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浦沢直樹×手塚治虫『PLUTO』第一巻

2007-06-14 17:51:05 | ノンジャンル
 ソルジェニーツィン氏が国家賞をプーチン大統領から受賞した、というニュースが流れましたが、彼はとうに死んでいたものと思ったのでビックリしました。私が学生の頃、「収容所列島」でソ連の反体制作家として有名になった頃には既におじいさんだったので、今でも眼光するどい姿に感激すらしました。

 さて、吾妻ひでお氏が「ラストのアトムに感動」したという、手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞した浦沢直樹氏×手塚治虫氏の「PLUTO」第一巻を読みました。
 ロボットと人間が共生する未来。スイスで山火事が起き、数々の紛争を解決しその後は山案内ロボットと森林保護担当官として皆に愛されて来たモンブランがバラバラに破壊され発見されます。デュッセルドルフでは42才でロボット法擁護団体の幹部ベルナルド・ランケも殺されます。部屋は破壊され、死体の頭には角のような2本の金属棒が刺してありました。容疑者は検問を突破し警察に重傷を負わせ、巡査ロボットロビーの破壊します。ユーロポールの特別捜査官でロボットのゲジヒトは単独で容疑者を見つけだしますが、検問を突破しただけのドラッグ中毒患者でした。ゲジヒトはロビーの妻であるロボットを訪ね、夫の死を伝えます。妻のロボットは身近な者の死を悲しむ感情が初めて分かったと言います。ユーロポールのドイツ支局でゲジヒトはモンブランも角のようなものを頭につけられて殺されているのを見せられ、ロボットの仕業だと確信します。彼はロビーの記憶チップを彼の妻に形見として届け、妻はチップの記憶を見ますが、夫が殺される瞬間、何か外の飛行物体に気を取られているのが分かります。それはビルからビルへと跳躍する人間でした。ゲジヒトは8年前に人を殺したブラウ1589に会い、2つのロボットが破壊された現場を見せると、死を司るローマ神話の冥王プルートゥの仕業だと言います。そしてゲジヒトも含めたあと6人の最高峰のロボットたちが破壊されていくだろう、と予言します。スコットランドに住む盲目の老人音楽家のもとに、新しい執事として以前戦闘ロボットだったノース2号がやってきます。彼は戦場に戻りたくないので、ピアノを習いたいといいますが拒否され、老人の寝言が今作曲中の曲で行き詰まっているところの先の部分のメロディーになっていたと言っても、取り合ってもらえず、逆に怒りを買い屋敷から出ていけ、と言われます。そして自分は父を早く亡くし、母に捨てられ音楽だけで生きて来た、と語ります。曲の続きがどうしても出来ず、オノのピアノを壊そうとすると、ノース2号が現れ、老人の故郷ボヘミアに行って来たと言います。ボヘミアの老人に聞いた話では、音楽家の母は素晴らしい歌い手だったと言い、母の息子の治療費のために身を売ったのだそうです。数日後ノース2号は何者かに破壊されます。ロボットが入って操作する無敵ロボットのファイトマネーでグランドは身寄りのない子を養っています。彼に会ったゲジヒトは無事を祈ります。そして東京でゲジヒトは少年のアトムに出会うのでした、という話です。
 我々アトムとともに幼児期を育った世代は、アトムの「プルート」の回に強烈な印象を受けました。殺人ロボットとして作られたプルートの無慈悲な行動、そして自分の存在を誰より憎んだプルートの悲しさ。他のアトムの回はあまり覚えていませんが、「プルート」の回は今だに記憶にはっきりと刻まれています。その「プルート」を新たに書き直した浦沢直樹氏。彼の作品は「MASTERキートン」「Happy!」「Monster」などを読んで来て、どうも相性が悪いのですが、今回は続きを読みたくなりました。浦沢氏が苦手な人にもオススメです。