森羅万象、政治・経済・思想を一寸観察 by これお・ぷてら
花・髪切と思考の
浮游空間
カレンダー
2024年7月 | ||||||||
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | ||
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | |||
7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | ||
14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | ||
21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | ||
28 | 29 | 30 | 31 | |||||
|
goo ブログ
最新の投稿
8月6日(土)のつぶやき |
8月5日(金)のつぶやき |
6月4日(土)のつぶやき |
4月10日(日)のつぶやき |
2月10日(水)のつぶやき |
11月12日(木)のつぶやき |
10月26日(月)のつぶやき |
10月25日(日)のつぶやき |
10月18日(日)のつぶやき |
10月17日(土)のつぶやき |
カテゴリ
tweet(762) |
太田光(7) |
加藤周一のこと(15) |
社会とメディア(210) |
◆橋下なるもの(77) |
◆消費税/税の使い途(71) |
二大政党と政党再編(31) |
日米関係と平和(169) |
◆世相を拾う(70) |
片言集または花(67) |
本棚(53) |
鳩山・菅時代(110) |
麻生・福田・安倍時代(725) |
福岡五輪幻想(45) |
医療(36) |
スポーツ(10) |
カミキリムシ/浮游空間日記(77) |
最新のコメント
Unknown/自殺つづくイラク帰還自衛隊員 |
これお・ぷてら/7月27日(土)のつぶやき |
亀仙人/亀田戦、抗議電話・メールなど4万件突破 |
inflatables/生活保護引き下げ発言にみる欺瞞 |
これお・ぷてら/10月2日(火)のつぶやき |
THAWK/10月2日(火)のつぶやき |
これお・ぷてら/10月2日(火)のつぶやき |
THAWK/国民の負担率は低いというけれど。 |
THAWK/10月2日(火)のつぶやき |
THAWK/[橋下市政]健康を奪い財政悪化招く敬老パス有料化 |
最新のトラックバック
ブックマーク
■ dr.stoneflyの戯れ言 |
■ machineryの日々 |
■ えちごっぺのヘタレ日記 |
■ すくらむ |
■ 代替案 |
■ 非国民通信 |
■ coleoの日記;浮游空間 |
■ bookmarks@coleo |
■ 浮游空間日記 |
過去の記事
検索
URLをメールで送信する | |
(for PC & MOBILE) |
FUTENMAはどこに行くのか。。
あえて強く普天間基地移設問題といわなければなりません。
普天間基地移設問題の行方は、当ブログの予測とたがわないようで、米国への慮りのみが先行する結果となりそうな気配です。
民主党政権は、キャンプ・シュワブ陸上部とホワイトビーチ沖合いの埋め立てを柱にする案で固まりつつあるようです。ここまでの迷走ぶりは、たとえば本日のサンプロでの政権内部での見苦しいまでの不一致、有権者にみられることがどのような意味あいをもつのか、まさか菅直人も、福島瑞穂も、そして亀井静香も分からぬわけではないでしょうに。けれど諍いは尽きない。この政権の内情が手に取るようにみてとれる一幕でした。
この例にたがわず、普天間基地問題も右に左に揺れてきました。しかし、結局は今日の民主党の「検討結果」に示されるように、米国への追随のみはどうみてもくっきりと浮き彫りになっています。
考えてみると、首相の鳩山由紀夫が米国にたいしてトラスト・ミーなどといってきたわけですからね。その時点でも米国への服従ぶりは明らかだったのですが、そこから抜け出すことは、この民主党政権では不可能だった(だろうと)と考えられる。
沖縄県民の今日までの、米軍基地を抱えるがゆえの苦難は、解消されるどころか、民主党政権の考えているであろう案では、その苦しみを今後も引き受けよと迫るものにほかならないといって過言ではありません。このままでは、普天間基地が半永久的に存在しつづける結果になることは想像に難くありません。
そもそも日米合意のもともとの姿は、米国・ベクテル社の計画によっているともいわれています。いうまでもなくベクテル社は、原子力から宇宙、軍事部門などなどを扱う米国の軍産複合体で、世界最大の建設・開発企業。CIA長官、政府高官などが天下り、米軍とはとくに深い関係にあります。米軍は60年代からすでに辺野古のキャンプ・シュワブでの海兵隊基地計画をもっていたといわれ、ベクテル社の案は現行移設案のV字型滑走路とほとんどかわらない二本の滑走路だったというものです。
米軍は、当ブログが昨年のエントリー(米軍の「要求基準」とは。)でふれたように、移転の目的として普天間の「陳腐化」をあげ、普天間に最新鋭の基地機能を担わせると考えていたといわれています。移転についてヘリが離着陸できる45メートルの滑走路と最新鋭のレーダー機能があればいいというのが米軍の本音ということです。
こうふりかえるならば、民主党政権の「県内移設案」の本質が見え透いてきます。ただ米国、米軍のために。この一点です。「基地機能を5割以上、県外に移す」という言葉をそのまま受け取ったとしても、これは、すなわち県内、普天間の半永久的存続を思わせるものでしょう。
普天間基地移設問題は、民主党政権によって、つまるところ存続問題に衣をかえてしまったというわけです。トラスト・ミーと米国に媚びる首相は同時に、その言葉で沖縄県民を裏切ったといえるわけです。
(「世相を拾う」10040)
*応援をよろしく ⇒
*こちらもお願い⇒
白リン弾使用にみる日米の関係
白リン弾使用を伝えたのはメディアでは朝日だけのようで、演習を指揮した米軍中佐が発煙弾M825の使用を明らかにしたといいます。
使用したのは、米海兵隊が2月上旬おこなった、大分県・日出台(ひじゅうだい)演習場での砲撃演習。朝日は日出台の読みを「ひじうだい」と記載していますが、九州ではひじゅうだいと呼ぶのが常です。日出台は、私の興味・関心の一つを満たすにはどうしても避けられない、大分の山間部にあって、演習場の周辺に足をのばすことも少なくありません。演習場にもいって、当地の米軍演習に反対する人びとから話を聞いたこともあります。これくらい私にとっては身近なといってよいくらいの地域ですから他人事ではもちろんありません。
白リン弾の日本国での使用は今回がはじめてではないらしく、朝日によれば08年に北海道・矢臼別で用いたらしい。
白リン弾は、空中で炸裂し、116個のフェルトの破片を地上に飛散させる兵器で、破片は空気にふれると自然発火し、白煙を発生します。白リンは、人体にふれると、皮膚や肉だけでなく骨までも焼き尽くすといわれています。この深刻な焼夷効果が国際的にも指摘されるなか、米軍はこれまでイラク・ファルージャへの攻撃に使用してきました。日出台で用いられたのはM825砲弾。
日本国での使用は何を意味しているのか。前提に日米の非対称な関係があるということです。まさに目下の同盟者としてみている。米国本国で使用しないものを使用するのですから。米国が仕立てた戦争の相手国への爆撃と同じようにして。
この白リン弾の使用をめぐって、毎日のように伝えられる民主党政権の右往左往の焦点である普天間基地移設問題と関連づける見方も一部にあるようです。社民党は、彼らがいわば原則としてきた県外・国外移設をはやばやと下ろしたとも受け取られる北部九州案を持ち出すものもいるようですから、この北部九州案を(米軍が)牽制する意味があるのだというそれです。しかし、これは、すでに北海道で使用されていることからもうかがえるように、その可能性は低いように思えます。むしろ、米軍が日本のどこでも白リン弾を使用できる現状をみつめなければならないといえるでしょう。
