新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

1月9日 その2 *緊急事態宣言発出の影響

2021-01-09 09:38:06 | コラム
またトイレットペーパーの買い溜めか:

海の向こうのSM氏は冗談だと思うが、アメリカの混乱の状態を捉えて「トイレットペーパーでも買っておきますか」と言っていた。一方、我が国では昨8日から発効で緊急事態宣言が発出されたのだが、私はその前にまたもやトイレットペーパーの買い溜めの事態が起きるかも知れないので、政府はメーカーに「在庫も原料も十分にあるのでご安心を」との声明でも出させておけば良いのにと提案してあった。事実、何処かの局では丸富製紙と林製紙の豊富な在庫の絵を見せていのは良い事だろうと思っていた。同時に「まさか、買い溜めは起きまい」と期待していた。

しかし、である。昨日、我が家の前にあるイオン系のスーパーマーケットの小規模な店舗の外には、ボックス・テイシュペーパーは積まれていたが、トイレットペーパーは綺麗サッパリなくなっていた。そう言えば、出掛ける前に入り口ですれ違ったご婦人が大王製紙のトイレットペーパーだけをぶら下げて帰ってこられた事を思いだした。もしかすると、あのご婦人はイオンで買えなかったので、500 mほど先の薬局まで行かれて大王製紙品を買ってこられたのかも知れない。

実は、細かいことを言えば、イオンが取り扱っているのはカタカナ語でいう「プライベートブランド品」(しつこいと言われるのを覚悟で言えば、正しい英語は“private label”なのだ)であり、価格もメーカー品よりはかなり割安である。だが、ほぼ古紙100%ものなのだ。しかも、一部は確か昨年の半ば頃までは「牛乳パックの古紙を配合」と表示されていた。これ即ち、質が良い原料が配合されているという意味。しかし、今ではその品物は店頭には並んでいない。何故だろう。

そこで、本筋を離れて輸入紙のみで出来ている牛乳パックの現状を考えて見よう。このパックというか牛乳の需要は、ここ数年減少の一途を辿っているようだ。伝聞であるが、その原因は消費者の牛乳離れが始まってしまった事と、子供の数の減少で学校給食向けの需要の低迷があるのだそうだ。それかあらぬか、アメリカとフィンランドから輸入されている原紙も最高到達点よりも過去6~7年間で30%ほど減少していたようなのだ。中間を省いて論じれば、それだけトイレットペーパーの原料に十分に回せるほど、牛乳パックが回収・再生されていないということだろう。

それはそれとして、世界的に紙パルプ産業界はICT化等の急速な普及の(悪?)影響で需要の激減に悩まされており、言うなれば遺憾ながら設備過剰状態にあるのだ。従って、トイレットペーパーであれ何であれ、在庫不足などという事があれば「大いに目出度い」とでも言いたくなるような状態なのである。即ち、消費者の方々がトイレットペーパーの買い溜めに走って頂くような状態ではないという事。確かに、前回の発出時にはその小規模な店舗でも保存が利く食品の棚はすっからかんだった。


「海の向こうの謝らない面々」

2021-01-09 08:46:09 | コラム
アメリカには「謝罪する文化」は存在しない:

一部のマスメディアは、トランプ大統領が「彼の支持者たちが国会議事堂へ乱入したことを非難しただけで、扇動したことの責任を認めていないのは云々」と批判していたようだった。私はこれは彼らが未だにアメリカやヨーロッパの諸国だけではなく、中国や韓国等には「自発的に潔く自らの過失乃至は非を認めて謝罪する文化が存在しない」との認識が出来ていないことだと思って眺めていた。未だにそういうことでは、極めて遺憾な勉強不足の状態である。

一方、我が国の文化では潔く自発的に自らの非を認めて謝罪するのは当然であり、その謝罪をすれば、それ以降の追求はされないようにもなっていくのだ。特に、クレームの補償交渉のような難しい話し合いであっても、非があった方が先ずそれを認めれば、議論が円滑に進み円満な解決に至るものなのだ。だが、謝罪の文化がない国から来る人たちは謝ることを何としても回避するので、先ず“I am sorry.”とか“We are sorry.”とは言わず、精々“I regret.”なのだが、これは「自社の非を不承不承認めます」という精一杯の謝罪の意の表明なのだ。

彼らの思考体系では、一度でもその非を認めてしまえば「如何なる罰をも受け入れますし、最大限の金銭的補償をもします」との、金額が記入されていない小切手か手形を切ったのと同じになってしまう。それが彼らの文化であり思考体系なのだ。故に、トランプ大統領がその過失を認めないことを批判するのは見当違いだ。因みに、件名の「海の向こう謝らない面々」は、拙著「アメリカ人は英語がうまい」からの引用である。