森羅万象、政治・経済・思想を一寸観察 by これお・ぷてら
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中道の憂鬱- 公明党の場合
社民党と公明党は、政権というものを軸にして考えると、ちょうど立場が逆転してしまいました。前者は連立し政権入りし、後者は、選挙に破れ野党になったのです。ただし、政権内での両党の重みは、それこそ雲泥の差ほどの違いがある。公明党のほうが、はるかに重い。なぜなら、公明党の議席は、連立の不可欠の要素であって、それを欠いては自民党が政権を握りつづけることは不可能であったわけですから。それに比べると社民党の位置なんて、民主党にとってどうってことない。社民党の現在は、07参院選前後の状況を見極めた小沢の臭覚にほとんど拠っているといっても過言ではないでしょう。参院選とその後の今年の衆院選での民主党の議席増は、つまり大幅な得票は、今日までの構造改革路線にたいする強い反発の意思も込められていたというのが大方の見方であって、社民党と連立を組むのは、それにたいする一つの応答でもある。ただ、今でも民主党は、選挙に支持されたのだからという、傲慢とも思える態度に出ることがしばしばありますから、今後、社民党との連立の位置づけは状況次第ということになるでしょう。前エントリーでのべたように民主党の絶対多数こそ小沢が目標としているものですから、それが来年、参院選で仮に達成されれば、社民の連立離脱の可能性は格段に大きくなるとみてよいでしょう。そうでなくとも、すでに米軍基地移転問題では、格好だけでも社民党に配慮をせざるをえないわけで、やっかいだし、逆に、そろそろ連立に加えた矛盾が現れているとみなければなりません。
政権交代をはさんで社民党と公明党は、異なる意味で憂鬱をそれぞれ抱え込んでいるとみてよいでしょう。昨日、ふれたように、社民の場合は本来の同党の政策、主張と政権の対応におけるジレンマに今、直面している。連立に留まれば、今後もそれは続くでしょう。そこから生まれ出る憂鬱です。だから、たまらずこんな意見も党内から出てくる(参照)。
反基地の立場を社民党の生命線だと考える人にとってすれば、当然の意見だといえるでしょう。社民党は連立継続か、破棄か、それが早晩、問われる。
一方の公明党。自民党には恩を売ってきた。強い立場にあった。選挙協力で、学会票なしでは自民党の議席獲得もままならないケースはいくらでもありました。それだけでも、自民党に圧力をかけることはいくらでもできたはず。はずというのは、公明党の主張で規定される局面より、自民党に公明党が同調してきたことのほうがはるかに多いのは誰の目にも明らかだからです。構造改革も一緒になってすすめてきました。同罪です。だから、選挙で同党にも手厳しい審判が下りました。
自民党との関係でいえば、公明党を欠いてはそもそも政権の基盤そのものがない状況にまで、自民党はゆきづまっていたわけだから、公明党はもっと強い要求をしても可能だったといえますが、まあ冬柴が数期にわたって国交相にしがみついていたことが目立つくらいのもので、この意味では公明党はおくゆかしいともいえる態度ではなかったでしょうか。裏をかえせば権力につくことがとりあえずの同党のステップだったのだろうと推測されます。
したがって、そうであるのなら、公明党にとってとりあえず自民党はおいしい政党ではなくなったということです。そして、自民党にとっても,従来のような公明党との選挙区ごとの協力が成立する可能性も、また、成立しても当選する可能性も、極端に今現在では低くなっていると想定できます。つまり、自民党もまた、公明党との選挙協力を勝利のための推進力にする条件はほぼ失っているといえます。
今後、公明党にとっては、今でもおそらく権力(につきたいという)欲は衰えているようには思えないので、それを可能にする条件探しが当面の難問になるでしょう。もう一つの中道、公明党の憂鬱はここにあります。
私はこれまでの公明党の政策も、その思想も理解できなかった。そもそも一時期、強調された人間的社会主義も、いまや語られることはないが、それを理解できなかったし、人間的社会主義という体系は明らかにできるようなものなのか、それ自体を疑ってきた。が、公明党は政権について以降、(その思想にもとづく)福祉の公明党も蔭を潜めたのでした。自民党となれあってきたのです。
元に話を戻すと、自らの理念すらひとたび政権につけば、かなぐりすてるほどのプラグマティックは他にないかもしれない。あえてあげれば最近の小沢の転身ぶりが相似するでしょう。このプラグマティックな態度はおそらく今後も続くでしょう。したがって、来年の参院選にむけて、民主党との関係をどのようなものにするのか、これが問われる。
政局は、来年の参院選にむけて、民主党が07参院選、09衆院選と同様に大幅な議席を獲得するとすれば、新たな段階に以降する。衆院選で単独過半数が実現しているから、仮に参院で圧倒的な多数を占めると、民主党の強権はさらに深化する。ある意味で(一党の圧倒的多数による)翼賛的な体制が構築される。改憲の条件すらできあがるわけです。
そんななかで、公明党がこういう風潮に抗することができるのか。
その可能性は、これまでの行状からきわめて薄いと私はみます。
(「世相を拾う」09273)
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中道の憂鬱- 社民党の場合
しかし、仕分けという手法は、構造改革を継承する性格をもっている。現実に今回も対象のなかに国民にとって削ってほしくない、ならない項目があって、反発が生まれた。科学技術をめぐる会場でのやりとりとその後の一連の動きは、このことを象徴する出来事だった。聖域をもうけないといいながら、仕分けにはなじまない、政治の判断を待つなどという口実で手をつけなかった、たとえば思いやり予算などが一方であった。
一般にムダの排除という点で事業仕分けは支持をえているのだろうが、上にあげた聖域を残す点で、従来の自民党の予算編成とまったく同じだ。思いやり予算で米軍への予算配分を直接、削減するようなことは、民主党政権は、恐ろしくてできなかったということだ。しかし、首相自身が繰り返しのべてきた米国との対等な関係に着目するのなら、どうして仕分けの場で、思い切った方針をとれないのか。事業仕分けそのものが政治の一シーンであるはずなのに、政治の判断を待つなどといって、先送りするのは奇妙なこと。このように言い訳をする蓮舫の姿は、官僚を前に厳しい表情と口調で詰問する姿とあまりにも対照的ではないか。彼女のこの2つの姿こそ、民主党の二面性を体現している。参院選以降のこれまでの同党の二面性は今も続いているということだ。それは、一つ例にとれば、生活重視といってきながら、仕分けで教育や医療に手をつけるということに示されている。
この二面性を正すのは、2つあるように思う。
一つは、いうまでもなく国会の外の新自由主義に反対する社会運動であるだろう。民主党の圧倒的な議席のもとで、国会外の国民の声のありかがどこにあるのか、それは大きな意味をもつ。もともと保守党として出発した民主党だけれど、小沢の参院選での転身によって、つまり本来、新自由主義を支え推進するという同党の方針を一時的であるにしろ、(支持を広げるために)国民、とくに地方の生活を守るという立場を公にしてきた。言い換えると、国民の声に敏感だということでもある。それゆえ、国民の意識動向によって今後も民主党が動く可能性を否定できない。
もう一つは、このエントリーの本題にかかわる。社民党の役割である。あえてここでは中道とよぶ。
