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マスコミの「福岡オリンピック招致」報道
7月12日にイスラエルがレバノンに侵攻して以来、衛星放送の「BBCワールド」の英語のニュースを見ていると、イスラエルからの現地レポートが始まったとたんに音声が途切れたり、映像が切れてしまうことが何回かあった。
アナウンサーは「技術的な問題が生じた」と説明して次のニュースに移るという対応をしていたが、私には「問題は技術的なことではなく、イスラエル当局が自国に不利な放映を阻止したのではないか」という疑いが浮かんだ。
これは、田中宇氏の『田中宇の国際ニュース解説』「戦争とマスコミ 」の冒頭部分である。看過できない重大事だ。こんな報道規制で私たちは右往左往しているのか。
と同時に、これを読んで、マスコミのオリンピック報道を思った。わが近辺の出来事なのである。
正直なところ、オリンピック招致にまつわるマスコミの報道は目に余る。ひどい実態だと私は思う。とくに、西日本新聞の提灯もちぶりは滑稽でさえある。なぜ、こうもあるのか。現場の記者は、招致反対派の取材にもきているので彼らに要因があるとは思えない。まさに、報道管制がひかれているにちがいない。そう思わざるをえないのだ。
『西日本新聞』は6月、福岡市とあるシンポジウムを共催した。賛否両論を戦わせると銘打って。だが、その人選に疑問を抱かざるをえなかった。反対を唱えている個人・団体は多い。賛成派はともかく、反対を唱える人びとを人選が代表するに適当であったのか、疑問を抱かざるをえなかった。
これ以後の報道も「作為的な演出」がおこなわれている。たとえば、先のシンポジウムに出席した反対派を非難するつもりはないが、13万の招致反対署名に象徴される市民の意思を無視できないと思う。この署名に託した市民の思いはどうシンポジウムに反映されただろうか。よっぽど鈍感なのか、あるいは無視したのか、どちからだと私は考える。反対派がこんな構図の中におかれてしまってはその存在意義も薄れてしまうというものだ。その後も、13万を集めた団体のことはほとんどふれられていないといってよい。
信じがたいと思われる向きがあれば、ぜひ『西日本新聞』のwebサイトを一度ごらんいただきたい。どれほど「ゆがんだ報道」がおこなわれているか、たちどころに分かると思う。
日本のジャーナリズムもまさに危機のなかにある。
アナウンサーは「技術的な問題が生じた」と説明して次のニュースに移るという対応をしていたが、私には「問題は技術的なことではなく、イスラエル当局が自国に不利な放映を阻止したのではないか」という疑いが浮かんだ。
これは、田中宇氏の『田中宇の国際ニュース解説』「戦争とマスコミ 」の冒頭部分である。看過できない重大事だ。こんな報道規制で私たちは右往左往しているのか。
と同時に、これを読んで、マスコミのオリンピック報道を思った。わが近辺の出来事なのである。
正直なところ、オリンピック招致にまつわるマスコミの報道は目に余る。ひどい実態だと私は思う。とくに、西日本新聞の提灯もちぶりは滑稽でさえある。なぜ、こうもあるのか。現場の記者は、招致反対派の取材にもきているので彼らに要因があるとは思えない。まさに、報道管制がひかれているにちがいない。そう思わざるをえないのだ。
『西日本新聞』は6月、福岡市とあるシンポジウムを共催した。賛否両論を戦わせると銘打って。だが、その人選に疑問を抱かざるをえなかった。反対を唱えている個人・団体は多い。賛成派はともかく、反対を唱える人びとを人選が代表するに適当であったのか、疑問を抱かざるをえなかった。
これ以後の報道も「作為的な演出」がおこなわれている。たとえば、先のシンポジウムに出席した反対派を非難するつもりはないが、13万の招致反対署名に象徴される市民の意思を無視できないと思う。この署名に託した市民の思いはどうシンポジウムに反映されただろうか。よっぽど鈍感なのか、あるいは無視したのか、どちからだと私は考える。反対派がこんな構図の中におかれてしまってはその存在意義も薄れてしまうというものだ。その後も、13万を集めた団体のことはほとんどふれられていないといってよい。
信じがたいと思われる向きがあれば、ぜひ『西日本新聞』のwebサイトを一度ごらんいただきたい。どれほど「ゆがんだ報道」がおこなわれているか、たちどころに分かると思う。
日本のジャーナリズムもまさに危機のなかにある。
EUがイスラエルとレバノン南部への部隊派遣を調整
欧州連合(EU)のソラナ共通外交・安保上級代表は24日、記者会見し、欧州諸国の軍を中心とするレバノン南部への国際部隊派遣について、EUとイスラエルがすでに調整に入っていることを明らかにした。イスラエルのオルメルト首相は23日、シュタインマイヤー独外相と会談、欧州諸国の部隊を中心とする多国籍軍を容認する意向をすでに表明していた。
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20060725id03.htm
『読売新聞』によれば、その上で、ソラナ代表は「容易ではないが、国連安全保障理事会の傘下でなら(派遣は)現実のものになる」と見通しを語ったという。
この発言は、国連安保理決議1559(*)の履行を任務とする多国籍平和維持部隊の中核を、EU加盟国などが担う用意があることを明確にしたもの。
*レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの武装解除について定めている。
ソラナ代表はまた、フランスに加え、ドイツ、ギリシャ、トルコも参加の意思を伝えてきていることを明らかにした。
一方で、中東歴訪中のライス米国務長官は24日、レバノン・ベリ国会議長と会談し、レバノン南部への国際部隊とレバノン軍の展開を条件とする停戦案を提示した。これに対して、ベリ議長は、即時停戦の原則を譲らなかったという。双方の立場には依然隔たりが大きく、停戦実現への道筋は不透明なままだ(こちら)。ベリ議長は、シーア派組織アマルの指導者で、シーア派武装組織ヒズボラとのパイプを持つ。
また、ヒズボラ指導者のナスララ師が24日付のレバノン紙で、「最優先課題は侵攻の阻止で、協議はそれ以降の話だ」と述べたとおり、ヒズボラにしてみれば、武装解除につながる外交交渉に警戒を示すのは当然だといえる。
国連安保理決議1559による多国籍平和維持部隊の派遣によって即時停戦が可能なのかどうか、現時点でははっきりしない。
この状況は、米国にとってどうなのか。国際社会は即時停戦に傾いている。それは、つぎの報道にも端的に表れている(共同通信)。
東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議が25日、クアラルンプールで開幕した。マレーシアのアブドラ首相は冒頭の演説で、緊迫するレバノン情勢について「過大な武力を行使しているイスラエルを許してはならない」として、イスラエルを厳しく非難。国連安全保障理事会は即時停戦を働き掛け、平和維持部隊を送るべきだと訴えた。
こうした国際世論に抵抗し、イスラエルのヒズボラ攻撃を擁護するブッシュ政権の姿勢は、米国自らが「レバノンの民主化」を盾に後押ししているレバノン・シニオラ政権の基盤を揺るがしかねない。また、双方の戦争犯罪を指摘する声もあがっており、人道危機をもたらすことにたいする米国にたいする非難もあらためて強くなるであろう。
ブッシュ大統領はすでに、「イスラエルの自衛権」を強調すると同時に、イスラエルのレバノン侵攻が「シニオラ政権の弱体化」につながることに懸念を表明していた。アメリカは、イスラエルへの肩入れとレバノン政権の維持という板ばさみのなかにある。
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20060725id03.htm
『読売新聞』によれば、その上で、ソラナ代表は「容易ではないが、国連安全保障理事会の傘下でなら(派遣は)現実のものになる」と見通しを語ったという。
この発言は、国連安保理決議1559(*)の履行を任務とする多国籍平和維持部隊の中核を、EU加盟国などが担う用意があることを明確にしたもの。
*レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの武装解除について定めている。
ソラナ代表はまた、フランスに加え、ドイツ、ギリシャ、トルコも参加の意思を伝えてきていることを明らかにした。
一方で、中東歴訪中のライス米国務長官は24日、レバノン・ベリ国会議長と会談し、レバノン南部への国際部隊とレバノン軍の展開を条件とする停戦案を提示した。これに対して、ベリ議長は、即時停戦の原則を譲らなかったという。双方の立場には依然隔たりが大きく、停戦実現への道筋は不透明なままだ(こちら)。ベリ議長は、シーア派組織アマルの指導者で、シーア派武装組織ヒズボラとのパイプを持つ。
また、ヒズボラ指導者のナスララ師が24日付のレバノン紙で、「最優先課題は侵攻の阻止で、協議はそれ以降の話だ」と述べたとおり、ヒズボラにしてみれば、武装解除につながる外交交渉に警戒を示すのは当然だといえる。
