湯の字にっき

日々の日記をつらつらと綴っております

再生の、物語をどうぞ

2011-06-06 | キャラメルボックス辺りのこと
キャラメルボックス ハーフタイムシアター2011
「水平線の歩き方/ヒア・カムズ・ザ・サン」

懐かしい人に逢いたい思いを喚起させる2作品
奇しくも両作品とも、岡田達也演じる役が再び歩き出す物語だ。

「ヒア・カムズ・ザ・サン」

映画を作るという仕事を選び、妻と子供を置いてアメリカに旅立った男、白石(岡田)
20年振りに日本に帰って来た彼を出迎えたのは娘の会社の同僚だという男、真也。
彼のおかげで白石は日本に来た目的を果たし、それ以上の思いを手に帰っていく。
真也には物に残された記憶を見る力があった。
けれど彼の本当の力はそんな不思議な能力ではなく、誰かのために一生懸命駆け回れることだろう。
だからこそ、ラストの真也の驚きと幸福に満ちた一歩を踏み出す姿は
見ているこちらも暖かい気持ちになる。

惜しいのは阿部演じる真也の癖のある物言いが後半殆ど現れないことだ。
彼の人品骨柄が薄れるではないか。

「水平線の歩き方」

ある夜、幸一(岡田)が自分のアパートに帰ると誰もいないはずの部屋に女がいた。
彼女は、23年前に死んだ自分の母だという。

これは母親との再会でありながら、自分の周りにいた人達との再会でもある。
彼から投げられることのないパスを横で待っていた人たち
遠く離れた場所で彼の名前を、呼んでいる人達へ
目覚めた彼はどんな形で応えるのだろう。

水平線との距離を語る時、単純な背景が海辺に見える。
舞台上で実際に淹れられたコーヒーの匂いが客席まで届く
記憶に訴えかける舞台だとも思う。

そして最後に終演後にぜひ「観終えてから読んでください」を読んでください。
小さな仕掛けが書かれています。
この2作品の関わった過去の作品のこと。

気付いて、もう一度、観たくなりました。