森羅万象、政治・経済・思想を一寸観察 by これお・ぷてら
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相撲協会は変わるのか
この事件の当事者である親方が、部屋の弟子らに口止めしていたことが明らかになりました。
経過をみても明らかなように、当該親方の対応に誠実さの一かけらもみられません。事態は、いよいよ「かわいがり」という悪しき慣習が力士を死に追いやった可能性が強まりました。そうであるなら犯罪行為として厳しく扱われなければなりません。
だが、それだけではなく、この事件は、エントリーでのべたように日本相撲協会の責任が問われる問題をはらんでいます。同協会は極論すれば存亡の危機を迎えているといえるかもしれません。それは、たとえば協会がこの事件を事件解明とともに再発防止の「好機」ととらえ、自主的に対応できるかどうかが問われていると私は考えているからです。しかし、北の湖理事長の少なくともこれまでの対応には、そんな素振りはみじんもみえませんでした。それは「食い違いがあってもいけないので警察に任せるのが一番」という発言にもうかがえます。
これでは協会が事件を生み出す要因に迫り、再発を防ぐ方策を確立することなど、到底できないでしょう。刑事事件としては警察に任せるのでしょうが、再発防止策は相撲協会自身が確立する以外に、だれもできないことです。
閉鎖的体質をこの機会にあらため、早急に第三者をいれた事件解明委員会を立ち上げるべきでした。理事長は少なくとも、そのイニシャチブを発揮すべきでした。
そして、周囲の声も強かったのでしょう、ようやく文部科学省の指導を受け入れ、独自調査をすることを同協会は決めたようです。過去10年の事例を検証するらしい。この決定自体は評価されてよいものでしょう。「外部の有識者」も入れることのようですから、当ブログが主張してきた方向と基本線で合致するようです。
当該事件の解明はもちろん必要ですが、それにとどまらない日本相撲協会の組織機構をはじめ、ことあるごとに垣間見える旧態依然たる体質についても解明し、生まれ変わった姿をみせてほしいものです。相撲ファンはそのことに誰一人も反対しないのではないでしょうか。
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急死力士は何を語る。
この上増税ではたまらない。
民間企業に勤める人が昨年1年間に受け取った平均給与は434万9000円と、前年を1万9000円(0・4%)下回り、9年連続でダウンしたことが27日、国税庁の民間給与実態統計調査で分かった。
一方、給与から天引きされた所得税は、定率減税の一部廃止により総額9兆八千九百二十五億円と前年より10・4%増えた。企業業績は好転しているが、個人が景気回復を実感できない状況が続いている。
男女別の平均給与は、男性が9年ぶりに前年比0・1%の増加に転じ、538万7000円、女性は0・7%減の271万円。全体の給与の減少は、派遣社員やアルバイトが増加する雇用形態の変化も一因とみられる。
給与を階層別にみると、300万円以下の割合が前年に比べ1・2ポイント増える一方、1000万円超の割合も0・2ポイント増え、格差が広がりつつある傾向をうかがわせた。
記事の範囲では、平均年齢、平均的な家族構成が明らかになっていないので、断定することはできませんが、434万9000円というのはどうでしょうか。生活保護基準とくらべてみても、それほど多い給与額とはいえません。しかも、階層別にみて、300万円以下が増え、一方、1000万円以上も増えています。標準世帯でいえば、この300万円が生活保護水準といえるでしょうから、この結果は、日本で貧困と格差が広がっていることが推測できるというわけです。
男女別の平均給与は、男性が9年ぶりに前年比0・1%の増加に転じ、538万7000円、女性は0・7%減の271万円。全体の給与の減少は、派遣社員やアルバイトが増加する雇用形態の変化も一因とみられる。
と記事にあるように、全体の給与額の減少、そして女性の給与額の減少が、正規雇用から非正規雇用、派遣などへの置き換えの結果を示しているのでしょう。とくに、9年連続でダウンということですから、働く者の「景気回復感」なんてあるのでしょうか。
福田首相は、消費税増税を視野にいれていることを隠そうとしていません。そして、来年度予算には、企業減税はちゃんと盛り込まれる予定であって、そうなるとますます庶民の家計は冷え込むし、大企業は笑いがとまらないのかもしれません。来年のこの調査の結果ももう予測できるような気さえしてきます。
福田新首相には、消費税増税にしぼってしまわずに、一度、根本から税制のあり方を見直してほしいものです。
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必要なのは消費税増税路線の転換
大企業が消費税を歓迎するワケ
急死力士は何を語る。
17歳の前途ある力士が急死したのはもう3カ月も前のことである。取材に応じて力士の父親が事件の一端を明らかにしたという。
この事件が伝えるものは、力士の所属する一相撲部屋の問題でも、直接、暴行したといわれるその部屋の親方だけの問題でも、ましてや暴行に加わったといわれる兄弟子たちの問題でもないだろう。そこに留まっては、少しも事件の解明にはならない。この文脈で、事件を伝える電子版の記事をながめると、貼り付けられた写真がことのほか印象的に思えた。
記事には、入り口のシャッターが閉められたままの当該部屋の写真が添えられている。この写真が、事件の本質を語っているように思えてならなかった。
日本相撲協会の組織としての体質をそれが象徴しているかのようだ。
記事によれば、力士が死亡した際の部屋の対応が記されている。そのとおりだとすると、親方も部屋の力士たちも、この力士の死の重みをほとんど感じていなかったはずである。8月、親方が暴行を加えたことを力士の父親に伝えている。そして力士の死亡から3カ月後に事件が公になった。
この事件の経過の概略は、事実の究明と事件の再発を防ぐという点で考えると、負の部分での教訓に満ち満ちている。事件の解明を、日本相撲協会の利害関係をはなれて取り組まない限り、信頼を回復することはできないだろう。本当の再発防止のための提言もできない。要は、第三者による事件解明のための調査を出発点にして再発防止対策を明らかにし社会の点検を受けることが同協会に求められているのではないか。この死亡事件は今後、刑事事件として捜査されていくだろう。だが、われわれはややもすれば犯人さがしに汲々としがちだが、再発防止のために事実解明を重視し、力士育成のためのシステムをはじめ改善点を浮き彫りにすることだ。
問われるのは日本相撲協会だと率直に思う。同協会の閉鎖的な組織体質、組織機構が事件の引き金にもなっているように推測する。競技者の育成をいう点だけをとってみても、他の競技、たとえばサッカーやラグビーが世界中に競技人口をもち、競技会という相互の交流もありながら、切磋琢磨し、競技レベルをあげるだけでなく、コーチングシステムなどの力量を向上させている。国技という冠を戴いて、そこに安住しているように思えるのである。同協会には、力士のための教習所が併設されているようである。そのあり方さえ第三者の眼から点検が必要だと思うのだ。
新弟子検査の応募者が際立って少なくなっている今日の状況を、メディアが伝えているが、若者たちは日本相撲協会の内実を見抜き、敬遠しているのではないか。
暴力でたたきなおそうなどという根性が残っているところには人間は集まらない。
トレーニングのなかでわずかな進歩、昨日とは何かがちがうものを発見し、どう自分がふるまえばよいか、ぼんやりとでも脳裏に浮かび、またはみえてきたとき、競技者は、あるいは人間は、さらに一歩足を踏み出そうとするのではないか。そんな発見ができるところに人は集まるのだ。
死亡した若い力士もこんな思いから免れなかったにちがいない。
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安倍・福田両政権の歴史的位置(まとめ)
