えくぼ

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未来年間賞 ②

2017-02-03 14:12:30 | 歌う
          未来年間賞 ②

 本日は✿安良田梨湖について、昨年度「未来」に出詠した作品の中から「年間未来賞」2人目に選ばれたのは「うら若い女」すでに朝日歌壇高野公彦選の入選、岡山の大学を卒業し大阪市内に就職したばかり方とか。日常生活を歌いながら言葉が躍動している。読者として読むたのしさがある、独特なすがすがしさがある、感情が不思議な程すんなりと歌になっている。アンケートなどで高支持を受けた。岡崎裕美子選15首から私の好きな7首を。

           
        風をたべたい風をたべたい  安良田梨湖

   アイシャドウ左がちょっと濃いなあと思ってしまう叱られながら

   ひょっとこのような顔してマスカラを黒々と塗る朝の布団に

   ストライブ柄のスーツにたましいの背筋は伸びて開拓営業

   きみの声きみの歯並び想いつつ通話ボタンに触れるおやゆび

   着信履歴を見てたら電話がくるような、こないような夜を過ごした

   ばんそうこうのような敬語がすれ違う仕事納めのエレベーターに
  
   風をたべたい風をたべたい、靴下のなかで頭を揺らす指ども



 ※ 昨日も今日も風が強い。食べたらシャーベットかなあ、夏なら風はおいしいのに。真冬の風はヒリヒリしている。食べたら体中が痛みそうだ。でも体に風を入れないと私は黴だらけになるかもしれない。この7首から作者の体のあちこちの言葉が聞こえてきて楽しい。「靴下のなかで頭をゆらす指ども」。家の中では手袋はしないが、足の指は厚い靴下に覆われている。素足になるのは初夏か。私はこの1首を読み、手と足の違いに気が付いた。 

     安良田梨湖さま  春になったらオイシイ微風を食べてくださいネ。
 
                 2月3日 松井多絵子