国連安保理決議1559による多国籍平和維持部隊の派遣によって即時停戦が可能なのかどうか、現時点でははっきりしない。
この状況は、米国にとってどうなのか。国際社会は即時停戦に傾いている。それは、つぎの報道にも端的に表れている(共同通信)。
東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議が25日、クアラルンプールで開幕した。マレーシアのアブドラ首相は冒頭の演説で、緊迫するレバノン情勢について「過大な武力を行使しているイスラエルを許してはならない」として、イスラエルを厳しく非難。国連安全保障理事会は即時停戦を働き掛け、平和維持部隊を送るべきだと訴えた。
こうした国際世論に抵抗し、イスラエルのヒズボラ攻撃を擁護するブッシュ政権の姿勢は、米国自らが「レバノンの民主化」を盾に後押ししているレバノン・シニオラ政権の基盤を揺るがしかねない。また、双方の戦争犯罪を指摘する声もあがっており、人道危機をもたらすことにたいする米国にたいする非難もあらためて強くなるであろう。
ブッシュ大統領はすでに、「イスラエルの自衛権」を強調すると同時に、イスラエルのレバノン侵攻が「シニオラ政権の弱体化」につながることに懸念を表明していた。アメリカは、イスラエルへの肩入れとレバノン政権の維持という板ばさみのなかにある。
地上軍侵攻を拡大、南レバノンの村制圧 ― イスラエル
レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの掃討作戦を進めるイスラエル軍は22日、国境から約2キロのレバノンの村マルンラスを制圧した。
23日には同村の北約1キロのビントジャベルを目指して進軍し、地上侵攻を拡大している模様だ。ロイター通信によると、12日の交戦開始以来の死者はレバノン側365人、イスラエル側37人で計400人を超えた。
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20060723i413.htm
イスラエル軍は「本格侵攻の決定はない」と主張、地上軍の作戦はヒズボラ拠点への限定した攻撃であって、国境地域への部隊集結はヒズボラを威嚇する意味合いが強いと『読売新聞』は伝えている。
このようなイスラエル軍の侵攻の一方で、テルアビブでは22日、ヒズボラとの戦闘が始まって以来初めての反戦デモが行われた。約2500人が即時停戦と協議開始を訴えたという。
参加者は、ユダヤ系世俗主義左派連合「メレツ」、アラブ政党「国民民主同盟」など国会(クネセト)に議席を持つ左派小政党のメンバーら。
報道によれば、「我々はシオニズムの名において人を殺さず、死にもしない」「我々は米国に奉仕するために死なず、人を殺しもしない」などと連呼した。
こんななか、不透明さを残し、先行きがみえているわけではないが、状況をわずかに前に動かす変化がある。イスラエルのオルメルト首相は23日、シュタインマイヤー独外相と会談、レバノン南部への展開が検討されている国際部隊について、一定の条件を満たせば、欧州諸国の部隊を中心とする多国籍軍を容認する意向を表明した。
同首相は、国際部隊派遣にイスラエルが応じる条件として、〈1〉レバノンとシリアの国境地帯におけるヒズボラの移動の監視を任務に含める〈2〉ヒズボラを弱体化させるだけの戦闘能力と経験を持つ部隊であること――などを挙げたという。以下にのべる諸国間の主張や、あるいは上記の国内の動きもみすえたのだろうか、従来のイスラエルの主張から譲歩した形になった。
これまでの経過を追うとつぎのようになろう。
イスラエル・ペレツ国防相は、国際部隊派遣に対する拒否姿勢を転換、米軍中心のNATO指揮下の部隊派遣に期待していたが、以下のようにライス米国務長官は米国の参加に消極的な姿勢を示した。ドイツやフランスが派兵に前向きなのと好対照を示し、あらためて米と欧州諸国の対応のちがいが浮き彫りになっている。現時点ではイラク戦争時の仏独と米の対立が再び現れているようだ。
仏独(スペインも)は、「国連による調停推進で一致している」のだ。
「イスラエル軍とヒズボラの戦闘はきわめて深刻な事態にあり、放置すればレバノン崩壊につながりかねない」として即時停戦を提唱した仏外相。シュタインマイヤー独外相も22日、「レバノン南部の状態はひどく、停戦実現が最大課題だ」と訴えた。
これにたいし、ライス米国務長官は「即時停戦は(ヒズボラの背後で糸を引くイランとシリアによる)古い中東の概念に基づく。我々は今、新たな中東の生みの苦しみの過程にある」と、即時停戦には否定的な立場を表明している。
ライスの発言の背後には、つぎのような状況もあるのだろう。
アメリカ言論界では好戦的な主張が盛り上がっていると田中宇氏は指摘している(こちら)。ネオコンだ。
ネオコンの主張は、「ヒズボラにはイランとシリアの支援がある。ヒズボラを無力化するためには、特にイランを潰さなければならない」というもの。この基本認識はこれまでアメリカが主張してきたところだ。ネオコンだけでなく、政界や言論界では、共和党も民主党も、キリスト教原理主義もリベラル派も、「イスラエル断固支持」だという。田中氏は、イスラエルが悪いと考えているアメリカの一般市民が多そうだが、マスコミにはほとんど反映されていないと、のべている。
遠回りのようで、また遅々として前進しないようにみえるけれども、ここは基本に立ち返ることが必要だろう。即時停戦、協議再開の声を各国で強め、国際世論をつくらなければならない。
23日には同村の北約1キロのビントジャベルを目指して進軍し、地上侵攻を拡大している模様だ。ロイター通信によると、12日の交戦開始以来の死者はレバノン側365人、イスラエル側37人で計400人を超えた。
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20060723i413.htm
イスラエル軍は「本格侵攻の決定はない」と主張、地上軍の作戦はヒズボラ拠点への限定した攻撃であって、国境地域への部隊集結はヒズボラを威嚇する意味合いが強いと『読売新聞』は伝えている。
このようなイスラエル軍の侵攻の一方で、テルアビブでは22日、ヒズボラとの戦闘が始まって以来初めての反戦デモが行われた。約2500人が即時停戦と協議開始を訴えたという。
参加者は、ユダヤ系世俗主義左派連合「メレツ」、アラブ政党「国民民主同盟」など国会(クネセト)に議席を持つ左派小政党のメンバーら。
報道によれば、「我々はシオニズムの名において人を殺さず、死にもしない」「我々は米国に奉仕するために死なず、人を殺しもしない」などと連呼した。
こんななか、不透明さを残し、先行きがみえているわけではないが、状況をわずかに前に動かす変化がある。イスラエルのオルメルト首相は23日、シュタインマイヤー独外相と会談、レバノン南部への展開が検討されている国際部隊について、一定の条件を満たせば、欧州諸国の部隊を中心とする多国籍軍を容認する意向を表明した。
同首相は、国際部隊派遣にイスラエルが応じる条件として、〈1〉レバノンとシリアの国境地帯におけるヒズボラの移動の監視を任務に含める〈2〉ヒズボラを弱体化させるだけの戦闘能力と経験を持つ部隊であること――などを挙げたという。以下にのべる諸国間の主張や、あるいは上記の国内の動きもみすえたのだろうか、従来のイスラエルの主張から譲歩した形になった。
これまでの経過を追うとつぎのようになろう。
イスラエル・ペレツ国防相は、国際部隊派遣に対する拒否姿勢を転換、米軍中心のNATO指揮下の部隊派遣に期待していたが、以下のようにライス米国務長官は米国の参加に消極的な姿勢を示した。ドイツやフランスが派兵に前向きなのと好対照を示し、あらためて米と欧州諸国の対応のちがいが浮き彫りになっている。現時点ではイラク戦争時の仏独と米の対立が再び現れているようだ。
仏独(スペインも)は、「国連による調停推進で一致している」のだ。
「イスラエル軍とヒズボラの戦闘はきわめて深刻な事態にあり、放置すればレバノン崩壊につながりかねない」として即時停戦を提唱した仏外相。シュタインマイヤー独外相も22日、「レバノン南部の状態はひどく、停戦実現が最大課題だ」と訴えた。
これにたいし、ライス米国務長官は「即時停戦は(ヒズボラの背後で糸を引くイランとシリアによる)古い中東の概念に基づく。我々は今、新たな中東の生みの苦しみの過程にある」と、即時停戦には否定的な立場を表明している。
ライスの発言の背後には、つぎのような状況もあるのだろう。
アメリカ言論界では好戦的な主張が盛り上がっていると田中宇氏は指摘している(こちら)。ネオコンだ。
ネオコンの主張は、「ヒズボラにはイランとシリアの支援がある。ヒズボラを無力化するためには、特にイランを潰さなければならない」というもの。この基本認識はこれまでアメリカが主張してきたところだ。ネオコンだけでなく、政界や言論界では、共和党も民主党も、キリスト教原理主義もリベラル派も、「イスラエル断固支持」だという。田中氏は、イスラエルが悪いと考えているアメリカの一般市民が多そうだが、マスコミにはほとんど反映されていないと、のべている。