そもそも安倍政権そのものが、小泉の「改革」を引き継ぎ、小泉がし残した課題をやりあげるとともに、「改革」で立ち現れた社会の亀裂の手当て、社会的統合が課題とされたのでした。参院選で示された審判には、「改革」でもたらされた亀裂が見事に反映され、国民は自民党に歴史的敗北をもたらしたのです。
米国と財界の2つの方向からの圧力のもとで、小泉政権をふくめて自民党政権のとるべき舵取りの方向は限られてきた。政権保持のための選択肢がない状況だともいえるでしょう。これをゆきづまりとよぶことも可能でしょう。ましてや、その後を担当する福田氏には、大敗後であればなおさら、別の言葉でいえば、とるべき道はすでに敷かれているといえるのではないでしょうか。
以下、一読いただければ幸いです。
福田政権のために敷かれた道(07年9月26日)
加藤紘一氏と「自民党政治のゆきづまり」(07年9月25日)
福田総裁の誕生は何を語っているか(07年9月23日)
展望を語れない総裁選(07年9月22日)
福祉国家型の政策に転換せよ(07年9月18日)
日本の政治、どう変わる②(07年9月17日)
日本の政治、どう変わる①(07年9月15日)
安倍政権350日(07年9月13日)
安倍政権の180日 -その2(07年3月13日)
安倍政権の180日 -その1(07年3月12日)
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福田政権のために敷かれた道
数日前のエントリーで私はつぎのようにのべました。
自民党のとるべき道は限られている。安倍路線というものがあるとすれば、福田政権はこれを継承せざるをえない。私自身は、安倍政権自身が小泉政権を引き継ぐ新自由主義的「改革』路線をとらざるをえないという反面、小泉がもらたした社会の亀裂を手当するための保守主義的対応をとらざるをえなかったのだと考えてきた。福田氏でなく、麻生氏であっても、これは同じことで、安倍路線を引き継ぐことが必定であり、その引き継ぎ方のちがいでしかない。
それが閣僚の陣容にも、たとえば以下の一点をめぐってはっきり出ている気がします。
安倍内閣はついにテロ特措法延長を成立させることができませんでした。民主党が反対しているとはいえ、これを実現することは日米同盟の盟主にたいする服従を実際の形で示すものであって、いわば至上命題ともいえるものです。福田氏も海自のインド洋での給油延長を実現する配置を組みました。この意味でよく練られている。外務大臣に高村氏、防衛大臣に石破氏、そして官房長官に町村氏という、アメリカの意向を受けて成立をさせるに自民党とすればふさわしい顔ぶれで固めました。
一方で、福田氏は、消費税増税について「現実的に考えると、いずれお願いする時期がくる」とのべ、既定の路線をかえようとしていません。貧困と格差が深まるなかで求められているのは、税制でも庶民の負担を軽減する方向でしょう。一方の大企業が空前の利益をあげているのでなおさら、私はそう思うわけです。従来の庶民増税、企業減税の方向からの転換が求められていると私は思います。
福田氏自身を「ハト派」に位置づけるのは、かつての氏の役割(*)をみればそれはちょっと違うといわざるをえません。また、「新しい自民党」「古い自民党」の定義そのものをはっきりさせる必要がありますが、仮にその区分にしたがっても、小泉、安倍という2つの政権は同じ糸でつながれていると思うのです。この意味で「古い自民党」に戻った、という物言いはほとんど意味をもたないというのが私の意見です。長いスパンでみると、自民党の衰退こそが浮かび上がるのです。
ですから、福田氏が仮に崇高な大志をもち、有能であっても、彼のとるべき道はすでに敷かれているそれを歩むしかないのです。
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福田総裁の誕生は何を語っているか
必要なのは消費税増税路線の転換
*氏はテロ特措置法をつくった担当大臣といっています。また03年、アメリカのイラク介入に小泉首相とともにいち早く支持表明したのも福田氏でした。