幅広い立場の民主党の議員たちは、党を割ってでも自らの信念を貫こうとするよりも、それを横においてでも政権交代という目標に向かうことの方が重要だと考える者で占められているということをここ数年の経過は表している。だから、連立を組んでいる以上、中道とはいえ、民主党議員からみると、左からの意見をもつはずの社民党の位置は際立つだろう。が、今のところ、同党の役割は発揮されず、ほとんど精彩を欠いているといってよいだろう。連立を組むときの福島瑞穂の言葉はまったく頬被りされたままだといえる。政権の中で民主党に軌道修正を迫るなど、まったくできてはいない。社民党の重要な旗であるはずの米軍基地移転問題で、福島瑞穂がどれほどの圧力を鳩山にかけられているのか。
むしろ社民党は、連立のなかで埋もれ、本来の位置取りを失いかけている。
民主党は、社民党に形式的に配慮することはあっても、同党を連立の相手として対等平等に扱い、意見を尊重するということはこれまでも少なくともなかったし、これからもないと思える。基地問題でも、仕分けにしたってカヤの外だ。そのことは、福島自身がよく理解しているはずである。福島の憂鬱は、それがあるとすればこの辺りにある。
民主党の戦術が、民主党による絶対多数の獲得という目標にある以上、連立という外形は、それまでの一種の装飾にすぎない。最近の国会改革での小沢の独裁的だともいえる姿勢、強権は、事の次第では社民党がやっかいものにされる可能性を十分に想像させる。その意味で、社民党は本来の主張を貫きうるのかどうか、社会党を長年、支持してきた人びとから問われるはずだ。連立に留まるにしても、離れるにしても。そして、連立を決めた福島自身が言行不一致を問われるだろう。米軍基地移転問題の結論次第では、社民党は裏切ったというそしりを免れない。
沖縄の願いを社民党は今こそ引き受けなければならない。国会の外での監視と行動は、民主党にむけられるだけでなく、社民党にも本来の姿勢を貫くよう迫るという意味で重要ではなかろうか。
(「世相を拾う」09272)
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派遣村から1年- 年が越せない不安は今も
湯浅誠氏が民主党政権の内閣府参与に抜擢されたことに端的に示されるように、この経験は、日本の社会と政治に少なからぬインパクトを与えました。
セーフティネットから抜け落ちる人びとは、社会的に救われなくてはならないというのが、ひらたくいえば派遣村という実践の精神だと考えるわけです。あれからほぼ1年。比ゆ的にいえばこれまで水際で申請そのものを排除することが一義的に考えられてきたといえる生活保護行政が確実に動きました。
こんな前進にもかかわらず、依然、雇用をめぐる状況は厳しい。厚労省自身の発表でも、雇い止めによる失業者の数は昨年10月から今年12月末までの予測値は、ほぼ25万人にのぼるのですから、年末をむかえるこの時期、緊急の対策が必要です。湯浅氏の起用をここで生かしてほしい。
日本のこうした雇用情勢をさらに悪化させるかもしれないと私たちを懸念させるのは円高の加速です。外為市場の円高は27日、1ドル84円台にまで急騰するという状況でした。これはアラブ首長国連邦のドバイ首長国政府が、政府系持ち株会社の債務返済の猶予を求めたことが報じられたことによって、欧州系銀行が債権を多く抱えているとの見方から欧州の株式相場は下落、外国為替市場では、高金利通貨などリスク資産を放出し、為替介入のリスクが少ないとみられた円を買い戻す動きが出て、対ユーロでも円高が加速したというのです。
早速、経団連の御手洗会長が反応しています。
経団連会長、日本経済は「がけっぷち」 円高がデフレと雇用不安を増幅する「リスクの連鎖」 日本経済が抱える「デフレ」「雇用情勢」という不安が消費者物価指数などの経済指標で改めてあぶり出された27日、急速に進む円高がこの2つの不安を一層増幅した。自動車、電機という輸出型産業の業績悪化はもちろん、消費不振から価格競争に走る内需型産業も、輸入品の価格下落によってさらなる値下げを強いられるためだ。すでに27日の東京株式市場は円高を嫌気して大幅安を記録。緩やかな回復を続ける日本経済は“リスクの連鎖”に襲われている。 「このまま行けば景気を押し下げる。(日本経済は)がけっぷちに立っている」 日本経団連の御手洗冨士夫会長は14年4カ月ぶりに1ドル=84円台に突入した急激な円高に懸念を示した。自動車、電機など主要メーカーの想定為替レートは厳しく見積もった下期でさえ、1ドル=90円前後のところが多い。トヨタ自動車の場合、現行水準が続けば年間で1000億円以上もの利益が吹き飛ぶ。 |
氏の頭の中の大半は、いかに企業の利潤を確保するのか、で占められていると推測します。紙背にそれが透けてみえるような言い回しだと思いませんか。発言がどのような形となって現れるか、注目しなければなりません。まず私が予測するのは、いっそうの雇用環境の破壊、労働者へのしわ寄せです。
冒頭の厚労省発表と同日におこなわれた総務省の発表では、失業者が12カ月連続増であることが明らかにされました。10月の完全失業者数は前年比89万人増ということでした。年越し派遣村がつくられた昨年からなおいっそう雇用の破壊が進行しているということです。
すでに一部では、民主党政権は抜け出しがたい苦境の中にあるという主張も出始めています(参照)。苦境の一つが、デフレ・円高というわけです。
この不況をめぐって、笑うに笑えない議論もある。責任のなすりあいでしょうか。
今の不景気「あなたのせい」 亀井氏と竹中氏がバトル 積極財政が持論の亀井静香金融・郵政担当相(国民新党代表)と、小泉政権で構造改革路線を進めた竹中平蔵元総務相が28日、民放のテレビ番組でバトルを繰り広げた。郵政民営化に反対した亀井氏と推進した竹中氏の因縁の対決とあって、互いに経済停滞をめぐる「失政」を責め立てた。 亀井氏が「小泉改革と称するもので日本経済の体力が落ちた」と口火を切ると、竹中氏は「小泉改革の間は成長し、改革を止めて経済が悪くなった」と反論。これに対し、亀井氏は「小渕、森両内閣で私が(自民党)政調会長で必死に景気対策をやった。小泉の時に良かったのはその余韻だ」と再反論した。 収まらない竹中氏は「不良債権を放置したから亀井さんが去ったあと金融危機になった。財政拡大だけではダメだ」。亀井氏は番組後、記者団に「考え方の基本が違う」と語った。 |
こんな議論をやるくらいなら、さっさと手をうったらと率直に考えます。民主党政権には、雇用破壊から労働者を守る当面の緊急な年末対策をとってほしい。こう思うのは無理な相談なのでしょうか。
(「世相を拾う」09271)
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民主党政権の水準を問う2つの問題
その一つ。首相自身の偽装献金問題。金額の大きさにも表れていますが、報道されている一連の事態は、鳩山首相という一政治家の「政治とカネ」問題に対する理解、見方の水準を表現しています。首相という立場以前の、一政治家としての資質が問われる問題でもあると私は考えますが、首相の以下の発言にあらためて驚かされるわけですね。
大変驚いている、などというのはiいうまでもなく傍観者的であって、首相本人の関与がきわめて濃厚だとも推測されるような事態になっているのに、この発言なのですから。あえて、こう発言しているのでしょうが。資金の支出の際には決済を自らやってきたのに、知らない、驚いているとは何事か、こう率直に怒りがこみ上げてくるのを抑えるのはほとんど不可能です。事情をただちに説明せよ。こう鳩山さんに申し上げたい。
