えくぼ

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本が売れない

2014-09-06 09:13:54 | 歌う

             { 本が売れない }  

☁ 地震(ない)あらば我を殺めるかもしれぬ部屋の山、山、本の山岳   松井多絵子

 「この世で最後に残る紙の本は、自費出版の本ではないでしょうか」。自分のために、自分で作る本だ。~これは昨日の朝日連載✿「マイストーリー」の最後の段落である。作者の林真理子は出版不況を小説の中で伝えているのだ。読む人より書きたい人の多いことを。

 本が売れない原因の一つは無料の本が多ことか。私のところに送られてくる旅行案内は
上質の紙、絵葉書のような名所旧跡の写真にエッセイまで添えてあり見るのも読むのも楽しく捨てられない。旅行のガイドブックを最近は全く買わない。料理の本も買わない。スーパーに置いてある商品のPR誌には手軽な調理を紹介している。さらにテレビ、ネットでも、、。

 辞典などは狭い部屋を更に狭くする。植物辞典がなくても検索で鮮明な写真が見られるし解説も読みやすい。私は短歌仲間からいただく歌集やグループ誌や本に囲まれている。これらの本は書店で手に入らないから私には貴重な資料だ。自費出版の本は発行部数がきわめて少なく、再版もほとんどないから稀少価値がある。

 「奥渋谷の街を100年続く本屋にしたい」 と店長の鈴木美波さん。本に興味のない人でも、本を好きになるように店には本のほかに雑貨や衣類を並べている。人とモノと情報の行き交う場、「高感度書店」とよばれ売上を順調に伸ばしているらしい。公園を歩けばデング熱になりかねない今、書店なら蚊に刺されない。蚊のおかげで本が売れるかもしれない。セーターを買わずに買った一冊の本は、繰り返し読むことだろう。こんなに本が溢れていても私は㌿㌿㌿。本が好きだ。本を読みたい、本を読む時間が欲しい。

      ♠ わが読まぬ読みたき本の山のごと彼方に紅葉白神山地  

                         9月6日   松井多絵子