遠回りのようで、また遅々として前進しないようにみえるけれども、ここは基本に立ち返ることが必要だろう。即時停戦、協議再開の声を各国で強め、国際世論をつくらなければならない。
福岡で現地調査始まる 2016年五輪招致
東京都と福岡市が立候補した2016年夏季五輪の国内候補都市選定で、日本オリンピック委員会(JOC)評価委員会による福岡市への現地調査が24日午前、始まった。
現地調査は30競技団体が終えており、今回の評価委が最後となる。評価委はJOC副会長兼専務理事の林務氏が委員長を務め、JOC役員ら10人で構成。福岡空港に出迎えた山崎広太郎市長は記者団に対し「東京との違いをしっかり見てもらいたい」と述べた。
評価委は、山崎市長らから計画の概要について説明を受け、午後には博多湾を囲むように配置された3つの会場群を視察し、25日まで調査。
東京都への現地調査は30日と31日に行われる。
以上、共同通信(こちら)
下記のスケジュールをみれば、ほぼ判断できるように、評価委員会の現地調査は形式的なもののようだ。たとえば博多ポートタワーは対象会場は多数あるはずなのにわずか30分で終わる。
すでに30にのぼる競技団体の現地調査が下記のとおり終了しているので、現地調査の最後とはいえ、評価委員会の調査は、私にはセレモニーにみえてしまう。だが、同時に、各競技団体の現地調査の“裏を取る”という目的もむろんもっているのだろう。
しかし、それにしても以下の競技団体を迎える接待費用はどれくらいになるのか。たしかに『国内立候補都市選定に係る行動規範』第4項、同第5項には、つぎの定めがある。
4.本会(=JOC、引用者)及び各加盟団体とも、各都市関係者または代理人など第三者による個人的な接触によって誤解が生じないように配慮するものとする。
5.本会、各加盟団体関係者及び招致TDの現地調査などの際に、各都市関係者、または代理人など第三者による必要以上の接遇がないよう徹底する。
これらの接遇等を含め『現地調査に関する基準』について別途定める。
*TD:招致テクニカルディレクター
そこで、『現地調査に関する基準』の当該部分をみてみよう。「接遇」にかかわるのは第4項のみである。
4.現地調査関係者は、必要以上の接遇を受けないものとする。
しかし、これでは何も説明したことにならない。基準が明確になったわけでもない。地元に任されているといってもよいだろう。あるいは接待の相場があるとも勘ぐりたくもなる。
ともあれ、「招致できようとできまいと開発はやる」と山崎市長はのべた。したがって、もともとオリンピック招致に全力をあげる気とは思われないのだ。だから、使われる金に我われはなおさら敏感にならざるをえない。捨て金、ドブに消える金となる。金の使いみちにたいする市民のみなさんの監視が重要だ。
■評価委員会委員 林務委員長をのぞく
福田富昭(選手強化本部長)・遅塚研一(総務委員長)・河野一郎(情報・医・科学専門委員長)・小谷実可子(アスリート専門委員長)・櫻井孝次(事業・広報専門委員長)・水野正人(スポーツ環境専門委員長)・冨田正一(国際専門委員長)・川杉収二(事務局長)・中島武範(日本障害者スポーツ協会常務理事)
■評価委員会による現地調査は以下のスケジュールで行われる予定(いずれも資料公表時)。その後、博多ポートタワーなど予定が一部変更されたもよう(こんなことがたびたびある。先日は「福岡オリンピック招致に反対する会」が宣伝行動を予定していたため、急遽行程が変更された)。
【24日】
・14:10~ 博多ポートタワー、・14:40~ 博多埠頭、・15:40~ 海の中道海浜公園、・16:00~ 雁ノ巣レクリエーションセンター、・17:00~ 福岡タワー
【25日】
◇東ルート
・10:00~ 北九州メディアドーム、・10:50~ 遠賀川漕艇場、・13:10~ 雁ノ巣レクリエーションセンター、・14:20~ 博多の森テニス競技場、・15:20~ 市民体育館
◇西ルート
・ 9:15~ マリンメッセ、・ 9:40~ 国際センター、・10:40~ 今津地区、・11:30~ 小戸地区、・13:05~ ヤフードーム、・14:05~ 百道浜、地行浜、・15:10~ 油山牧場
■終了した競技団体の現地調査(いずれも資料公表時の予定。法人形態名および名称のうちの「日本」は省略した)
・ホッケー協会(7/1~7/2)・体操協会(7/1~7/2)・障害者スポーツ協会(7/1~7/2)・テニス協会(7/3~7/4)・ボート協会(7/3~7/4)・バレーボール協会(7/3~7/4)・バスケットボール協会(7/3~7/4)・バドミントン協会(7/4~7/5)・クレー射撃協会(7/4~7/5)・水泳連盟(7/5~7/6)・ソフトボール協会(7/5~7/6)・近代五種/バイアスロン協会(7/5~7/6)・ウエイトリフティング協会(7/7~7/8)・レスリング協会(7/8~7/9)・ライフル射撃協会(7/9~7/10)・アーチェリー連盟(7/10)・セーリング連盟(7/10~7/11)・柔道連盟(7/10~7/11)・アマチュア野球連盟(7/11~7/12)・アマチュアボクシング協会(7/12~7/13)・馬術連盟(7/13)・フェンシング協会(7/13~7/14)・陸上競技連盟(7/14~7/15)・卓球協会(7/14~7/15)・テコンドー協会(7/14~7/15)・ハンドボール協会(7/15~7/16)・自転車競技連盟(7/17~7/18)・カヌー連盟(7/17~7/18)・トライアスロン連合(7/18~7/19)・サッカー協会(7/19)
現地調査は30競技団体が終えており、今回の評価委が最後となる。評価委はJOC副会長兼専務理事の林務氏が委員長を務め、JOC役員ら10人で構成。福岡空港に出迎えた山崎広太郎市長は記者団に対し「東京との違いをしっかり見てもらいたい」と述べた。
評価委は、山崎市長らから計画の概要について説明を受け、午後には博多湾を囲むように配置された3つの会場群を視察し、25日まで調査。
東京都への現地調査は30日と31日に行われる。
以上、共同通信(こちら)
下記のスケジュールをみれば、ほぼ判断できるように、評価委員会の現地調査は形式的なもののようだ。たとえば博多ポートタワーは対象会場は多数あるはずなのにわずか30分で終わる。
すでに30にのぼる競技団体の現地調査が下記のとおり終了しているので、現地調査の最後とはいえ、評価委員会の調査は、私にはセレモニーにみえてしまう。だが、同時に、各競技団体の現地調査の“裏を取る”という目的もむろんもっているのだろう。
しかし、それにしても以下の競技団体を迎える接待費用はどれくらいになるのか。たしかに『国内立候補都市選定に係る行動規範』第4項、同第5項には、つぎの定めがある。
4.本会(=JOC、引用者)及び各加盟団体とも、各都市関係者または代理人など第三者による個人的な接触によって誤解が生じないように配慮するものとする。
5.本会、各加盟団体関係者及び招致TDの現地調査などの際に、各都市関係者、または代理人など第三者による必要以上の接遇がないよう徹底する。
これらの接遇等を含め『現地調査に関する基準』について別途定める。
*TD:招致テクニカルディレクター
そこで、『現地調査に関する基準』の当該部分をみてみよう。「接遇」にかかわるのは第4項のみである。
4.現地調査関係者は、必要以上の接遇を受けないものとする。
しかし、これでは何も説明したことにならない。基準が明確になったわけでもない。地元に任されているといってもよいだろう。あるいは接待の相場があるとも勘ぐりたくもなる。
ともあれ、「招致できようとできまいと開発はやる」と山崎市長はのべた。したがって、もともとオリンピック招致に全力をあげる気とは思われないのだ。だから、使われる金に我われはなおさら敏感にならざるをえない。捨て金、ドブに消える金となる。金の使いみちにたいする市民のみなさんの監視が重要だ。
■評価委員会委員 林務委員長をのぞく
福田富昭(選手強化本部長)・遅塚研一(総務委員長)・河野一郎(情報・医・科学専門委員長)・小谷実可子(アスリート専門委員長)・櫻井孝次(事業・広報専門委員長)・水野正人(スポーツ環境専門委員長)・冨田正一(国際専門委員長)・川杉収二(事務局長)・中島武範(日本障害者スポーツ協会常務理事)
■評価委員会による現地調査は以下のスケジュールで行われる予定(いずれも資料公表時)。その後、博多ポートタワーなど予定が一部変更されたもよう(こんなことがたびたびある。先日は「福岡オリンピック招致に反対する会」が宣伝行動を予定していたため、急遽行程が変更された)。
【24日】
・14:10~ 博多ポートタワー、・14:40~ 博多埠頭、・15:40~ 海の中道海浜公園、・16:00~ 雁ノ巣レクリエーションセンター、・17:00~ 福岡タワー
【25日】
◇東ルート
・10:00~ 北九州メディアドーム、・10:50~ 遠賀川漕艇場、・13:10~ 雁ノ巣レクリエーションセンター、・14:20~ 博多の森テニス競技場、・15:20~ 市民体育館
◇西ルート
・ 9:15~ マリンメッセ、・ 9:40~ 国際センター、・10:40~ 今津地区、・11:30~ 小戸地区、・13:05~ ヤフードーム、・14:05~ 百道浜、地行浜、・15:10~ 油山牧場
