森羅万象、政治・経済・思想を一寸観察 by これお・ぷてら
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知ってた? 家計負担水増し- 「温暖化ガス削減」阻止の手法
報道によれば、自民党政権がふりまいたCO2等の排出削減にともなう家計負担の試算がでたらめだったというもの。家計負担が36万円増えるというふれこみでした。
そこで、それに乗っかって報道した産経の記事を以下にあげておきます。
【温室効果ガス 30%削減の衝撃】(1)民主案 36万円家計負担増 「光熱費払えない」悲鳴 「こんな負担は納得できない」 8月5日に東京・霞が関の経済産業省で開かれた総合資源エネルギー調査会需給部会。消費者団体の代表として参加した日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会の三村光代最高顧問は思わず声を上げた。政府が6月にまとめた二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの排出削減に伴う家計負担の増加額として「1世帯あたり年間7万7千円」との試算が示されたからだ。 三村さんは「生活が苦しい家庭にとっては年間1千円、500円の負担増でも軽くはない」と光熱費に温室効果ガスの排出削減対策費用を安易に転嫁しないよう訴えた。 しかし、この日の部会では、もう一つの参考試算も示された。「1世帯あたり年間36万円」。民主党の温室効果ガスの排出削減を実行した場合の家計負担の増加額だ。政府の目標は2020(平成32)年に05年比15%の温室効果ガスの排出削減を目指すものだが、民主党が今回の衆院選で掲げたマニフェスト(政権公約)では、20年に90年比で25%(05年比で30%)を削減するという厳しい目標を打ち出した。 |
政府がウソの情報を流したということです。それに便乗したメディアと、たとえばネット上の「ウヨ」たち。鬼の首をとったかのような宣伝でしたから。彼らは、この期に及んで自らをどのように振り返るのでしょうか。
さて、その試算。産経記事に表が掲載されていました(参照)。それをみてみると、なるほど可処分所得の減少額が22万円、光熱費上昇額が14万円と記載されており、足すとたしかに36万円となります。
しかし、考えてみると、光熱費上昇額をふくめて(家計の)可処分所得が減少するはずでしょうから、負担総額は22万円でよいはずで、光熱費上昇額14万円は二重に計上された形になっているわけですね。
しかも、専門家会議が指摘するのは、それぞれの数字の前提条件が異なるものを足し算しているというトリックがあったということです。
地球温暖化問題では、とくに温室効果ガス削減という具体的課題で目標を設定することにたいし、日本の財界のきわめて消極的な姿が露呈してしまったわけですが、財界の要請を受けて、自民党政権が世論をいかに操作してきたのかが暴露されたのがこの一件でしょう。
(「世相を拾う」09243)
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貧乏人が危険を背負う現実。で、働き方をかえる総選挙だったのでは。
ですから、雇用不安のの最大の要因になっている労働者派遣法の抜本的な改正は、その当面の具体策ととらえてよいはずなのです。ですが、鳩山首相の所信表明演説は、その点で明確に改正するということはありませんでした。
労働者派遣法:不安定な派遣、もうやめろ 抜本改正求めて2500人集会
内閣府の参与に就任したばかりの湯浅誠さんも参加したこの集会では、先頃発表された相対的貧困率で示される日本の貧困化を打開する上でも、一日も早い派遣法抜本改正を求めることが集会で確認されたようです。
(総選挙を)働き方がかわる選挙にしたいと考えた人びとは、有権者としての意思表示を政府与党に可能な手段でそれぞれが伝えなければなりません。民主党も、有権者の中にそうした声があることは十分承知のはず。労働者が勝手に働き方を変えることはもちろんできません。ですから制度的に法律を改正することで働き方をかえる方法をとらなければなりません。派遣切りに強い規制をかける改正を求めて。あとは、それだけに一人ひとりが声をあげることが重要な気がします。
その点で興味深い記事がありました。その中から印象に残った部分を列記します。
「貧乏だったら、リスクを喰え」が「経済」なのか? 首都圏360世帯の調査によれば、冷凍餃子(中国製に限定はしていない)の購入個数は、400万円未満の世帯では08年が07年より33%多く、それ以外では07年より10~52%減って、全体では36%減だったという。(2009年2月、ライフスケープマーケティング調べ) |
記事の中で姉歯暁氏が紹介しているデータです。氏がこれによっていおうとしていることは、自分で選択の自由を行使できない層が現実にいるということです。データが示すのは、まさに、「安いものしか買えない、そうしないと生活できない」層が、それまで消費してきた食料品がリスクを抱えていたことが伝えられ、その中で回避的に餃子を買うことをやめているということ。