加藤紘一氏と「自民党政治のゆきづまり」
氏の考えに即していえば、安倍氏のすすめた「改革」に光と影があるのが前提になる。だが、光を明確には語っていない。安倍政権を継ぐ福田氏の課題として、こうのべられているのみである。
福田さんは、改革を継続するのか、改革の光の部分はいいとして、どこに影があるのかということを明確に語らなければいけない。
要は、語られてはいない。当ブログでは安倍政権の課題は、改革の継続と改革の負の部分の修正という2つの拮抗関係にあったとみるのだが、改革をすすめればすすめるだけ、矛盾が深まっていく関係をとらえておくことが必要ではないかと思う。この点で、アンチ安倍の立場だろうが与党議員にかわりない氏とは見解が異なる。改革に光を見出そうとすることが難しい。
言葉を先にすすめれば、自民党のとりうる政策的対応はすでに選択肢がない。米国と財界からの圧力で「改革」はすすめないといけない、それをすすめると社会的分裂を引き起こし、国内の政情は悪化し、自民党の支持基盤を掘り崩すことになったというわけである。小泉改革からの歳月をふりかえると、むろん都市中間層の改革応援もあったなど曲折をへてきたのはちがいないにしても。自民党政治のゆきづまりを感じざるをえないというのが率直な感想である。
それは、加藤氏のような与党の中心幹部から、本質的な批判が出されているという事実に表現されているのではないか。
それはまた、加藤氏の語る小選挙区批判、二大政党制批判にも表れていると思う。小選挙区制という選挙制度は、政界再編を軸にして第二保守党をつくるという作業を通じて二大政党制という、保守政権を維持するためのしかけになってきたのである。
だから、これは自民党にとっては引き返せない道でもある。
参院選での有権者の意思は、新しい政治状況をつくった。加藤氏の発言も広い意味でいえばそうだし、福田氏の今後とる言動も、小沢氏の対決姿勢も有権者の縛りのなせる業だと考えたい。だから、福田氏と小沢氏の現時点での発言の内容や対応に多少のちがいがあっても、それは程度の差にすぎないと考えている。加藤氏もまた有権者の縛りを免れえない。
彼らの発言の一つひとつに自民党政治の矛盾の深まりを感じるし、それだけに、私は、有権者のつくりだした新しい段階の意味を深くかみしめたいと思っている。
必要なのは消費税増税路線の転換
「(社会保障費を)必要なところまで削りこむことは、国民に良いことなのか」
福田氏がこう語っていることは、参院選結果をふまえたものではあるのでしょう。けれど、同時に福田氏はこうものべています。
「現実的に考えると、いずれお願いする時期がくる」
つまり、財源確保の手段として消費税増税を考えているというわけです。もともと、自民党はこの秋から消費税論議をすすめるといっていたのですから、当然といえば当然なのですが、次期総理が明確に消費税増税を視野に入れていることは重要です。
問題にしたいのは、年金や医療など社会保障費のさらなる圧縮に対して慎重な姿勢を示す福田氏と、消費税増税を視野に入れる同氏は相矛盾するということです。一方が歳出にかかわり、もう一方が歳入にかかわる。歳出と歳入だから、基本的な視点がちがってもよい、とはならないでしょう。
氏が、ほんとうに貧困、格差で苦しむ国民に、これ以上の(社会保障関連の)負担増を強いることができないという立場にたっているのであれば、税金をどこからとるのかという点でも、その立場は貫かれないといけないのではないでしょうか。
仮に社会保障の負担増は免れたとしても、国民にとっては消費税増税が実施されると、元も子もありません。
格差の深まりを示すジニ係数は、93年0.4394だったものが、05年には0.5263と高くなって所得格差が広がったことを示しています。これを是正するために所得再分配というしくみを介在させるのです。それは端的にいえば、社会保障給付内容を改善したり、税制で修正していくことになります。
その上、消費税は逆進性が強い、低所得者ほど負担率の高い税金。これが、冒頭の福田氏の言葉とはなはだしく矛盾するのは明らかでしょう。
