ジャズピアニストのジャズ批評

プロの耳で聞いたジャズをミュージシャン流に批評。

Sweet Georgia Brown

2013-11-28 21:47:31 | Weblog
1925年、Ben Bernieと Maceo Pinkardの作品。無数の録音が残されているスタンダード曲だ。もちろん歌詞もあってヴォーカルアルバムにもたくさん収録されているが、Cab Callowayのスキャットによる録音もあるようにインプロヴィゼーションに適した素材なのだ。コード進行を利用したマイルスやモンクのいわゆる変奏曲もある。演奏されているテンポもいろいろだが、おおむねスウィンギーなミディアムテンポかそれより早いテンポだ。バドパウエルのバカッ早いのもある。もちろん驚愕の名演奏だ。形式は32小節、A-B-A-Cという感じかな?Ⅵ7-Ⅱ7-Ⅴ7とそれぞれ4小節、これが独特の世界感。ドミナント7thのコードのいわば「あいまいさ」をうまく利用している。スタンダード曲になり得る条件のひとつである、懐の広さがあるのだ。7thのコードのあいまいさというのは具体的にいえば、本来のドミナントとしての役割とジャズ独特のブルースフィーリングの使い分けだ。ブルーノートを12音の中で決着させようとするとそういう方法を取らざるを得ない。段階的に区切られた音程で音楽をやる以上、他に手段はない。でもそれが機能和声の仕組みも兼ね備えるというメリットもある。長い長い年月をかけて人類が手に入れた12音平均率というシステム、そしてその間尺に合わないブルースという音楽。でもほんの短い時間でそれとアカデミズムを融合させてしまった。何がすごいのだろう?12音システム?人間の妥協力?

Jazz on a Summer's Day
Snapper UK
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