姉歯氏は、「『安いものしか買えない、そうしないと生活できない』という、その賃金水準がおかしい指摘しています。この記事のタイトルにそっていえば、そんな層こそ、リスクを喰らっているというわけです。
けれども、日本は全階層で所得が低下している。この点も記事で印象に残った一つです。こう姉歯氏は語っています。
実は「全部の階層で所得が減っている」ということなんですね、日本は。これはたぶん世界でも日本が初めて経験することです。今まで下の階層の所得が減ったり増えたり、あるいは上の階層が増えるということはあったにしても、全階層で減っていくというのはこれまでありませんでした。 |
姉歯氏が依拠するのは、森岡孝二氏のデータです。興味がつきないものですから、森岡氏の『貧困化するホワイトカラー』にあたってみました。家計調査などによっても、せいぜい5年以上前のデータしか公表されていませんから、直近はどうなっているのか、知りたいという率直な思いがありました。森岡氏はこのようにのべていました。
国税庁の『税務統計から見た民間給与の実態』によれば、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与(給与・手当および賞与の合計年収)は、1997年から2007年の間に、467万円から437満円に低下している。非正規労働者が大多数を占める1年未満の金属者を含めた平均給与(給与所得者÷給与所得者総数)の低下幅はもっと大きく、同じ期間に418万円から367万円にまで下がっている。これでみると、1997年を100としたときの2007年の給与は88で、バブルが崩壊した1990年のレベルに落ち込んだことになる。 |
総じて所得が減っているということです。
元に戻ると、こうした現実にいやというほど直面せざるをえない、今の時代は。だから、総選挙では、このまま自民党に政治を担当させるととんでもないことになる、もういやだという強い思いが投票結果に反映されたといえるでしょう。
言い方をかえると、総選挙で働き方をかえる選挙を願った人も少なくなかったはずです。労働者派遣法の抜本的な改正を政治に求めること、これが、願いをかなえる第一歩のように思えてなりません。冒頭の集会に大いに賛同する理由もここにあります。
(「世相を拾う」09242)
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これまでとスタンスが違うって正しいのか- 共産党
共産「何でも反対」決別 志位氏「揚げ足取りせぬ」宣言 「揚げ足取り、何でも反対という立場ではない。今までとはスタンスが違うんです」。共産党の志位和夫委員長は29日、衆院代表質問後の記者会見で「揚げ足取り」からの決別を宣言した。 志位氏は代表質問で政権交代が実現したことを「日本の政治にとって前向きの大きな一歩」と歓迎。会見でも自公政権下とは違って「現実に政治を前に動かしたい」と語り、鳩山政権を「後方支援」する姿勢を鮮明にした。 |
2つの印象をもちました。
まず、「揚げ足取り、何でも反対という立場ではない。今までとはスタンスが違うんです」と志位氏が語ったという点。これはリップサービスではないでしょうからね。このとおりだとすると、これまでの共産党のとってきた対応を私はこうは思っていなかったので、意外でした。ようするに、揚げ足をとったり、何でも反対をしてきたという前提に立っていればこそ、今までとスタンスが違うということになるのでしょうが。
そうではないでしょう。揚げ足とりではなく、共産党の反論は理屈がそこにあったと思うし、何でも反対ではないのは法案に賛成した数字上も明らかのはずではなかったのか。
この記事のとおりだとすると、記者が勝手に部分を抜き取り誇張して表現したのか、または志位氏の言葉足らずが原因かいずれかということになる。それにしても「今までとはスタンスが違う」という強調のされ方は、やはり誤解をうみやすいように思えます。
志位氏の真意はおそらく、「「現実に政治を前に動か」すということと、民主党の「後方支援」をする姿勢をもっているということでしょうから。
政権についてのちの民主党の態度は、少なくとも懸案を解決するという意味では対応はきわめて鈍いのが実情ですから、共産党の発言が事態を前に動かす要因になりうる可能性をはらんでいることもまた事実かもしれません。
それにしても、この記事が記者の書き込み過ぎか、あるいは共産党側の説明不足なのか、いずれにしても、有権者の投票行動での民主党に託す願いから判断すると、政権の外から政権に実行を迫るという意味で、それを加速させるという意味で共産党の発言は大いに意味のあるものになっていることはうたがいを入れないのかもしれません。
(「世相を拾う」09241)
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日本政治の転機になりうる- 思いやり予算見直しはホント?