ジニ係数に示されるように格差が広がる中でも、トヨタ自動車が営業利益が2兆円を突破するなど資本金10億円以上の大企業はバブル期を超える空前の大もうけをあげています。小泉、安倍両内閣が決めてきたのは、庶民増税は約5兆2千億円、大企業・大資産家減税は約4兆3千億円です。ここに眼を向けないといけないのではないでしょうか。
削減をやや緩めるなどの「修正」ではなく、財政政策のあり方の根本に迫って、路線の転換をすべきなのです。
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マルセル・マルソー逝く
神が本来、対称の世界、普遍的世界を創造する存在であるとすれば、現実は、まるでそれに逆らっているかのようである。つまり、現実は対称性を突き抜けないと、ありえないということなのだろう。現実は非対称なのである。
だから、むしろ神は、非対称の世界をつくろうとしてきたともいえるかもしれない。
マルセル・マルソー氏が亡くなった。パントマイムの神様といわれた。この神様は、現実と普遍的世界という統一しがたい2つを、自らの演じるパントマイムでそれを可能にしようと表現した。彼の演技において異なる2つの世界が溶け合ったともいえるのかもしれない。
パントマイムは彼によって世界的に一般化・大衆化した。
「ビップ」という名の白塗りで花を付けた帽子をかぶったキャラクターの彼。分かりやすい彼のマイムは、全世界を覆い人気を博した。
レジスタンスに加わったことも記憶に留めておいてよい。
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福田総裁の誕生は何を語っているか
福田康夫氏が次期自民党総裁に選出された。予想された結果だが、大方の想定内の結果であるという事実が、自民党の衰退ぶりを結果的に示しているのではないか。麻生氏が善戦したという評価もある。が、それとて福田、麻生両氏の主張がそれほど違いなく、そのこと自体が自民党のとるべき選択肢が限られていることを示している。
私は、コメントで指摘も受けたのだが、安倍首相の辞任の直接の引き金は、伝えられるような脱税疑惑ではなく、日米関係という枠組みのなかでとらえられるのではないかと思っている。要するにブッシュ・安倍会談の中で安倍氏が身を引くことが決められていたと考える。ブッシュの政治的名声(*)を確保することが優先されたといってもよいかもしれない。報道でも麻生氏が安倍辞任をあらかじめ知っていたということが話題になっているが、問題にしないといけないのはブッシュはすでに安倍辞任を承知していたのでないかという推測である。なぜ安倍氏が午後2時という時刻、つまりワシントンが真夜中という時刻に辞任を明らかにしたのか。この疑念は、ブッシュ了解済みということをおそらく支持するだろう。米国政府とは無関係に安倍辞任劇が演じられたとは私は考えない。
ともあれ、福田氏が選出された。すでにエントリーで示したように、自民党のとるべき道は限られている。安倍路線というものがあるとすれば、福田政権はこれを継承せざるをえない。私自身は、安倍政権自身が小泉政権を引き継ぐ新自由主義的「改革』路線をとらざるをえないという反面、小泉がもらたした社会の亀裂を手当するための新自由主義的対応をとらざるをえなかったのだと考えてきた。福田氏でなく、麻生氏であっても、これは同じことで、安倍路線を引き継ぐことが必定であり、その引き継ぎ方のちがいでしかない。
その意味で、自民党は当たり前の選択をしたということではないか。選択肢は限られていて、そこに同党の衰退の今をみるのだ。
いまの政局をうごかすのは、自民党でも、民主党でもなく、まさに国民の意思だということをつくづく、そしていよいよ思わざるをえない。
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*ブッシュが政治的に「後世に名を残す」可能性は米朝国交回復だと予想するのです。
【関連エントリー】
展望を語れない総裁選
価値観と外交
