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金井美恵子『目白雑録』

2007-06-26 15:43:53 | ノンジャンル
 吾妻ひでお氏が「島田雅彦をネチネチいじめるのが笑える」と評した、金井美恵子さんのエッセイ集「目白雑録」の紹介です。
 まず感じたのは、「一つの文が長いなあ」ということでした。昔の蓮實重彦氏の文章を思わせるような、長い長い文章で、最後まで読み切らないとどっちを誉めてるのか分からない、という文が非常に多く、慣れるのに時間がかかりました。
 内容は大きく分けて、「文壇の話」「身近な話題」「その他」です。
 「文壇の話題」では、次々と文章を書くことを生業としている人々が切って捨てられて行きます。平岡篤頼、養老孟司、蓮實重彦、津島祐子、渡部直己、橋本治、大塚英志、島田雅彦、加藤典洋。小森陽一、車谷長吉などなどです。それも相手が立ち直れないようなことをズバズバ言って、ある種爽快、ある種「そこまで言わなくても」と読んでて複雑な気分になります。
 ここで知って得したことは、金井さんの好きな本で、マーク・トウェイン、ヘンリー・ミラー、カフカ、「デイヴィッド・コパフィールド」などを愛読されているそうです。
 そして「身近な話題」に関しては、特に面白い話題もなく、気の強い金井さんの口撃と愚痴におつき合いさせていただいた、といった感じです。
 で、実はこの本で一番の収穫は、金井さんがしてくれたフレデリック・ワイズマンの映画の話で、これは面白く、また私が未見の映画ばかりだったので、それを何回も見ている金井さんがうらやましかったです。そしてロシアの偉大な映画監督アレクセイ・ゲルマンの代表作「戦争のない二十日間」、インドのグル・ダッド監督の「紙の花」にも触れていて、見たい映画が増えました。特にアレクセイ・ゲルマン氏については、以前蓮實重彦氏から教えてもらって以来、ずーとマークしていた監督なので、監督本人が来日までしていたことを知りびっくりしました。DVDでの発売を願おうと思います。
 ということで、歯に衣きせぬ文章を読みたい方には、オススメです。