石油と中東

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見果てぬ平和 ― 中東の戦後75年(149)

2024-05-02 | 中東諸国の動向

(英語版)

(アラビア語版)

 

(目次)

 

第6章:現代イスラームテロの系譜(4

 

149イスラームテロの萌芽(4/4)

現代イスラームテロの萌芽はスンニ派過激派組織アル・カイダにある。アル・カイダはサウジアラビアの大富豪ビン・ラーデン一族のオサマが立ち上げたイスラーム原理主義(サラフィー主義)組織であり、当時のアフガニスタン共産主義政権に対して過激なテロ活動を繰り広げた。1989年のソ連撤退と共にアフガニスタンは地元生まれのタリバーンが政権を掌握し、外国勢力アル・カイダの指導者オサマ・ビン・ラーデンはアフガニスタンを去った。

 

オサマの目的は原理主義を他のイスラーム国家でも展開することであった。彼の目には西欧キリスト教国家の自由主義、民主主義によってイスラームの崇高な価値が蹂躙されていると映った。彼は中東・北アフリカのイスラーム諸国を駆け巡り、或いは当時普及し始めたインターネットを利用してムハンマド時代のサラフィー主義に戻れ、と大衆を扇動した。

 

アル・カイダは細胞分裂してイスラーム圏に広まり、各国にアル・カイダを名乗り、或いはその流れを汲むと自称する反政府テロ組織が次々と生まれた。ざっとその名をあげれば、「アラビア半島のアル・カイダ」、「イラクの聖戦アル・カイダ」、インドネシアの「ジャマ・イスラミア」、フィリピンの「アブ・サヤフ」など枚挙にいとまがない。さらには一匹狼的なテロリストが犯行声明でアル・カイダの同調者を名乗るなど「アル・カイダ」はまるでイスラームテロの有名ブランドの様相を呈し創設者のオサマ・ビン・ラーデンは一部民衆から英雄扱いを受けたのであった。

 

(続く)

 

 

荒葉 一也

E-mail: Arehakazuya1@gmail.com

 


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