は血を吐き、ラスト、西は課長を見捨てることができず、自分が宇宙服を着て、街角を歩き、人々の笑いを誘います。硬い表情で歩く西に、寄り添ってきた倉橋は「笑って!」と言うと、西は吹っ切れたように笑みを浮かべ、映画は終わります。

 機関銃のように話す男性陣の口調が印象的で、見ていて“ショット”にはあまり意識がいきませんでしたが、優れて演出的な映画ではあったと思います。画面については改めて見直す必要があるかもしれません。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto