消え行く思い出

　転勤族だった現役時代、それに伴って転居すること10回以上、それぞれの地に忘れられない
思い出がある。

　その思い出を改めて蘇み返えらせてくれる新聞記事が目についた。

　大開発が行われている大阪駅の北側の梅田地区と、その西方に位置する大淀地区を結ぶ「梅
北地下道」が90年の歴史を経て今日をもって廃止となると言う記事である。

　大淀地区に聳える外人さんに評判のスカイビルがまだない頃、我が家一家はその大淀地区に
住まいしており、通勤に買い物に安全で便利な近道としてその地下道を毎日利用していたこと、
ある日、入り口に止めていた自転車を盗まれたこと等、昨日のことのように思い出し、時代の趨勢
とは言え懐かしい思い出の一つがなくなることにセンチメンタルになっている。