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http://mylibrary.maeda1.jp/0457MenaRank13.pdf
(MENAなんでもランキング・シリーズ その13)
5.2015~2019年の順位の推移
(表http://menarank.maeda1.jp/13-T03.pdf 参照)
(図http://menarank.maeda1.jp/13-G02.pdf 参照)
2015年から2019年までの5カ年についてMENA各国の順位の変遷を見ると、UAEが5年連続でトップに立っている。2013年まではサウジアラビアがMENAのトップであったが、2015年以降の同国の世界順位は49位→82位→94位→92位→92位と2016年に急落した後さらに低下し、過去3年間は90位台にとどまっている。これに対してUAEは22位→31位→26位→21位→11位と2016年を底に上昇傾向をたどり、特に前回から今回にかけてランクが急激にアップし、世界のトップ10入りが目前である。
UAEに次ぐのはイスラエルとトルコである。イスラエルの2015年以降の世界順位は40位→53位→52位→54位→49位と50位前後を続けている。これに対しトルコは2017年からMENAの順位が急速に上がり、2019年はイスラエルをしのぎMENA2位になっている。世界順位も55位→55位→69位→60位→43位と2017年を底に急激に上昇している。この結果、日本との順位の格差は縮まり、2015年には日本27位、トルコ55位であったのに対し、今回は日本39位、トルコ43位であり、両国の差はわずかになっている。なお中国は5年間を通じて毎年順位を上げ、2015年の96位から今回は46位になり、トルコ、イスラエルと共に日本の地位を脅かすまでになっている。
MENAの平均世界順位は98位(15年)→107位(16年)→109位(17年及び18年) →107位(19年)と2016年以降は世界100位以下に低迷している。UAEを除くGCC5カ国を見るとサウジアラビアは49位→82位→94位→92位→92位と順位の下落傾向が止まらず、カタールも50位→68位→83位→83位→83位と低迷から抜け出せない状態である。またクウェイトはここ数年100位台前後にとどまっており、有力な産油国であり豊富な石油収入によりマクロ経済は全く問題がないにも関わらず同じGCC加盟国であるサウジアラビア、UAE、カタールなどと比較して評価が著しく低い。
因みに「アラブの春」で大きな変革を迫られた国々の過去5年間の世界順位の推移を見ると以下のとおりである。
チュニジア: 60位 → 74位 → 77位 → 88位 → 80位
イエメン: 137位 → 170位 → 179位 → 186位 → 187位
ヨルダン: 117位 → 113位 → 118位 → 103位 → 104位
エジプト: 112位 → 131位 → 122位 → 128位 → 120位
シリア: 175位 → 175位 → 173位 → 174位 → 179位
リビア: 188位 → 188位 → 188位 → 185位 → 186位
上記のうちイエメンは2014年以降毎年下落しており「アラブの春」に続き国内が内戦状態に陥ったままであることが影響している。またシリア及びリビアもイエメンと同様の状況であり、競争力は世界最低ランクのままである。
(完)
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