(注)本シリーズは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0541OilMajor2021-2ndQtr.pdf
5.キャッシュフロー (続き)
(急変動した2020年のキャッシュ・フロー!)
(2)2019年7-9月期以降今期までのキャッシュフローの推移
(2-1)営業C/F
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-72.pdf参照)
2019年7-9月期の5社の営業C/FはShellが123億ドルで最も多く、次いでExxonMobilが91億ドル、TotalEnergies及びChevronがそれぞれ82億ドル及び79億ドルであり、bpは最も少ない61億ドルであった。2020年に入ると各社の営業C/Fは激減し、同年1-3月期にbp及びTotalEnergiesは10億ドル強、続く4-6月期にはChevron, ExxonMobilがほぼゼロ、Shellが26億ドルと5社全ての営業C/Fが大きく落ち込んだ。
その後、同年後半には復調の兆しが見られ、2021年に入ると増加のテンポが早まり、4-6月期には2019年7-9月期の水準まで戻っている。
(2-2)投資C/F
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-73.pdf参照)
2019年7-9月期のExxonMobilを除く4社の投資C/Fが最も多かったのはTotalEnergiesの▲68億ドルであり、以下はChevron(▲35億ドル)、bp(▲33億ドル)、Shell(▲21億ドル)であった。翌10-12月期はShellが最も多く(▲49億ドル)、Chevron(▲27億ドル)が4社の中で金額が最も少なかった。
2020年の7-9月期までの3四半期は各社とも大きな変化は無かったが、同年10-12月期はShellとTotalEnergiesが大きく増加した(Shell▲28億ドル→▲54億ドル、TotalEnergies▲19億ドル→▲45億ドル)一方、bp及びChevronは大きく減少しており、特にbpは投資額が純減(▲35億ドル→+6億ドル)となった。同社の投資C/Fは2020年1-3月期も純減(+4億ドル)であった。今期(4-6月期)は4社の投資C/Fは▲20~30億ドルに並んでいる。過去2年間を通じてTotalEnergiesが一定して高い水準を維持していることが目立つ。
(2-3)財務C/F
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-74.pdf参照)
(ExxonMobilを除く)4社の2019年7-9月期の財務C/F収支はShellが▲130億ドルと際立って多い。その他3社はbp▲37億ドル、Chevron▲11億ドルであり、TotalEnergiesは3社と異なり+5億ドルである。同期の新規借入額が返済額を上回ったことを示している。
このような傾向は2020年4―6月期に各社でも見られ、同期の財務C/Fはbp147億ドル、TotalEnergies75億ドル、Shell57億ドルといずれも大幅なプラスであった。2020年に入りコロナ禍が世界に蔓延、エネルギー需要が急減した結果、各社が運転資金の不足を補うため巨額の借入を行った結果である。
各社は2021年に入り先行きの見通しが多少とも明るくなったと判断したようであり、投資C/Fの大きな変動は治まりつつあるようである。
(続く)
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