森羅万象、政治・経済・思想を一寸観察 by これお・ぷてら
花・髪切と思考の
浮游空間
カレンダー
2010年3月 | ||||||||
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | ||
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | |||
7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | ||
14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | ||
21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | ||
28 | 29 | 30 | 31 | |||||
|
goo ブログ
最新の投稿
8月6日(土)のつぶやき |
8月5日(金)のつぶやき |
6月4日(土)のつぶやき |
4月10日(日)のつぶやき |
2月10日(水)のつぶやき |
11月12日(木)のつぶやき |
10月26日(月)のつぶやき |
10月25日(日)のつぶやき |
10月18日(日)のつぶやき |
10月17日(土)のつぶやき |
カテゴリ
tweet(762) |
太田光(7) |
加藤周一のこと(15) |
社会とメディア(210) |
◆橋下なるもの(77) |
◆消費税/税の使い途(71) |
二大政党と政党再編(31) |
日米関係と平和(169) |
◆世相を拾う(70) |
片言集または花(67) |
本棚(53) |
鳩山・菅時代(110) |
麻生・福田・安倍時代(725) |
福岡五輪幻想(45) |
医療(36) |
スポーツ(10) |
カミキリムシ/浮游空間日記(77) |
最新のコメント
Unknown/自殺つづくイラク帰還自衛隊員 |
これお・ぷてら/7月27日(土)のつぶやき |
亀仙人/亀田戦、抗議電話・メールなど4万件突破 |
inflatables/生活保護引き下げ発言にみる欺瞞 |
これお・ぷてら/10月2日(火)のつぶやき |
THAWK/10月2日(火)のつぶやき |
これお・ぷてら/10月2日(火)のつぶやき |
THAWK/国民の負担率は低いというけれど。 |
THAWK/10月2日(火)のつぶやき |
THAWK/[橋下市政]健康を奪い財政悪化招く敬老パス有料化 |
最新のトラックバック
ブックマーク
■ dr.stoneflyの戯れ言 |
■ machineryの日々 |
■ えちごっぺのヘタレ日記 |
■ すくらむ |
■ 代替案 |
■ 非国民通信 |
■ coleoの日記;浮游空間 |
■ bookmarks@coleo |
■ 浮游空間日記 |
過去の記事
検索
URLをメールで送信する | |
(for PC & MOBILE) |
FUTENMAはどこに行くのか。。
あえて強く普天間基地移設問題といわなければなりません。
普天間基地移設問題の行方は、当ブログの予測とたがわないようで、米国への慮りのみが先行する結果となりそうな気配です。
民主党政権は、キャンプ・シュワブ陸上部とホワイトビーチ沖合いの埋め立てを柱にする案で固まりつつあるようです。ここまでの迷走ぶりは、たとえば本日のサンプロでの政権内部での見苦しいまでの不一致、有権者にみられることがどのような意味あいをもつのか、まさか菅直人も、福島瑞穂も、そして亀井静香も分からぬわけではないでしょうに。けれど諍いは尽きない。この政権の内情が手に取るようにみてとれる一幕でした。
この例にたがわず、普天間基地問題も右に左に揺れてきました。しかし、結局は今日の民主党の「検討結果」に示されるように、米国への追随のみはどうみてもくっきりと浮き彫りになっています。
考えてみると、首相の鳩山由紀夫が米国にたいしてトラスト・ミーなどといってきたわけですからね。その時点でも米国への服従ぶりは明らかだったのですが、そこから抜け出すことは、この民主党政権では不可能だった(だろうと)と考えられる。