■終了した競技団体の現地調査(いずれも資料公表時の予定。法人形態名および名称のうちの「日本」は省略した)
・ホッケー協会(7/1~7/2)・体操協会(7/1~7/2)・障害者スポーツ協会(7/1~7/2)・テニス協会(7/3~7/4)・ボート協会(7/3~7/4)・バレーボール協会(7/3~7/4)・バスケットボール協会(7/3~7/4)・バドミントン協会(7/4~7/5)・クレー射撃協会(7/4~7/5)・水泳連盟(7/5~7/6)・ソフトボール協会(7/5~7/6)・近代五種/バイアスロン協会(7/5~7/6)・ウエイトリフティング協会(7/7~7/8)・レスリング協会(7/8~7/9)・ライフル射撃協会(7/9~7/10)・アーチェリー連盟(7/10)・セーリング連盟(7/10~7/11)・柔道連盟(7/10~7/11)・アマチュア野球連盟(7/11~7/12)・アマチュアボクシング協会(7/12~7/13)・馬術連盟(7/13)・フェンシング協会(7/13~7/14)・陸上競技連盟(7/14~7/15)・卓球協会(7/14~7/15)・テコンドー協会(7/14~7/15)・ハンドボール協会(7/15~7/16)・自転車競技連盟(7/17~7/18)・カヌー連盟(7/17~7/18)・トライアスロン連合(7/18~7/19)・サッカー協会(7/19)
米国は日本の鏡 ― アメリカ原理主義
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/93/8ba8a9b8ffad74907c256f9bce0d9212.jpg)
米人口統計局が10年ごとに行っている人口統計によると、全人口に占める白人の割合は、減少傾向にある。
・1980年⇒83.1%
・1990年⇒80.3%
・2000年⇒75.1%
一方、2000年の人口統計で、総人口は2億8140万人。うち3110万人(11.1%)が外国生まれで、その半数以上は中南米という。外国生まれの米国人の数はこの10年間で1.6倍になっている(本書20ページから)。
こうした諸外国からの移民の流入は、米国のマジョリティ、白人との間での摩擦を広げている。たとえば白人優越主義の影響力拡大。その一人、ウイリアム・ピアースはつぎのように語る。
人間は、家族、共同体のなかに根っこを持ってこそ強く生きることができる。それは、適度な同質性が保たれてこそ、可能だ。米国では、この50年間で人種的同質性が失われ、社会的な病理、混乱、問題が生じた。
どこかで聞いたような主張だが、これを私たちは「極端な主張」と片づけてよいのか。
著者・河野博子がいうように、米国の貧富の格差は、増大の一途をたどっている。冒頭の諸外国からの移民もその要因の大きなものだ。その実態は、昨年の8月に南部を襲ったハリケーン・カトリーナがもたらした被害が黒人や貧困層に集中したことに表れている。私たちはその模様をテレビ映像でしっかりととらえたのだ。
河野によれば、米国の最も所得の低い20%の層の1979年から2000年の間の所得増加が6.4%にとどまったのにたいして、トップ20%は、その所得を70%も増加させている。日本の現在と酷似していないか(別のエントリー)。
河野は、以上の米国社会にあって台頭してきている「アメリカ原理主義」の実態を、多数のインタビューによって明らかにしている。原理主義は「聖書に書いてあることが歴史上起こった事実であり、そこに預言された通りのことが起きるとの信条を指す」、と河野は紹介する。つまり、「アメリカ原理主義」は「17世紀に英国から新大陸に殖民した清教徒たちによる『われわれは特別の精神的及び政治的使命―新世界に教会とすべての国のモデルとなるような社会の建設―を担っている」という認識』(同175ページ)にさかのぼらなければならない。
9・11同時テロ以後、保守化はいっそう強まったといわれている。なぜなら、アメリカ人にすれば、17世紀の清教徒の「特別の精神的、政治的使命」はまさにテロリストの一撃によって見事に消失させられたからだ。アメリカの誇りはがらがらと崩れ落ちたのだった。だから、そこから原理主義転回に向かったのだ。一言でいえば、アメリカの保守化の進行の大本には、多様性の否定と排他がある。一方で、ブッシュ大統領と、ネオコンあるいは宗教右派との関係もことあるごとに取りざたされている。
このアメリカの現状は、私たちの内にある欲望―たとえば、それは「勝ち組」になりたいという意識―を映し出す鏡ではないだろうか。本書は、こんなことを考えさせてくれる。
―――――――――――――――――――――――
河野博子『アメリカの原理主義』(集英社新書)
安倍官房長官、8月15日は靖国参拝せず
安倍官房長官は終戦記念日の8月15日に靖国神社を参拝しない意向を固めた。自民党幹事長だった04年、幹事長代理だった05年には終戦記念日に参拝したが、党総裁選を控え「靖国」が突出した争点になるのを回避する狙いがある。ただ、春秋の例大祭時の参拝は否定しておらず、首相に選出された場合の対応には含みを残している。複数の関係者が明らかにした。
http://www.asahi.com/politics/update/0723/002.html
ポスト小泉のさまざまな動きのなか、安倍晋三は腹を固めた。固めたというのは、言い過ぎだ。極論すれば、この意向はマヌーバーにすぎない。首相にならんがための。
『朝日新聞』によれば、安倍氏は側近議員や学識経験者らの意見を踏まえ(1)総裁選などで靖国問題を争点化しない(2)参拝するかどうかは言わない(3)8月15日の参拝にはこだわらない――との方針を確認したという。
そうだとすると、昭和天皇の「不快感」メモはその「威力」を発揮したのか? これによって、首相はもとより、衆参議長、最高長官と、天皇にも靖国参拝をさせようという勢力の思惑が破綻したという指摘がある(『赤旗』)。管理人は別のエントリーで考えるところをのべたが、メモの公表が、靖国神社のA級戦犯合祀についての議論に「筋道」をつける意味ももっていたことをつけ加えなければならなかった。要は、総裁選を前に候補者は「靖国に参拝しない」という筋道で自民党内で調整がすんだということだ。すでに参拝に批判的だった福田康夫・元官房長官が不出馬を表明し、谷垣財務相は22日午前、靖国神社参拝について「当面は差し控えたい」と述べている。靖国は「総裁選レース」の争点にしないということだ。メモの公表はそれを暗示するものだったのではないか。
安倍晋三がすでに6月に「外交問題に発展する可能性があれば、そうならない努力をしなければいけない」と語るなど、靖国問題の争点化の回避を訴えてきたことから判断してもそのような気配を感じる。
だが、これも急場の判断にすぎない。安倍の腹のうちは、政治家になって以後のこれまでの言動をもってすれば明確だろう。もし彼が総裁に選ばれ、時がすぎれば参拝するにちがいない。人のうわさも75日。時間とはまったく便利なものだ。政治家は時間を大事にしないといけないのだ。
日本国民は、昭和天皇の「不快感」発言を契機に、あらためて戦争責任とは何か、戦後責任とは何かを考える機会を得たと考えるのがよかろう。考えれば考えるほど、昭和天皇の責任がいよいよ明白になるというレトりックもここに潜んでいる。
その意味で管理人は昭和天皇に感謝する。
http://www.asahi.com/politics/update/0723/002.html
ポスト小泉のさまざまな動きのなか、安倍晋三は腹を固めた。固めたというのは、言い過ぎだ。極論すれば、この意向はマヌーバーにすぎない。首相にならんがための。
『朝日新聞』によれば、安倍氏は側近議員や学識経験者らの意見を踏まえ(1)総裁選などで靖国問題を争点化しない(2)参拝するかどうかは言わない(3)8月15日の参拝にはこだわらない――との方針を確認したという。
そうだとすると、昭和天皇の「不快感」メモはその「威力」を発揮したのか? これによって、首相はもとより、衆参議長、最高長官と、天皇にも靖国参拝をさせようという勢力の思惑が破綻したという指摘がある(『赤旗』)。管理人は別のエントリーで考えるところをのべたが、メモの公表が、靖国神社のA級戦犯合祀についての議論に「筋道」をつける意味ももっていたことをつけ加えなければならなかった。要は、総裁選を前に候補者は「靖国に参拝しない」という筋道で自民党内で調整がすんだということだ。すでに参拝に批判的だった福田康夫・元官房長官が不出馬を表明し、谷垣財務相は22日午前、靖国神社参拝について「当面は差し控えたい」と述べている。靖国は「総裁選レース」の争点にしないということだ。メモの公表はそれを暗示するものだったのではないか。
安倍晋三がすでに6月に「外交問題に発展する可能性があれば、そうならない努力をしなければいけない」と語るなど、靖国問題の争点化の回避を訴えてきたことから判断してもそのような気配を感じる。
だが、これも急場の判断にすぎない。安倍の腹のうちは、政治家になって以後のこれまでの言動をもってすれば明確だろう。もし彼が総裁に選ばれ、時がすぎれば参拝するにちがいない。人のうわさも75日。時間とはまったく便利なものだ。政治家は時間を大事にしないといけないのだ。