普天間基地移設問題については、たらい回しでは何も解決しない。一度、日米安保条約の是非を根本から議論してみたらどうかと思います。普天間の問題はまず、即時撤去を米側に求めることからはじまる。沖縄の苦しみを北部九州に、あるいは他の地に平行移動しても事態はかわらない。米国と日本国の非対称性を約束する条約があるかぎり。
(「世相を拾う」10035)
*こちらもお願い⇒
日米安保50年=基地国家日本の今
そもそもこの問題の今日は、1998年のSACO合意からはじまっています。たらい回しがここからでてくる。普天間基地の沖縄県内移転地として辺野古が決定されたものの、県民の強い反対にあい、頓挫。それからというもの、つぎつぎに代替地案が提案されました。そいて、小沢一郎が下地島を提案。ところが、この下地島にある空港は、ずっと以前に、日本政府は当時の琉球政府と軍事利用しないことを確認しているのです(参照)。
結局、移転地探しの出てくる源には、日米安保条約がある。
日本には、広大な米軍基地が居座るというのが的確な状況です。その口実とされるのが、日米安保条約第6条。この第6条には、米軍が日本の「施設及び区域を使用する」と定めています。
第六条 日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。 前記の施設及び区域の使用並びに日本国における合衆国軍隊の地位は、千九百五十二年二月二十八日に東京で署名された日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定(改正を含む)に代わる別個の協定及び合意される他の取極により規律される。 (現行安保条約) |
日米地位協定はこの第6条に基づくもので、1960年6月に安保条約とともに国会承認が強行されています。安保条約第6条は、日本全国で米軍が望むところはどこでも基地にできるという「全土基地方式」。世界に例をみません。地位協定は、日米合同委員会という組織で協議することを定めています(第2条)が、その内容は国民には知らされてはいません。きわめて明確な非対称な条約。まさに日本は、(米軍)基地国家とよべるかもしれません。
この日米安保条約は、1960年1月19日に、ワシントンで締結されています。50周年をむかえる日米安保。これが日米両国の関係を軍事同盟という言葉を使わずに日米同盟という言葉で表現されますが、その根幹となっているのが安保条約。
その締結50周年をむかえて、メディアは無条件に日米同盟強化をさけんでいます。
朝日、読売、毎日の社説から。いずれも日米安保は所与のものとして議論されています。
朝日の議論は、普天間基地移設問題が以上にみたように日米安保条約と切り離せない、不可分のものであるはずですが、切り離して日米安保の重要性を再確認せよというものになっています。米軍の日本駐留の意義を強調した上で、自衛隊の海外派兵恒久法を要求するのは読売。同じように毎日も、集団的自衛権行使は不可避だという認識にたって鳩山首相に同盟関係を深化、発展させる責任をつきつけています。
日米外相会談―同盟関係の本論に入ろう(朝日) 日本は何をすべきなのか、あるいはすべきでないのか、国民の間でも幅広い議論をする好機になる。 |
鳩山外交 揺らぐ日米同盟を再建せよ(1月4日付・読売社説) 世界の平和と安全の確保は、通商国家・日本の存立基盤だ。 |
社説:2010再建の年 日米安保 首相自ら同盟像を語れ (毎日) 1990年代の安保再定義は、日米安保共同宣言に結実し、「日米防衛協力のための指針」改定で完結した。これに基づいて自衛隊の米軍への後方支援を可能とする周辺事態法が整備された。その後の展開は、自衛隊の活動領域・内容の拡大の歴史だったと同時に、戦闘地域と非戦闘地域を区分して後方支援の憲法論議をクリアすることで、集団的自衛権行使の議論を回避するものだった。鳩山政権が、日米防衛協力の深化の方向や、ミサイル防衛のあり方を検討するにあたって、この集団的自衛権行使の是非が大きな論点の一つになるのは間違いない。 日米同盟の日本側の最終的な管理・運営者は首相である。同盟関係を深化、発展させる責任を負っている。統治者としての資質が問われていることを首相は深く自覚すべきだ。 |
もはやメディアにはそろって日米(軍事)同盟容認派。普天間基地移転でなぜ県内たらい回しが画策されるのか、その根本の日米安保と地位協定の本質に迫ろうという姿勢はみられません。普天間基地問題解決を叫びながら、沖縄県民の声にふれていないのもまた共通しています。メディアの現状は惨憺たるものと実感します。日米安保の是非について国民的な議論はいよいよ避けられないといえるのではないでしょうか。
(「世相を拾う」10010)
*
*こちらもお願い⇒
【関連記事】
しょせん「たらい回し』路線-鳩山「県外移転」では解決しない。。
正念場の民主党政権- 沖縄県民集会を前に
【上記社説全文】 ⇒こちら
三大紙社説=安保50年
http://www.asahi.com/paper/editorial20100109.html
岡田克也外相とクリントン米国務長官が週明けにハワイで会談することが決まった。鳩山政権が昨年12月、米軍普天間飛行場の移設先の決定を先送りする方針を決めて以来、初めての会談だ。傷ついた信頼関係を再構築する出発点としたい。
鳩山由紀夫首相は昨年末、コペンハーゲンで開かれた温暖化対策の国際会議の際にオバマ大統領との会談を模索したが実現しなかった。岡田氏の昨年中の訪米も見送られた。
クリントン氏が今回、会談に応じたのは、普天間問題のこじれで指導者同士が会うことすらできないというような印象を内外に与えることは、日米関係の重要性から見て好ましくないと判断してのことだろう。
普天間の移設先について、政府は5月までに結論を出すべく、政府・与党の作業チームで辺野古以外の案の検討を始めた。外相会談では、日本側の考え方と取り組みを説明し、立場の違いはそれとして、意思の疎通を図ってほしい。
会談にはもうひとつ、重要な課題がある。普天間問題のもつれで棚上げ状態になっている「同盟深化」の協議に入るよう合意することだ。
今年は現在の日米安保体制ができてから50年の節目にあたる。昨年11月の首脳会談では、未来に向かって両国関係を重層的に強化する「同盟深化」の議論を始めることで一致した。 日米安保は冷戦を背景にできたが、冷戦後も引き続きアジア太平洋地域の安定のために欠かせない。橋本龍太郎首相とクリントン大統領は1996年、安保体制をそうした同盟として再定義する共同宣言を発表した。
それから10年以上がたち、中国の台頭をはじめとする安全保障環境の変化に加え、国際テロや核拡散、地球温暖化などの新たな地球規模の脅威も顕在化してきた。そうしたなかで、日米の同盟関係をどう役立てるのか。日米協力の意義や日米それぞれの役割を再々定義する格好のタイミングである。
米国側には、自衛隊の海外活動や防衛力整備などで日本がより積極的な役割を果たすことへの期待もあるに違いない。鳩山政権側には、軍事中心になりがちだったこれまでの同盟の幅を広げたいとの意向がある。
日本は何をすべきなのか、あるいはすべきでないのか、国民の間でも幅広い議論をする好機になる。
この日米外相会談を、普天間問題はひとまず切り離して、そうした大きな日米関係の重要性を確かめ合う場としたい。
だからといって、普天間問題を早く決着に向かわせることの大切さは変わらない。鳩山首相が内外に公約した5月までに責任ある結論をまとめなければ、同盟の本論も漂流しかねない。
鳩山外交 揺らぐ日米同盟を再建せよ(1月4日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20100104-OYT1T00022.htm