沖縄県民の今日までの、米軍基地を抱えるがゆえの苦難は、解消されるどころか、民主党政権の考えているであろう案では、その苦しみを今後も引き受けよと迫るものにほかならないといって過言ではありません。このままでは、普天間基地が半永久的に存在しつづける結果になることは想像に難くありません。
そもそも日米合意のもともとの姿は、米国・ベクテル社の計画によっているともいわれています。いうまでもなくベクテル社は、原子力から宇宙、軍事部門などなどを扱う米国の軍産複合体で、世界最大の建設・開発企業。CIA長官、政府高官などが天下り、米軍とはとくに深い関係にあります。米軍は60年代からすでに辺野古のキャンプ・シュワブでの海兵隊基地計画をもっていたといわれ、ベクテル社の案は現行移設案のV字型滑走路とほとんどかわらない二本の滑走路だったというものです。
米軍は、当ブログが昨年のエントリー(米軍の「要求基準」とは。)でふれたように、移転の目的として普天間の「陳腐化」をあげ、普天間に最新鋭の基地機能を担わせると考えていたといわれています。移転についてヘリが離着陸できる45メートルの滑走路と最新鋭のレーダー機能があればいいというのが米軍の本音ということです。
こうふりかえるならば、民主党政権の「県内移設案」の本質が見え透いてきます。ただ米国、米軍のために。この一点です。「基地機能を5割以上、県外に移す」という言葉をそのまま受け取ったとしても、これは、すなわち県内、普天間の半永久的存続を思わせるものでしょう。
普天間基地移設問題は、民主党政権によって、つまるところ存続問題に衣をかえてしまったというわけです。トラスト・ミーと米国に媚びる首相は同時に、その言葉で沖縄県民を裏切ったといえるわけです。
(「世相を拾う」10040)
*応援をよろしく ⇒
*こちらもお願い⇒
新しいものがほしい=参院選にむけた保守派の策略
たとえば普天間基地問題。いっこうに先にすすみません。昨年の選挙戦でいたずらに、いわば思わせぶりな態度をみせたものの、自民党とは異なる結論を引き出してくれるだろう、引き出してほしいという有権者の期待に少しも応えることができないでいる民主党政権。そして、鳩山首相が言い出したタイムリミットが間近に迫って、あちこちに現政権の出す(だろう)方向が暗示されています。基本線は、日米合意の線にできるだけ近いところで決着するというただ一点です。鳩山首相の発言は、これまで何度も繰り返されたように少しも信頼に足るに値しません。彼の今日いったことは明日、自らの手で否定されるわけですから。そんなことはいっていない、という弁解の山。これが民主党政権の一端でしょう。
300人を超えるという議員集団を抱える民主党は、その前提に確固とした綱領、指針をもちえない政党だということと無関係ではありません。ひとたび、まそんなことはないにしてもたとえば基地問題で明確な方針をとろうもんなら、少なくない議員の頭の中では自らの「信念」とその方針との抗争がはじまる。そればかりか、いろんな考えを持っているのが所属する政党だという認識があるものですから、帰属意識がぐらつきはじめる議員も少ないとはいえないのかもしれません。小沢選挙あるいは選対戦術の恩恵を受けた新人議員はともかく、したがって、小沢の恩をそれほど感じない部分は、反発する姿勢を露骨に示すことになる。たとえば、首を切られた生方幸夫副幹事長副幹事長のように。こうしたもれきこえてくる党内事情と混迷を深める政権運営は、いよいよ有権者の同党からの離反を招いていると言い切ってよいでしょう。
一方の、つぎの参院選で民主党から政権を奪い返すことが課題であるはずの自民党は、民主党への(的確な)批判もおこないえないどころか、こちらもまた低レベルの議員たちの言動があって、ようするに自民党とはこんなものかという有権者の認識をさらに加速させたと私には思えます。有権者の支持を回復することはおろか、自民党は消え去る可能性すら感じさせる昨今の事態です。
