(英語版)
(アラビア語版)
(目次)
第4章:中東の戦争と平和(14)
100 「平和の家」と「戦争の家」(4/4)
民族(血)と宗派(心)と政治思想(智)が絡み合い「敵」と「味方」が判然としなくなった。「敵の敵」が味方であるかそれとも別の敵なのかもしれない。同様に「敵の味方」が敵なのかそれとも別な味方なのか、その時の状況或いは時の経過によって目まぐるしく変わる。
このような「敵」と「味方」が判然としない色調は21世紀に入りますます濃厚になるのであるが、1970年代後半から1980年代の中東は比較的穏やかな時代であった。これが平和な時代と呼べるかどうかは異論があるかもしれない。しかしその平和を担保したのはひとつがオイルマネー(カネ)に潤う湾岸産油国とその分け前に預かった中東各国が享受したオイルブームであり、もう一つがシリア、イラク、リビアなど各国に生まれた強権独裁体制である。第四次中東戦争以降の一時的な中東の平和は「オイルマネー」と「独裁者」がもたらしたと言ってもあながち間違っていないであろう。
(続く)
荒葉 一也
E-mail: Arehakazuya1@gmail.com
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます