石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

石油と中東のニュース(1月17日)

2023-01-17 | 今日のニュース

(石油関連ニュース)

原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil

・原油価格:Brent $84.67, WTI $79.34。中国、スーパータンカーで格安ロシア原油輸入

(中東関連ニュース)

・イラク首相:IS掃討に米軍駐留は必要。親イラン政策と微妙なバランス

・トルコ大統領:ウクライナとロシアの和平仲介の用意あり

・イラン、厳しい経済下でも治安関係予算は大幅増

・韓国大統領、UAE公式訪問

・中国外相、エジプトなどアフリカ諸国訪問

・UAE、米とクリーンエネルギー専門家会議立ち上げ

・エジプト、インフレ対策で値引きパン販売

 

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カタールとトルコで分かれる明暗:世界主要国のソブリン格付け(2023年1月現在) (下)

2023-01-17 | その他

2.2020年1月以降の格付け推移

  ここでは2020年1月以降現在までの世界の主要国及びGCC6か国のソブリン格付けの推移を検証する。

 

(欧米先進国は現状維持、2年間でランクを二つ上げた台湾!)

2. 世界主要国の格付け推移

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-G-3-01.pdf参照)

先進国の中ではドイツが過去3年間常に最高のトリプルAの格付けを維持している。米国はドイツより1ランク低いAA+を続けている。

 

これに対しアジアの経済大国中国と日本の格付けは3年間A+で推移している。AAAのドイツとは4ランク、米とは3ランクの格差があり、過去3年間格差は解消していない。これら欧米・アジアの経済大国より格付けは少し下がるが、石油大国のサウジアラビアはA-を維持している。同じ極東の国台湾は2020年までAA-であったが、2021年上期に韓国と並ぶAAに格上げされ、2022年上期に再度引き上げられ現在はAA+に格付けされている。

 

コロナ禍前の世界的な経済成長の中で注目されたBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの頭文字)諸国については、上述のとおり中国がA+である。その他の4カ国を見ると、インドは過去3年間BBB-である。これは投資適格の中で最も低く、S&Pの格付け定義では「債務を履行する能力は適切であるが、事業環境や経済状況の悪化によって債務履行能力が低下する可能性がより高い。」とされている。

 

2020年1月には南アフリカはBB、ブラジルはBB-でいずれも投資不適格であった。2020年上半期には南アフリカもBB-に格下げされ、以来今回まで同じ格付けである。BBの格付け定義は、「より低い格付けの発行体ほど脆弱ではないが、事業環境、財務状況、または経済状況の悪化に対して大きな不確実性、脆弱性を有しており、状況によっては債務を期日通りに履行する能力が不十分となる可能性がある。」とされ、信用度が低い。BRICsの一角を占めるロシアは、昨年1月までインドと同じ投資適格では最も低いBBB-であったが、4月にウクライナと開戦したことに伴い、S&Pは同国をN.R.(No Rating)として格付け対象から除外しており、現在もその状態が続いている。

 

(アブダビに並んだカタール、復調著しいオマーン、低落傾向のクウェイト!)

(2)GCC6カ国の格付け推移

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-G-3-02.pdf参照)

 GCC6か国(UAE、クウェイト、カタール、サウジアラビア、オマーン及びバハレーン)の過去3カ年のソブリン格付けの推移を見ると、まず2020年1月時点ではUAE(アブダビ)及びクウェイトの格付けが最も高いAAであり、これに続きカタールがAA-に格付けされていた。しかしクウェイトは2020年上半期にAAからAA-に格下げされ、2021年下半期にはさらにA+に落ちている。これに対してカタールは昨年下半期にAA-からアブダビと同格のAAに格上げされている。

 

3カ国は政治体制、人口・経済規模などが似通った産油(ガス)国である。それにもかかわらずクウェイトの格下げが止まらないのは、同国が中途半端な議会制民主主義を採用している結果、政情が安定せず経済改革がほとんど進まないことに原因があると考えられる。カタールについては前項でも触れた通り天然ガス(LNG)が世界的に品不足で価格が高騰したためである。

 

サウジアラビアはこれら3カ国より低くA-を続けている。同国はUAE(アブダビ)、クウェイト、カタールを大きくしのぐ石油歳入を誇っているが、一方で人口も3カ国より飛びぬけて多いため、財政的なゆとりが乏しい。S&Pはこれらの事情を考慮してサウジアラビアの格付けを厳しく見ている。

 

オマーンとバハレーンは投資不適格の格付けである。有力な産油(ガス)国が多いGCCの中で石油生産量がほとんどないバハレーンのソブリン格付けは過去3年間B+にとどまったままである。オマーンは2020年1月にはBB格付けであったが、同年中に一気に2ランク格下げされてバハレーンと同じB+まで落ち込んだ。その後2021年下期までバハレーンと同じ格付けが続いたが、2022年中に再び2ランク格上げされ、今年1月現在では3年前の2020年1月と同じBBに復帰している。

 

以上

 

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        前田 高行         〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                               E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

 

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