日米両国は今年、安全保障条約改定50周年という節目の年を迎えた。ところが、日米関係は前例のないほど危うい局面に差しかかっている。皮肉かつ不幸な事態である。
北朝鮮の核・ミサイルの脅威や中国の急速な軍備増強――。日本の置かれた安全保障環境は相変わらず厳しい。地球温暖化やエネルギー、軍縮など、地球規模の課題の重要性も増している。
一連の課題に効果的に対処し、アジアと世界の平和と繁栄を確保する。そして、日本の国益を守る。そのためには、やはり強固な日米関係が欠かせない。
◆「普天間」解決が急務だ◆
鳩山政権は、重大な覚悟で、日米間の不信を解消し、同盟関係を再構築しなければなるまい。当面の急務は無論、米軍普天間飛行場の移設問題の解決だ。
鳩山首相は、沖縄県名護市に移設する現行計画を見直し、別の移設先を模索する意向を示した。
だが、その作業と並行して、1996年の普天間飛行場返還合意以降の経緯を冷静に再検証すべきだ。そうすれば、米側の主張通り、現行計画が「唯一、実現可能な選択肢」であることが分かるはずだ。
今月24日には名護市長選が予定される。仮に現行計画を容認する現職が敗れれば、計画の実現がより困難になろう。
首相が、日米同盟と地元負担軽減の両立を本気で考えるなら、新たな移設先が見つからない場合に備えて、現行計画を進める選択肢を確保しておく必要がある。
鳩山外交の最大の問題点は「日米同盟が基軸」と言いながら、何ら行動が伴っていないことだ。その根本的な原因は、同盟の根幹である米軍の日本駐留の意義を、首相や関係閣僚が十分に理解し、共有していないことにある。
首相はかつて、米軍が平時は自国にとどまり、有事にだけ日本に前方展開するという「常時駐留なき安保」構想を掲げていた。
だが、米軍は常に日本に駐留してこそ、有事への抑止力や即応能力を発揮できる。仮に在日米軍を大幅に削減する場合、その「力の空白」を誰がどう埋めるのか。
在日米軍の存在は、日本防衛だけでなく、アジア全体の平和と安定に「国際公共財」として貢献している。韓国や東南アジア各国が今の日米同盟の揺らぎを心配しているのは、その証左だ。
11月には、横浜でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席するため、オバマ大統領が来日する。
安全保障だけでなく、政治、経済、文化の分野にも及ぶ日米同盟全体を深化させる作業を早期に開始し、具体的成果につなげたい。
◆中韓と戦略的連携図れ◆
日米同盟の強化は本来、鳩山首相の掲げる「アジア重視」や、長期的目標である「東アジア共同体」構想と何ら矛盾しない。米国か、アジアか、といった二元論に陥る愚は避けるべきだ。
様々な分野で影響力を増す中国とは、首脳や閣僚間の対話を継続し、戦略的互恵関係をより実質的なものに高める努力が大切だ。
東シナ海のガス田問題は2008年6月に日中共同開発に合意しながら、具体的な進展が一切ない。北朝鮮の核や地球温暖化の問題を含め、中国が大国として責任ある行動を取るよう、粘り強く働きかけることが重要となる。
今年は、日韓併合から100年でもある。歴史問題が再燃しないように、両政府には、注意深い対応が求められる。
李明博政権の発足以来、日韓関係は安定している。その流れをより確かなものにするため、政治や安全保障に関する未来志向の共同文書を作成してはどうか。
「テロとの戦い」の一環としてインド洋で給油活動に従事していた海上自衛隊の艦船は、今月15日の特別措置法期限切れに伴って活動を終了し、撤収する。
◆自衛隊の恒久法制定を◆
政府は、アフガニスタンに対する資金支援に重点を移すという。だが、日本の人的貢献がなくなることは、国際協調行動からの離脱と解されかねない。国際社会における日本の存在感も弱まろう。
日本の国連平和維持活動(PKO)派遣人員は昨年10月末時点で39人、世界84位にすぎない。主要8か国(G8)で最も少ない。
世界の平和と安全の確保は、通商国家・日本の存立基盤だ。
年末に予定される「防衛計画の大綱」の改定では、より積極的に国際平和協力活動に参加する方針と、それに応じた部隊編成や装備導入を打ち出す必要がある。
より迅速な部隊派遣を可能にするには、自衛隊の海外派遣に関する恒久法の制定が欠かせない。民主党は野党時代から恒久法に前向きだった。野党の自民党とも連携し、超党派で実現すべきだ。
社説:2010再建の年 日米安保 首相自ら同盟像を語れ
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20100109ddm005070106000c.html
日米安全保障条約は今年、改定50年の節目を迎える。鳩山由紀夫首相とオバマ大統領は昨年11月、これを機に日米同盟深化に向け「協議のプロセス」を進めることで合意した。
冷戦終結から20年が過ぎた。米国の一極支配は揺らぎ、中国の台頭などによる多極化時代を迎えている。日本にとっては核実験と弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮の脅威が厳然と存在する。これら日本を取り巻く安保環境の変化に加え、01年の「9・11」以降、国際テロリズムが世界の安全保障の重要課題となった。
◇普天間の解決が前提
日米同盟が戦後日本の繁栄の礎となったことは間違いない。自由や民主主義など基本的な価値を共有する米国との関係を今後も維持し発展させることは、日本の国益に資する。鳩山政権も日本外交の基盤は日米同盟であると言明している。
14年前、日米安保は「アジア太平洋地域安定のための公共財」と再定義された。昨年、ともに政権交代を果たした日米両国が、共通の目標を確認し、そのツールとして「世界の平和・安定のための公共財」に再び定義し直すことは有意義であり、同盟関係深化の基本的な方向だろう。
ところが、この取り組みと「普天間」移設問題を切り離そうとした首相の意図とは裏腹に、普天間の先送りと迷走によって同盟深化の協議そのものが先延ばしになっている。
普天間をめぐる首相の言葉の軽さは、米国内に戸惑いを引き起こしている。引き続き鳩山政権の行方を見定めようとする比較的好意的な見方がしぼむ一方で、首相に対する不信や不安、失望、鳩山政権へのあきらめに似た脱力感が渦巻いたまま年が明けた、というのが実態だ。
不信やあきらめの意識が米政権全体を覆うことになれば同盟関係への影響は避けられまい。普天間問題がただちに日米同盟の崩壊に結びつくような議論は現実的でない。が、昨年のような首相の言動が続けば、「同盟の空洞化」の引き金になる可能性を否定できないのも事実である。
同盟深化の協議を本格化させるには、首相が普天間問題で強いリーダーシップを発揮し、落着させることが必須である。同時に、日米同盟に関する大きなビジョンを首相自身が発信することが求められている。
鳩山首相は首脳会談で、同盟深化について「拡大抑止や情報保全、ミサイル防衛、宇宙などこれまでの安全保障分野に限らず、新しい課題も含めた協力強化を進めたい」と語った。そして、「新しい課題」として防災、医療、教育、環境を挙げた。
「9・11」以降、国際テロリズムの脅威が現実のものとなり、テロ組織による大量破壊兵器の拡散の危険性が指摘され、「新しい脅威」が顕在化している。こうした新たな安全保障上の危機の温床である貧困問題や民族紛争、内戦、宗教対立に対処し、新たな貧困を引き起こす地球環境悪化や飢餓など地球規模の問題をも安全保障上の課題として取り組む重要性がかつてなく増している。
これまで「非伝統的な安保問題」と注目されながら軽視されがちだった分野であり、最近は、新たな脅威・危機の性格に着目し、戦争や紛争などを病に見立てて、「予防医学的」な安保課題とも呼ばれている。
首相の指摘した「新しい課題」がこうした理念に通じるものかどうか不明だが、予防医学的な安保課題を同盟深化協議の柱の一つに位置付けることができれば、日米同盟を「世界の平和のための公共財」に発展させる契機となるに違いない。
