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ダーリン三浦の愛の花園

音楽や映画など徒然なるままに書いてゆきます。

明日のためにその16-第三の男

2012年02月14日 | ヨーロッパ映画
映画史上至高の傑作

今から30年以上昔になるだろうか、家庭にヴィデオデッキが普及する前のことである。
映画少年だった私はとにかく映画が観たくて様々な劇場を駆け回っていた。
しかし金銭的にも余裕のない少年にとってそれはとても辛いことであった。
映画と言う養分なしでは考えられなかった少年時代に光明のテレビ番組があった。
毎月末の日曜日にNHKの教育テレビで放送されていた「世界名画劇場」がそれである。
この番組は過去の名作をノーカット字幕スーパーで放送していた。
毎月末私は楽しみにこの番組を観たものである。
今回紹介する「第三の男」もこの「世界名画劇場」で観た一本である。
第三の男。
あまりにも有名なので説明する必要も無いかもしれない。
しかし若干ストーリに触れておこう。
舞台は第二次世界大戦の終ったウイーンで展開される。
売れない小説家の主人公がウイーンに住む友人から仕事を斡旋され、彼がウイーンに到着するところから物語りは始まる。
彼は勇んで友人宅を訪れるのだがそこの門番に彼は先ほど交通事故で死亡してしまったことを知らされる。
しかしその現場に居た第三の男の存在、そして友人の恋人だった女性に興味を惹かれた主人公はウイーンに残りこの事件へと関与してゆくのだが....。
とにかく映画の創りとしては隙のない見事なものである。
独特の斜め撮りのショット、緻密に計算された物語進行、全てが映画の手本であろう。
何年か前に世界の著名人が選択した20世紀の名画ではベスト3に入選している。
カンヌ映画祭グランプリ作品のオールタイムベストでは1位に選出されている。
若い方でまだこの映画を観ていない方がいらしたら是非観ることをお勧めする。
1953年日本公開、1949年カンヌ映画祭グランプリ。


明日のためにその12-ピカソその天才の秘密

2012年02月02日 | ヨーロッパ映画
絵画界の天才との対決

パブロ・ピカソ。
誰でも知っているであろう20世紀絵画界の天才である。
もう昔のことだが私自身も地元で開かれた彼の展覧会を観て彼の作品に接した。
正直彼の作品を理解できないまま何年か経過したあと或るドキュメンタリー映画がリバイバル上映された。
「ピカソ天才の秘密」
私は彼の創作の謎を知るべくこの映画を見に行った。
キャメラは動くことなくピカソのキャンパスに流れる時間を淡々と捉えてゆく。
緻密なデッサンから始まる彼の作品は時を経るに従って彼のイメージの変化とともにその姿を変えてゆく。
キャンパスに幾度と無く上塗りされる彼のイメージの変化の象徴とも言える油絵の具、作品は徐々に具体性を排除され、彼のイメージそのものの抽象性を帯びてくる。
完成した絵は最初のデッサンを拒否するが如く抽象性に淘汰されていく。
台詞は一切ない、あるのは監督とピカソの会話と彼のキャンパスとキャメラだけである。
此処にこの映画を観るものは微妙な緊張感を感じピカソからの挑戦を受けるがごとき立場に立たされる。
彼の作品は一見無秩序からなるキュビズムの構築のように思われるがそうではない。
この映画は私にそのことを教えてくれた。
監督はアンリ・ジョルジュ・クルーゾー。
恐怖の報酬を撮った名匠である。
ピカソの絵画を見たことがある方で彼に興味を持っている方には是非観ていただきたい作品である。
1957公開、フランス映画。