鳩山首相「大変驚いている」 偽装原資
国会で親族の資金が偽装原資に充てられた可能性は「ないと信じている」と答弁してきたこととの整合性については「信じていたし、今でもそう信じたい」と強調。「どこに真実があるのか見えない。事実確認はできていない」として、引き続き捜査を見守る姿勢を見せた。 平野博文官房長官は記者会見で「一つのけじめがついた時点で国民に説明があるのでは」と述べ、捜査の結論が出た段階で首相が責任問題をめぐる見解を明らかにするとの見通しを示した。 一方、自民党の谷垣禎一総裁は会見で「このままでは政治への信頼に大きな影響を与える。きちんと説明する必要がある」と指摘。公明党の山口那津男代表も「事実なら首相の説明責任は尽くされていなかったことになる」と述べた。 |
2つ目。件の事業仕分け。
第2弾の目玉であるかのような、メディアの宣伝でした。
思いやり予算を根本から見直すといってきたのですから、期待も高まった。
だが、だが、このていたらく。
米軍思いやり予算「見直し」 仕分け、削減幅には触れず
ただ、具体的な予算の削減幅は言及せず、普天間飛行場の移設問題を抱える沖縄県民や米国に一定の配慮を示した。鳩山由紀夫首相は同日朝、首相公邸で記者団に「予算を大幅に減らす議論は政治的な話になるから難しい」と述べた。 米軍基地で働く労働者は大半が日本人。司令部や部隊などに勤務する事務員のほか、食堂など福利厚生施設で働く人を含め約2万5千人。10年度までの特別協定で日本側が約2万3千人分を負担し、残りは米国負担で合意。給与水準は国家公務員の給与体系に準拠し、来年度予算で1233億円を要求している。 仕分け人は「沖縄県など基地労働者の基本給は地元の民間給与の水準より割高」と指摘したが、防衛省の担当者は「英語を話さないといけないし、米軍の意向を確認する必要がある」と理解を求めた。 この日の仕分けでは、経済産業省所管の商店街振興基金50億円の全額国庫返納を求めたほか、国土交通省の次世代自動車導入加速モデル事業(概算要求額2億円)など5事業を廃止。予算削減可能額は55億円だった。 |
思いやり予算の根幹に触れるような見直しを提言できたかといえば、まったくそうではない。あの枝野も、蓮舫も本領をここで発揮してほしいのに。仕分けの結末がこの内容では呆れてしまう。
しかも、基地労働者の賃金水準を他の労働者と比較させた上で、削減しようという魂胆にはほとんど醜悪という表現以外のものを私は探し出すことができません。分断は、まさに新自由主義の支配の手段でしたが、枝野や蓮舫、彼ら仕分けの先頭に立ってきた議員たちは、それを採ることをまったくいとわないということを私たちの眼前で明らかにしたわけです。
結局は、米国への思いやりという本質に少しも迫ることなく、労働者を分断させ、労働者へのしわ寄せを結果的に認めるという視点そのものに疑問を私はもちます。
2つの以上の事象は、民主党政権が第一コーナーを回ったくらいでしょうが、すでに力量が露呈しているのではと考えてみたくなる状況だといえるのではないでしょうか。
(「世相を拾う」09270)
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民主党の非民主性は3乗比の法則によって強調される。
しかし、別の立場から、仕分けの視点そのものが問題視されています。たとえばスーパーカミオカンデにからんだやりとりに象徴的なような、現場からの強い反発を受け、事態収拾に民主党政権は今、直面しています。スパコンにかぎらず、事業仕分けは大学研究にも白羽の矢をたてているわけで、9大学学長がこれにはそろって反論しているし、野依良治氏は、「将来、歴史の法廷に立つ覚悟ができているのか」というこれ以上の形容はない表現で、民主党の態度を皮肉ってしまいました。
考えてみると、日本国は、これまでも教育やスポーツにつぎ込む予算の割合が各国にくらべて格段に低いといわれてきました。教育やスポーツは為政者にとっては関心の薄い、軽視すべき対象だったということの裏返しです。
つまり、事業仕分けというものは、これまでの構造改革同様、効率化の名でいかに費用削減を達成するかというのが第一義に考えられてきたわけ。税収が大幅に落ち込むことが予測されるからなおさらというのです。国家財政のあり方そのもの、先にあげた教育やスポーツを例にとるならば、それにかける比重がそもそも少ない現状を振り返ってもよさそうなのですが、そんな方向に検討は向かいません。まさに削減をどこで、どれくらい確保するのかに汲々とする、端的に削減額を争うしかけであることは否めません。この限りでは、従来の予算編成ととまったくかわりません。
一方で衆目が監視する公開という手法は、いかにも民主的であるかのように思わせました。だが、単純にそうとはいえません。そもそもの仕分けの基準に国民が関与しているわけはむろんないし、基準は財務省の目をくぐっているということも指摘されているのですから。
事業仕分けに現れたこうした(民主党の)強引さは、民主党の政権運営の経験(の浅さ)による部分がないとはいえないにしても、要因はほかにもあるのではないかと思えます。民主党の強引さはこの事業仕分けだけでなく、たびたび繰り返されています。それは、周知のとおり、国会運営にもみられました。強行採決です。
政府のこうした強引さは、むろん民主党のとる態度の強引さであって、小沢一郎と関係のないところでのことでもありません。
少し現在から過去をふりかえってみます。
民主党はそもそも構造改革推進の立場でした。政権交代可能な二大政党政治の実現は構造改革路線をすすめるためのものであったし、そのために生まれでた第二保守党だったのですから。だが、07年の参院選では、しかも、地方で集票することが勝利の条件として、従来の立場、構造改革推進路線を投げ捨て、生活重視というスローガンをうちだすこともあえて小沢は厭わなかった。この路線変更は、小沢が独断ですすめたものです。消費税増税についても同じ(*1)。小沢が増税を封印するといえば、誰もがいわなくなる。換言すれば、このような小沢の独断が生きるような、同党の非民主性が参院選での同党の議席増を生み出したといえるでしょう。
小沢の独裁性は、これまでの政治過程のなかでもしばしば強調されてきました。小選挙区制のもとで、民主党の議席が07年参院選、09年衆院選と二度つづいて大幅な議席増が実現しています。前者は、上にのべたとおり、小沢の臭覚が利き、政策論争まで封印し、構造改革路線を表面的には放棄したことでもたらされました。後者においては、自民党のすすめてきた構造改革にたいする批判を背景にするとともに、都市部の中間層のなかでの、むしろ自民党にかわって構造改革を推進できる、スムースにすすめる勢力として民主党が選択をされたと解釈されてもいます。
二大政党制のもとでは3乗比の法則が働くといわれています。
つまり、選挙での議席数は、得票率の3乗に比例するというわけです。この法則に従えば、少数政党が徐々に排除されていくというだけでなく、政権交代可能な二大政党政治の実現も危うくなるということが推測できる。この間の2回の国政選挙が証明しているように、失政で支持を失うと、議席は極端に減り、互角に争う条件そのものを奪う。現に、今年の衆院選では、民主党、自民党の得票率(小選挙区)はそれぞれ47.4%、38.6%でした。議席数は221対64という具合に極端です。