だって、思いやり予算見直しをかつて口にした首相がいたでしょうか。いませんでした。これまでの日本の政治をゆがめる要因の一つに米国追随があり、その典型が法外な思いやり予算と当ブログは主張してきましたから、思いはなおさらです。
思えば、金丸信が日本側が負担するといってはじめた思いやり予算。1978年のことでした。そのときは、在日米軍基地で働く日本人従業員の給与の一部(62億円)を負担するというものでしたが、みるみるうちにその額はうなぎのぼりに上がり、とんでもない多額な予算を準備しないといけない羽目に日本は置かれている。在日米軍駐留経費負担のいいかえですが、日米地位協定をもとに支出されるとしています。が、そんなもの協定のどこにも見当たらないのが事実です。
鳩山首相の答弁は、したがって画期的といってよいと私は思います。言葉どおりに実践されれば、日本の政治をゆがめてきた米国への追随姿勢をあらためるきっかけになるのは確実でしょうから。ただ、懸念するのは、鳩山氏がこういったからといって、確実に実行に移される可能性が大きいかといえばそうでもないのが現実でしょう。
なぜなら、総選挙時には国民・有権者にむけてあれほど約束した、たとえば後期高齢者医療制度の廃止は必ずしも日程にのぼっているわけでもない。いわゆる打ちあげ花火に終わっている現状があるのですから、不安が残るわけです。
あえていえば、民主党政権に求められているのは、国民に約束した、国民が望んでいる施策をただちに実行に移すことではないでしょうか。
一抹の不安をぬぐいきれませんが、口先だけのことにならないように願いつつ記事全文を掲載しておきます。
実行に移せば、もちろんかつてない快挙だと諸手をあげて賞賛したいと思うのです。
「村山談話」踏襲と鳩山首相 思いやり予算見直し必要 鳩山由紀夫首相の所信表明演説に対する各党の代表質問が29日午後、衆院本会議で前日に続いて行われた。首相は、侵略戦争と植民地支配を謝罪した「村山談話」について「新政権は歴史をまっすぐ正しく見詰める勇気を持った政権だ。談話の思いはこの政権でこそ尊重されなければならない」と述べ、踏襲する考えをあらためて表明、アジア重視の姿勢を示した。 在日米軍の駐留経費負担(思いやり予算)については「わが国の負担をより効率的で効果的にするため包括的な見直しが必要」と指摘。「透明性を確保しながら見直しに取り組んで理解を得たい」と述べた。 衆院では民主、国民新両党が質問を見送ったため社民党の重野安正幹事長が与党で唯一、質問に立った。重野氏は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移転問題について「沖縄県民の負担軽減の観点から見直しの方向で臨む」とする3党連立合意を強調し、県外・国外移設の実現を迫った。 ただ、首相は「外相や防衛相にさまざまな選択肢を検討して調査するよう指示した。最後の意思決定は私自身がする」と述べるにとどめた。 子ども手当創設に伴う所得税の扶養控除や配偶者控除見直しについては「政府税制調査会で本格的に検討し、年末までに結論を出す」と述べた。 重野氏と共産党の志位和夫委員長に対する答弁。 |
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議会制民主主義は危機に瀕している
民主、国会質問する?しない? 小沢ルールへの対応迷走
結局、氏によって提案されているのは、議会制民主主義を揺さぶる内容をもっていないでしょうか。
■官僚主導から官邸主導という強調の危険性
官僚主導をやめる。これが民主党政権のいっていること。やろうとしているのは、たとえば官僚による国会答弁の禁止です。
国会は、憲法には「国権の最高機関」として「国の唯一の立法機関」であることが第41条に定められています。
