えくぼ

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女か、男か

2014-09-22 09:02:27 | 歌う

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✿ 女が強くなったのではない男らが子猫のようになっただけです   松井多絵子   

  数日前の夕方、わたしは渋谷から地下鉄半蔵門線に乗った。運よく座れた。私の前につり革をつかみ、立っている人がいた。老人だと席を譲らなければならない。でもその人は若いひとらしく見えて安心した。老人の私が老人に席をゆずる必要はないのに。私の方が年上かもしれないのに、長年の習慣でつい 「どうぞ」 なんて言ってしまうのだ。

 ピンクベージュのジャケットに青いハイネックのシャツ、灰色のズボン。髪はやや長く前髪をたれていた。ショルダーバッグも男女兼用タイプ。はじめは女に思えたが男にも思えたころ、赤坂見附でその人は降りた。女か男かわからない人が。冬になると街ですれ違う人の性別がわかりにくくなる。コートは体の線を消す。さらにマフラー、フード、マスク、私はおそらく男に見えるだろう。

 このごろ若い男の女装が流行っているらしい。女装イベントが盛んだとか、学園祭でも 「可愛すぎる男」 が話題になっているとか、ほんまかいな と言いたいが、歌舞伎の女形の人気が続いているのだ。男たちにも、可愛がられたい という願望があるのだろう。可愛がられることは受け身だから楽である。可愛く装うことは楽しい。女の最大の楽しみを男たちも欲しくなったのか。「女装サロン」 や 「女装通販」 まであるらしいが、ファッション業界は女だけでは売り上げが伸びない、男たちにも、、、かもしれない。男子たちよ、女子たちの服や装身具の売れ残りの品々を買わされているのかもしれませんよ。女子たちよ、あなたの古着を彼にプレゼントしたら、そしてA級グルメをおごらせる。私もあの男子にやってみようか。

 見られたいという願望は人間だけかしら。出窓のサボテンも私に見られたいかしら。

                       9月22日   松井多絵子