小選挙区制と結びついた二大政党政治は、こうして民意とかけ離れる。日本の国会が代表民主制を体現するものであるのなら、国民の意思が反映された代表の選出が可能でなければなりません。つまり、国会は、いわば社会の縮図として多様な意見や立場が尊重される必要がある。ところが、現実には、小選挙区によって社会の縮図とは異なる、もう一つの縮図が結果として生み出されることになっています。上記の民主党、自民党の議席に端的なように。
小沢は、支持されたのだから、民主党の政策が実行されて当然という考えが言葉の端々にでてきます。選挙で勝つためには、自らの政策をも歪めた上に、つまり票をかすめとろうという意図が働き、その結果、その上に小選挙区によって民意はさらに歪められる。
小沢の独裁制はこのような連関と親和し、機能するのです。民主党の比民主性は小選挙区制のもとでいっそうなお強調されるのではないかと推測するのです。
来年の参院選はその意味でも興味深いものだといえます。
(「世相を拾う」09269)
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*1;投票日の翌日に、メディアがこぞって、民主党に豹変することを求めたのは記憶に新しい。
鳩山虚偽献金。説明できるのはあなただけ
虚偽献金「首相の説明ある」=平野官房長官
鳩山首相の偽装献金問題が大詰めに向かいつつあるようです。
東京地検が元公設秘書を起訴するもよう。伝えられるところでは、虚偽記載の額は、5年間で2億数千万円ともいわれています。
ところが、当の首相は、検察にすべて任せてあるといって多くを語りません。が、はたしてこんな態度でよいのでしょうか。公設秘書の独断でやったというわけでしょう。
すでに、自らの資産管理会社から資金を引き出す際には、氏自身が決裁していたことが明らかにされたわけなのですから、なんとも不思議なかぎりです。自らが経理をすべて掌握していたかどうかは定かではありません。けれど、財務状況がいかなるものか、その報告は受けて決裁していたのではなかろうかと少なくとも思う。常識的には、決裁するとはそういうものであるはず。
しかも、これだけの多額に及んでいるのですから、鳩山氏がまったく承知していなかったとすれば、それ自体が、はたしてこの人に管理能力があるのかどうか、問われる問題でもある。そんな人に一国の政府を任せてよいのかという議論が成り立たないわけでもありません。
小沢一郎の違法献金の場合も、本人は事件への関与を否定し、秘書が勝手にやったといわんばかりの態度に終始しているわけですね。民主党の代表が2代にわたって「政治とカネ」で追及される。滅多にあることではありません。
今回もまた、警察権力の陰謀を指摘する声が出てくるのでしょうか。小沢秘書逮捕のとき、元東京地検検事もからんだ、この種の議論に花がさきました。今回はどうでしょうか。2度目ということもあってか、前回の小沢擁護派はいくらかおとなしくみえます。
その「政治とカネ」問題。小沢氏は自らの違法献金が明らかになり、秘書が逮捕されるにいたって、掌を返すように企業献金の全面禁止を方針とすると広言しました。その後、岡田現外相をキャップにした検討チームがつくられたものの、全面禁止はどこかに消えたのか、あいまいにされたままのようです。
企業献金は、昨日のエントリーで少しふれたように、企業社会の修正のために企業が政治を支配しようとする明確な意思と一体のものとして
財界の政治部たる経団連が音頭をとってすすめてきたものです。企業が自らの税負担を軽くし、賃金を抑制し、そして市場を広げ利潤を確保できるようにするための規制緩和をすすめるために、政治を支配しなければならなかった。小泉構造改革は、その典型的な表現でした。
ですから、企業献金を断ち切ることは、すなわち企業の政治支配を断つための一つの階梯です。
冒頭の鳩山氏の虚偽記載は、それ自体,厳しく問われなければなりません。その上で、なぜ虚偽を記載することが必要だったのか、そこは霧につつまれたままです。鳩山氏は、その点にかかわって、自ら説明することが必要ではないでしょうか。
(「世相を拾う」09268)
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民主党政権は税をどうする気か。。
民主党政権は、国民向けの施策を次々に打ち出してきました。その一つが子ども手当の創設でしょう。
たしかに子ども手当創設は、その点だけを切り取って考えると、その恩恵をうける世帯以外では、増税を心配しないといけない制度設計になっています。手当を支給されない家庭では、増税の痛みだけが押し付けられる。その上、住民税の扶養控除まで廃止されれば、国民健康保険料や医療費窓口負担などの引き上げに波及するのですから、手当をつくることには反対とならざるをえませんね。ここが、醜悪でもあります。国民のなかに分断をもちこむという、陰険極まりないと私は思わざるをえないのです。峰崎直樹財務副大臣は、再三、子ども手当導入と同時に所得税の扶養控除を廃止するという発言を繰り返しているのですね。この解きほぐしがたい発案そのものを見直し、子ども手当創設のための財源は、ほかに財源確保の手立てを追求してほしいと率直に願うのです。
ところが、民主党政権の考えていることは、私の考える方向とはどうも異なるよう。国家財政の一大事なのだから、歳入をどう確保し、増やするのか、そして歳出をどう減らし、頭を痛めるところでしょう。
まず事業仕分けという民主党政権がとった手法は、歳出をどう減らすのか、それを有権者にも見える形で整えたという意味で、従来の自民党政治とは一線を画したといえるのかもしれません。けれど、その削減の視点そのものは、少しもこれまでの自民党政治の枠組みを乗り越えたとは私は考えません。結局、一つ一つ有権者にとって削減か、そうでないのか確かめなくてはなりませんが、その線引きの基準はは少しも明確ではない。
一方の、歳入にかかわって、民主党政権がどのように考えているのか。この記事にあるように、メディアはすでに消費税増税の論陣を張っている。
ならば政権はどうするのか。周知のように、4年間は消費税増税を封印すると断言したのですね。では税源をどこに求めるのか、これが興味あるところ。
先の峰崎氏はこの点にかかわって、つぎのようにのべています。
所得税、法人税、そこに大胆に税率を上げるとか手をつけない限り、財源は出てこない |
と。
増税するとすれば仰るとおりとのべざるをえません。けれど、ほんとに法人税の増税が議題になるのかといえばそうではありません。所得税の累進課税税率アップも話題にならないのが実情のようです。だとすると、同氏が考えているのは、選択肢はほかになく消費税増税ということにほかならないのでは。
すでに、マスメディアは、それをけし掛けています。
消費税上げ「容認」が61%…読売世論調査
しかし、過去にさかのぼってみて考えると、福祉国家の経験をへず日本は企業社会ともいわれる、労働者を労働組合を企業が抱え込むことによって支配していく構造をつくり出してきました。年功序列賃金と終身雇用、それに退職金をふくめて老後を企業が支えているかのようなシステムがつくられてきました。その中で、労働者はわが身を削るがごとく目いっぱい働くことが位置づけられてきた。けれど、この支配構造が日本企業のそれまでの競争力の源でしたが、90年代の国際的な競争の中で見直さざるをえなくなったわけですね。競争に負けないためのステップを踏み出すことになる。その結果、賃金の抑制、企業負担の軽減、そして規制緩和という3つの手法でもって構造的な改革をおこない、競争力を維持し、利益をあげようと企業はしたのです。この点については、別の機会に詳しくふれようと思います。この(日本)企業の競争力強化のための3つの方策のうち2番目が注目を要します。