同時に、同62条で、「両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる」として、国政調査権を定めています。当時の内閣法制局は、「国会は憲法によって、立法や予算議決権、国務大臣の出席・答弁要求権があること、内閣は国会に連帯して責任を負うことなどから、内閣の行政権全般にわたって、その政治的責任を追及する「行政監督権」とも言うべき機能を持つ。そして、これらの機能を有効に行使するための補助的な権限・手段として、憲法62条により国政調査権を有していることになる」(大森法制局長官、96年12月10日)と答弁しています。
ですから、高級官僚の不正・腐敗がひとたび発覚すれば、国会によび、直接、議員がただすことがこれまでおこなわれてきました。
民主党が考えているように、官僚の国会答弁を禁止することになれば、従来のように直に質問し、ただすことはできず、国政調査権・行政監督権を発揮する上で大きな障害となってしまいます。
つまり、民主党政権が提案している方向は、官僚支配を廃するといいながら、行政にたいする国会の調査、監視をないがしろにするものといえるのではないでしょうか。
議員内閣制の基本原則がまったく横におかれているといえます。
議員内閣制の基本原則を否定するかのような政権運営は、たとえば国家戦略室や行政刷新会議などというものにも表れています。これは、組織機構上の位置づけも不明確で、自民党時代の経済財政諮問会議と機能的には事実上、同じ役割を果たしているといわれても仕方がありません。施策と政治が、国会でも内閣でもないそこで決まるわけですから。
■行政にたいする調査と監視を弱めるように作用する
小沢一郎の国会改革では、委員会定数の削減、委員会定例日の廃止も提案されています。すでにこのエントリーでふれました。委員会定数の削減は少数政党を排除します。
委員会の定数削減を言い出しているようで、これをどうみればよいのか考えなければならないようです。議員提案は、国会と有権者・国民の距離感をそのまま反映する一面を当然、もっています。これ自体、正負両面あるという意見はあるにしても。今回、小沢がいっているのは、委員会の定数削減です。その提案の理由として、彼があげているのは、国会議員中心の国会にするということです。想定できるのは、これによって少数会派は排除される、されるだろうということ、発言の機会が制限されるだろうということです。
しかも、小沢は、副大臣・政務官の委員会所属を原則義務づけるようですから、そうなると、政府の政策関与を強化する方向をめざしているのだろうと想像がつくわけですね。ですから極端にいえば、委員会審議は、政府提案の法案を追認するに等しいものになりうる。その可能性はきわめて強いのではないか、こう私は思うのです。 |
また、小沢一郎のかつての著書『日本改造計画』で、すでに委員会定例日の廃止をのべています。そこでは、国会審議の効率的運営を前提に、国会の会期制、大臣の義務づけ廃止などとともに主張されていました。
「国民と新しい政府との契約書、国民からの命令書と考えてもよいと思う」といったのは鳩山首相です。この言葉でも分かるように、お墨付きをもらったのだから、トップダウンで進めるといわんばかりの態度です。
別のエントリーでこうのべました。
「民主党の内部の意思決定は、栃木県知事のいうトップダウンがずばりあてはまる。意思決定の方向に、トップダウンとボトムアップという2つのものがあるのなら、民主政治に必要なのは、後者の方でしょう。こういえば、実行が遅れるという反論が小沢一郎あたりから聞こえてきそうですが、民主主義はある意味で時間がかかる、こう私は教えられてきました。・・・しかし、逆にいえば、国民の多数の支持を受ける政策を政府がもっているのなら、野党がいかに抵抗しようと、批判を結果的に受けるのは野党ということになるでしょう。引き延ばしが批判の対象になるはずです。」(ほんとに民主・党なのか。。 )
ですから、有権者のチェックが必要になる。そのためには、国会審議の充実が欠かせません。行政にたいする国会の調査と監視を弱める民主党の提案には反対せざるをえません。
