✿ ごきげんよう ✿
黒ネコのうしろを歩いているときに黄色い髪の女が過ぎる 松井多絵子
朝のテレビドラマ「花子とアン」が終わりに近づいてきた。このドラマを盛り上げているのは三輪明宏かもしれない。男か女かわからない、79歳というのも信じられない。妖しくふるえる声は夜にふさわしい。その声が朝8時に 「ごきげんよう」 「さようなら」 である。9月16日朝日夕刊に 歌手・俳優・演出家 三輪明宏 についての次のような記事があった。
「ごきげんよう」を使って似合う方がほかにいらっしゃいませんので、、。」と「花子とアン」のナレーションを頼まれたいきさつを語る。父はカフェーやキャバレーの経営、母は大阪の日赤病院の婦長からカフェーのマダムになったが、三輪明宏が2歳の時に亡くなったらしい。夜のドラマめいた生い立ちだ
2歳の時に亡くなった母の葬式の様子を憶えているなんて、私は3歳の頃だって憶えていない。長崎に生まれ育った三輪は西洋、中国、朝鮮などいろいろな国の文化に接し国際色豊か、東京に来て人種差別に驚いたそうだ。 「東京ってなんて田舎者の集まりか、長崎はグローバルでおおらか。それが全部、わたしの血肉になっているんですよ」。
三輪明宏さま 東京で生まれ育った私は 「あなたはトクしてる」。といわれて戸惑ったことがあります。私はむしろ地方の方たちがトクしてると言いたくなります。短歌作品で受賞するのは特殊な素材、生活の歌が多いです。旅での素材は軽く見られがち、近藤芳美先生に私はたびたび 「素材がダメだ」と言われました。地方の方は素材のよさ、生活の歌などを評価されるのに。でも結局は遠くのレンゲはキレイに見えるってことでしょうか。
三輪さまは長崎という異国的なところで、特殊な人々とかかわりながら成長された。ですから 「ごきげんよう。さようなら」 が似合う方なのですね。それにしても髪をなぜ黄色になさるのですか。むらさき、ピンク、グリーン、ブルーに変えることは今後ないのですか。私はうす紫に染めてみようかしらと思ってます。髪の色がわたしを変えるかもしれませんから。
では、ごきげんよう、さようなら、また明日ね。 9月17日 松井多絵子