企業の負担を軽減するというのは、一つは税金です。上記にのべたように、かつての法人税率が見事に引き下げられているように、企業の税という直接的負担は見事に軽くなっています。民主党は、つまりこれに手をつけようとしない、手をつけようにもつけられないのです。モノがいえないのです。それだけでなく、法人税を安くあげるためには、国家財政の規模そのものを小さくする、これに代わるものはありません。法人税を安くあげるためには財政を小さくすればいい。財政が大きくなると、法人税をやすくするためには、企業からみて余分の社会保障に手を「つけ、縮減するのが手っ取り早いのです。高齢者のための医療と福祉は、格好のターゲットになってきたのです。
賃金抑制も、思うように企業は実施できなかったのですが、99年の労働者派遣の原則自由化、2003年の製造業への派遣解禁で、一気に先に進んだ。99年以降、正規社員は500万人が減り、非正規が500万人増えたというのですから、置き換えに成功したのですね。
こうした経過と、派遣切りの事実、キヤノンやトヨタがまっさきに製造業の派遣切りに乗り出したことを重ねてみる必要があると思います。
こんな経過をたどって、国民・有権者の構造改革路線にたいする反発が爆発したのが、07年参院選であって、その延長の今年の衆院選でしょう。
本来なら、さかのぼってみれば、民主党政権のとるべき方向は明確であるといわざるをえません。少なくとも、民主党自身の政策への共鳴というよりも、自民党のとってきた政策にたいする反発の結果の民主党選択だったのですから。
ところが、民主党の出自は否定できない。自民党と交代可能な政党として誕生したというそれ。それを破り捨て、脱皮しようなどという考えは、残念ながら民主党にはないように思えます。
子ども手当という国民の一部に手当てをする格好でいて、所得税の不要控除を廃止しようという設計は、その限界を物語っています。法人税を以前と同水準に戻し(以前以上に引き上げよといっているのではありません)、大企業から税金をとるなど毛頭、考えていないようですから、もう完全に「自民党と交代可能な」域に留まろうとしているということでしょう。
(「世相を拾う」09267)
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仕事の割には高い支持率。。。
【本社・FNN合同世論調査】事業仕分け評価9割 内閣支持率もアップ 産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が21、22両日に実施した合同世論調査で、鳩山内閣の支持率は62.5%と前回調査(10月17、18両日)より1.6ポイント上がり、引き続き6割を超える高水準だった。平成22年度予算の概算要求の無駄を削る行政刷新会議の事業仕分けを評価する回答が9割近くに上るなど、鳩山内閣の取り組みが評価された形だ。ただ、不支持率も前回より2.2ポイント上昇し22.9%となった。 |
あれだけテレビを駆使したのだから、さもありなん。有権者は、枝野や蓮舫の、官僚を詰問する姿に自分を重ねあわせたのではないか。公開という手法も新味に映ったはず。つまり、ショー化したという点で成功している。
第2ラウンドがはじまるということだが、すべて終わってみて、これまでの自民党政権の予算編成とどのようにかわったのか、そこで評価が決まる。
少なくとも、ここまでの切り分けの視点は、自民党のそれと分けるものはない。
政治主導とは小沢主導ということ
スパコンの扱いをめぐって周囲から相当の反発があがり、菅直人が事業仕分けで凍結となったものを、昨日のテレビ番組で、当然見直すと答えるなど、修正される勢いです。同日の別の番組に出演していた枝野も、仕分け(会議)の勢いをまったく消失させ、その態度は修正をにおわせるようなものでした。
こうした蛇行は、政権についてのち、ひんぱんに繰り返されていて、目新しいものではありません。が、政権奪取後の初めての国会の現状は、予想されていたこととはいえ、実に厳しいもののようです(参照)。
きょう現在、政府が国会に提出した法案で参院に送付されたのは、共産党からないよりあったほうがましと揶揄された、その程度の中小企業金融円滑化法案だけ。それも、先にのべたように強行してまで衆院を通過させたものにすぎません。
ですから、例の強行採決という挙にも出る。けれど、これは、野党時代の民主党自身が自公の強行を厳しく批判してきたことにてらしても、自らに跳ね返ってくる問題です。
世間の厳しい批判にあって、やはり登場するのが小沢一郎。小沢は、強行強行では国会軽視と受け取られかねないと応じたとか。これもおかしな話で、「政治主導」を名目に国会での官僚の答弁を禁止するといってきたわけですが、その目的は、小沢の自論の内閣法制局長官を排除することです。国会改革とは、このように、憲法の平和的条項を維持しなければならないと考える人にとっては、この内閣法制局長官の排除が解釈改憲に道を開く一つの階梯であることはすぐにも分かることでしょう。コンナ国会改革を推進しようとする小沢が、国会軽視というのは滑稽にすぎます。
与党と野党の議論を促進するといっておきながら、法案の強行採決を図り、批判が強まると、方針転換も辞さない。官僚政治の排除をかかげて、自らは官僚出身者を人事配置し、訳の分からない釈明でお茶を濁そうとする。この図式は、この党に貫かれている。
政権について間もないのですから、運営の稚拙さが表に出ることもあるでしょう。その限りで大目にみないといけないのかも。しかし、民主党と同党政府のとる行動には、そてだけで規定できない側面がある。
メディアでは小沢の議席の周りに、国対委員長の山岡賢次や衆院議運委員長の松本剛明が頻繁に集まり、指示を乞うかのような場面が流れます。これはお世辞にも見栄えのいいものではありません。けれど、そのシーンこそ、この民主党という政党の、政党としての民主制の欠如を示している点で深刻なのではないでしょうか。
しばしば指摘されるように、小沢独裁色がそこにある。政党ですから、執行部が存在するはずなのに、そこの議論で一致して事が運ばれるのが常識的でしょう。
そういえば、民主党の弱点を衝こう衝こうとする余り、自民党幹事長の大島理森が自党の綱領改定にからんで、「民主党には党綱領がない。寄せ集めだから作れない」と皮肉っていました(参照)。一面であたっていて、政党の行動の規範たる綱領がないから、小沢の頭の中のことが行動となって現れてしまうともいえそうです。
民主党のいう政治主導というものは小沢主導のことだといわれかねない。この間の行動は、それを裏付けることばかりが続いているのではないでしょうか。
(「世相を拾う」09265)
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思いやり予算は侵すべからず。。
思いやり予算の仕分け、根幹には触れず…民主・枝野氏 政府の行政刷新会議(議長・鳩山首相)の「事業仕分け」統括役を務める枝野幸男・民主党元政調会長は21日の読売テレビの番組で、在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)の一部を仕分け対象とすることについて、「思いやり予算全体が良いとか悪いとか、額の規模をどうするかは、外交交渉を含めて政治的に決めることだ」と述べ、制度の根幹には触れない考えを示した。 行政刷新会議は24日から27日まで、2010年度予算の概算要求から無駄を洗い出す「事業仕分け」の後半の作業を行う。思いやり予算のうち、米軍基地従業員の給与に充てる労務費が対象となっており、北沢防衛相が「対米関係も考慮してもう少し防衛省に任せてほしい」と反発している。 |
