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2018.7.5
前田 高行
(石油自給率が改善する米国、悪化する中国!)
(5)石油の需給ギャップおよび自給率の変化(2000年~2017年)
(図http://bpdatabase.maeda1.jp/1-3-G04.pdf 参照)
(図http://bpdatabase.maeda1.jp/1-3-G05.pdf 参照)
石油生産国の中でも人口が多く産業規模の大きな国は同時に多くの石油を消費する。例えば米国と中国はそれぞれ世界1位と8位の産油国であるが、消費量では世界1位と2位である。両国を合わせた世界シェアは生産量で18%、消費量では33%に達する。両国とも消費量が生産量を上回るため、米国は1965年以前から既に石油の輸入国であり、中国は1990年代前半に輸入国に転落している。
米国の場合2017年は生産量1,306万B/Dに対して消費量は1,988万B/Dであり、差し引き682万B/Dの需要超過で石油自給率は66%となる。1965年に78%であった米国の石油自給率は年々低下し1990年代には50%を切り、そして2000年代は40%を割るなどほぼ一貫して低下してきた。しかし同国の自給率は2007年の33%を底に改善しつつあり、2017年にはついに66%に達している。現在米国は必要な石油の7割近くを自国産原油で賄っていることになる。
一方、中国の場合1992年までは生産量が消費量を上回り自給率100%であったが、その後純輸入国に転じている。しかも生産と消費のギャップは年々広がり、2000年に144万B/Dであった需給ギャップが2017年には895万B/Dに拡大している。この結果2000年には69%であった自給率も急速に悪化し、2007年に50%を割り、2017年は30%まで落ち込んでいる。米国と逆に中国は必要な石油の7割を輸入に頼っていることになる。
インドも中国同様に年々需給ギャップが拡大している。2000年の同国の需給ギャップは153万B/Dであり、自給率は32%であった。その後需給ギャップは2010年に244万B/Dと年々拡大しており、2017年は383万B/Dに達している。その結果2017年の自給率は18%にまで低下している。
近年産油国としての存在感を示しつつあるブラジルは、2000年は生産128万B/Dに対して消費量は203万B/Dで自給率は63%であったが、その後2010年には自給率が79%に上昇、その後更に上昇し2017年の自給率は91%を達成、数年中に完全自給体制になると予測される。
一方インドネシアは東南アジアの有力産油国として2000年は自給率127%で余剰生産量を輸出する石油の輸出国であった。しかしその後、国内経済の成長と油田の減退が重なり自給率は急速に悪化、2014年の自給率は51%にとどまり、需要量の半分は輸入に頼らざるを得ない状況に陥った。ここ数年は多少改善の兆しが見られ、2017年の自給率は57%に戻っている。
(石油篇消費量完)
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