ですから、危機感を抱くものは少なくありません。そう、保守の建て直しを図らなければならないと考える連中です。そもそも自民、民主による二代政党制を思考してきた連中は、片方の失政があっても、もう一つの政党が政権につく。この繰り返しで、権益を保持するために発想されてきた代物です。つまり、今日の事態は、こうした日本国の政治と経済を支配してきた勢力の思惑から外れてきているということです。少なくとも二大政党政治というものは軌道にすら乗りえていない。大々的に宣伝されてきた政権交代も、この減所ですからね。二大政党制をかねてから提唱してきた山口二郎は、今日の事態をどうとらえているのか。
最も不幸なことは、小沢と検察の闘争によって、本来の政治がまったく機能不全に陥った点である。政権交代以後、鳩山政権の歩みは実に多難であり、迷走気味でもあった。それにしても、民意を背景に時代遅れとなった政策の廃止と、子ども手当てなど時代を切り開くための新機軸を打ち出して、これから本格的な予算審議を始めようとする矢先である。曲がりなりにも政権交代によって実現した政策転換の意義を具体化するはずの通常国会が、小沢資金問題で一色に塗りつぶされたことは、日本の政党政治にとっての痛恨事である。 |
これは3月9日付のエントリーですが、こう嘆いてみせるのが精一杯の態度表明というところでしょうか。
いよいよ日本の議会政治は混迷の深みにはまった。でも、深みにはまっているのは、保守政治を小選挙区制という選挙制度によって補完させようと志向してきた路線そのものでしょう。つまり、今日、もっともひらたくいってしまえば、有権者の心は、自民党も、民主党もだめだ、これはということでしょう。
そうなると、代替物が必要になる。先ののべた自民党の低レベルの騒動もまた、受け皿を視野にいれたものにほかなりません。そして、渡辺喜美の「みんなの党」もまた、当然、この範疇に入れてよい。有権者の意識が各社の世論調査で、民主党にも、自民にも、あえて言葉をえらべば民意はないということが要諦されるやいない、メディアはつぎを追っていく。新自由主義的対応をさらに深化させようというのがこの党の主張ですから、「みんなの党」がクローズアップされる。しかし、渡辺のおよそ体系だたとはいえない主張や発言が、いつまでも人の心をとらえつづけるとは私には思えません。
考えてみると、民主党がメディアにもちあげられたのも、今今日の事態と少しもかわりありません。自民党に変わる政治を、民主党は主張し、時にはかつての自らの主張も曲げて大衆に迎合した態度を優先させてきたではありませんか。渡辺喜美が自民も民主もだめだというのも、当時の民主党と通底しています。いずれも、長年の自民党政治が基本においてきた、財界や大企業の意向を受け、米国との不平等な関係にも忍従するという政治、これを否定しえないところが民主党も渡辺もかわりません。今日の政治の混迷があるとすれば、この政治のあり方の混迷だといえるでしょう。
そこにふれず、あるいは覆い隠して、あたかも旧来の政治とは異なる同じ器の中の政党とその政権があるかのような一種の幻想がふりまかれてきました。その際、わが日本国のマスネディアは重要な役回りを担い、参院選を控えた今日、これからも担おうとしています。
自民党に代わる政治を唱えてきた民主党政権は、はや半年でその正体がみやぶられようとしています。有権者の心を、それとは遠くないところにつなぎとめるための戦略が、すでに大々的に展開されているということです。
冒頭の動きもその延長線上にあると私は考えます。従来と少しもかわらないのに、新しいことを強調する点で。
*応援をよろしく ⇒
*こちらもお願い⇒
夢のない国・日本から脱出するには。。
大学生65%、日本の将来に夢・希望持てず 資産運用会社調査 大学生の65%が日本の将来に夢や希望を持てないと感じていることが11日、資産運用会社フィデリティ投信の調査で分かった。デフレ不況が長期化し、明るい未来像を描けない若者の不安意識を浮き彫りにしている。 |
もとは共同通信が配信した記事です。
将来を不安視する人が多いのは、たとえば不安社会という表題の本が出版されることからも容易にうかがえるわけです。それぞれの人を取り巻く環境がその人にとって心地よいのか否かで考えると、心地よいといえないと考える人は多くはない。将来は明るいか、明るくないかといえば、よって明るくないといわざるをえないと考えるのでしょう。