◇「予防」「臨床」は2本柱
しかし、このような課題だけを強調するのではバランスを欠く。北朝鮮などの脅威を目の前にして、非伝統的な安保課題だけを語るのは現実的ではない。予防医学的な手法の強調が、軍事力と抑止力を背景にした旧来の「臨床医学的」な安全保障上のアプローチの必要性を過小評価することに結びついてはならない。
1990年代の安保再定義は、日米安保共同宣言に結実し、「日米防衛協力のための指針」改定で完結した。これに基づいて自衛隊の米軍への後方支援を可能とする周辺事態法が整備された。その後の展開は、自衛隊の活動領域・内容の拡大の歴史だったと同時に、戦闘地域と非戦闘地域を区分して後方支援の憲法論議をクリアすることで、集団的自衛権行使の議論を回避するものだった。
鳩山政権が、日米防衛協力の深化の方向や、ミサイル防衛のあり方を検討するにあたって、この集団的自衛権行使の是非が大きな論点の一つになるのは間違いない。
また、鳩山政権が進める日米間の過去の「核密約」の解明は、日本の国是である非核三原則と、核抑止を軸とする拡大抑止の関係を浮かび上がらせることになる。米政府による核兵器の運用は、密約当時と今とは大きく変わっており、ただちに核持ち込みが現実問題となる可能性は極めて小さい。しかし、非核三原則と密約、拡大抑止について理論的な整理は避けて通れない課題である。
日米同盟の日本側の最終的な管理・運営者は首相である。同盟関係を深化、発展させる責任を負っている。統治者としての資質が問われていることを首相は深く自覚すべきだ。
辺野古でなければいいというものではない。。
追記に追記しました(参照)。
米軍基地問題が、これだけ引きずるのは、いかに今の政権にとっての難問なのかを示していますね。参院選をにらんだ、精一杯の対応、つまり先送りだともいえるでしょう。が、問われているのは、民主党だけではなく、社民党にとっても同じこと。
加えた記事で、福島瑞穂はとりあえず同党の立場を語っています。が、ニュアンスを感じなくもありませんね、私は。
辺野古、つまり日米合意以外の代替案ならば結構などと考えているわけではないでしょうね。県外であればいいというのは、結局のところ、基地問題の平行移動にすぎません。ちょうど、この記事の問題のように。昨年末に伝えられた、米兵の子が引き起こしたこの事件。ここまでくるのにどれほどの時間を要したのか。しかも、送致されたのは一人です。いうまでもなく、この事件とその後の経過は、米軍基地と日米地位協定がなければありえなかった。沖縄でいったいどれほど繰り返されたのか。同様の問題を、たらい回しにすることによって移動させるにすぎません。少なくともその可能性に注目せざるをえません。そもそも県外移転と叫ぶだけでは不十分なのです。米軍基地は、米国に返す。即時撤去を強く要求すべきというのが私の考えです。
*応援をよろしく ⇒
*こちらもお願い⇒
基地たらい回しの発想から抜け出しえない民主党
小沢一郎がこう発言したのは、連立を組む3党の幹事長・国対委員長の忘年会の席上だと。読売の記事では、小沢が(現行案に)難色を示したということだけを伝えています。中身はこれではまったく分かりません。が、毎日が一歩、踏み込んでいます。以下の2つの記事を読み比べてください。
与党忘年会、小沢幹事長が普天間現行案に難色 民主、社民、国民新の与党3党の幹事長・国会対策委員長が29日夜、都内の日本料理店で忘年会を開き、2時間余り歓談した。 出席者によると、民主党の小沢幹事長は、来年夏の参院選で社民、国民新両党と選挙協力を行う考えを示した。さらに、「来年の盆と暮れもこうやって会合を開こう」と述べ、参院選後も3党連立を継続する意向をにじませた。また、沖縄県の普天間飛行場の移設に関し、「きれいな海を埋めるのはだめだ」と語り、現行案に難色を示したという。 |
普天間移設:小沢幹事長「下地島」提起 民主党の小沢一郎幹事長は29日夜、東京都内で開いた与党3党の幹事長・国対委員長の忘年会で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題について「(同県宮古島市の)下地島に使っていない空港がある」と述べ、現行計画に基づく米軍キャンプ・シュワブ沿岸部(同県名護市辺野古)に代わる移設先として、下地島を検討すべきだとの認識を示した。 小沢氏は会合で、社民党の重野安正幹事長に対し、普天間飛行場の移設先について「あなたのところ(社民党)は、沖縄県だったら全部駄目なのか」と質問。重野氏が米グアム移設案を重ねて主張したところ、小沢氏が下地島案に言及したという。小沢氏は「きれいな海を埋め立てるのは駄目だ」とも語り、現行案での決着に否定的な考えを示した。 下地島は沖縄本島と台湾のほぼ中間にある。3000メートルの滑走路を持つ下地島空港(79年7月開港)があるが、現在定期便はなく、航空会社がパイロットの離着陸訓練などに利用してきた。普天間飛行場の移設先として浮上したこともあり、北沢俊美防衛相は10月、井上源三地方協力局長を派遣し、沖縄県の伊江島などとともに視察させていた。 忘年会には、民主党から小沢氏のほか、山岡賢次国対委員長、社民党からは重野氏と辻元清美副国土交通相、国民新党から自見庄三郎幹事長と下地幹郎政調会長がそれぞれ出席した。小沢氏は席上、来夏の参院選後も3党連立体制を続ける意向を示したという。 |
小沢が示した代替案は下地島。
下地島(宮古島市)は、ご存知の方がおられるかもしれませんが、同島の空港が民間パイロットの訓練空港として使用されていることで知られています。2002年には、全日空機が訓練中に大破したことで話題を呼びました。自衛隊の同空港使用もこれまで議論になってきたようです。ただし、同空港の軍民共用については、革新屋良琉球政府時代に覚書が交わされており、できないこととされています。
小沢の発言は、外形的には沖縄県民の県外移転と、辺野古への移転は認めないという強い意思を慮りつつ、米軍も同島に関心をこれまで示しているといわれてきましたから、米国の顔もうかがいながら、結局、たらい回しをしようというものにほかなりません。小沢がもちだしている案は、県外移転でも、むろん即時撤去にふさわしい内容でもないということです。そもそも県民の願いと米国への追随を同じ天秤にかけようとする考えに私は同意できませんが、米国の要求にこたえようとする点で同党の閣僚などの発言と基本線は少しもかわらず、それを県民の願いに優先させようとする結果の代替案といえるのではないでしょうか。移転問題の真の解決という点では、米軍の基地は、米国に返すという以外に、その方向はないとあらためて考えるのです。しょせん発言は忘年会の席上のことではありますが。本島ではなく、宮古島ならいいというものではありません。
(「世相を拾う」09294)
*応援をよろしく ⇒
*こちらもお願い⇒
再び盟主へ訴える鳩山
何を信じてほしいと、鳩山首相はいうつもりだったのか。推測すれば、日米合意にそって解決する、そのことを米国大統領に伝えるということでしょう。米国を裏切ることはない、と。米国にたいする忠誠です。
書簡でも「信じて」=鳩山首相がオバマ大統領に-米紙 29日付の米紙ワシントン・ポストは、複数の米政府当局者の話として、米軍普天間飛行場移設問題をめぐり、鳩山由紀夫首相がオバマ大統領に書簡を送り、自身を信じてほしいと伝えるとともに、年内の解決を約束していたと報じた。 同紙によると、書簡はホワイトハウスが水面下でこの問題での首相の意向に懸念を伝えた後、送られてきたという。書簡の具体的な日付などについては不明。 同紙は「首相は大統領に2度にわたって信頼するよう求め、年内決着を約束した」と報道。1度は11月の東京での首脳会談で、もう1回が書簡を通じてだったとした。 また、首相が17日にコペンハーゲンで会談したクリントン国務長官から日本の立場に理解を得たと発言したことに関し、「明らかに事実でない」と指摘。同長官が藤崎一郎駐米大使を異例の形で呼び出したのは、現行移設計画履行を求める米政府の立場は変わっていないことを理解させるのが目的だったと解説した。 |
