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現代短歌新人賞の広坂早苗

2017-02-09 09:15:47 | 歌う
         現代短歌新人賞の広坂早苗

 第17回現代短歌新人賞は広坂早苗歌集『未明の窓』に決定(うた新聞2月)より。
昨年12月4日にさいたま市教育委員会主催で選考会が行われた。選考委員は中村稔、馬場あき子、篠弘、小池光、栗木京子。表彰式は3月12日(日、埼玉・大宮ソニックシティ市民ホール

 広坂早苗は1965年愛知県生まれ、「まひる野」所属。昨年創刊70周年を迎えた「まひる野」は篠弘が代表の結社。創刊は早稲田大学教授の窪田空穂。実作と研究、評論などで歌壇をリードしている。2月8日の朝日夕刊「あるきだす言葉たち」より広坂早苗の作品を、、。

           二月のことば     広坂早苗

    一夜城築かれており 今朝しんと雪をかむれる大川入山

    屋上に雪の聖岳を見て戻る午後のオフィスの小さき業務に

    氷点下十五度の街に住む息子凍ったのだろうメールも返らず

    母われに死ね、とも言わず積乱雲育てておりぬ子の十代は

    きさらぎの空はどこかが破れいて照りながらふる雪のかそけさ

    誰が生の喩なるか迷いなき線をふとぶとと描くひこうき雲は

    水仙は八頭身の少女にて風の日の丘にひとり咲きたり

    あこがれは二月のことば 花をまつ桜のなかに夕陽満ちゆく 
 

 
「今日の東京は雪かもしれない」との昨日の天気予報は外れたのか、5首目のように空のどこかが破れている、一年中で一番イヤな月だが悲しさ、辛さを詠める日々でもある。裸木を見ながら花を恋う、夕日のなかの裸木に桜を咲かせている作者、私も。

           2月9日  松井多絵子