森羅万象、政治・経済・思想を一寸観察 by これお・ぷてら
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地上軍侵攻を拡大、南レバノンの村制圧 ― イスラエル
レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの掃討作戦を進めるイスラエル軍は22日、国境から約2キロのレバノンの村マルンラスを制圧した。
23日には同村の北約1キロのビントジャベルを目指して進軍し、地上侵攻を拡大している模様だ。ロイター通信によると、12日の交戦開始以来の死者はレバノン側365人、イスラエル側37人で計400人を超えた。
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20060723i413.htm
イスラエル軍は「本格侵攻の決定はない」と主張、地上軍の作戦はヒズボラ拠点への限定した攻撃であって、国境地域への部隊集結はヒズボラを威嚇する意味合いが強いと『読売新聞』は伝えている。
このようなイスラエル軍の侵攻の一方で、テルアビブでは22日、ヒズボラとの戦闘が始まって以来初めての反戦デモが行われた。約2500人が即時停戦と協議開始を訴えたという。
参加者は、ユダヤ系世俗主義左派連合「メレツ」、アラブ政党「国民民主同盟」など国会(クネセト)に議席を持つ左派小政党のメンバーら。
報道によれば、「我々はシオニズムの名において人を殺さず、死にもしない」「我々は米国に奉仕するために死なず、人を殺しもしない」などと連呼した。
こんななか、不透明さを残し、先行きがみえているわけではないが、状況をわずかに前に動かす変化がある。イスラエルのオルメルト首相は23日、シュタインマイヤー独外相と会談、レバノン南部への展開が検討されている国際部隊について、一定の条件を満たせば、欧州諸国の部隊を中心とする多国籍軍を容認する意向を表明した。
同首相は、国際部隊派遣にイスラエルが応じる条件として、〈1〉レバノンとシリアの国境地帯におけるヒズボラの移動の監視を任務に含める〈2〉ヒズボラを弱体化させるだけの戦闘能力と経験を持つ部隊であること――などを挙げたという。以下にのべる諸国間の主張や、あるいは上記の国内の動きもみすえたのだろうか、従来のイスラエルの主張から譲歩した形になった。
これまでの経過を追うとつぎのようになろう。
イスラエル・ペレツ国防相は、国際部隊派遣に対する拒否姿勢を転換、米軍中心のNATO指揮下の部隊派遣に期待していたが、以下のようにライス米国務長官は米国の参加に消極的な姿勢を示した。ドイツやフランスが派兵に前向きなのと好対照を示し、あらためて米と欧州諸国の対応のちがいが浮き彫りになっている。現時点ではイラク戦争時の仏独と米の対立が再び現れているようだ。
仏独(スペインも)は、「国連による調停推進で一致している」のだ。
「イスラエル軍とヒズボラの戦闘はきわめて深刻な事態にあり、放置すればレバノン崩壊につながりかねない」として即時停戦を提唱した仏外相。シュタインマイヤー独外相も22日、「レバノン南部の状態はひどく、停戦実現が最大課題だ」と訴えた。
これにたいし、ライス米国務長官は「即時停戦は(ヒズボラの背後で糸を引くイランとシリアによる)古い中東の概念に基づく。我々は今、新たな中東の生みの苦しみの過程にある」と、即時停戦には否定的な立場を表明している。
ライスの発言の背後には、つぎのような状況もあるのだろう。
アメリカ言論界では好戦的な主張が盛り上がっていると田中宇氏は指摘している(こちら)。ネオコンだ。
ネオコンの主張は、「ヒズボラにはイランとシリアの支援がある。ヒズボラを無力化するためには、特にイランを潰さなければならない」というもの。この基本認識はこれまでアメリカが主張してきたところだ。ネオコンだけでなく、政界や言論界では、共和党も民主党も、キリスト教原理主義もリベラル派も、「イスラエル断固支持」だという。田中氏は、イスラエルが悪いと考えているアメリカの一般市民が多そうだが、マスコミにはほとんど反映されていないと、のべている。
