えくぼ

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折々のチョウチョウ

2017-02-05 09:40:52 | 歌う
        折々のチョウチョウ

 ♥ 微睡みのなかにて出会うこの人もあの人の髪にも蝶が留まる  松井多絵子

 「冬蝶」という季語があるのに私は見たことがない。「どんな蝶かしら」とおもいながら微睡んでしまった。朝食後の珈琲を飲みながら「折々のことば」を読みながら。

 「チョウチョウは決して無理して飛んでいるわけじゃない。あれがチョウチョウにとってのまっすぐなんだ。 坂口恭平(作家・建築家の小説「現実宿り」から

 昨日のこの「折々のことば」を鷲田清一氏は次のように解説している。

 ~チョウチョウはまっすぐ飛ばない。次にどっちに向うか、人にはなかなか読めない。だがこれは、狙いを定めにくくして、鳥に食べられないようにする飛び方の工夫ともとれる。人も、道を間違えたり回り道をしているように見えても、きっとそれぞれ命懸けで道を探しているはず。じっと見守ろう。~

 私たちも人と話している時、まっすぐに自分の意見を言わないことが多い。相手を怒らせてしまうことだってある。婉曲に言いながら相手の気持ちをさぐる。回り道をしながら、時間をかけて理解しあわなければならない。話すことのできない蝶たちは羽ばたきが言葉か。人間の言葉は時には凶器にもなるのだから、回り道をしながら話すこともあるだ。

 ♥ なりゆきに任せてなのか近寄りて縺れしのちに別れる黄蝶 

 あと3週間余で3月になる。春が始まるが別れの3月でもある。4月は出会いが多い。この頃の暖かい日には蝶があらわれることもある。まだまだ蝶には会うことができない。

   ♥ 黄の蝶が胸に羽ばたくセーターの中にしょぼんと私がいる

            2月5日 松井多絵子