たとえば、古屋圭司衆院議員(「価値観外交を推進する議員の会」会長)は議連発足集会((07年5月17日))でいった。古屋氏はこう語っている。「外交は切り口だ。もう一つの趣旨はこれらの『価値』の根底に相通ずる真の保守主義にある」。皇室典範問題、靖国参拝、改憲手続き法、民法772条の300日規定などなど。これらの課題をあげ、「理念、政治信条で直結する問題で同じ価値観をもつ同志を糾合し、速やかに行動する」とのべた。
古屋氏の語るところは一つの価値観に貫かれているが、敷衍して考えると、価値観外交とは、同じ価値観の国同士の外交のことをいうらしい。これなら、外交にあらず。一つの政治的ブロックづくりにほかならない。
価値観外交議連の主張から察することができるのは、対中国ブロックがねらいということだ。
そもそも価値観をかかげて外交ができるのかと疑問に思うのは、つぎの理由からだ。
深刻な対立をもたらしかねない価値観を互いがかかげる事態を避けて、可能ならば平和な社会を築き、人間らしい社会生活を送る選択肢もまたあるからである。この意味で何が正しいか分からない状況もありではないか。
どんな価値観を抱こうとも、限られた地球という「空間」のなかで、資源を配分し、それを活用しようと思えば、それぞれにとっては絶対であるかもしれない価値観を一端は横に措いて、議論のテーブルにつかざるをえないと考えるのだ。
比較不可能なのである。だから、同じ価値観を共有する者だけを視野に入れる、入れようとする考え、つまり他者を排除しようとする考えには徹底して抵抗しないといけないのだろう。 [こ]
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*「coleoの日記;浮游空間」を一部改変した。
展望を語れない総裁選
一つは、メディアを使った自民党への回帰が図られているということ。
連日の報道は加熱しっぱなしだ。国民にとってもっとも大事な自民党の政策、少なくとも首相になると目される人物が国のかじとりをどんな方向で考えているのか、これに焦点をあてるのではなく、たとえばファーストレディ候補はこんな人などと、うつつを抜かしている。
要は、総裁選一色にすることによって、2人の総裁候補者の動向や発言に絞り込むことによって、自民党への関心はいやがおうでも集中するだろう。
そして、大事なことは安倍首相がかじとりを投げ出したことにたいして、この2人の候補者が少しの反省もない点だ。これをメディアも追及しようとはしない。情報の操作を感じないわけにはいかない。
総裁選に自民党衰退の今日の姿がみてとれること、これが2つ目である。
2人の候補者は、いくつかの点についてそれぞれの主張を語っているが、「改革」路線でも、テロ特措法でもちがいは見られない。「政治とカネ」問題、改憲についてはふれようともしない。
だが、誰がなろうと、安倍政権に課せられた任務をおそらくそのまま引き継がざるをえないところに自民党の深刻な実態がある。安倍政権は、小泉「構造改革」を継承しつつ、新保守主義的な対応をとらざるをえなかった。この2つの拮抗関係の上に安倍政権はあった。2人の候補者のとる選択肢はこれを基本線で踏襲することになるだろう。ただし、そのやり方は急進的ではなく、漸進的やり方の程度のちがいくらいのものだ。
自民党のかつての「復元力」は衰退してしまったようである。同党の政策的な行き詰まりがここにみてとれる。2人とも国民にむかって展望を語れないでいる。
そこに、新しい政治状況が開かれる可能性もまたあるということだろう。
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【関連エントリー】
福祉国家型の政策に転換せよ
日本の政治、どう変わる②
日野原重明氏;戦う勇気より平和を守る勇気
日本国憲法を守り、平和を守る勇気をふるえと訴えています。冒頭に参議院選挙もふりかえっています。このインタビューでの明晰な日本分析にほとんど私は共感します。
◇
―先の参院選で自民党が大敗しました。よかったです。安倍内閣がちょっと崩れましたね。民主党も安倍首相のように改憲を強引に進めると反対があるということを読んで、もっと審議を続けるべきという方向になるでしょう。いまこそ憲法を守る国民運動が効果を発揮してきます。
