をとなの映画桟敷席         ~ほぼ毎日が映画館

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ベイビーブローカー(映画)

2022年06月25日 | 映画
映画「ベイビーブローカー」

海外でも著名な日本人監督の一人、是枝監督の待望の新作。
「誰も知らない」「そして父になる」「万引き家族」などの作品名は知られたところです。
本作は舞台を韓国にしており、春先にアカデミー賞受賞で騒がれた「ドライブ・マイ・カー」のように日本人キャストと混合の作品ではありません。
ちょうどカンヌ映画祭受賞でで話題な頃、一足お先に鑑賞しました。

話は、生まれたばかりの赤ちゃんをやむにやまれず育てられない人が赤ちゃんを置いていく、「赤ちゃんポスト」から始まります。
日本にも、たしか九州にあって物議をかもしたと思います。
それに目を付けて、赤ちゃんを欲しい夫婦に売ろうとする男性2人組がいて、それに赤ちゃんを捨てた母親、2人組を検挙しようと狙う女刑事2人組、小学生ぐらいの孤児の男の子が絡んで物語が進んでいきます。
それぞれの背景が映像で語られ、だんだん赤ちゃんに情が移っていくのが、なんかお人好しなのほほんとした感じを醸し出します。
でも、…で。。。。に。これは、映画館で確認ください。

グッとくるのは、赤ちゃんを巡る話だけれど、実は大人一人一人へのメッセージとして語られるシーンです。
つまり、誰もが「生まれてきて良かったんだよ」「生まれてきてくれて、ありがとう」ということ。
狂言回し的な小学生の孤児の子が、ここでいい味を出します。
(もう小学生なので、引き取られる声さえ掛からないということも描かれています)

それから、コメディっぽく描かれているけれど、実は闇が深い。
2人組の若い人の方は、どういう生い立ちかは画面にでも出てくるけど、ソ・ガンホが演じた年上の男は、いつもニコニコしていて弱そうでヘラヘラしていながら、いろいろなエピソードでちらりと語られる話や行動から、かなり闇が深い人物ではと推測されるのです。
多分、その落差をあからさまではなく、でも感じさせられる演技が、カンヌ映画祭主演男優賞の受賞理由の一つではないでしょうか。

今回も是枝監督は、他人が寄り集まってできた「家族」を見せながら、家族とは、生まれてきた命とはと、投げかけてきます。
最後も、少しモヤっとした少し明るさが見えるような、ほのかな温かさを感じるようなイメージで終わるというイメージも健在だったように思いました。(令和4年5月31日鑑賞)


令和4年6月24日から公開中。







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