遠回りのようで、また遅々として前進しないようにみえるけれども、ここは基本に立ち返ることが必要だろう。即時停戦、協議再開の声を各国で強め、国際世論をつくらなければならない。
23日には同村の北約1キロのビントジャベルを目指して進軍し、地上侵攻を拡大している模様だ。ロイター通信によると、12日の交戦開始以来の死者はレバノン側365人、イスラエル側37人で計400人を超えた。
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20060723i413.htm
イスラエル軍は「本格侵攻の決定はない」と主張、地上軍の作戦はヒズボラ拠点への限定した攻撃であって、国境地域への部隊集結はヒズボラを威嚇する意味合いが強いと『読売新聞』は伝えている。
このようなイスラエル軍の侵攻の一方で、テルアビブでは22日、ヒズボラとの戦闘が始まって以来初めての反戦デモが行われた。約2500人が即時停戦と協議開始を訴えたという。
参加者は、ユダヤ系世俗主義左派連合「メレツ」、アラブ政党「国民民主同盟」など国会(クネセト)に議席を持つ左派小政党のメンバーら。
報道によれば、「我々はシオニズムの名において人を殺さず、死にもしない」「我々は米国に奉仕するために死なず、人を殺しもしない」などと連呼した。
こんななか、不透明さを残し、先行きがみえているわけではないが、状況をわずかに前に動かす変化がある。イスラエルのオルメルト首相は23日、シュタインマイヤー独外相と会談、レバノン南部への展開が検討されている国際部隊について、一定の条件を満たせば、欧州諸国の部隊を中心とする多国籍軍を容認する意向を表明した。
同首相は、国際部隊派遣にイスラエルが応じる条件として、〈1〉レバノンとシリアの国境地帯におけるヒズボラの移動の監視を任務に含める〈2〉ヒズボラを弱体化させるだけの戦闘能力と経験を持つ部隊であること――などを挙げたという。以下にのべる諸国間の主張や、あるいは上記の国内の動きもみすえたのだろうか、従来のイスラエルの主張から譲歩した形になった。
これまでの経過を追うとつぎのようになろう。
イスラエル・ペレツ国防相は、国際部隊派遣に対する拒否姿勢を転換、米軍中心のNATO指揮下の部隊派遣に期待していたが、以下のようにライス米国務長官は米国の参加に消極的な姿勢を示した。ドイツやフランスが派兵に前向きなのと好対照を示し、あらためて米と欧州諸国の対応のちがいが浮き彫りになっている。現時点ではイラク戦争時の仏独と米の対立が再び現れているようだ。
仏独(スペインも)は、「国連による調停推進で一致している」のだ。
「イスラエル軍とヒズボラの戦闘はきわめて深刻な事態にあり、放置すればレバノン崩壊につながりかねない」として即時停戦を提唱した仏外相。シュタインマイヤー独外相も22日、「レバノン南部の状態はひどく、停戦実現が最大課題だ」と訴えた。
これにたいし、ライス米国務長官は「即時停戦は(ヒズボラの背後で糸を引くイランとシリアによる)古い中東の概念に基づく。我々は今、新たな中東の生みの苦しみの過程にある」と、即時停戦には否定的な立場を表明している。
ライスの発言の背後には、つぎのような状況もあるのだろう。
アメリカ言論界では好戦的な主張が盛り上がっていると田中宇氏は指摘している(こちら)。ネオコンだ。
ネオコンの主張は、「ヒズボラにはイランとシリアの支援がある。ヒズボラを無力化するためには、特にイランを潰さなければならない」というもの。この基本認識はこれまでアメリカが主張してきたところだ。ネオコンだけでなく、政界や言論界では、共和党も民主党も、キリスト教原理主義もリベラル派も、「イスラエル断固支持」だという。田中氏は、イスラエルが悪いと考えているアメリカの一般市民が多そうだが、マスコミにはほとんど反映されていないと、のべている。
遠回りのようで、また遅々として前進しないようにみえるけれども、ここは基本に立ち返ることが必要だろう。即時停戦、協議再開の声を各国で強め、国際世論をつくらなければならない。
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