わが日本国。いわゆる働き盛りの人を取り巻く環境といえば、端的にいえばその一つが賃金であるのは疑いをいれないでしょう。人は、まず生きていけなくてはならない。つまり、食わざるをえないのですから。働いて食って生きていけるだけの賃金をまず得ることが前提だといえるでしょう。ですが、労働者を取り巻く環境は、賃金の目減りに象徴されている。生きづらくなっている。現役がこの事態なら、リタイアした高齢者はどうか。高齢者医療制度に端的に示される高齢者を扱う社会の態度は、新しい政権ですら持て余している事態といえないでしょうか。そればかりか、高齢者が引き上げる要因となっていると考えられている社会保障費の増嵩を前に、新しい政権も庶民増税を視野に入れ、選択肢のなさを国民に迫る今日にいたって、明るい将来を考えようということ自体がまず無理があるというものでしょう。
ですから、若者が冒頭の調査で将来に夢がないと考えたとしても、それは何の不思議もないといってよいでしょう。何より、彼らは、先にのべたまず食うこと、その条件すらも奪われかねない立場にあって、日々それを実感している人も少なくないのが今日の日本国でしょう。彼らのなかにはは職につこうと思ってもつけない人がいるというのですから。第二の氷河期を迎えているともいえましょう。
先の総選挙で、これ以上、自民党政権に託せないと考えた人がそうではない人より上回ったのは、選挙の結果による限り多かったと推測されるわけです。が、託した結果、何か長年の自民党の政権か前にうごきだしたかどうか、この視点でとらえた場合、そう断定するほどに事態は動いていない。というか、ほとんど自民党自体とかわらないというのが、政権交代後の半年だったと私なんかは考えるわけですね。事態は大きくはかわらない。
とはいえ、国民の気分・感情を自民党時代以上にくまざるをえないということもたしかではないでしょうか。それが、結果的にあらゆる課題での政権の右往左往に表現されているといえるのではないでしょうか。
まず食っていく。その点で厳しい環境にあるということでいえば、日本国の将来は、調査結果にあるように暗い、夢はないといってもよいのかもしれません。つけくわえれば、私が考えるのは、この事態は、戦後長い間、政権をほしいままにしてきた勢力が選択肢をなくしつつあるということを同時に示しているのではないかということです。しばしば、最近、当ブログでは保守勢力の最後のよりどころが新自由主義だとのべていますが、そのことが最近の情勢が示してくれているように私には思えます。たとえば「みんなの党」がもてはやされ、それにしたがい支持率をあげているという事実。
これから自分の仕事をもとうとする生涯のうちの一つの重要な時期がこんな事態のなかにあることに正直、気の毒な思いを抱かざるをえません。それでも競争を強調する勢力は依然、少なくないようですが。だからなおさら、この機会を多くの階層がわがものにするということがかえって必要なのかもしれません。当面、控えている参院選で、今日の延長線しか描けない勢力か、そうでないのか、それを見極めることが日本の将来を占うことになると私は思います。
夢のない日本。ここから脱出する可能性そのものは横たわっているのではないでしょうか。
(「世相を拾う」10038)
*応援をよろしく ⇒
*こちらもお願い⇒
河村たかしと橋下徹と竹原信一、そして石原慎太郎
三者三様(四者四様?)であるようにみえながら、実は共通点をもっているこの4人。河村たかしと橋下徹と竹原信一。東京や大阪、名古屋市とほ異なり、一地方都市の阿久根市の市長がこれほどメディアに登場するのは何故でしょうか。
それは、竹原信一という人物の言動が、度を越えている、それも極度に、ようするに常軌を逸しているからにほかなりません。思い余って、「毎日」が本日、取り上げています。
「毎日」の表題にあるように、竹原の極端な言動は、市民の支持によって支えられている。これに尽きます。換言すれば極端が市民によって担われているということになるでしょう。「阿久根を変えるにはあの人しかおらん」、これに尽くされています。だが、竹原のやったこと、議員定数の削減や市の人件費カットの主張に留まりません。障害者への差別的発言一つをとっても許されることではありません。ましてや竹原という人物は、公の立場をいわば代表する市長という職についているのですから。