日本国民は、昭和天皇の「不快感」発言を契機に、あらためて戦争責任とは何か、戦後責任とは何かを考える機会を得たと考えるのがよかろう。考えれば考えるほど、昭和天皇の責任がいよいよ明白になるというレトりックもここに潜んでいる。
その意味で管理人は昭和天皇に感謝する。
人生を決めるのは遺伝か環境か
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/84/34cca5517fee5e8705f4c1308fa486e6.jpg)
自然を支配して生きようというわれわれ人間の生き方は、もしそれぞれの動物の生き方をその動物の「文化」と呼ぶとすれば、これはまさに人間の文化といえるものである。
著者がこうのべるとおり、人間の歴史は自然にむきあい、「支配」しようと挑みつづけてきたといえるだろう。この人間の生き方を決定するのは遺伝なのか。あるいは遺伝ではないのか。では、環境か。それとも遺伝と環境の両方なのか。
これを著者・日高敏隆は考察している。
遺伝の基礎が遺伝子にあることを誰もが知っている。しかし、遺伝子と「持って生まれた性質」である遺伝の関係は実はまだほとんど分かっていないらしい。一方で、「環境とは持って生まれたものではなく、生まれてからのちに出合う(ママ)ものだ」(日高)。
人間は遺伝か環境かというとき、持って生まれた性質としての遺伝と、一人の人間が生まれてのちに生育の過程でその人間を取り巻く環境の、どちらが大切かと我われは問うているのである。
著者はこの問いを、遺伝子プログラムとその具体化という視点から問い直そうというわけだ。
紹介されている話を読みすすむと、いつのまにか頭は先回りして遺伝子にからむ微妙な問題を想定してしまう。たとえば、「アヒルの足を誘導する形成体をニワトリの卵に植えた実験」や逆に「水かきのないニワトリの足の形成体をアヒルの卵に植える」などと聞かされると、いつのまにか優生学の世界を描いてしまうのだ。
本書には巻末に日高と佐倉統の対談が収められている。実は、そのなかでも遺伝子プログラム、特に人間に関する遺伝子プログラムを日高が強調する意味を、佐倉は、率直に問うている。
著者がいいたいのは、①種によって遺伝的プログラムがあること、②ただ、遺伝的プログラクがどう具体化されるかはまったく個人の問題。そこに遺伝と、環境や状況との関係が生じてくる、ということだ。要するに、遺伝的プログラムは大枠を決め、その中身を具体化するのは教育、環境、育ち方ということになろう。そういう意味では、「遺伝的プログラムがどう具体化されるかはまったく個人の問題」ではなく、社会の問題だともいえる。
それは、第3章にあるように人間は「集団で生き育つもの」だからである。
養老孟司の『いちばん大事なこと』も環境論であった。アプローチの方法はむろん異なるが、同じ「環境」を扱っている。解剖学者の手による環境論と、行動生物学者の日高のそれとを比較して読んでみると、そのちがいは歴然としている。そのちがいは専門外と専門のちがいに起因するだけではなかろうと思う。
現在の生物学の成果を素人が知るうえでよく整理され、インパクトもある書だ。
――――――――――――――――――――――――――――――――
日高敏隆『人間は遺伝か?環境か?遺伝的プログラム論』(文春新書)
「親と同居」パラサイトシングルが増加
1世帯当たりの規模が2.8人と過去最低になったが、男女ともに親と同居する「パラサイトシングル」が増加していることが国立社会保障・人口問題研究所が04年に実施した世帯動態調査でわかった。
調査は5年に1回行われ、今回は全国の1万711世帯から回答を得た。
http://www.asahi.com/life/update/0722/003.html
調査によれば、親と同居している子どもの割合は増え続け、同居する割合は以下のとおり。
【25~29歳】 男性:64.0%(前回比5.7ポイント増)
女性:56.1%(同 4.8ポイント増)
【30~34歳】 男性:45.4%
女性:33.1%
この多くは、独身で親ら家事や住居面での支援を受ける「パラサイトシングル」と考えられているという。
世帯規模は94年の3.1人、99年の2.9人と減少の傾向。調査は、以下の結果も伝えている。2人世帯が28.7%と前回調査よりも3.1ポイント増加する一方で、4人世帯は18.1%と2ポイント下がった。1人世帯は20.0%で前回調査とほぼ同じだった。高齢者の単身世帯や夫婦のみ世帯が増えたため、全体としての世帯規模は縮小した。
このパラサイトシングルが増加した背景を、同研究所はつぎのように分析する。
「未婚化、晩婚化で家を出る時期が遅れているほかに、独立したくても経済的に安定せず、親との同居を余儀なくされている若い世代も多いのではないか」
この分析のとおり、「独立したくても経済的に安定せず」、そして「同居を余儀なくされている」というくだりが重要である。
経済開発協力機構(OECD)は20日、対日経済審査報告書を公表し、そこで日本経済を分析している。先の調査とこの報告書の2つをながめてみると面白い。
報告書は、日本の所得格差が拡大し、2000年にはOECD加盟国のなかで相対的貧困率がアメリカについで2番目に高くなったことを明らかにしている。報告がふれている所得格差の原因に注目すべきだろう。報告書は、その原因を非正規労働の拡大による労働市場の二極化にあるとのべている。まったくうなずけるところだ。報告書はつぎのように勧告している。
正規と非正規の労働市場の二極化を是正すること。
たしかに、この報告書と同様に、日本政府も、「経済財政白書」で経済格差を認め、リストラと非正規雇用などを要因としてあげてはいた。が、その最大の要因は雇用の「破壊」をもたらし続けた「構造改革」路線にあったと思うが、そこにはふれてはいない。つまり、反省がないのだ。むしろ労働法制の規制緩和、庶民増税でいっそうの所得格差がもたらされるのではないか、という懸念を私は強く抱く。
要するに、所得格差の一方の極には、非正規雇用の若い世代の労働者がいるということだ。パラサイトシングルの増加は、このままつづけばいうまでもなく人口構造の変化をもたらすだろう。そして、それが、日本社会のさまざまな面で影響を及ぼすことも誰もが想像することだ。
「構造改革」の転換がパラサイトシングル増加を阻止できる有効な手立てだろう。それを「ポスト小泉」に望みたいものだが、それは期待薄か。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
相対的貧困率:可処分所得が中位の半分に満たない生産年齢人口(18歳から65歳以下)の割合
可処分所得:税金や社会保険料などを差し引いたのちに残る、自由に使える所得
調査は5年に1回行われ、今回は全国の1万711世帯から回答を得た。
http://www.asahi.com/life/update/0722/003.html
調査によれば、親と同居している子どもの割合は増え続け、同居する割合は以下のとおり。
【25~29歳】 男性:64.0%(前回比5.7ポイント増)
女性:56.1%(同 4.8ポイント増)
【30~34歳】 男性:45.4%
女性:33.1%
この多くは、独身で親ら家事や住居面での支援を受ける「パラサイトシングル」と考えられているという。
世帯規模は94年の3.1人、99年の2.9人と減少の傾向。調査は、以下の結果も伝えている。2人世帯が28.7%と前回調査よりも3.1ポイント増加する一方で、4人世帯は18.1%と2ポイント下がった。1人世帯は20.0%で前回調査とほぼ同じだった。高齢者の単身世帯や夫婦のみ世帯が増えたため、全体としての世帯規模は縮小した。
このパラサイトシングルが増加した背景を、同研究所はつぎのように分析する。
「未婚化、晩婚化で家を出る時期が遅れているほかに、独立したくても経済的に安定せず、親との同居を余儀なくされている若い世代も多いのではないか」
この分析のとおり、「独立したくても経済的に安定せず」、そして「同居を余儀なくされている」というくだりが重要である。
経済開発協力機構(OECD)は20日、対日経済審査報告書を公表し、そこで日本経済を分析している。先の調査とこの報告書の2つをながめてみると面白い。
報告書は、日本の所得格差が拡大し、2000年にはOECD加盟国のなかで相対的貧困率がアメリカについで2番目に高くなったことを明らかにしている。報告がふれている所得格差の原因に注目すべきだろう。報告書は、その原因を非正規労働の拡大による労働市場の二極化にあるとのべている。まったくうなずけるところだ。報告書はつぎのように勧告している。
正規と非正規の労働市場の二極化を是正すること。
たしかに、この報告書と同様に、日本政府も、「経済財政白書」で経済格差を認め、リストラと非正規雇用などを要因としてあげてはいた。が、その最大の要因は雇用の「破壊」をもたらし続けた「構造改革」路線にあったと思うが、そこにはふれてはいない。つまり、反省がないのだ。むしろ労働法制の規制緩和、庶民増税でいっそうの所得格差がもたらされるのではないか、という懸念を私は強く抱く。
