真冬のソナタ
わが家から40分もあれば行ける新大久保のコリアタウンにまだ行ったことがない。日韓関係の悪化のためか「還流ブーム」は去り、コリアンタウンを歩く日本人もかなり少なくなっているらしい。商店連合会は、マッコリ祭り、キムチやチヂミ作りのイべントを実施し、魅力ある専門店を増やし、韓国に行かなくても食や文化を楽しめる新大久保を目ざしているそうだ。近くのコリアタウンを1度も訪ねたことのない私が、「冬ソナ」の国を3度周遊している。
チマチョゴリの女 松井多絵子
オソオセヨと迎えられいて韓国の暗号のような文字にとまどう
野も山も車窓を流れセマウル号車内に咽ぶスローバラ―ド
チマチョゴリの女ホテルのロビーにてふうわり赤き牡丹の花に
韓国の木々の細きは動乱の多すぎし故と老女のガイド
武烈王古墳をのぞけば何もなくうす暗闇の、重き空気の
盗掘は日本人だという説を韓国のガイドは小声にて言う
夜の底に沈みてゆけり慶州の空見上ぐればもの憂げな月
辛きキムチは好物となり韓国をわれは去りゆくカムサハムニダ
㊟カムサハムニダは「ありがとう」 オソオセヨは「ようこそ」の意味で詠みました。
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俳句情報・9月12日
橋本榮治 『水原秋櫻子の100句を読む』 (飯塚書店・本体1500円)
「馬酔木」を創刊し昭和俳句を切り開いた、その俳句と生涯。
✿ 冬菊のまとふはおのがひかりのみ
ヨン様がのコリアタウンタウンに住めば新大久保は賑やかになるかしら?
9月11日 松井多絵子