憲法をかえるかどうかを最終的に決めるのは国民です。安倍内閣の改憲の狙いはアメリカといっしょに地球のどこかで起こる戦争に従事することです。その足がかりとして国民投票法を国会で強引に成立させましたが、心して憲法を読み返して、改憲阻止の運動を進めることが大事です。
………
被爆の悲惨さを知る私たちは、世界に何万発もの核兵器があることを踏まえ、平和の尊さを語り継いでいかなければなりません。現代人に必要なのは戦う勇気より平和を守る勇気です。
―米軍基地の解消も提言されていますね。
私は日本が平和憲法を実現して世界平和のとりくみの先頭を目指すことを願っています。米軍への基地提供も10年後には解消したいと、アメリカに伝え、その後は完全に軍備のない独立国家となってほしいと思います。
そのために安保条約を破棄することにアメリカは文句を言えません。いい方向にするんですから。また、反対したら他の国は文句を言いますよ。ポツダム宣言を受諾して日本が無条件降伏をしたのはアメリカに無条件に従うということではなく、世界に非戦を宣言したのですから。
―平和や憲法への思いの原点には何がありますか。
それはシュバイツアー博士の「命への畏敬」という考え方です。すべての命は皆神様から与えられたものであり、動物でも植物でも生きる権利がある。だから地球上の全生物が共生する方向に持っていくべきだという考え方です。いわんや人間同士が殺し合うなどとんでもない。
東京空襲の時には多くの被災者が聖路加国際病院に運ばれてきました。大やけどを負った人や子どもたちが薬品もなく目の前で死んでいきました。その光景はいまも私の脳裏に焼き付いています。
私は命を守る医者です。命を脅かす最大のものが戦争です。だから私は日本が軍隊をもつことに同意できないし、平和運動に徹するのは医者の務めです。
== 『全国革新懇ニュース』(9・10) ==
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首相指名選挙で野党が一致
首相官邸からお知らせメールがきょう届きました。
「これまで、安倍内閣メールマガジンをご愛読いただきましてありがとうございました」という言葉ではじまる淡々とした事務的なものでした。
別のところで紹介したように、実質的な最終メールはつぎのものです(ここ)。読みたくなければ読み飛ばしてください。
辞任表明の背景について、いろいろと取沙汰されています。『週刊現代』が自らスクープと語る首相の脱税疑惑は有力な辞任の契機になる事件ではあるのでしょうが、私は釈然としないものがあります。だが、われわれができることといえば、所詮は推測の域をでないもの。
国連では、日米が手をまわしたのでしょう、安保理で、海自参加の対テロ戦に謝意示す決議が採択されました。
経過をふりかえれば分かるように、シーファー大使と民主党・小沢氏の会談で、小沢氏が語ったことにこれは深くかかわります。同氏は、テロ特措法に反対する理由の一つとして、海自の活動が「国連決議に基づいていない」ことをあげていたのです。
海自は、テロ特措法に基づき、米軍主導のOEFの海上阻止活動への協力として、インド洋で米艦船などに給油活動を続けています。そこで政府は、安保理決議が何らかの形で海上阻止活動に言及することで、この活動が安保理の承認を受けているかのような印象を与えようとし、関係国に働きかけてきたのです。
だから、高村正彦防衛相は19日、「それ(新たな決議)があれば(テロ特措法に対する民主党の)一番大きな反対理由はなくなるのではないか」と語っています。
参院の首相指名選挙で野党の一致がえられたとか。ほんの一局面での前進でしょうが、それでも今後の政局を動かす可能性がないともいえません。
われわれの眼は常に前にむけられないといけないのでしょう。
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首相辞任は「脱税疑惑」のためか?