要するに、所得格差の一方の極には、非正規雇用の若い世代の労働者がいるということだ。パラサイトシングルの増加は、このままつづけばいうまでもなく人口構造の変化をもたらすだろう。そして、それが、日本社会のさまざまな面で影響を及ぼすことも誰もが想像することだ。
「構造改革」の転換がパラサイトシングル増加を阻止できる有効な手立てだろう。それを「ポスト小泉」に望みたいものだが、それは期待薄か。
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相対的貧困率:可処分所得が中位の半分に満たない生産年齢人口(18歳から65歳以下)の割合
可処分所得:税金や社会保険料などを差し引いたのちに残る、自由に使える所得
福岡オリンピック招致 -反対する会がJOCに要請
「福岡オリンピック招致に反対する会」(以下、「会」)は20日、日本オリンピック委員会(JOC)に福岡市を国内候補地に決定しないよう要請したことが報じられている。
http://www.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20060720ie29.htm
「会」はJOCオリンピック招致推進室幹部と面談。同会とJOC幹部との懇談の内容を要約すると以下のとおり。(詳細はこちら)。
同幹部は、「反対する会」が取り組む、福岡市を候補地に選ぶなというJOCへの要請はがきが連日届いていることを同会の代表団に伝えた。会側が、この間の市民のオリンピック招致にたいする反対の意思表明―不市民のおよそ6、7割は反対していることを、マスコミの各種世論調査をもとに説明すると、上記幹部はそれに反論することはまったくできなかった。
上記JOC幹部は、「東京には都市力、福岡には人の力を感じる」とのべた。同幹部によると、東京都の場合、反応がほとんどないのに比べ、福岡市は賛成、反対いずれの立場であっても「熱意が感じられる」とのこと。(だが、人の力があるといっても、反対が圧倒的なのだ。)
「会」の代表は、福岡市議会に提出された11万余(すでに13万を超えた)の招致反対署名に寄せられた期待と声を伝え、福岡市の現状からみても福岡市を選択すべきではないと強く要請した。また、何よりも平和と人権が守られていてこそ、オリンピックが成り立つが、いまの福岡市では大型開発の一方で、市民生活にしわ寄せがひどく及んでいること、人権がまもられているとはいいがたいことなどを訴えた。
JOC幹部は(これだけの)「反対の声があることは事実は事実として伝えざるをえない」とのべていた。また、もっとも懸念しているのは須崎地区の再開発。その見通しのなさをうすうす承知しているようだ。
一方で「オリンピック憲章」を代表団に配布し、オリンピックの理念を必死に伝えようとする同氏の姿は、当のIOCやJOCの金権腐敗体質ともあいまって、率直にいってから回りしているようにも思えた。
同会代表の石村善治(福岡大学名誉教授)さんは、「要請は市民の声をJOCに知ってもらう上で有意義だった」と語っている。
同会代表団は要請終了後、JOC記者クラブで会見し、福岡市の反対運動の状況と市民の反対意見の強さを訴えた。
http://www.yomiuri.co.jp/sports/etc/news/20060720ie29.htm
「会」はJOCオリンピック招致推進室幹部と面談。同会とJOC幹部との懇談の内容を要約すると以下のとおり。(詳細はこちら)。
同幹部は、「反対する会」が取り組む、福岡市を候補地に選ぶなというJOCへの要請はがきが連日届いていることを同会の代表団に伝えた。会側が、この間の市民のオリンピック招致にたいする反対の意思表明―不市民のおよそ6、7割は反対していることを、マスコミの各種世論調査をもとに説明すると、上記幹部はそれに反論することはまったくできなかった。
上記JOC幹部は、「東京には都市力、福岡には人の力を感じる」とのべた。同幹部によると、東京都の場合、反応がほとんどないのに比べ、福岡市は賛成、反対いずれの立場であっても「熱意が感じられる」とのこと。(だが、人の力があるといっても、反対が圧倒的なのだ。)
「会」の代表は、福岡市議会に提出された11万余(すでに13万を超えた)の招致反対署名に寄せられた期待と声を伝え、福岡市の現状からみても福岡市を選択すべきではないと強く要請した。また、何よりも平和と人権が守られていてこそ、オリンピックが成り立つが、いまの福岡市では大型開発の一方で、市民生活にしわ寄せがひどく及んでいること、人権がまもられているとはいいがたいことなどを訴えた。
JOC幹部は(これだけの)「反対の声があることは事実は事実として伝えざるをえない」とのべていた。また、もっとも懸念しているのは須崎地区の再開発。その見通しのなさをうすうす承知しているようだ。
一方で「オリンピック憲章」を代表団に配布し、オリンピックの理念を必死に伝えようとする同氏の姿は、当のIOCやJOCの金権腐敗体質ともあいまって、率直にいってから回りしているようにも思えた。
同会代表の石村善治(福岡大学名誉教授)さんは、「要請は市民の声をJOCに知ってもらう上で有意義だった」と語っている。
同会代表団は要請終了後、JOC記者クラブで会見し、福岡市の反対運動の状況と市民の反対意見の強さを訴えた。
昭和天皇、「A級戦犯合祀に不快感」
昭和天皇が1988年、靖国神社のA級戦犯合祀について「あれ以来参拝していない。それが私の心だ」などとのべていたことが、富田朝彦氏(本宮内庁朝刊)のメモで明らかになった。
そのメモには「私は或る時に、A級が合祀され、その上松岡、白取(ママ)までもが。筑波は慎重に対処してくれたが」と記されているという。
昭和天皇は1975年11月を最後に参拝していない(戦後8回参拝)。(松岡:松岡洋右元外相、白取:白鳥敏夫元駐伊大使を指すとされる)。
この天皇の「不快感」を報じた新聞記事は確かに我われを驚かせた。と同時に、なぜいま、という強い疑念がわきあがり、すぐに驚きをも飲み込んでその疑念は私の頭の中を占めてしまった。
なぜいま。メモを明らかにする意図は何か。
昭和天皇の戦争責任は厳然としてある。こう私は思っている。昭和天皇は侵略戦争の最高責任者であった。これはまぎれもない事実であり、天皇の責任は免れない。
昭和天皇はA級戦犯合祀について「不快感」を示した時、自らの責任をどう考えたのか、それとも考えなかったのか、それが問題の中心である。私は、天皇がこう発言することによってーそれは「A級戦犯」と自らを峻別することになるのだが、自らの責任を覆い隠すことを表現したものだと思う。天皇はこの発言によって自らの戦争責任を免れようとしたのではないか。いまや帰らぬ人となった昭和天皇に、その真意を確認する方法を我われはもたない。
いまひとつ。このメモの公表の意味は、「ポスト小泉」の自民党総裁選との脈絡でとらえることができるのだろうと思う。総裁争いのなかで、靖国参拝賛成の候補にたいする牽制ではないだろうか。しかし、このニュースの背後の「連中」(いるとしたら)も実際の腹のうちはどうか、それを知る術はない。だが、靖国参拝に表向き、異を唱えることに意義を見出す勢力がいるということだ。これも確かであろう。
小泉首相の任期も間近に迫った。いろんな変化球が我われにむかって投げられている。それを見定め、クリーンにとらえられるかどうか。ホームランは要らない。確実にものごとをとらえたいと思う。
そのメモには「私は或る時に、A級が合祀され、その上松岡、白取(ママ)までもが。筑波は慎重に対処してくれたが」と記されているという。
昭和天皇は1975年11月を最後に参拝していない(戦後8回参拝)。(松岡:松岡洋右元外相、白取:白鳥敏夫元駐伊大使を指すとされる)。
この天皇の「不快感」を報じた新聞記事は確かに我われを驚かせた。と同時に、なぜいま、という強い疑念がわきあがり、すぐに驚きをも飲み込んでその疑念は私の頭の中を占めてしまった。
なぜいま。メモを明らかにする意図は何か。
昭和天皇の戦争責任は厳然としてある。こう私は思っている。昭和天皇は侵略戦争の最高責任者であった。これはまぎれもない事実であり、天皇の責任は免れない。
昭和天皇はA級戦犯合祀について「不快感」を示した時、自らの責任をどう考えたのか、それとも考えなかったのか、それが問題の中心である。私は、天皇がこう発言することによってーそれは「A級戦犯」と自らを峻別することになるのだが、自らの責任を覆い隠すことを表現したものだと思う。天皇はこの発言によって自らの戦争責任を免れようとしたのではないか。いまや帰らぬ人となった昭和天皇に、その真意を確認する方法を我われはもたない。
いまひとつ。このメモの公表の意味は、「ポスト小泉」の自民党総裁選との脈絡でとらえることができるのだろうと思う。総裁争いのなかで、靖国参拝賛成の候補にたいする牽制ではないだろうか。しかし、このニュースの背後の「連中」(いるとしたら)も実際の腹のうちはどうか、それを知る術はない。だが、靖国参拝に表向き、異を唱えることに意義を見出す勢力がいるということだ。これも確かであろう。