共通点ということにふれましたが、その政治手法がまるでそっくり。議会と職員を狙い打ちにするというそれ。竹原を例にあげると、議員・職員の高給取りを持ち出し、市民の支持をうるという作戦に出る。橋下も河村も、そして石原も同様でしょう。都民、府民、市民の生活を追い込んでおきながら、それを逆手にとって、窮状を実感する彼らの共感を呼び起こすのです。「高給取り」、この言葉はいつも大衆の不満を一言で象徴するものでした。
ちょうど一週間前、「朝日」が河村を取り上げていました(3月7日付)。インタビュー記事です。タイトルは「議会とたたかう訳」。そう、河村は、まさに議員とたたかっているのです。その際も、議員の報酬です。2400万円という名古屋市議会議員の報酬額が妥当かいなかは横に措くとして、これこそが河村への支持を結集する手段となりました。そして、議員定数の削減提案。これも竹原と同じ。さらに、市民の抱き込み策を同時に提案するという手法もまた同じ。河村は市民税の減税を、そして竹原は記事にあるとおり、ごみ袋・給食費・保育料の減額を提案するのですから。橋下も、石原もやり方はまったく同じ。たたく標的を大々的に宣伝し、それをもとに自治体住民の支持を訴えるというものです。
このように、彼らの手法は同一です。別のエントリーで、保守主義の最後のよりどころ、それが新自由主義だと私はいいましたが、その意味で彼らは新自由主義的手法をとっている。新自由主義は一つの運動だといったのは、デヴィッド・ハーヴェイでしたが、この4人は運動に支えられているのです。先の「朝日」の記事で、河村がそのことを率直に語っています。引用すると、
-市長公用車を軽ワゴン車に換えようと昨年の議会に提案しましたが、議会は否決しました。本来、議会に諮らなくても導入する方法がありました。パフォーマンスが過ぎるのではないですか。 「あれはシンボル。政治は大衆運動ですから。職業議員がいかに民主主義からはずれているか、を見せないと。民意から離れた議会の現実を動かさないといけません。マックス・ウェーバー(ドイツの社会学者)ですわ。政治とは『堅い板に力を込めてじわっじわっと穴をくりぬいていく作業』(『職業としての政治』。それですわ」 |
これです。
そして、思いをはせるのは鳩山由紀夫が語った「新しい公共」。首相のいうこの概念はいまだはっきりしません。が、この考え方自体はすでに学者が提示していたところ。鳩山由紀夫は、これを財政面から(彼なりに)とらえ所信表明で主張したのでしょう。ようは、「新しい公共」という以上、これまでの「公共」とは異なる位置づけをしようということでしょう。つまるところ、これまでの公共という名で政府が担っていたことを、公と市民(住民)との間に一つの新しい空間をつくって、そこに住民を組織しようというものと理解できます。すぐに理解できるように、これまでの行政の仕事を、この新しい空間にゆだねようというものですね。これまで使い古された言葉で言い換えると、この立場は、「小さい政府」論と同じ立場から発想される概念にちがいはないようです。そのためには、住民の組織が必要。つまり、河村のいう[大衆運動」が求められるというわけです。
けれど、一度考えてみる必要があるのは、「朝日」の記事もいうとおり現行の枠組みのなかで本来、解決できるものを、いかにも新手の発想であるかのように宣伝し、住民の不満・不安をそこに収斂させていくと詐欺的手法といえなくもありません。
ふりかえってみると、地方自治体の仕事は、地方自治法に示されているように、「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする」(第1条の2)のですから、彼らの主張はこの点にふれないところに弱点があるといえるのかもしれません。
議会の役割を低めるという共通点は、すなわち(自治体)首長の事実上の権限を優先させるということにほかなりません。この点で、鳩山首相がかねてから主張している大統領的首相という考え方に相通じています。
