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鈴木清順監督『すべてが狂ってる』

2007-06-05 15:26:52 | ノンジャンル
 今日は「世界環境デー」ということで、朝日新聞の朝刊には阿部首相夫妻を使った家庭でできる地球温暖化防止の方法を9つ全面広告でアピールしていました。いいことだと思います。ただ、できればアイドリング・ストップも入れてほしかった。最近アイドリング・ストップを励行している私なのでした。

 さて、WOWOWで鈴木清順監督の'60年作品「すべて狂ってる」を見ました。白黒映画です。
 戦争映画を見て映画館を出て来たジロウ(川地民夫)は、やくざの手下の遊び人の若者に車を盗むことを勧められますが、母(奈良岡朋子)の誕生日にとケーキを買って家に帰ります。トシミは友人のエツコに妊娠したので金を貸してくれと言われます。学生運動をしながらキャバレーで働く小野は同棲相手のエツコに、自分が迷惑ばかりかけているので別れようと言います。ジロウの母が帰宅し、南原(芦田伸介)が家にお祝に来ると言うと、ジロウは激昂します。南原の愛人として10年養ってもらった母をジロウはなじります。家を飛び出したジロウはアベックからカツアゲしキャバレーに行くと、トシミはジロウを誘って寝ますが、ジロウは金を投げ渡し、パン助じゃないと言うトシミに金を取れと強要します。遊園地に一人で来たジロウは、同級生だった母が妾の青年とノリコ(吉永小百合)に会い、妾の子と言われるのを気にしない青年に対し、ジロウは自分はそう呼ばれるのを許せません。エツコは南原にジロウに会わせると言い、ジロウは南原がエツコと海に一緒に行く約束をしていた、と聞き、車を盗み後を追います。海辺の館でエツコは下着姿になり南原に自分を買ってくれと言いますが、南原は金だけ渡します。エツコがもらえないと言ってるところへジロウとジロウの母が現れます。許せないというジロウに「お母さんも女じゃないの」のエツコが言うと、ジロウは母を愚弄し、走り去ります。母は南原に愛情よりも金を支えにしていた時もあったと反省しますが、南原はジロウに立ち直ってほしいだけだと言います。ジロウはトシミと一緒に、車で走り去ります。エツコはバーのママにも金を貸してくれと言いますが拒否されます。トシミはジロウと通行人を車に乗せて金を稼ぎます。南原は2人に出会い、車に同乗します。エツコはあてもなく街をさまよううちに腹痛を起こし、階段を転げ落ち、流産します。南原は戦争で助け合わなければ生きていけなかったのだと言いますが、ジロウは激情にかられ、南原をスパナで殴り瀕死の重傷を負わせ、トシミと逃げます。小野の友人の中島は小野に、共同生活の相手として、もっとエツコを大切にしてやれ、と言います。白バイに追われるジロウはトラックの正面に「かあさーん」と叫びながら突っ込んで死にます、という話です。
 一言でいえば、マザコンの川地民夫の物語、ということで、イメージが湧くと思います。まだ美術の木村威夫と組む前の作品で、後期の独特な空間や色彩(白黒映画なので)は見られませんが、スピード感のある編集は見ごたえがあると思います。やはりジャズを多様していて、それも映画全体の雰囲気作りに貢献しています。ある意味究極のマザコンを見てみたい方にはオススメです。