たとえば、米朝の国交回復までの筋道がおそよはっきりしてきたように私は考えているが、退任までの大仕事としてブッシュ大統領がそれを位置づけているとすれば、それは安倍氏にとってどんな意味をもつのだろうか。後世に名を残す仕事として米朝国交回復を位置づけようとする意思をブッシュ大統領がもつことと、拉致問題を解決した日本の首相として名をなさしめようとする安倍首相の思いとの間に優劣をつけようとするのは困難だろう。けれど、日米の間には、宗主とその配下の厳然とした関係があって、安部首相が仮にブッシュに米朝国交回復の意思を告げられたとすればどうか。存外、首相辞任の意思はオーストラリアでの首脳会談で固まったのかもしれない。ここで、拉致問題の「解決」はぼど遠のくからである。
たしかに安倍「脱税疑惑」はセンセーショナルだが、所詮疑惑にすぎないといえばそうだろう。
『週刊現代』がいうのは、安倍晋太郎氏から安倍首相が政治団体を引き継いだ際の、引き継いだはずの繰越金が端的にいえば2億円近く不明だということである。
同誌は、政治資金報告書などにもとづきその資料を示し、処理はどうだったのかを問うた質問状を安倍晋三氏の事務所に提出したらしい。回答期限のちょうど9月12日、突然、首相が辞任を発表したというのだから、この件で職を辞したという「説」はたちまち信憑性をもってくる。しかし、それ以上でも、以下でもない。
この『週刊現代』の記事にまったく深みがないのは、こうした疑惑が生まれる根源に迫りきれていないことである。多額の献金が動く要因は、企業や団体からのまとまった金なくしては考えることはできないと私は考えている。だから、この点で同誌の記事は画竜点睛を欠いたものだといわざるをえない。その上、当該の脱税が明らかになったとしても時効の範囲であり、辞任に結びつくものかどうか、疑わしい。
だから、安倍氏辞任の直接の要因は、この脱税疑惑というより、安倍首相のレゾン・デテールともいえる拉致問題解決の見通しがほぼ絶たれたという点にあるのではと推測するのである。
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ヒラリーと国民皆保険
ヒラリー・クリントンにとっては、米国に皆保険制度を導入することは悲願だということだろう。
記事にあるように大統領夫人時代に導入を主張し、反対にあってつぶされた経緯がある。皆保険は大統領選に臨むヒラリー氏のウリの一つだろうが、その行方は定かではない。
国民皆保険とは、すべての人を網羅した保険、とすると誤解をうける。すべての人が何らかの(公的)保険に加入していることを指す。日本は国民皆保険だといわれているが、すべての人を網羅する保険があるわけではない。すべての人が社会保険や国民健康保険に加入することになっているのだ。だが、これは制度的な建前であって、現実には無保険者という、保険に加入していない人の存在が指摘されている。国立病院の未収金が問題になった際、そのいちばんの要因は経済的理由であった。同様に、未保険者の存在は経済的理由だと推測される。日本もすでに、未保険者問題をかかえているばかりか、社会保険といわれるものがその名に値しないようなものに改悪されていると私は感じている。すでに自己負担が3割になった。
社会保険庁のいうところによれば、社会保険とは、①勤労国民の相互扶助を目的とし、②従業員の福祉を図り、③国が責任をもって運営する、④法律で加入を義務付けられた、⑤所得に応じて保険料を負担し、必要に応じて給付を受けるという制度である(「社会保険の手引き」)。
このまっとうなことが、自己負担3割という事実一つをとってみてもすでに壊されているとみてよいのではないか。
ともあれ、米国の医療の現状は常々指摘されるように、深刻な事態にある。相当数の無保険者。それだけでなく、以下のエントリーで紹介した話は、すさまじい米国の現状を物語っている。
市場原理主義の怖さ;アメリカの実情は日本の将来図
あまりにも酷い実態は、マイケル・ムーア作品「SiCKO」でも告発されたが、米国民の大方の認識になりつつあるのだろうか。それでも、市場原理主義の米国では一部の富裕層が猛烈に反対することは容易に推測される。
日本では、アメリカの一時代前を後追いし、医療の分野でも市場原理主義・規制緩和をとりこもうとする動きが強まっている。医療をふくめた社会保障分野での国の役割を強調する動きも一方でてきてはいるが、国民皆保険制度が日本で果たしてきた役割に今いちど光をあてる必要があるのではないか。
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