えくぼ

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リンゴ・りんご・林檎

2014-09-21 09:24:42 | 歌う

           ● リンゴ・りんご・林檎 ●

 3日前にスーパーでりんごを2個買った。Lサイズ1個98円、本日限りのセール。積み上げられたのりんごは形が歪んでいるものばかりだ。それだけで特売品にされるなんて気の毒なりんごたち。メロンは贈答に使われることが多いためか、見た目が悪いものは有名でないスーパーではとても安い。野菜だって見た目。わたしは外見を無視して安くていい品を買うことにしている。今は見てくれの時代。かわいい子、イケメン、カッコいいことを言うひとが大活躍。マスコミ、特にテレビが軽薄人間を育てているのではないか。歪な、でも安いりんごを買うことは、私のマスコミへのささやかな反抗かもしれない。

 リンゴ・りんご・林檎、おなじ果物でも表記でイメージが変わる。北原白秋の代表作として知られている1首の下句、 雪よ林檎の香のごとく降れ はリンゴだったら名歌になっただろうか。斉藤史の りんごの花のゆふべは霞むほの明かり は林檎だったら霞まないのでは。

 私もりんごをよく詠んでいる。「りんご」の表記が少ないのは平仮名表記の多い歌のなかに「りんご」では「りんご」の存在があいまいになるからだ。斉藤史の場合 初句がりんごの花だ。斉藤史は長野県に住み、りんご倉庫の端に畳を入れて生活した時期もあり、多数のりんごの歌を詠んでいる。特に意識することもなく、りんごが詠まれているようにおもえる。

                林檎、リンゴのうた    松井多絵子  

      わけありの果物売る店ひと山のリンゴそれぞれわけありの顔

      静物となりて林檎は卓上に明暗のある歪な球体

      剥きゆくに林檎の皮がつと切れて我はまもなく今日を失う

      私より私に賀状を書いてみる、今年は青いリンゴになります 

          

         もうじき10月、そして年賀状、、、あら、まあ、もう12時

                       9月21日  松井多絵子