それは、たとえば議員定数の削減という結論に象徴されるように、議論を尽くすという民主主義の遠回りをショートカットし、議会の権限を極力を弱め、行政の絶対的な権限をめざしていくという点でもまったく同じではないでしょうか。
(「世相を拾う」10037)
*応援をよろしく ⇒
*こちらもお願い⇒
20XX年財政破綻の名で朝日が煽るもの
このエントリーでふれたように、2010年度予算案は92兆円を超える最大規模になっています。一方で見込まれている税収は37兆円程度。その差を埋めるのが、国債。44.3兆円の発行が予定されています。膨大な発行残高を抱えるわが日本国。予算案ではなにしろ税収を国債発行が上回るのは史上初ということですから、この先どうなるのだろうという不安が先立っても不思議ではありません。
「20XX年念財政破綻 その時…」。朝日が昨日付朝刊一面に立てた見出しです。センセーショナルなところにいかにもマスコミという感を抱かざるをえません。が、しばらく朝日のいうことに注目してみたいと思います。やや長くなります。
ある週末の夜、首相官邸の記者会見場は熱気に満ちていた。緊急会見に臨んだ首相が震えた声で切り出した。 「国民の皆様、深刻なお話を申し上げなければなりません。日本の財政は破綻の危機です。本日、国際通貨基金(IMF)に緊急支援を要請し、関係国と協議に入りました。挙国一致内閣で危機を乗り切るため、野党各党に政権協議を呼びかけます」 続いて財務相が「前年度比5%以上の歳出削減を5年間続ける」などの「財政再建緊急プラン」を公表した。極秘に練り上げたプランだ。数カ月前から国債の引受先を決める入札が不調に終わるようになり、海外の市場関係者の間に「日本は投資先として危険」とのリポートも出回っていた。 財務相が、1年前に税率が20%に上がったばかりの消費税について「当面の間25%にします」と語ると、テレビ中継を見ていた財務省幹部は、若手にささやいた。 「おれが入省した時の首相は『4年間は5%から上げない』と断言していたんだぜ。今思えば、その時の10年度予算が転落の節目だった。戦後初めて当初予算で税収より多い国債を発行したんだ」 外国為替市場で円安ドル高が一気に加速。週明けの市場でも国債が投げ売りされ、長期金利は跳ね上がった。株価も過去最大の下落幅に。市場は「日本売り」一色となった。 「お札が紙くずになる」「預金封鎖も近々ある」。うわさがネット上を飛び交い、現金を引き出そうと、銀行には長蛇の列ができた。貴金属店は、金塊や宝石を買い求める人でごったがえした。 輸入品などの物価が高騰。ガソリンは連日1㍑当たり10円以上のペースで値上がりし、野菜や肉、魚も2倍以上の値段に。スーパーでは「クレジットカードや電子マネーでの支払いはお断りします]との張り紙。人々は現金をかき集め、日用品の買い占めに走った。 原料を輸入に頼るメーカーは経営難に陥り、工場の操業停止と従業員の解雇が相次いだ。銀行は国債暴落で巨額の損失を抱えた。混乱は金融システムに飛び火し、誰にも制御できなくなっていた。 |
このいわばリードにつづいて、朝日は、3面に大きなスペースをとって日本国の破局のシナリオを描いています。記事の契機には前述したように、国債発行が税収を上回るという「異常事態」があります。
朝日の論調は、破綻必至といわないまでも、相当程度に破綻する可能性が高いというところでしょうか。こう危機感を煽るのは何故でしょうか。上にあげた引用部分のなかで、唯一、破局回避策に思われるような部分をあげられています。それはこのくだり。
財務相が、1年前に税率が20%に上がったばかりの消費税について「当面の間25%にします」と語る… |
こう財務省に朝日は語らせています。むろん現実の菅直人財務相が消費税増税にすでにふれたのは周知のこと。私は、朝日のこの特集の核心はこの部分にあると思います。明言こそしていないものの、破局回避は諸費税増税だということを読者に暗示する役割を、この記事は果たしているとみます。
たとえば、3面のQ&Aで、日本破綻を防ぐには、どうしたらよいのという問いで、「財政赤字と借金を減らす努力を続けるしかない。方法は歳出削減と歳入増の2つ。税金の無駄づかいを減らすことが大事だけど、それだけで十分とは考えにくいし、福祉を切り捨てるわけにもいかない。何らかの増税は避けられないだろうし、国民が「広く浅く」負担する消費税が有力だといわれてきた」と応えるという具合に。