鳩山氏は、記者から求めるたびごとに見解がかわるというのが大げさではないほどに、左右に揺れ続けてきたのが事実。まさに八方美人と私には思えましたが。その首相の態度も、直近では一点に収斂しつつあるように思えます。
グアムへの移転は困難だとのべました。なので、基本は、日米合意を前提に動いていくでしょう。来年の参院選を視野に入れている首相は、5月までに方向を出すといっていますが。年があけて、普天間基地の無条件撤去という意思いよいよ拮抗するのでしょう。まあ、鳩山首相は米海兵隊を抑止力と考えているようですし、それは海兵隊と直に接してきた沖縄県民の思いと合致することはないと私は思います。これから、いよいよ民主党のなかに矛盾が広がるのではないでしょうか。
鳩山首相は米国大統領に信じてほしいとのべればのぼるほど、それは沖縄県民の意思と世論との対立をいっそう深めることになるのでしょう。
(「世相を拾う」09294)
*応援をよろしく ⇒
*こちらもお願い⇒
改憲を口にしはじめた鳩山首相
今朝早く、新聞社のサイトをみてまわると、こんな記事が掲載されていました(参照)。
昨日のエントリーで取り上げたことが、こうして鳩山首相がのべるという現実になる。これを直視せざるをえません。憲法改定が早晩、焦点になるということです。
もともと鳩山由紀夫は改憲論者。改憲議連にもまだ名を連ねているのですから、当然といえる発言といってよいかもしれません。「必ずしも9条の話ということではなく、地方と国のあり方を大逆転させる地域主権という意味における憲法の改正」と本人は語っています。しかし、これは彼がいうのと反対の意味にとらえるべきでしょう。すなわち9条にかかわる点が改憲の第一のねらいだと。この発言が今の時期にもちだされる点に照らしても、そう考えざるをえません。
普天間基地移転問題の処理にかかわって、5月までに決着と首相自身がのべましたが、圧力をかけられ、民主党にとっては待ったなしの状況が米国側からつきつけられています。集団的自衛権容認を憲法上も規定できるような方向づけを、この事態に際して米国にむけて発信しておきたいという思惑は当然あるにちがいないと思うのです。
そこで、鳩山首相がむしろ改憲の理由としてあげている地方分権。「地方と国のあり方を大逆転させる」というのだけれども、地方分権とは何か。民主党はすでに「霞ヶ関の解体・再編と地方主権の確立」という政策提言を発表しています(4月)。つづめていえば、この提言はこれまでの自民党政権が主張してきた地方分権を継承しようというものです。より加速して。自民党のいう地方分権とは、国の役割を防衛・外交など最低限にとどめ、自治体に住民に関わるサービスを押し付けようというもの、やれないときは、広域の自治体が担うというものでした。こうした役割分担論を引き継いでいます。一度はこの考えのもとで、市町村の数を700から800までに絞り込もうというものでした。批判を受け、これをマニフェストから消しました。が、岡田外相は堂々と道州制もありうると発言しているではありませんか。
地方主権というのも、おかしな言葉であって、主権はまさに国民、住民でしょう。そこに基本をしっかり置かなければならない。地方分権という定義で進められようとしているのは、経団連が繰り返し強く主張していることからも明らかなとおり、広域にした分だけ、国際競争力を題目にした巨大開発がやりやすくなるからでしょう。潤うのは財界。だからこそ経団連は道州制に熱心だといえるのではないでしょうか。
この間、「三位一体の改革」と称して、地方交付税の削減などで地方財源を切り縮めてしまった。これでいっそう地方自治体の財政は逼迫しました。これを根本的に見直し、財源を戻していくことが必要でしょう。政府が、地方自治体が国の基準以上の福祉の施策をやったら、ペナルティーを科しているくらいの中央集権的な対地方自治体政策をやめるべきでしょう。地方自治体が地方自治法にもとづいて住民福祉の機関として役割を果たせるようにするのが、国の責任だ。この限りで、民主党の地方分権とは住民に目を向けたものではなく、財界に目を向けたものといっても過言ではありません。
鳩山由紀夫氏がこの時期に、改憲を口にし、しかもその理由に地方分権などという言葉をもってすることを問わなければなりません。
(「世相を拾う」09292)
*こちらもお願い⇒
「正義の戦争」または失望
神か。それとも国連か。あるいは米国か。
答えは簡単で明瞭。米国が決めるのです。
オバマの受賞スピーチに失望を感じ取った人も少なくないようです。
今朝のサンデーモーニングを視ていると、スピーチを聞いて、いまでもオバマを信じ、演説ではオバマの真の思いを語ったのではなく、米国の伝統を慮ったものだという発言もあった。しかし、受賞したのはオバマであって、米国ではない。オバマは自らの思想を語らなければなりません。
結局、オバマといえども、そしていかに強力な立場の米国大統領といえども、彼を支えた階層の請託を無視することはできなかった。それがオバマの演説に表現されたわけです。いうまでもなくアフガン戦争は米国支配層の思惑に沿っています。
ひるがえって日本国。
国の舵取りの一つひとつが徐々に政権にたいする失望を招いています。蛇行する舵取りは、政権についてからまもないがゆえの未熟さに由来するものとはいえません。偽善的ともいえる国民世論に応えようとする思惑がいまや桎梏となっているし、本来の民主党の思想と交差し、矛盾のただなかにあるといえそうです。蛇行はその結果でしょう。自民党政権がゆきづまり、構造改革に痛みつけられた沸点に達した国民の怒りは、自民党ではないという意味で正義の民主党を選択しました。自民党ではないというところに正義をただ読み取って。
その民主党。選挙中の同党の発言に正義を感じた人びとは、今現在の発言に不正義を見出すでしょう。論理的にいえば見出さねばならない。発言の内容はまるで変わったか、変わりつつあるのだから。ここに、オバマに等しい非合理を私は感じます。オバマも、日本の民主党も先にのべたように、支持層の請託を無視はできません。オバマはもちろん米国の二大政党の一つに属しているし、民主党もまた、自民党に代わりうる保守政党という属性から抜け出すことはできない。
結局、自民党とは異なる政党でありながら、ちがいは支配勢力の許容しうる程度のものにすぎません。民主党とは、自民党の否定から出発しているのではなく、いくらかの差分をもった政党ということです。だから、不正義の自民党にとってかわれば、すなわちそれが正義とはならない。かぎらないのです。
モジモジ君は私の贔屓の一人ですが、そのモジモジ君が論文の末尾で教えてくれています。
人の生を無条件に肯定すること。そして、論理的であること。この二つさえあれば、私たちの間の対立は神々の争いなどではまったくない。それらがあれば、議論それ自体の持つ力だけでこの世界をよりよいものに考えていく可能性は既に開かれている。後は私たちが何を選択するかである。(*1) |
この視点で、オバマを、そして(日本の)民主党の今を考えてみる必要があるのでしょう。
(「世相を拾う」09284)
*こちらもお願い⇒
*1;「批判的合理主義の正義論」
米国に袖にされた首相
