えくぼ

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未来年間賞③

2017-02-04 09:35:48 | 歌う
           未来年間賞③
                                          
 2月4日、今日は未来年間賞③、島なおみ について、検索したが見当たらない、「未来」誌上に欠詠があり寡作だが、ここ数年、毎年年間賞候補の上位である。黒瀬珂瀾選15首の中から私の好きな7首を抄出する。


          雛罌粟が諭すからもう  島 なおみ

    走るとき犬かきになるいもうとがびしょぬれで雨からあがってくる

    後ろ手に閉じた歴史のドアだから臭いが漏れる隙間があって

    とのぐもる街ゆくわれら背後から遂われていたり見知らぬ冬に

    曖昧な縫い目の起伏パイル地の冬のシーツを原野と呼べば

    茶器を湯に沈めつつ言う庭に咲くあのカロライナジャスミンは毒

    午後灼けたアスファルト踏む黒犬の逃げ水めいてわれを過ぎゆく

    死を簡単に詠むなと夏の雛罌粟が諭すからもう微笑むだけで


 ※ 身近な素材を短歌的でない表現で新鮮な歌にしている。急雨でびしょ濡れの妹がまるでプールからあがってきたように。2首目は歴史は美化されて「臭い」のに「匂い」になったりする。いま、私たちは3首目のように「背後から見知らぬ冬に逐われている。今年の新年歌会で拝顔した島なおみ はとても若い。「死を簡単に詠むな」と私の代わりに「雛罌粟」が諭しててくれてるような、。言いさしで終わった歌を私はもう微笑むだけで、、。

   島なおみサマ どんどん詠んでくださいネ。駄作かと思ったら秀作ってことも、、。

            2月4日 松井多絵子