思いやり予算にも手をつけるなんていっておきながら。検討の対象は、日本人従業員の給与というのですから。それでいて、報道される際には、この調子。いかにも大本に切り込むかのような見出しだったのです。
事業仕分け447事業選定 行政刷新会議、思いやり予算も
問われているのは、枝野幸男のいう根幹のところ。結局、この事業仕分けでは、思いやり予算そのものについては是認するという結論を出したというに等しい発言です。
だいたい日米地位協定にすら、思いやり予算についてはふれていない。同協定24条第2項に明記しているもの以外は、すべて米軍が負担すべきものとうたっているのですから。思いやり予算は全廃して当然のものです。
枝野は「外交交渉を含めて政治的に決める」などといっていますが、そもそも交渉ごとではない。金丸信が勝手にはじめたのですから。支出すべき根拠などどこにもない代物です。米軍は日本を守るというよりも、犯罪を繰り返し、むしろ日本の安全を脅かしているのが実態ですから、何も「思いやる」必要などないのではないでしょうか。
枝野の今回の発言は、あらためて事業仕分けの欺瞞性を示すものにほかなりません。事業仕分けの視点は、採算や効率化が強調されています。ほんらい事業仕分けは小泉が考えてやってきたことなのですから、その点でも、構造改革路線を引き継ごうとするものであることがいよいよ鮮明になってきたといえるでしょう。まさに小泉構造改革とは、財界と米国の権益には一切、手をつけず擁護してきたように。
聖域には、入らないという宣言です。
(「世相を拾う」09264)
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官房機密費- カネをもって下野、自民
以下の記事が伝える事実は、本来、自民党のいわば決定的な汚点なわけですから、民主党と同党政権は徹底して追及して余りあるものでしょう。しかし、民主党のそんな姿勢は微塵もみられないようです。
官房機密費、総選挙直後に2億5千万…共産党指摘 共産党の塩川鉄也議員は20日の衆院内閣委員会で、麻生前政権下での官房機密費(内閣官房報償費)の支払いに関する資料を提示した。 それによると、河村建夫官房長官(当時)が今年4月以降、毎月1億円を内閣府会計課長あてに機密費として請求していたが、8月の衆院選の2日後の9月1日には、2億5000万円と突出して多い金額を請求していた。 資料によると、麻生前政権下では4月以降、計8億5000万円が支払われた。機密費の請求は、5000万円を単位として行われていた。支出を決めた「決議書」には、使途についての記述は一切なかった。 塩川氏は内閣委で、9月の多額請求について、衆院選で苦戦が伝えられていた与党候補の選挙活動費の「後払い」だった可能性があると指摘した。 機密費は、官房長官の判断で国益に直結する情報収集などに使われ、「非公開」扱いとなっている。2009年度は、14億6165万円が計上されている。 |
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政権を引き継ぐ際の、多額のカネはどこに消えたのか。国会の外のわれわれも少なくなく興味を抱くのです。自民党が2.5億を引き出したのは投票日の2日後といいますから、まさに持ち逃げ的な行為ともいえる。機密費はしかし、使途を明記する必要もないらしい。使い勝手というもの。政権交代はこんな不可解も生み出したのですね。
平野官房長官は、引き継ぎ時にまったく残金はなかったといっているらしいので、持ち逃げに等しい。
これは国民の税金ですから、使途不明であってよいのかが本来、問われなければなりません。当ブログはこの間のエントリーで、攻守ところをかえた自民と民主なのですが、その政権に新しくついた民主党が野党時代とちがって、ほとんど自民党が政権をにぎっていたときの行状とかわらない態度をとっていることにふれてきました。
冒頭でのべたように、自民党が徹底して追及されるべき事態なのに、政権の姿勢に、民主党に力が少しもは医っていないのは、政権についた同党がこんどはこれを自らの意思にしたがって自由に使おうという魂胆がすでにあるからにほかなりません。
この問題でも、野党だった民主党は公開をもとめてきたのに、今日までの平野長官の答弁で明らかなように、自民党同様に明らかにする意思がないことを当初、のべてきましたね。世間の批判にあって、これまた前言撤回の挙に出ましたが、場当たり的な、いかにも方便らしくみえる態度に不信感が募ります。
そして、うがった見方をするなら、自民党政権時代に、この機密費の恩恵を民主党自身が受けたことがあったのではないか、とも思える。
すでに民主党が政権について以後、平野氏自身が9月、10月に続けて6000万円請求していますね。それなのに、官房機密費など知らないと彼は会見で答えてきたわけで、その二枚舌も厳しく問われなければなりません。民主党押し出しに役割を担ってきた山口二郎は自らのブログでこんな記事を公開しています。主党は本来、「政権交代可能な二大政党制」のために生まれでた政党なのですから、本質的に自民党と異なってはならないという枠組みの中にあるのでしょう。ですから、むしろ、ふらつきはじめたのではなく、本来の姿が徐々に現れてきていると考えるのが順当でしょう。
官房機密費は、政権についている限り公開する。これを約束するのが、民主党のとるべき態度ではないでしょうか。そして、徹底して消えた2.5億円の解明にあたるべきではないでしょうか。
(「世相を拾う」09263)
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*1;時事通信が以下のとおり伝えています。
「10万円の土産代」「随行者の宿泊費」=機密費めぐり与野党議員が発言
21日午前のTBSのテレビ番組で、与野党の国会議員から、官房機密費(官房報償費)の受領に関する発言が相次いだ。
民主党の海江田万里選対委員長代理は細川政権時代、当時の武村正義官房長官から「中国に5人くらいで行った時、1人10万円くらい(受け取った)」と明かした。具体的な使途については「土産代」とし、現在はこうした慣行はないとの見方を示した。
また、自民党の石破茂政調会長は「昔は本当に景気よく(配られていた)」と説明。使いみちの例として、議員の外遊に随行したスタッフなどの宿泊代を挙げるとともに、「自分の物に使うかは、もらう側のマインドの問題だ」と語った。
数の横暴- あえて自民党と同じことをやる民主党
国会攻防で「小沢色」が顕在化 自民党の抵抗は不発に 民主、社民、国民新の与党3党は19日、中小企業等金融円滑化法案の採決を自民、公明両党が欠席する中で進めた。民主党は野党時代、自公政権の採決強行に強く反発してきたが、与党になると一転し、小沢一郎幹事長が持論とする「多数決主義」を押し出して、残りの政府提出法案も審議時間を抑える方針だ。自民党は、抵抗したものの採決は阻止できず、身内からも批判が出るちぐはぐな対応に終始した。 19日夜、衆院本会議開始とほぼ同時に、山岡賢次国対委員長や松本剛明(たけあき)衆院議院運営委員長ら民主党の国対関係者が、着席したばかりの小沢氏のもとへ駆けつけると、小沢氏は「記名採決なのか」などと質問や指示を出すような激しい動作をみせた。 民主党には「小沢氏が国会審議の遅れを気にして国対に雷を落とした」(中堅)との憶測が伝わり、野党にも「山岡氏には『大きな力』が働いて選択肢がないんだろう」(公明党幹部)と皮肉られていた。それだけに、小沢氏の存在感が際立った。 |