しかし、ここで立ち止まらざるを得ません。今日の事態がもたらされたのは、朝日もいうように、税金の無駄づかいと税金のとり方と無関係ではありません。朝日は、「方法は歳出削減と歳入増の2つ」と一般的にのべるにすぎません。その中身、たとえば何を無駄づかいととらえるのか、それはその人の立場を反映し、考え方を表わさざるをえないでしょう。朝日も同じように、朝日の今日の立場から財政破綻を語っているというわけです。すでに、経営の少なくない部分を新聞広告収入に頼る大手の新聞メディアは、今や消費税増税派といえる。財界・大企業にモノがいえないというわけです。消費税増税は、あの御手洗富士夫がなんども強調しているように財界・大企業が旗をふってきました。自らが法人税減税と輸出戻し税の恩恵を受けるという権益を保持しつつ、今後も保持するために。
今、必要なことは、消費税増税をいう前に、すべてを洗いなおせということです。枝野が登用され、第2弾に着手すると宣伝されている事業仕分けも、やはり聖域を残しました。そこに踏み込めなかった現実があるのです。消費税増税論者、または不可避論者は、その聖域に触れないということで一致しています。
日本国のこのようなメディアの現状ですが、対照的なのはフィナンシャルタイムズのこの記事。客観的にものがみえていると私は思います。
長年苦しんだ日本から世界は何を学べるか |
記事は、そもそもどうして巨額の財政赤字が生まれたのか、その要因にふれ、「追いつけ追い越せの高度成長が終わった後に、企業による過剰な内部留保と投資機会の減少が組み合わさったことが、構造上の根本的問題になった」とのべています。
この内部留保に踏み込むこともふくめて、聖域なしで議論をよびかけることこそ、ジャーナリズムに求められているのではないか。無駄づかいをいくら国民・有権者によびかけても、隠してある部分があっては誰もついていかないのです。
ペンは折れている。そう思える今日のメディアの現状です。財政破綻という言葉で朝日が煽ろうとするのは、消費税増税やむなしという意識ではないでしょうか。
(「世相を拾う」10036)*応援をよろしく ⇒
*こちらもお願い⇒
白リン弾使用にみる日米の関係
白リン弾使用を伝えたのはメディアでは朝日だけのようで、演習を指揮した米軍中佐が発煙弾M825の使用を明らかにしたといいます。
使用したのは、米海兵隊が2月上旬おこなった、大分県・日出台(ひじゅうだい)演習場での砲撃演習。朝日は日出台の読みを「ひじうだい」と記載していますが、九州ではひじゅうだいと呼ぶのが常です。日出台は、私の興味・関心の一つを満たすにはどうしても避けられない、大分の山間部にあって、演習場の周辺に足をのばすことも少なくありません。演習場にもいって、当地の米軍演習に反対する人びとから話を聞いたこともあります。これくらい私にとっては身近なといってよいくらいの地域ですから他人事ではもちろんありません。
白リン弾の日本国での使用は今回がはじめてではないらしく、朝日によれば08年に北海道・矢臼別で用いたらしい。
白リン弾は、空中で炸裂し、116個のフェルトの破片を地上に飛散させる兵器で、破片は空気にふれると自然発火し、白煙を発生します。白リンは、人体にふれると、皮膚や肉だけでなく骨までも焼き尽くすといわれています。この深刻な焼夷効果が国際的にも指摘されるなか、米軍はこれまでイラク・ファルージャへの攻撃に使用してきました。日出台で用いられたのはM825砲弾。
日本国での使用は何を意味しているのか。前提に日米の非対称な関係があるということです。まさに目下の同盟者としてみている。米国本国で使用しないものを使用するのですから。米国が仕立てた戦争の相手国への爆撃と同じようにして。
