Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

シネマしりとり「薀蓄篇」(397)

2021-11-14 00:10:00 | コラム
す「し」→「し」じん

米オスカー脚本賞を受賞した映画『いまを生きる』(89)の原題は、「DeadPoets Society」。
直訳すると、「死せる詩人の会」。

教師のキーティング(ロビン・ウィリアムズ)は、詩の教科書の冒頭に記された「詩の評価基準」を「くだらない、そんなページは破れ」と生徒たちを煽る。



そうだ、そうだ!!
とうれしくなってしまうシーンだが、そんな自分には、詩に関する教養やセンスがない。

微塵もない、、、といっていいかな。

これだけ書くことが好きなのにね、どう書くのかもよく分からないし、名作を読んでも、どう「評価」すればいいか分からない。

茨木のり子がいったように、

「自分の感受性ぐらい、自分で守れ、ばかものよ」

…ってことなのに。

自分の感性を信じろ、貫けってことでしょう。

それを念頭に置いていえば、中原中也がいちばん好きかな。

30歳で死んでるんだよ、ということは、20代で『汚れっちまった悲しみに……』を発表したということで。

※すごいね、いまの文庫本は!(^^;)


それにしてもこんな詩、若造が創る?

…………………………………………

汚れっちまった悲しみに
今日も小雪の降りかかる
汚れっちまった悲しみに
今日も風さえ吹きすぎる

汚れっちまった悲しみは
たとえば狐の革裘
汚れっちまった悲しみは
小雪のかかってちぢこまる

汚れっちまった悲しみは
なにのぞむなくねがうなく
汚れっちまった悲しみは
倦怠のうちに死を夢む

汚れっちまった悲しみに
いたいたしくも怖気づき
汚れっちまった悲しみに
なすところもなく日は暮れる……

…………………………………………

すごいなぁ、尊敬というより畏敬の念を抱く。


さて、映画のなかの詩人といえば。

近作では、『パターソン』(2016)が人気。

通好みのするアダム・ドライバーが、バス運転手の傍ら詩作に励む日々を描いたジム・ジャームッシュによる佳作。

うん、たしかに面白い。日常ってこういうことだよね、大事だよねと思える。


レオくんがランボーを演じた『太陽と月に背いて』(95)は名作だと思うけれど、熱演した割には好評とはいえなかった。

ポール・ヴェルレーヌとの歪んだ愛憎はけっして美しいとはいえず、それが映画好きに受け入れられなかったのかなぁ。


題材になったことはあるものの、決定打というものがないのは高村光太郎と『智恵子抄』。

智恵子を原節子や岩下志麻が演じたりしているのだけれど、正直これじゃない…感が。

いつか、そうだなぁ是枝さん、、、いやちがうな、思い切って岩井俊二あたりが新人女優さんを発掘して撮ってくれたら、、、と思っているのだが!!


あすのしりとりは・・・
し「じん」→「じん」ぐるべる。

…………………………………………

明日のコラムは・・・

『シネマしりとり「薀蓄篇」(398)』
コメント (4)
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