えくぼ

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朝日歌壇6月3日

2013-06-03 14:17:09 | 歌う

               「朝日歌壇6月3日」

★二人きり孤島のようなソファーにて授乳している午前三時 (桜井市) 山添 聖子

 この歌は高野選者と永田選者に選ばれている。男性の選者たちは、子を生むことも、自身の乳を我が子にあたえることもできない。「いいなあ、女は」と思いつつ数多の投稿歌のなかから選ばれたのかもしれない。作者は母になった喜びに浸っているのだろう、責任も感じているのだろう。「二人きりの孤島」という比喩が面白い。ソファーは体も心もくつろげる椅子である。やわらかく、あたたかな嬰児を抱き授乳するひととき、母と子のもっとも親密なひとときだ。
 しかも夜中の3時、ご苦労さまです聖子ママ。男の子か女の子か分からないのもいいですね。
少し謎を残したほうが読者がいろいろと想像しますから。私は女の赤ちゃんに思えますが。

▲アザラシの母がその子と暮らすのは生後半月そして別れる
                  松井多絵子歌集『厚着の王さま』より