鳩山首相の思惑空振り=米、小沢氏に照準か-普天間移設 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題をめぐり、鳩山由紀夫首相が模索した来週の日米首脳会談が10日、見送られることになった。米政府の対日不信の払しょくが狙いだったが、単なる懸案先送りととらえた米側が応じようとせず、首相の思惑は空振りに終わった。普天間問題の早期決着を求める米国は、民主党の小沢一郎幹事長に照準を合わせたと取れる動きを見せており、首相官邸は神経をとがらせている。 首相は10日、日米首脳会談について、訪問先のバリ島で「こちらから提示している段階ではない」と語り、事実上断念したことを認めた。 米側は「(日米の閣僚級)作業グループでの取り組みが最善の道だ」(ギブズ報道官)と首脳会談に否定的な姿勢を示し、日米の溝の深さがかえって際立つ結果になった。政府内からも「日本側の方針が決まっていないのに会談しても意味がない」(外務省幹部)と、冷ややかな声が上がった。 小沢氏、影響力を誇示=訪中団に議員140人 |
いずれも時事通信の記事。記事の紙背には、首相の指導力低下と政権の傀儡性を強調するものとなっています。政権発足当初から、小沢が幹事長に納まるという構図から、その点は指摘されていたことではあるのですが。発足以来の数カ月の経過は、記事の思惑のとおり、いよいよ鳩山の影が薄くなる一方です。小沢氏が誇示する訪中といっても、いったい何が協議されたのか、その成果もほとんどみえない程度のもののようです。ですが、小沢の影響力だけが強調されるものとなっているのは事実のようにみえます。一部には鳩山短命説も飛び出す状況です。
結局、想定されるのは、懸案の普天間基地移設も小沢が登場し、党内を取りまとめる。その結果、日米合意を前提とした「解決」が図られるという結末でしょうか。
というのも、普天間で政府の決断を阻むものが連帯相手の社民党の主張と鳩山首相もふくめて閣僚たちが繰り返しいってきた
わけです。しかし、社民党もこの問題で、表向き福島瑞穂が辺野古移設なら連立政権離脱もと牽制したものの(参照)、そのあとすぐに、阿部知子がこれに否定的な意見をのべている(参照)。これは社民党も動かない事態をこれ以上放置するのではなく収束しようと考える動きがあることの反映でしょう。昨日のエントリーでふれたように、小沢の恫喝じみた発言は、護憲の社民をも黙らせるというわけです。
この社民党の動向の背景には、社民党の存在価値をお互いに認めているという点で、民主党と社民党が異なる立場からであっても一致していることと関係があるでしょう。すなわち民主党は、来年参院選までの左ウイングに支持を広げるためのカードの役割を社民党に期待するという。そして、社民党は、存在価値をアピールする上でも議席確保は最低条件のはずで、いくらかの選挙協力を民主党に期待するというそれです。しかし、この関係は誰がみても非対称。民主党は、つまり来年参院選での単独過半数のの見通しがついた時点で、この両党の現状の関係は、一気に動くとみてよい。それだけに社民党はとどのつまり民主党のいうとおりにならざるをえないと推測するのです。
むしろ、民主党政権は、普天間問題でも社民党への配慮を強調していますが、怖いのは世論の動きでしょう。
現政権が決断をするとき、そこにおそらく小沢がいるだろうということです。小沢の意向ぬきで米国との決着をつけるようなことを、現政権はしないだろうということです。小沢がいないと事態は動かないというのですから、これは一面で危険なことです。
それは、政府と政権党という2つの異なる機能を、政府・与党一元化という名で同一のものにしてしまう。政府がきめた方針は、国民に支持された政権党だし、政府が決めた方針に与党は従えといって議員立法を否定する。政府提案議案の議論のみが優先する。国会の調査権は無視というわけです。そして官僚答弁禁止の名で、内閣法制局長官の答弁を禁止するというわけですが、これが憲法解釈をねらいとしたものだという強い指摘があります。こういう国会改革案を社民党は了解したのです。
国会改革案を通常国会冒頭に成立させようとする小沢一郎。それに飲み込まれた社民。普天間も、このままいけば同様の結末ということになるものと予測します。
この過程に、鳩山氏の出る幕はない。すでに、名ばかりの首相という名を冠してもよいのかもしれません。
(「世相を拾う」09281)
*応援をよろしく ⇒
*こちらもお願い⇒
きょうの普天間問題・続
普天間移設:防衛相「グアムは困難」 北沢俊美防衛相は9日午後(日本時間同)、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題の年内決着を先送りする日本政府の方針に関し「在日米軍再編にかなり影響が出る。日本の責任は重い」との認識を示した。交渉当事者の一人が日本の責任に言及するのは極めて異例で、波紋を広げそうだ。米領グアムの米軍基地視察後、同行記者団に語った。 社民党が求める普天間飛行場のグアム移設については「日米合意から大きく外れる。期待して何かをすると頓挫する」と、実現は困難との考えを表明。普天間移設を先送りし、合意にある米海兵隊8000人のグアム移転を先行させることには「一方は片付けるが、他方は後回しというのは難しい」と述べた。 日本政府の対応に関しては「連立与党3党でしっかり腹固めをして、米側と協議に入る。なるべく早く解決すべきだ」と指摘。11日に予定される与党党首会談などを踏まえ、具体的な日本政府方針を取りまとめるとの見通しを示した。 鳩山由紀夫首相は7、8両日、政府方針をめぐり、北沢氏や岡田克也外相ら関係閣僚と協議。(1)年内の移設先決定は見送り(2)対米協議では普天間飛行場の危険性除去など沖縄県民の負担軽減を優先(3)新たな移設先も模索-との方向で調整している。しかし、米国が新たな移設先の検討などを受け入れる見通しは立っていない。 |
在日米軍再編:普天間移設先送り 行程表、遅れ可能性言及--平野官房長官 平野博文官房長官は9日午前の記者会見で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題の先送りに関連し、在沖縄海兵隊8000人のグアム移転なども含む在日米軍再編ロードマップ(行程表)について「普天間の問題がもう少し時間がかかり、次のアクションプランが取れないならば、多少は時間軸の中で変わる可能性はある」と遅れが生じる可能性に言及した。 平野氏は4日の記者会見で、遅れが出ないよう普天間移設と海兵隊のグアム移転を切り離して協議する意向を示していたが、米側の反発で困難な情勢となったことが反映した発言と見られる。また、ロードマップで2014年完了とされる普天間移設が遅れた場合の老朽施設の改修について「どうしようもない部分については対応策を考えなければならない」と述べた。 |
平野氏のこの発言にいたっては、ほとんど理解しがたい。問題は年内決着するかしないかではなく、たらい回しをするかしないかでもない。政府合意を破棄し、普天間基地の撤去を、米国に通告できるかどうか、その決意が民主党にあるのかないのか、です。
選択肢をいくつか閣僚がこれまで語ってきました。しかし、現状では、自ら前言を翻したり、他の閣僚が打ち消したりと、その選択肢を自ら悉く否定する発言が今、繰り返されています。そして、行き着くのは、結局、日米合意になる。こう推測できるのではないでしょうか。
たとえば、民主党がさかんに、この基地問題が暗礁に乗り上げている要因としてあげている社民党ですが、同党にも、こんなさや当てが始まっています。
福島氏の「連立離脱示唆」発言を批判 社民政審会長 社民党の阿部知子政審会長は9日、沖縄県の米軍普天間飛行場の移設問題にからみ、福島瑞穂党首が連立政権離脱も辞さない姿勢を示したことについて、「離脱うんぬんを本当はこんな時期に持ち出すべきではない」と批判した。テレビ朝日の番組で述べた。 阿部氏は「もっと(与党)3党で論議し、米国とも交渉しなければ」と語り、福島氏が事態を複雑にしたと指摘した。福島氏は、鳩山内閣が同飛行場の同県名護市への移設を決めれば「重大な決意をせねばならない」と発言。これが4日の党首選での無投票4選の流れをつくり、党内で軽率との批判が出ていた。 |
民主党がいうほどの、社民の壁は堅く、厚いのでも何でもない。沖縄県民の意思と世論が堅く、厚いのです。