この白リン弾の使用をめぐって、毎日のように伝えられる民主党政権の右往左往の焦点である普天間基地移設問題と関連づける見方も一部にあるようです。社民党は、彼らがいわば原則としてきた県外・国外移設をはやばやと下ろしたとも受け取られる北部九州案を持ち出すものもいるようですから、この北部九州案を(米軍が)牽制する意味があるのだというそれです。しかし、これは、すでに北海道で使用されていることからもうかがえるように、その可能性は低いように思えます。むしろ、米軍が日本のどこでも白リン弾を使用できる現状をみつめなければならないといえるでしょう。
普天間基地移設問題については、たらい回しでは何も解決しない。一度、日米安保条約の是非を根本から議論してみたらどうかと思います。普天間の問題はまず、即時撤去を米側に求めることからはじまる。沖縄の苦しみを北部九州に、あるいは他の地に平行移動しても事態はかわらない。米国と日本国の非対称性を約束する条約があるかぎり。
(「世相を拾う」10035)
*こちらもお願い⇒
新政権の予算案=自民党政権との差異とその継承
小沢一郎と鳩山由紀夫の政治とカネにからむ疑惑はほったらかしの状態ですから、それだけに、自公の対応もふくめて予算案の通過は問われなくてはならないのでしょう。何しろ予算案についての審議ははじまったばかりといえるほどのものなのですから。
さて、その予算案。
コンクリートから人へというスローガンを政権は強調してきました。その結果、いくつか自民党政権とは毛色の異なる方向が今回の予算案に盛られたことは認めなければなりません。
たとえば、母子加算の復活、高校教育の無償化など。しかし、国民・有権者に約束しておきながら、踏みにじったともいえる後期高齢者医療制度廃止は見送られました。大々的に宣伝された事業仕分けですが、結局、軍事費は4兆8000億円を見込んでいるのですから、これは自民党政権時代の継承といえるものでしょう。空母や戦車を買う内容をふくむ予算です。自民党政権の継承という点であげざるをえないのは、税の取り方です。大企業や金持ちにたいする配慮、減税はやはり保持されました。庶民にとっては、扶養控除、15歳以下の子どもの扶養控除を国税、地方税で廃止するというのですから、この非対称について強く指摘しないわけにはいかない。18歳の高校生にたいする特定扶養控除も減額される。こうした対応の口実は、子ども手当てを出す、高校を無料化するからというものですが、これでは本来の所得再分配の機能という点でみれば、おかしな話。圧倒的多数の所得下位の者にたいして、一部の工学所得者や大企業からの増税でまかなうというのではあれば納得するのですが、たとえば子ども手当ての財源には2兆5000億円かかるといわれているものの、そのうち1兆円は同じ階層からまかなうという図式なのです。
ですから、証券優遇税制や株の売買にかかる税率はこれまでの優遇10%税率を保ったままなのですから、短気な私などは怒りを抑えがたいわけです。こうした税の取り方は、少しも自民党政権の域を越えてはいない。
予算は92兆円を超える最大規模になったことが伝えられています。
一方で、税収はみこまれているのは37兆円程度。すると、その差を何で埋めるのか、それが問われる。政権の考えでは、まず、国債の発行。44.3兆円が予定されていて、なにしろ税収を国債発行が上回るのは史上はじめてということ。ようは、軍事費も減らさず、法人
税減税を維持した結果のこの事態といえるでしょう。
その上、閣内から消費税増税を臆面もなく言い出す始末です。5%据え置きを選挙対策でいったことはそっちのけで。社会保障にああてるという口実をまたぞろ仙谷由人が言い出していますが、そんなものなんの保証もないのですから。だいいち社会保障と税金と同じてんびんにかけるものなのかどうか、これを考えなくてはならないのではないでしょうか。社会保障を拡充させることと消費税をあげることとは同じことではもちろんありませんし、社会保障が応能負担を原則にしてきたことをかんがえるのならば、所得税・法人税という累進性をふまえた税制で支えるのがふさわしいといわなければならないというのが私の考えです。
仕分け、仕分けといいながら肝心のところへの「仕分け」にはいっこうに踏み込めない。この点で、自民党政治の継承者として現政権があることをみておかねばならないのでしょう。
(「世相を拾う」10034)
*応援をよろしく ⇒
*こちらもお願い⇒