記事にもあるように、民主党自身はこれまで自公政権の強行採決に反対したわけですから、そのこととの整合性が問われなければなりません。自民党の強行採決には反対だが、民主党がやるのには反対しないでは理屈がとおらない。麻生前首相がいったのであれば大問題になるであろう、鳩山首相の発言がメディアではそれほど問題にされることなく、スルーされるのは最近の出来事でも明らかなとおり周知のことですね(*1)。ようは、野党時代の民主党の態度が与党になっても貫かれる、これ以外には整合性はないのです。主張の連続性はない。
法案の質疑がはじまってまもなくの、参考人の意見聴取後の強行採決だから、立場が逆であったら当然、民主党は反対したにちがいありません。いいかえると、政権についた民主党は自公政権と同様のことをやっているということです。この点で、民主党政権の自公政権との連続性をみないわけにはいきません。
記事は、これを小沢色が表に出たと伝えています。つまり、小沢が提唱してきた国会改革は、こうした与党の独善を許す性格をもっている。小沢は国会の議論は、与党と野党の対決といってきたはずです。それは、与党質問を省略する口実として使われてきました。しかし、それではこの強行は、はたして与党と野党の「対決」、議論を保障するものなのでしょうか。そうではまったくありません。
日本には、攻守ところが変われば、あるいは立場がかわったという言い方があるように、態度の豹変に目をつぶる風潮がないでもありません。換言すれば寛容だともいえる。けれど、それでよいのか。
別の記事で、すでに野党時代の対応との変化を平野官房長官は認めています(参照)。それも、まるで当然であるかのように。例の前言を翻すという、政治家がよくやるやつです。しかし、民主党の豹変ぶりに拘泥するのは、そもそも民主党の300を超える議席には、国民・有権者の期待が託されているということを無視するわけにはいかない。その期待というものは、自公政権にたいする明確な批判と一体のものであって、自民党政治とは異なるだろうという淡い希望が込められたものでしょう。民主党はそれにこたえなければならない。それは、国会の議論をとおして、自民党とのちがいが鮮明にされてこそ果たせるものだと考えることができるでしょう。
その上に、しつこくこの強行を批判したいという私の思いは、官房長官の前言撤回だけでなく、それ以外の事例がすでにあるからです。沖縄の米軍基地撤去問題でも、野党時代の同党の主張からは現実に大きく後退し、もはや米国の意向にそって解決を図ろうとする筋道は明確になっていると思えます。
さらに、同じ民主党は明確に東京では住民を裏切った。それをはばからないのがどうも民主党の真の姿のようです。
東京の民主党と「中央の民主党」は異なるのか。そうではなくて、すでにこの間の国政選挙をみれば、ただ多数をとるための戦術として、小沢は国民/有権者の期待に寄り添う方向を指示したのです。本来の同党の政策がどうであろうと、選挙勝利の方便として「政策をかえる」。したがって矛盾がそこに生じる。衆院選後の矛盾が今、こうして形になって現れているとみてよいでしょう。都議選のあとの矛盾を、民主党東京が都立病院廃止に同意するという、おそらく本来の同党の考えに調和させる方向で打開しようとしたように。ようするに、民主党という政党は、主張を翻すのに吝かではなく、その点で一貫性がない。結局、行状は自民党とかわらない。
ですから、この多数決主義に声をあげることなく賛成してしまうのはきわめて危険だと考えるのです。民主党の独善性が端的にこの強行採決に表れています。
(「世相を拾う」09262)
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*1;たとえば、以下の鳩山首相の発言。
国民に税金が課されていないと聞いた。日本国民もブルネイに移住したいと考えるだろう。
消費税増税封印は本気かどうか迫られた。
この論脈から考えると、あの事業仕分けも、その成果に限度があることをみせしめ、その上で増税しかないという世論形成のためのしかけのようにみえてくる。事業仕分けで削減できる範囲は大方、先がみえているようですし。
そうなると、増税するのなら、どんな増税なのか、それが問題となってきます。
三大紙は扱っていないようですが、佐々木憲昭議員が昨日、衆院予算委員会で藤井財務大臣に考えを問うています(参照)。増税といえば、消費税増税というのが、まあメディアの定番というくらい、消費税増税の世論形成が強められ、消費税増税が路線として浮上するのが具体的にいつか、これが注目されるわけです。
佐々木議員は、この既定の路線に待ったをかける、その意味で重要な内容をもつものと思います。
すでに国会では、麻生政権下で今年3月、2年後までに消費税増税法案を国会に提出する旨の所得税法改定をおこなっています。そうすると、冒頭の民主党の、いわば宣言はこれと両立しえない。その点を、佐々木議員は衝いて、民主党の封印の主張が本物であるかどうか、それを確認したのです。本気ならば、所得税法改定を破棄しなければならない。「2年後までに消費税増税法案を国会に提出する」ことを止めなければならない。そうでなければ、自ら主張することと矛盾が生じるのです。
藤井財務相はこれにたいして「修正するのスジだと思っている」ととりあえず答弁せざるをえませんでした。
これは重要なことです。封印が本気ならば所得税法付則104条はやめにしなければならない。封印が口先だけのもので、本気で考えていないのなら、104条破棄は相当、勇気のいることでしょう。ましてや、(民主党の)国家財政のかじとりがいかなるものか、周囲の監視はいよいよ強まる状況があるのですから。
自ら主張した4年間の消費税増税の封印は、「2年後までに消費税増税法案を国会に提出する」とした所得税付則104条を否定しなければ成り立ちません。
本気で消費税増税をやらないというのなら、2011年3月を待たずとも、ただちに所得税法付則104条を再改定し、消費税増税はやらないことを国民に約束すべきでしょう。
あえて、こんなことをのべざるをえないのは、衆院選で民主党が主張し、国民に期待を抱かせながら、現状は先送りにされているものが少ないないからです。
民主党政権は消費税増税をしないというなら、所得税法の修正が求められる。ほんとにそれができるかどうか、注目したいと思います。消費税増税をやらないと本気で考えているのなら、所得税法の再改定などたやすいことでしょう。が、本来消費税増税の考えをもち、財界にもモノ申すことができない民主党にとっては、つまり解決困難な課題でもあるということです。
(「世相を拾う」09261)
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事業仕分けの欺瞞
あにはからんや、こんな仕分けという場づくりの裏側が暴露されています。結局、財務省の筋書きにそったものだというわけです。あの、蓮舫のカメラ目線も、「立て板に水を流すがごとく」矢継ぎ早に官僚を詰問する姿も、結局は仕組まれたものということ。彼/彼女が、マニュアルにしたがって動き、発言し、ふるまったと了解されれば、まさに白けるの一言。
