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(目次)
第6章:現代イスラームテロの系譜(12)
157世界を震撼させた911同時多発テロ(4/4)
事件後、ブッシュ大統領(当時)は犯行がオサマ・ビンラーデン率いるイスラーム過激派組織アル・カイダによるものと断定、テロ計画の立案者としてビンラーデンの部下ハリド・シェイク・ムハンマドが逮捕された。事件は午前8時14分の最初のハイジャックから午前10時3分の4機目の墜落までわずか2時間足らずの間に起こった。アル・カイダはこの2時間のため膨大な時間をかけて入念な計画と周到な準備を重ねたのであるが、その中には大型ジェット機の操縦法の習得まで含まれていた。米国は911テロ事件に先立つ8年前(1993年)の貿易センタービル爆破事件でアル・カイダが米国本土を狙っていることは認識していたが、同時多発テロの動きを事前に察知することができなかった。テロリストたちは捜査当局の予測をはるかに超えるテロを計画し実行したのであった。エジプト人モハメド・アタを首謀者とする19人の実行犯が特定され、19人のうちの11人はサウジ人であった。
この事件を契機として米国の対テロ作戦が動き出す。米国のブッシュ大統領はテロの撲滅を外交の最重要課題に掲げ、自衛のための先制攻撃もを辞さない強硬姿勢を示した。米国はアル・カイダの拠点であるアフガニスタンのタリバン政権に対して軍事行動を起こしこれを転覆した。オサマ・ビンラーデンは隣国パキスタンの険しい山の中を転々と逃亡した。彼はその間も世界各国のイスラーム過激派組織に呼びかけ、同調者たちによるテロ活動が世界各地で続発した。しかし米国は必死に追及、2011年5月、特殊部隊が急襲してイスラマバード郊外でビンラーデンを殺害した。彼は時に54歳であった。
21世紀、それはイスラーム過激派による抵抗の時代の幕開けであった。
(続く)
荒葉 一也
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