小泉首相の任期も間近に迫った。いろんな変化球が我われにむかって投げられている。それを見定め、クリーンにとらえられるかどうか。ホームランは要らない。確実にものごとをとらえたいと思う。
ジダン頭突き問題で処分 - FIFA
フランスのMFジダン(34)に罰金約70万円と社会奉仕活動3日間、イタリアのDFマテラッツィ(32)に罰金約47万円と出場停止2試合――。
国際サッカー連盟(FIFA)の規律委員会は頭突きしたジダンだけでなく、ジダンが「暴言を繰り返して挑発してきた」と非難したマテラッツィまでも処分した。事実認定が難しい侮辱側まで罰するという、極めて異例の処分となった。FIFAは、フェアプレーを順守する立場を明確にすることを選んだ。
http://www2.asahi.com/wcup2006/news/TKY200607200594.html
『朝日新聞』によれば、FIFAはマテラッツィのジダンへの発言は侮辱的だったが人種差別的なものではなかったとし、発言の具体的な内容については明らかにしなかったという。
私はFIFAのこの発表は疑わしいと思うが、ひとまず信じることにしよう。
同紙は、「プロの試合は上品には行われていないのが現実だ。侮辱発言は日常のように行われ、選手が使う言語によっては、ひわいな言葉が叫ばれる」とのべる。
ただ、今回の事件の場合、FIFAが「異例の処分」をおこなった背景には、別のエントリーでふれたような伏線がある。それをみておかないといけないだろう。何よりもFIFAは人種差別反対のキャンペーンをはっていたこと。すでに人種差別的暴言にさらされた選手がいて物議をかもしたこと、である。
処分について、FIFAの規約では「身ぶりや言葉などで相手を侮辱した選手は最低2試合の出場停止。宗教や出自などの差別的発言は最低5試合の出場停止」と定めている。今回のFIFAの対応は、どんな経緯をたどろうともこの規約にてらして毅然たる態度をとったことは、反人種差別キャンペーンとあわせて評価できるものだ。
今後も同じような問題が起きたときにどうするのか、という疑問も生じる。だが、人種差別的言動、侮辱、暴言の根絶をめざすためのサッカー界あげての努力が、当たり前のようだけど、いま必要だし、最も急がねばならないことだ。侮辱、暴言の日常化、あるいは体質にこそメスをいれなければならない。
国際サッカー連盟(FIFA)の規律委員会は頭突きしたジダンだけでなく、ジダンが「暴言を繰り返して挑発してきた」と非難したマテラッツィまでも処分した。事実認定が難しい侮辱側まで罰するという、極めて異例の処分となった。FIFAは、フェアプレーを順守する立場を明確にすることを選んだ。
http://www2.asahi.com/wcup2006/news/TKY200607200594.html
『朝日新聞』によれば、FIFAはマテラッツィのジダンへの発言は侮辱的だったが人種差別的なものではなかったとし、発言の具体的な内容については明らかにしなかったという。
私はFIFAのこの発表は疑わしいと思うが、ひとまず信じることにしよう。
同紙は、「プロの試合は上品には行われていないのが現実だ。侮辱発言は日常のように行われ、選手が使う言語によっては、ひわいな言葉が叫ばれる」とのべる。
ただ、今回の事件の場合、FIFAが「異例の処分」をおこなった背景には、別のエントリーでふれたような伏線がある。それをみておかないといけないだろう。何よりもFIFAは人種差別反対のキャンペーンをはっていたこと。すでに人種差別的暴言にさらされた選手がいて物議をかもしたこと、である。
処分について、FIFAの規約では「身ぶりや言葉などで相手を侮辱した選手は最低2試合の出場停止。宗教や出自などの差別的発言は最低5試合の出場停止」と定めている。今回のFIFAの対応は、どんな経緯をたどろうともこの規約にてらして毅然たる態度をとったことは、反人種差別キャンペーンとあわせて評価できるものだ。
今後も同じような問題が起きたときにどうするのか、という疑問も生じる。だが、人種差別的言動、侮辱、暴言の根絶をめざすためのサッカー界あげての努力が、当たり前のようだけど、いま必要だし、最も急がねばならないことだ。侮辱、暴言の日常化、あるいは体質にこそメスをいれなければならない。
レバノン首相、苦境を訴え即時介入を要請
イスラエル軍から連日空爆を受けているレバノンのシニョーラ首相は19日、各国大使らを前に演説し、「国際社会はこの事態を傍観するのか」と訴え、即時停戦のための介入と緊急人道支援を求めた。首相は、8日間に及ぶ攻撃により、同国全土で300人以上が死亡、千人以上が負傷し、50万人が家を追われたことを明らかにした。同国の人口は約380万人。
http://www.asahi.com/international/update/0720/009.html
以上の数字は、およそ死者は10万人のうち8人、家を追われた人は7人に1人という計算になる。日本におきかえると、住民基本台帳に基づく2005年3月末の時点では、日本の人口は1億2686万9397人だから、1万人が死亡したことになる。家を追われたのは2000万人という水準だ。
日本列島を豪雨が襲っているが、どんなに大きな水害であっても死者1万人を上回るものは最近はない。いかに大規模な空爆であるかが読み取れる。まさにシラク仏大統領が「常軌を逸している」とのべたほど激しいレバノン空爆をこれは表している。
国際社会の停戦をよびかける世論のなか、レバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラとイスラエル軍の戦闘が激しさを増す一方。国連などが提唱する国際部隊派遣構想はイスラエル、米国が受け入れに難色を示し、早期実現の見通しは立っていない。アナン事務総長が、難色を示す米国を説得する構えだ。いまの国連の平和維持軍の機能はマヒ状態といわれている。
イスラエルと対峙するヒズボラは、イスラム国家樹立とイスラエル排除を目標に掲げ、数千人とみられる軍事メンバーがロケット弾などでイスラエルを攻撃。イスラエル軍を00年にレバノン南部から追い払った立役者として国内の支持を集め、レバノン内閣に2閣僚を送り込んでいる。昨年の国民議会でシーア派政党(アマル)と35議席(議席占有率:27.3%)を占めるほどの影響力をもっている。
シニョーラ首相は停戦に向けた働きかけを行っているといわれているが、レバノン政府は「国家内国家」と呼ばれるヒズボラの行動を制止する力ももちえておらず、冒頭の演説に至ったものだといえる。
一方のイスラエルは、今回の発端はイスラエル領に越境して兵士8人を殺害、2人を拉致したことだとし、イスラエルは「(兵士解放まで)作戦を停止しない」(オルメルト首相)構えだ。
事態はいっこうに収まりそうもない。
http://www.asahi.com/international/update/0720/009.html
以上の数字は、およそ死者は10万人のうち8人、家を追われた人は7人に1人という計算になる。日本におきかえると、住民基本台帳に基づく2005年3月末の時点では、日本の人口は1億2686万9397人だから、1万人が死亡したことになる。家を追われたのは2000万人という水準だ。
日本列島を豪雨が襲っているが、どんなに大きな水害であっても死者1万人を上回るものは最近はない。いかに大規模な空爆であるかが読み取れる。まさにシラク仏大統領が「常軌を逸している」とのべたほど激しいレバノン空爆をこれは表している。
国際社会の停戦をよびかける世論のなか、レバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラとイスラエル軍の戦闘が激しさを増す一方。国連などが提唱する国際部隊派遣構想はイスラエル、米国が受け入れに難色を示し、早期実現の見通しは立っていない。アナン事務総長が、難色を示す米国を説得する構えだ。いまの国連の平和維持軍の機能はマヒ状態といわれている。
イスラエルと対峙するヒズボラは、イスラム国家樹立とイスラエル排除を目標に掲げ、数千人とみられる軍事メンバーがロケット弾などでイスラエルを攻撃。イスラエル軍を00年にレバノン南部から追い払った立役者として国内の支持を集め、レバノン内閣に2閣僚を送り込んでいる。昨年の国民議会でシーア派政党(アマル)と35議席(議席占有率:27.3%)を占めるほどの影響力をもっている。
シニョーラ首相は停戦に向けた働きかけを行っているといわれているが、レバノン政府は「国家内国家」と呼ばれるヒズボラの行動を制止する力ももちえておらず、冒頭の演説に至ったものだといえる。
一方のイスラエルは、今回の発端はイスラエル領に越境して兵士8人を殺害、2人を拉致したことだとし、イスラエルは「(兵士解放まで)作戦を停止しない」(オルメルト首相)構えだ。
事態はいっこうに収まりそうもない。
福岡オリンピック招致 ― 評価委員会が視察予定
日本トライアスロン協会の視察を最後に、19日で各競技団体の福岡現地視察が終了した。
いよいよ24日、25日の両日、国内立候補都市評価委員会による現地調査が行われる予定で、そのスケジュールも確定している。東京都にたいしては、30日、31日におこなわれることになっている。