社民党は、つまるところ、小沢国会改革にも同意したと伝えられています。少しは気骨があるところもあるのかなくらいには同党のことを考えたりもしてきましたが、この党を過大評価する必要はまったくなさそう。私は、小沢国会改革と銘打って打ち出されているいくつかの論点のうち、最大の焦点は、内閣法制局長官の見解を否定することにあると思います(参照)。つまり、それは解釈改憲に大きく道を開く。この点で、社民がかかげてきた、彼らにすると、アイデンティティとしてきたはずの護憲もあやしいことになる。
阿部知子の上記の発言は、そうした含みをもっていると考えてみてはどうでしょう。
(「世相を拾う」09280)
*応援をよろしく ⇒
*こちらもお願い⇒
きょうの普天間問題
どことなく、やつれた感じが否めない岡田外相の相貌に言及するメディアが現れてきました。が、一方の、鳩山氏は映像で流される限り、ノーテンキな雰囲気をますます醸し出しています。首相の自身の感想は下記に示したとおり。彼は、煮詰まってきたという実感をもっているようです。どこがそうなのか、分かりませんが。
いずれもMNKオンラインからの引用です。
鳩山首相“かなり煮詰まる” 鳩山総理大臣は、沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設問題をめぐって、来週までに取りまとめたいとしている政府の方針について、8日夜、記者団に対し、「かなり煮詰まってきている」と述べ、詰めの調整を行っているという認識を示しました。 鳩山総理大臣は、普天間基地の移設問題について、政府の方針をアメリカ側に伝えたいとしており、来週18日にデンマークで開かれる国連の会議、COP15の首脳級会合の際に、アメリカのオバマ大統領と会談したいとしたうえで、それまでに決めたいとしています。そして、鳩山総理大臣は8日も、政府の方針の取りまとめに向け、総理大臣官邸で、岡田外務大臣、北澤防衛大臣、前原国土交通大臣、それに平野官房長官と、およそ1時間にわたって協議しました。これについて、鳩山総理大臣は8日夜、総理大臣官邸で記者団に対し、「政府の方針を決める方向で、今、努力しており、かなり煮詰まってきている。ただ、まだ議論が必要なところがある」と述べ、詰めの調整を行っているという認識を示しました。また、鳩山総理大臣は、日米同盟のさらなる深化を目指すための新たな日米協議について、アメリカ側が延期の意向を日本側に伝えたと、一部報道で報じられたことについて、「そういう話があったわけではない」と否定しました。また、平野官房長官は、8日午後の記者会見で、普天間基地の移設問題をめぐる政府の方針について、「この問題をなし崩し的にずっと置いておくわけにはいかないので、何らかの方針を立てて、今後どうしていくかを決めていかなければならない。当然、アメリカと合意できるような中身になると思う」と述べました。そのうえで、平野官房長官は、日米同盟のさらなる深化を目指すための新たな日米協議について、「基地問題をはっきりさせたうえで、どうしていくのかということになるのではないか」と述べました。 |
“普天間協議 方向性は一致” 岡田外務大臣は記者会見で、沖縄のアメリカ軍普天間基地の移設問題をめぐる関係閣僚の協議について、議論の方向性はおおむね一致しているとしたうえで、政府としての方針を取りまとめるためには、引き続き議論が必要だという認識を示しました。 この中で岡田外務大臣は、普天間基地の移設問題をめぐる鳩山総理大臣と関係閣僚による協議について、「きのう、きょうと議論の方向性は大体一致している。ただ、最終的には相手がある話なので、社民党と国民新党も納得し、アメリカも納得するような答えを見いださなければならず、なお努力が求められている」と述べ、政府としての方針を取りまとめるためには引き続き議論が必要だという認識を示しました。そのうえで岡田大臣は、この問題をめぐる日米の作業部会の次回の開催予定について、「今後どうなるかは様子を見ないとわからない。日本政府がどういう考え方でやっていくのか、その方向性が出たうえで議論すべきだ」と述べました。 |
民主党が日米安保をどのように今後、扱うのか、これを民主党がはっきり国民に提示するばよいし、日米安保にたいする国民の議論が要るのでしょう。
連立の相手である社民の姿勢を、あたかもこの問題の解決を妨げる要因であるかのように語る民主党の姿勢、たとえばあのくだらない山岡賢次がそう語りましたが、そういっている限り、民主党にこの問題を解決する力はないと私は判断します。
民主党の姿勢をまず明確にせよ。
(「世相を拾う」09279)
*応援をよろしく ⇒
*こちらもお願い⇒
分岐点- 普天間基地問題で政権が問われる
民主党政権のとろうとしている方向が少しづつ鮮明になってきました。ここ数日の政府の対応をまとめてみます。
■日米協議の現状と政府の判断
この問題の現状にたいする認識は、以下のとおり。日米合意路線にたいする世論の強い反発と米国の圧力の板ばさみの中で、ついに嘉手納統合案が自論の岡田外相は旗をあげました。米側への屈服を表明したに等しい会見のもようが伝えられています。
自ら主張してきたはずの嘉手納統合案を「もともと難しい」というに至っては呆れてしまいます。同党の発言はこれまでもしばしば前言取り消しがみられましたが、いよいよ信頼できないことがはっきりしてきたように思えます。発言の一つひとつを疑ってかかる必要があります。
日米協議「もう限界」 岡田外相、普天間解決に危機感
岡田氏は岸本氏との会談で、これまで模索してきた嘉手納基地への統合について「難しい」と表明。「(現行計画は)日米間で煮詰まっていた話。元に戻って議論とはならない」「選択肢はもうない」などと、辺野古移設を受け入れるしかないとの考えを示した。
外相危機感、普天間「白紙なら米の信頼失う」
外相は同日、名護市などで民主党支持者らとの意見交換会に出席。会合では県外移設を求める声が相次いだが、外相は「皆さんの思いはわかったが、米国がかなり厳しい。現行案が白紙になれば、普天間の危険性は固定される」と述べた。
普天間移設:「県外」は時間かかり難しい 沖縄で岡田外相
移設問題で「県外移設は時間がかかり難しい。普天間飛行場を固定化していいのか」と強調した。集会後の記者会見では従来主張していた米軍嘉手納基地(同県嘉手納町など)への統合案について「もともと難しい」と指摘。キャンプ・シュワブ沿岸部(同県名護市辺野古)へ移設する現行計画を容認する姿勢を示唆した。
現政権の態度をある種、決定づけているのは米国の強硬な姿勢であることは否めません。4日の作業グループのもようが伝えられています。ですから、それまで国民向けに、期待をもたせるような発言をして、いわば二枚舌で対応してきた民主党と同政権は、「選択肢」がなくなり、方向づけをせざるをえなくなったということですね。
米国側の見方の一つが記事になっています(参照;米国はいつまでも鳩山政権にやさしくはない)。まあ、社民党の位置は、記事がいうような重みをもっているとは私は思いません。現状を社民が規定しているということではなく、それをいうなら、沖縄の意思とそれを後押しする世論ということになるでしょう。
ルース米大使が日本側に激怒 岡田外相らの面前で大声張り上げる 普天間移設の年内決着断念で
■沖縄県民の声
岡田外相を前にして、沖縄県民の意思は明確です。記事には、的確な反応が示されています。米国優先、これこそ民主党政府の考えていることだという指摘です。
「私たちより米大事か」外相に名護住民怒号
■マスメディアの反応
マスコミは下記の朝日社説に代表される、むろん日米合意に沿った解決を主張しています。
普天間越年―鳩山首相は自ら道筋を
一つの節目と冒頭でいいましたが、当ブログでも指摘してきたように、基地移転問題の帰趨が政権を揺るがすことになるという見方は、広がっているとみてよいようです。
朝日は、あの小泉の予言という格好で語らせています。
