ジャズピアニストのジャズ批評

プロの耳で聞いたジャズをミュージシャン流に批評。

At Shelly's Manne Hall

2006-06-22 03:17:26 | Weblog
シェリーマンはビルエヴァンスの友人で信頼できるドラマーでこのシェリーズマンホールのオーナーだ。でもこのアルバムではこのあとレギュラーメンバーとなるラリーバンカーがたたいている。エヴァンスのピアノの音が乾いていてナチュラルだ。そのまま録った感じだね。すごくいい。このクラブはビルのお気に入りの場所だった。ピアノはスタインウェイのベビーグランドだ。観客もビルのファンやミュージシャンばかりですごくムードがいいね。やりやすそうだ。健康がすぐれないにも関わらず、周りの応援で底力を発揮してる。さすが本物のミュージシャンだ。。このアルバムはリヴァーサイドに残っていた契約を済ませるために録音された。リヴァーサイドはちいさなレコード会社だ。でもその小ささがエヴァンスやモンクを育てたんだ。最近の業界では考えられないことだけど、印税契約をしてるにも関わらずビルは印税を受け取ったことがないと言う。でも全然気にしてなかったようだ。今の業界はこういう問題にすごくシビアーで、そのおかげでレコード会社とミュージシャンはお互いに人間的な信頼関係が築けない。寂しいね。このレコーディングの少しあとリヴァーサイドの経営者が急死したときのエヴァンスの言葉が笑える。"彼は正当防衛のために死んだのかもしれない。"


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