財務省の筋書きどおりの設定だったわけです。
事業仕分けで極秘マニュアル=財務省の視点を指南-政治主導に逆行・行政刷新会議 政府の行政刷新会議が2010年度予算概算要求の無駄を洗い出す「事業仕分け」で、事務局が極秘の査定マニュアルを作成し、民間有識者など仕分け人に配布していたことが17日、明らかになった。財務省の視点に基づき、仕分け対象事業の問題点を列挙、各担当省庁の主張に対する反論方法まで具体的に指南する内容。政治主導を掲げた事業仕分けが、財務省主導で進んでいる実態が明らかになった格好だ。 事業仕分けは、予算圧縮に向けて国会議員や民間有識者ら仕分け人が、各省庁が要求した事業項目を外部の目を通じ、「財務省には無い視点」(枝野幸男ワーキンググループ統括)でチェックする仕組み。すべて公開で実施され、鳩山政権初の予算編成に当たって導入された。 査定マニュアルは、事業仕分け前に「参考メモ」として仕分け人に配布され、事業ごとに「論点」を提示し、問題点などが個条書きされている。マニュアルに従えば、対象事業に詳しくない仕分け人でも、厳しく問題点を指摘できる仕組みだ |
民主党のいう政治主導というものは、この程度のもの。政治主導とは、すなわち官僚を敵とみなし、それからの脱却をめざすと考える時点において、すでに私は欺瞞的だと思います。なぜなら、これまでの自民党政治を規定するものの一つは、たとえば財界の意向をいかに受け止めるかを軸にしたものだと理解するのですから。
その欺瞞的姿勢は、彼らの強調する事業仕分けの内容そのものにかかわるでしょう。聖域をもうけるか否か、それを問われることは承知のはずですかr、民主党政権は、米軍への思いやり予算もまた、仕分けの対象にすると強調してきました。が、その思いやり予算にしても、政権がいうのは、日本人従業員の給与の一部を見直すという程度のものにすぎません。これは、裏返せば、米軍関係者には一切手をつけないということに等しいでしょう。
民主党がほんとうに、従来の自民党政治から抜け出ようと考えるのなら、大企業や大資産家への法外な優遇の実態にメスを入れなければなりません。聖域はもうけないといいながら、手をつけられない。
すでにメスを握る手が震えているのではないでしょうか。自らの意思とは異なる具合にメスを入れようとしても、握る手はいうことはききはしない。
事業仕分けとは、記事がのべるように、一般公開という形式はとられたものの、一から十まで仕組まれたショーであったということが明らかになりつつある。
その上に、しかけた(財務省とやらの)仕分けの視点そのものが欺瞞に満ちたものと断じてよいというわけです。
(「世相を拾う」09260)
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オバマに物申せなかった鳩山首相
そういわざるをえなかった背景について、読売が言及しています。
「普天間」早期決着、強く迫ったオバマ大統領 13日に行われた日米首脳会談で、沖縄の米軍普天間飛行場の移設問題をめぐり、オバマ大統領が「時間がたてば、より問題の解決が難しくなる」と発言し、2006年5月の日米合意に基づいて早期に決着するよう鳩山首相に強く迫っていたことが14日、明らかになった。 大統領自ら強い調子で求めたことで、首相も早期に結論を出す、と応じざるをえなくなったようだ。 複数の関係者によると、普天間問題は大統領の方から切り出した。大統領は迅速な結論を求めただけでなく、「基本は守るべきだ」とも述べ、沖縄県名護市を移設先とする現行案の履行を明確に求めた。首相は大統領の発言に対し、「理解する」と応じたという。 |
結論を早期に出すとふれざるをえなかったのは、こんな事情があったのですね、なるほど。うなづける話ですね。
にもかかわらず、鳩山氏は、オバマ氏のいないところで、会談後の会見で自ら語った(可能なかぎり)早く結論を出すという立場とは、明らかに反すると周囲には受け取られかねない態度をとったようです。氏は、「年末までにと(大統領に)約束したわけではない」といったとか。
でも、これって国民には理解しにくい話です。約束したわけではないのなら、なぜ会談後の会見であえてあんな言い方をするのでしょうか。できるだけ早期に結論を出すなどと。メディアの記事をたどってみると、やはり読売が指摘するように、首相はオバマに詰められたのです。オバマの最大限の譲歩で、当日、鳩山氏が語ったような表現に落ち着いたのでしょうね。
もちろん、こんな経過があるものですから、メディアの指摘は以下のように、米国と日本国の首脳の「約束」を守るという視点から、鳩山氏の態度を問うています。
たとえば、このように。
鳩山首相、基地再編で問われる指導力=重い米大統領との約束 訪日したオバマ米大統領との首脳会談で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題について「できるだけ早く結論を出したい」と確約した鳩山由紀夫首相。来年度予算案に関連経費を反映させるには年内決着が求められ、首相は決断を迫られている。しかし、首相は14日、外遊先のシンガポールで記者団に、来年1月の名護市長選後に結論を先送りする可能性を示唆。定まらない首相の姿勢は、大統領と確認した「強固な同盟」を空洞化させかねない状況だ。 大統領は14日、アジア外交政策に関する演説で、普天間問題を協議する日米の閣僚級作業グループに触れ、「両国政府が既に達した合意を履行するためのもの」と説明した。これは、過去の経緯の検証を重視する日本側の立場は尊重するものの、代替施設の建設地を同県名護市のキャンプ・シュワブ沿岸部とした現行計画以外に選択肢はないという姿勢を明確にしたものだ。 普天間先送り発言、米の鳩山首相不信に拍車も 鳩山首相は14日、訪問先のシンガポールでの同行記者団との懇談で、沖縄の米軍普天間飛行場移設問題について、「迅速な結論」で合意した13日の日米首脳会談から、一転して結論先送りの可能性に触れた。 米側は「首脳レベルでの公約は極めて重い」とみなしており、鳩山政権に対する不信感に拍車がかかるのは必至の情勢だ。 首相は、現行移設先の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部を抱える沖縄県名護市長選(来年1月)の結果を見極めることも、改めて選択肢の一つだと述べた。選挙の結果、移設反対派が当選すれば、現行計画が暗礁に乗り上げる恐れが出てくることを「織り込み済み」と受け取られかねないものだ。 |
はっきりいえば、鳩山政権は立ち往生の事態にあるのではないでしょうか。
盟主米国の大統領の前では、早期に結論を出すといいながら、片方で、あとで申し訳をのべるというのは、どうみても納得はえられない。首相はいったい、日米合意に沿うつもりなのか、そうではなく、米軍基地の国外撤去を伝えるのか、論点は最初から明らかなのに、態度決定はあとにあとに先送りされていく。
民主党政権の態度は少なくとも、沖縄県民の願いを実現させる方向に収斂されているのはなく、しだいにその願いとはかけ離れていく、それがこの間の事態の推移ではないでしょうか。
鳩山氏のシンガポールでの発言は、いよいよそれをとりつくろう姿勢のみが透けて見えてくるのではないでしょうか。
鳩山さん、それじゃあオバマの前でそのことをはっきり伝えればよかったのに。何をいまさら。
そんな態度を欺瞞だというのではないでしょうか。
(「世相を拾う」09259)
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