しかし、鳩山氏は二枚舌を使いつつ、こんな傍観者的な発言を繰り返す無責任を少しも理解していないようです。芥川龍之介ならば、こういいのでしょうか。
傍観者的な、余りに傍観者的な
と。
普天間移設で首相「グアムも検討」「辺野古生きている」
そして、このくだりが面白い(上記産経)。二枚舌の鳩山とそれに無邪気に反応する福島。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091205/plc0912050139004-n1.htm 鳩山首相は4日、「グアムに全部移設することが、米国の抑止力ということを考えたときに妥当か検討する必要がある」と記者団に語り、年内決着どころか、グアム移設も含め検討する考えを示していたのだ。福島瑞穂消費者・少子化担当相(社民党党首)は「選択肢の幅が明確に広がったことを大変歓迎している」と強調した。 |
■政権が問われる
日米合意は、自民党のやったことという逃げ口上は、許されない。政府の、とくに首相の明確な認識と態度が問われている。鳩山氏がしばしば口に出してきた「親密で対等な日米関係」の中身が問われている。
氏には、鳩山政権そのものが今、問われているという認識があるのでしょうかね。
(「世相を拾う」09280)
*応援をよろしく ⇒
*こちらもお願い⇒
■関連エントリー
基地移転問題。米国への忠誠が第一。。
基地問題で混迷深める民主党
FUTENMAでない基地問題があるのか。
米軍基地移転- 沖縄の声が聞こえぬか。
正念場の民主党政権- 沖縄県民集会を前に
米軍の「要求基準」とは。
日米関係のゆくえ- 基地問題で揺れる民主党政権。
米兵の子はなぜ逮捕されないままだったのか。。
米兵の子4人を殺人未遂容疑で逮捕 バイク女性転倒事件 東京都武蔵村山市で8月、道路に張られたロープでバイクの女性(23)が転倒し重傷を負った事件で、警視庁は5日、在日米軍横田基地所属の米兵の子の少年少女4人を殺人未遂の疑いで逮捕した。 組織犯罪対策2課と東大和署によると、逮捕されたのは15~18歳の少年少女4人。4人の逮捕容疑は、同市伊奈平1丁目の市道を横断するようにロープを張り、8月13日午後11時半ごろ、通りかかった同市内の会社員のバイクの前部にロープを引っかけて転倒させ、頭蓋骨(ずがいこつ)が折れる重傷を負わせたもの。 4人のうち2人が基地内に住んでいるため、同課は日米地位協定に基づき米軍側に身柄の引き渡しを求めていた。同課は11月24日に殺人未遂容疑で4人の逮捕状を取ったが、米軍側が引き渡しに応じない状態が続き、今月1日に有効期限が切れたため逮捕状を更新していた。 捜査関係者によると、第1発見者が車で現場を通りかかった際、女性が倒れているそばに外国人の少年少女4人がおり、警察官が4人から事情を聴いたが、偽名を名乗るなど不審な点があった。近くの防犯カメラに事件直前、4人が映っていたという。 |
タイトルだけなら、一つの事故にからんだ逮捕劇を伝えただけのものと受け取られかねません。しかし、記事をよく見直すと、事故は今年8月のもの。逮捕はなぜここまで遅れたのか。
訳があります。理由は、日本国と米国の間に日米地位協定が締結されているからにほかなりません。記事にあるように、4人のやったことは明確に危害を加えようとしたことが明らかです。道路を横断してロープを張り固定していたのですから。しかも、真夜中の犯行です。その上、偽名を名乗っているのですから、悪質極まりないといえる。
米国が引き渡しに応じなかったのは、これまでの米兵の様々な犯罪が発覚したときにも必ず繰り返されてきたことです。ここに第一の問題がある。同時に、日本側に問題はないのか。警視庁は何をしていたのか、これが疑問として沸いてきます。それでも、逮捕状が出たのは11月。遅い。「第1発見者が車で現場を通りかかった際、女性が倒れているそばに外国人の少年少女4人がおり、」「近くの防犯カメラに事件直前、4人が映っていた」という状況から、日本国で日本人の犯行なら警視庁の逮捕もこんなに遅れることはなかったでしょう。地位協定はしばしば米兵にとっての治外法権を保障しているといわれていますが、この間の経過はそれを裏付けています。
警視庁が殺人未遂容疑で4人の逮捕状を取ったのが11月24日。1日に逮捕期限が切れるのに、引き渡しに米軍側は応じなかった。
赤旗(4日付)もこれを報道しています。それによれば、事件のあった武蔵村山市が1日、米軍横田基地に説明を求めた際、米軍の返答は「(日本側から)正式に身柄引き渡しの要請を受けておらず、逮捕状も提示されていない。要請があれば、日米地位協定の規定内で協力する」ということ。
外務省・警察庁など政府の対応は、この点で問題ありといえるでしょう。
日米両国の間には、普天間基地移設問題をめぐって山場をむかえています。日本国政府の弱腰は、この事件をめぐっても、従来の自民党政府の対応と少しもかわりません。日本国が米国に従属するという対応において。
こうした米兵や同家族の繰り返される犯行をとおしてみせつけられるのは、日米の非対称な関係の存在と、米軍基地によって日本の安全・安心がいかに奪われているかということです。
(「世相を拾う」09279)
*応援をよろしく ⇒
*こちらもお願い⇒
基地移転問題。米国への忠誠が第一。。
グアム移設「私から言及はしておりません」4日の首相 ――普天間基地のグアム移転に首相が言及したことで、沖縄県では県外移設への期待の声が高まっているがどう思うか。 「私は今朝も申し上げましたけど、グアムへの移設の話は他の大臣が話をされましたけど、私から言及はしておりません。従って、どういう情報が流れたかは分かりませんが、沖縄県民の皆様方には当然、県外とかですね、国外を期待されておられるから、そういう情報があれば期待が出て参るかもしれません。我々はですね、前から申し上げているように、様々な選択肢を考えながら、現実に日米合意の重さというものも理解しながら、沖縄県民の皆様方の思いというものを受けとめて、出来るだけ早く結論を出さなきゃいかん、移設先を決めなきゃいかんなと、今ぎりぎりの調整をしているところでありますから、これ以上のことを、毎日同じことを申し上げますけど、現実には岡田(克也外相)、北沢(俊美防衛相)両大臣がご努力を頂いているところで、私の方からこれ以上、申し上げることはありません」 |
鳩山さんの曖昧模糊に依然、かわりはありません。
首相のコメントの核心は、つぎの点。
現実に日米合意の重さというものも理解しながら、沖縄県民の皆様方の思いというものを受けとめて、出来るだけ早く結論を出さなきゃいかん |
ようは、米国の意向を第一義的に考えたいということの表明です。
こういった瞬間に、鳩山さんは自らいった、対等な日米関係という言葉をあたかも忘れてしまっているかのようです。さもなくば、鳩山さんのいう対等とは、軍事的に相応の負担をするという意味でしょうか。正直いえば、この解釈のほうが、どうも鳩山さんがこれまで語ってきたことから判断すると、整合がとれるという思いがしないでもありません。米国の政略は、カネも人も日本に負担を求めるということですし、その具体化が集団的自衛権の名で、自衛隊の海外派兵を恒常化するということなのでしょう。
しかし、今差し迫った問題は、沖縄普天間基地の移転にどう決着をつけるかということです。(沖縄)県民の意思は明確です。民主党には、沖縄県民にむかって県外、国外を公約してきたのですから、その責任は大きい。
だとすると、冒頭の鳩山さんの言葉は、ほとんどそれを忘れ去ったかのような印象を率直にいって与えるものですね。
今の時点で、民主党のとるべき姿勢を明確にできないところに、少なくとも民主党の弱点が浮き彫りにされています。選挙時点の態度からは明らかに後退していると少なくとも沖縄県民は受け止めているでしょうし、その変化を自ら説明しなければならないはず。基地問題は、民主党にとっていよいよ正念場なのです。
(「世相を拾う」09277)
*応援をよろしく ⇒
*こちらもお願い⇒
« 前ページ |