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高橋秀実『からくり民主主義』

2008-09-11 16:30:17 | ノンジャンル
 道路工事で、最近敷いたばかりのアスファルトを剥がしていたりするのを見て、何て無駄なことをと思っていましたが、今日発行のフリーペーパー「R25」で、'99年にリサイクル法ができて以来、アスファルトのリサイクル率は約99%に達していると聞き、これからは同じ光景を見ても少しイライラせずに済むようになるかもしれないと思いました。

 さて、高野秀行さんがエンタメ・ノンフ界の横綱と呼ぶ高橋秀実さんが'02年に出した「からくり民主主義」を読みました。日本での様々な状況について、調査し、その結果を知らせてくれています。
 親切しそうにない人が親切している話を表彰することによって、やくざや障害者を差別してしまっている親切運動、反対されると信仰の喜びを得るという統一教会信者、世界遺産に登録されることにより不便な生活を強いられて、登録されたことに憤慨している白川郷合掌造の住民たち、諫早湾干拓事業の前からある農民と漁民の対立と、有明海の汚れが全て諫早湾に集まってくることにより、昔から諫早湾の農民が受けている被害、オウム真理教の施設のために土地を売って儲けた住民と、オウムの来る前からひどい臭気を放っていた肥料工場と、オウム施設のおかげで観光客が集まり儲けた住民たちの存在で、オウム施設への反対など実はほとんどなかった上九一色村、米軍基地に土地を収容されている住民が国からもらう莫大な借地料と、基地反対運動が盛り上がる度にその借地料が上がるので、反対運動を歓迎する住民と、戦火で戦前の土地の所有者および境界線がはっきりしていないので、いざ基地返還となった時起こるであろう混乱のため、本気で基地反対など思っていない沖縄県民、原発反対運動が盛り上がるとそれだけ補償額が増えるので、反対運動を歓迎する若狭湾の原発周辺の漁民たち、アホでスケベを売りにしていた横山ノックを強制わいせつの罪で訴えたので、今一つ説得力に欠けた女子大生、自殺死体の発見が常態化しているので、せめて人に迷惑をかけずに自殺しろと言う青木ヶ原樹海の村人たち、メンバー間の差別意識が激しい、頚椎損傷の身体障害者で作るバスケットチーム。以上の話がなされます。
 これらの話でびっくりするのは、これまでマスコミで定説となっていることが、実は違っていたという事実です。一つや二つなら驚きもしませんが、これだけ揃うと壮観です。そしてさらに驚くのは、これらの取材の際に著者が読んでいる本の数が半端ではないこと。これだけの本を読んでいると、著者があとがきで書いているように、実際に取材するのが事件の発生から1年以上遅れてしまうのもうなづけます。しかしこれだけの本を読んでいるからこそ、実態を正確に把握することが可能なのでしょう。
 ルポルタージュとしても知識本としても面白い本です。文句なしにオススメです。