福岡市では、同現地調査団は第1日目、博多ポートタワーからメーン会場(陸上・サッカー)、パビリオン建設予定地、アリーナほかをわずか30分の予定で視察する。その後、博多埠頭、海の中道海浜公園などを予定している。つぎの日はルートを東西2つに分け、北九州会場をふくむ14会場を視察することになった。
最近は、山崎市長のオリンピック招致に関する発言がいっさい聞こえてこない。今秋の市長選で、支持を取り付けられると目算していた政党会派が、山崎氏を支持せず対抗することを表明したので、安閑としていられまい。実はオリンピックどころではないのかもしれない。あるいは、市民の支持もえられず、勝ち目はないとすでに心のうちでは決めているのか。
福岡・九州オリンピック招致推進委員会のホームページには、あのわけの分からない招致賛成署名の到達が309934(18日現在)と記されていた。
この間にも福岡市の「ドブに捨てる金」が毎日増えていっていることに注目したい。
いよいよ24日、25日の両日、国内立候補都市評価委員会による現地調査が行われる予定で、そのスケジュールも確定している。東京都にたいしては、30日、31日におこなわれることになっている。
福岡市では、同現地調査団は第1日目、博多ポートタワーからメーン会場(陸上・サッカー)、パビリオン建設予定地、アリーナほかをわずか30分の予定で視察する。その後、博多埠頭、海の中道海浜公園などを予定している。つぎの日はルートを東西2つに分け、北九州会場をふくむ14会場を視察することになった。
最近は、山崎市長のオリンピック招致に関する発言がいっさい聞こえてこない。今秋の市長選で、支持を取り付けられると目算していた政党会派が、山崎氏を支持せず対抗することを表明したので、安閑としていられまい。実はオリンピックどころではないのかもしれない。あるいは、市民の支持もえられず、勝ち目はないとすでに心のうちでは決めているのか。
福岡・九州オリンピック招致推進委員会のホームページには、あのわけの分からない招致賛成署名の到達が309934(18日現在)と記されていた。
この間にも福岡市の「ドブに捨てる金」が毎日増えていっていることに注目したい。
養老孟司氏のいちばん大事なこと
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/35/9594f14865d977f938aa9cb236ccc842.jpg)
著者養老孟司氏はいまや、売れっ子だといえる。どこの本屋にも著作が並んでいる。
本書はサブタイトルにあるように解剖学者の養老氏の環境論である。
タイトルは『いちばん大事なこと』。つまり、いちばん大事なことは環境だということであろう。氏はそれを「環境問題こそが最大の政治問題だ」という。著者の言葉を借りれば「35億年という途方もない年月を経て作り上げられてきた環境を、人間が急激に変えていることも事実」なのだから、しかも人間の予想をはるかに超える規模なのだから、これは紛れもなく政治問題といえる。その養老先生は、つぎのようにいっている。
人はいったん握った権力をふつうは放さないものなのである。そうした権力闘争は、人間社会のいたるところで行われているであろう。それが狭い意味の政治である。その意味の政治は、私は大嫌いなのである。それもあって、重要なのは環境だと、ここで繰り返しているのである。環境はモノの話であり、だれに「権利があるか」という、人間のあいだの話ではない。
こういい切っている。だが、まてよ。政治は権力闘争であって、環境のありようは、これまでも、これからも政治と大きくかかわっている。まさに養老氏自身がいうように、途方もない年月を経てきた環境を、たちまちのうちに変化させてきた背景には人間の政治という営みがあった。体制のいかんにかかわらず環境を変化させてきたのは事実だ。ならば、政治が嫌いであっても環境が大事だと思うのであれば政治のありように関心を寄せざるをえないのではなかろうか。
たとえば、京都議定書にまつわる問題を著者はとりあげている(64ページ)。養老氏は、議定書からの米国の離脱に関してたしかにブッシュの思惑にもふれ、アメリカ議会の対応にもふれたが、結論は、「ネズミは鈴をつけるといったのだが、ネコはいやだといったのである。二酸化炭素の排出抑制が環境問題ではなく、政治問題であることがよくわかる例だ」というところに落ち着いてしまう。
このように、著者の主張には乱暴なところがあるように私は率直に思う。とにもかくにも環境と「政治」とは別物だといいたいらしい。「環境問題こそが最大の政治問題」と著者はいうのだが、これからどうすればよいかの回答は珍奇である。参勤交代、つまり都会の人が田舎にいくシステムを考えるというわけだ。「私が提唱する現代の参勤交代には、何の政治的意図もない」。まさに、これは養老流の環境観、「小さな環境」観ではなかろうか。私はあえて、長い年月を経た環境を一気に変えてきた歴史なのだから、ある意味では地球規模の、人間的な世論形成が不可欠だと考えている。大きく構えないといけないだろう。この意味で政治的なのである。
本書は、分かりやすく、面白く、をたぶんねらっているのだろう。だが、分かりやすく、面白くだけではどんな害悪を人びとにもたらすのかも本書は示しているように思う。
――――――――――――――――――――――――――――
養老孟司『いちばん大事なこと』(集英社新書)
社会保障費の概算要求、伸び押さえ5500億円で合意
谷垣財務相と川崎厚労相は18日、財務省内で会談し、2007年度予算要求の枠組みとなる概算要求基準(シーリング)で、社会保障関係費の高齢化に伴う自然増(7700億円)を、施策の見直しで2200億円抑制し、前年度当初予算比で5500億円の増加にとどめることで合意した。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20060718ib27.htm
つまり、シーリングどおりにことが運べば、来年度もまた、庶民の暮らしに直結する社会保障は削られるということだ。
来年度も「伸び率ゼロ以下を5年間継続する」とした防衛費も前年度比マイナスで調整を進めていると報じられているが、どうなるかあやしいと管理人は思う。一方で、自然増がみこまれるとはいえ、冒頭にあるように早々と社会保障費の削減は決まった。厚労省にはこの時ばかりはがんばってもらいたいと思う。財務省との綱引きに負けるな。
今回は、歳出・歳入一体改革の成否がかかる予算と位置づけた。一般歳出総額を46兆9000億円前後に抑制する。社会保障費の増大や参院選費用の計上で前年度当初予算より1.2%程度増えるが、公共投資関係費は前年度比3%減とこれまでの削減ペースを維持し、11年度の基礎的財政収支の黒字化に道筋をつけることを目指すという。
今後は、政府はシーリングを20日の経済財政諮問会議に報告、21日に閣議了解する段取り。またもや、経済財政諮問会議。要は、奥田、牛尾など財界トップもふくまれる同会議で財界の了解をとりつけたいということだ。大統領型政治だとなにかと論じられてきた同会議の存在。「骨太方針」もここで決まる。小泉政治において同会議主導であったといっても言い過ぎではなかろう。
「前年度比2~4%の削減」としたODA(政府開発援助)は4%削減を求める財務省に対し外務省が強く反発、3%台の削減にとどまる可能性が強いと報じられている。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20060718ib27.htm
つまり、シーリングどおりにことが運べば、来年度もまた、庶民の暮らしに直結する社会保障は削られるということだ。
来年度も「伸び率ゼロ以下を5年間継続する」とした防衛費も前年度比マイナスで調整を進めていると報じられているが、どうなるかあやしいと管理人は思う。一方で、自然増がみこまれるとはいえ、冒頭にあるように早々と社会保障費の削減は決まった。厚労省にはこの時ばかりはがんばってもらいたいと思う。財務省との綱引きに負けるな。
今回は、歳出・歳入一体改革の成否がかかる予算と位置づけた。一般歳出総額を46兆9000億円前後に抑制する。社会保障費の増大や参院選費用の計上で前年度当初予算より1.2%程度増えるが、公共投資関係費は前年度比3%減とこれまでの削減ペースを維持し、11年度の基礎的財政収支の黒字化に道筋をつけることを目指すという。
今後は、政府はシーリングを20日の経済財政諮問会議に報告、21日に閣議了解する段取り。またもや、経済財政諮問会議。要は、奥田、牛尾など財界トップもふくまれる同会議で財界の了解をとりつけたいということだ。大統領型政治だとなにかと論じられてきた同会議の存在。「骨太方針」もここで決まる。小泉政治において同会議主導であったといっても言い過ぎではなかろう。
「前年度比2~4%の削減」としたODA(政府開発援助)は4%削減を求める財務省に対し外務省が強く反発、3%台の削減にとどまる可能性が強いと報じられている。
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