がん(骨肉腫)闘病記

抗がん剤治療、放射線治療、人工関節置換手術、MRSA感染、身体障害者となっての生活の記録を残します。

危険な兆候

2008年05月11日 | Weblog
2008年05月11日 12時30分記載

本日の読売1面記事「証券全社員の口座開設監視、日証協がインサイダー防止策」

参照URL http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20080510-OYT1T00863.htm

「野村証券の元社員らによるインサイダー取引事件を受けて、国内証券会社約320社が連携して不正防止対策に乗り出すことが10日、明らかになった。

 業界の全役員と社員約10万人分のデータベースを構築し、証券口座の開設をチェックする。証券社員の不正を防止し、市場の信頼回復を図る狙いで、国内の全証券会社が加盟する日本証券業協会が来春にも実施する。

 具体的には、全証券会社の役員、社員の名前、年齢、所属部署などを日証協のデータベースに登録、証券会社がデータベースに照会すれば顧客が証券会社の社員かどうかチェックできるようにする。

 日証協は国内上場企業約2800社の全役員を対象とするデータベースを構築中で、これに証券会社の役員、社員を加える。

 証券会社は自社口座での社員の証券取引を常に監視しており、日証協もインサイダー取引などの温床になるとして、証券会社の社員が他社に証券口座を開くことを禁じている。データベースの構築により事実上、証券会社の社員は他社に口座を開設できなくなる。」



「社会あるところ犯罪あり」と言って、残念ながら我々は犯罪のない社会を持ち得ない。

それでは我々は犯罪にどう対処していくのか。事後に処罰するしかない。これが揺るがせに出来ない大原則である。



読売は、NHK記者のインサイダー事件や野村證券社員のインサイダー事件の際、親の仇とばかりに叩いてきた。その一つの帰結が今回の日証協の対応である。

しかし、これでインサイダー取引が防げるか?否である。家族や友人・知人の口座利用・協力によりインサイダー取引は容易に実行出来る。事実、そのようにして野村證券社員はインサイダー取引を実行した。

NHK記者のような軽い気持ちで行う幼稚なインサイダー取引は今回のような対応で予防可能かもしれないが、本気でインサイダー取引をしようと思う人間の犯罪行為を事前に予防することは出来ない。



読売のインサイダー叩き、その後の日証協の対応を見ていて「危ういな」と思うのは、出来もしない事前予防がさも出来るような言説を振り撒いて、それに呼応する形で自主規制が殆ど意味のない形で進んでいくことである。

自主規制をしない会社が悪い、自主規制をしない社会の風潮を許さない、という空気である。自由の気風とは対極にある唾棄すべき事態である。



「じゃあ、インサイダー取引を認めるのか?」などと馬鹿な反論を本気でしてきそうなので予め重ねて言っておくが、犯罪行為は事後に処罰するのである。空気を萎縮させれば犯罪がなくなるなどと考えるのは非常に愚かな発想であり、社会を窮屈にさせるだけの危険な発想の仕方である。



事前に犯罪を完全に抑止しようと思えば、行き着く先は優勢思想も絡めた思想統制である。