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レイモン・ブルマンタール監督『エディット・ピアフ 愛なしでは何の価値もない』

2008-09-14 16:33:28 | ノンジャンル
 WOWOWでレイモン・ブルマンタール監督のドキュメンタリー「エディット・ピアフ 愛なしでは何の価値もない」を見ました。有名なシャンソン歌手エディット・ピアフの一生を描いた映画です。
 生まれてすぐに母親に去られ、その母は酒とドラッグで'45年に死んでしまいます。父は売春宿を経営する祖母に娘を預け、売春婦たちから可愛がられる一方、居酒屋のテーブルで歌い始めます。7才で曲芸師の父に引き取られ、芸に合わせて歌わされ、暴力を振るわれます。15才で家出、パリの路上で暮らし、モモーヌという少女と友達になり、バーを根城にして不良少年たちと付き合い、路上で歌って金を稼ぎ始めました。仲間のリーダー格として活躍しますが、不良仲間の一人と恋に落ちて妊娠し、店の売り子になりますが長続きはせず、生まれた子も死にます。再び路上で歌い始め、一人の兵士と恋に落ちますが捨てられます。そしてキャバレーの支配人ルイ・ルブレと知り合い、彼女のキャリアが始まります。彼のキャバレーで歌い始めると、たちまち人気を博し、スター街道を歩きだします。ところがルブレは殺されてしまい、ピアフは悲しみにくれます。そこで同じ町に住む作詞家のレイモン・アッソーが力になり、声にも落ち着きが出てきて、歌手を一生の仕事にする決心をします。すべての曲はマルダリット・モノーが作曲しました。アッソーが徴兵されると、資産家のポール・ムーリスと付き合うようになり、ジャン・コクトーとも知り合いますが、ムーリスが兵役に取られて2人の仲は終わります。そしてイヴ・モンタンを育て、アメリカ・ツアーを成功させ、ニューヨークに長期滞在。ジョン・フォードなどアメリカの文化人とも交流し、ディートリッヒから英語を習います。そしてボクサーのマルセル・セルダンと恋に落ち、セルダンが不在の時の気持ちを歌って「愛の讃歌」が生まれます。しかし、セルダンは飛行機事故で死んでしまい、その夜のステージでは「愛の讃歌」を歌うところで倒れてしまいます。その後、大量の薬を飲み、食事もせずに数日を過ごしますが、モモーヌの助けで立ち直り、多くの友人たち(シャルル・アズナブール、エディ・コンスタンティーヌも含む)に支えられ、活動を再開させます。ブリューノ・コカトリクスと知り合い、彼の演出でキャリアの頂点を極めます。そしてディートリッヒの介添えのもと、古い友人のジャック・ビルスと結婚。しかしすぐに離婚。今度は20才年下の歌手サララギと結婚しますが、自動車事故、胃潰瘍による2度の大手術で体力が衰えていき、それにもかかわらず限界まで舞台に立った結果、モノーの死後、2年で後を追います。'63年10月10日、47才でのことでした。
 映画は、写真、フィルム、関係者へのインタビューで構成され、文字通り波乱万丈の人生、恋と歌に生きた人生を追いかけていきます。今までは写真だけでしか知りませんでしたが、フィルムから見た彼女はとてもチャーミングで、しかもエネルギーの固まりであり、常に全力を尽くし、その結果47才で死んでしまったのかなあ、と思われてしまいました。この映画を見ると、ピアフの歌を今までとは違った聞き方で聞くことができると思います。あまり見る機会がないかもしれませんが、もしそういう機会に恵まれるようでしたら、是非ご覧ください。オススメです。