NHK大河ドラマ特別展”江/姫たちの戦国”が、両国の江戸東京博物館で開催されている。お相撲をみに行った時、覗いてきた。”江(ごう)”については、ぼくもこのドラマが始まるまでは、ほとんど知らなかった。お母さんの、お市の方や、お姉さんの茶々は、いろいろなドラマに出てくるので、誰もが知っているが、三女、江の姿は出てきたとしてもあまり記憶に残っていない。今回は、その江が主役のドラマということで、楽しみにしていて、昨日も、父、浅井長政を切腹においやった信長とのはじめての対面場面など、興味深くみた。
”伯父に、信長、義兄に秀吉、そして義父は家康・・・戦国のスーパーセレブ・江”というキャッチコピーがちらしに踊っている。さらに、付け加えれば、子供に三代将軍、家光、そして千姫、皇后になる和子もいるのだからすごいものだ。しかし、江(のちに崇源院)自身の資料や遺品は少ない。ほとんどないと言っていい。だからこの展覧会の企画を担当された方は、苦労されたと思う。結局、”江を取り巻く人々展”になった。それはそれで、戦国の動乱期から江戸時代までの様々な景色を眺められるので、楽しい展覧会に仕上がっていると思う。
展示室に入ると、”特別展示品”として、いきなり、江自筆の、姉(常高院)宛ての手紙が現れる。これと後期展示になる、もう一通の手紙だけが、江が後世に残した遺品である。天皇家に嫁入りした五女・和子のことや、江戸の様子を書き、中風気味の姉の体調を気遣っている内容である。
江関連のものとして、もうひとつ、位牌を納める厨子”崇源院宮殿(すうげんいん・くうでん)”が、出口近くに展示されている。これは、どうも江が自身で育てた子、忠長がつくったものらしい。春日局に育てられた嫡男・家光との権力争いに敗れ、駿府の忠長が家康に無断で母の宮殿をつくったとのことだ。現在、目黒の祐天寺にある。金箔の極彩色の外観で、蓮華の文様などの彫刻が施されている。はじめ、家康のものと思われていたが、解体修理したときに屋根組から書状が発見され、崇源院のものということが分かったそうだ。
ついでながら、崇源院の霊廟は、増上寺に建立されたが、夫の秀忠が亡くなり、新たな霊廟がつくられたときに解体され、鎌倉の建長寺の仏殿となって今に残っているそうだ。知らなかった、今日、行ってみよう(汗)。高野山奥の院にも、忠長が建立した供養塔が、京都養源院には淀殿(茶々)が、金戒光明寺には春日局が、それぞれ建立した供養塔があるとのことだ。今月、京都へ行く予定なので訪ねてみよう(汗)。
江関連のもだけしか書かなかったけれど、浅井長政、柴田勝家、信長、秀吉、家康関連の重文を含む、肖像画、彫刻、合戦図屏風(姉川、賤ヶ岳)、大阪城、安土城、伏見城出土品、書状、短冊(醍醐の桜の秀吉の和歌)、”国家安泰””君臣豊楽”の、いちゃもんをつけられた文字の入った、”方向寺大仏鐘銘”の草稿文など、前後期合わせ、225点もの作品が並んでいる。そうそう江戸図屏風も良かったなあ、洛中洛外図をみるようだった。