(「世相を拾う」09239)
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米軍の「要求基準」とは。
嘉手納統合案「要求基準満たさない」 在日米軍司令官 ライス在日米軍司令官(空軍中将)は28日、横田基地内の司令部で朝日新聞のインタビューに応じ、岡田克也外相が普天間移設の代替案として主張している嘉手納米空軍基地への統合案について「運用要求基準を満たさない」と述べ、米政府としては受け入れられないとの考えを示した。 ライス司令官は「この点については、ゲーツ国防長官がすでに記者会見で明確にしている」と指摘、米側としてはすでに判断を下していることを強調した。 ゲーツ長官は来日中の21日、北沢俊美防衛相との共同記者会見で「米国政府は、すべての代替案を詳細に検討し、いずれも政治的にもたないうえ運用上も実行不可能だと考えている」と語っていた。 |
この要求基準というのが気になります。基地移設には、ハードルがあるというのです。おかしな話ですが。移設は、米軍のもともとの要求であるはずなのに、日本国が移設先を探し、しかもそれが米軍の目にかなったものでならぬと。この現実に、そもそも日米の非対称な関係が映し出されていませんか。
これを裏付けるかのように、28日付のしんぶん赤旗が報道しています。
米軍の本音は最新鋭基地
一面トップのこの記事は、米軍は移設という機会に最新鋭の基地建設をもくろんでいるというわけです。しかも、記事によるかぎり、建設費をかけることが地元対策につながるなどといって、固定翼機が離発着可能な滑走路を日本側が求めたきた経緯も明らかにされています。そこにベクテル社(*)の介在があった。基地建設と沖縄の「振興」をセットにして当時の政権は考え、そのことで米軍の意向に沿おうとしてきたというわけです。
ところが、表向きは米国ではこんな世論をつくらんとして、圧力をかけながら、基地移転の早期決着を迫っているのですから。
首相に対し「米国と距離を置くという選挙中の公約にこだわっているかもしれないが、代替案について十分に考えているようには思えない」と批判。「日本は自国の防衛に、さらに費用をつぎ込むのか。北朝鮮の核計画や増大する中国の軍事力は、緊密な日米関係を正当化するには十分でないと考えるのか。外交交渉だけで日本の安全を保つことができると考えているのか」と疑問を投げかけた。 「鳩山首相がスタンドプレー」 米紙、普天間問題で批判 |
米軍の本音が最新鋭の基地建設にあるというのは、日本国内の米軍基地が日本の安全のためにという大義名分とはほど遠く、米軍基地の存在が、いかに米国の戦略にそったものであるのかを端的に語っているということです。
(「世相を拾う」09238)
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べクテル社;原子力から宇宙、軍事部門など米国の軍産複合体で、世界最大の建設・開発企業。CIA長官、政府高官などが天下り、米軍とはとくに深い関係にある。
「国民との契約」と言ってしまった。
代表質問が今日からはじまりました。
そこで、鳩山氏はマニフェスト実現は「国民との契約」と言ってしまったのですね。マニフェストというものは、公約にちがいありません。が、契約と言い切ってよいのでしょうか。契約ならば、不履行の問題が出てきますね。責任は重い。鳩山氏は決意のほどを示そうとしたのでしょうが、いささか勇み足の感がないでもありません。
「国民との契約」と言ったことが問われるにちがいありません。そもそも国民との契約というのも、的確な表現とはとても思えないのですが。第一、民主党あるいは鳩山氏はだれと契約を結んだのでしょうか。国民の代表、特定の人物がいたのでしょうか。こんな問題に突き当たります。
それでも契約という言葉が私はひっかかるのです。
首相、公約実現に責任=財源確保に自信、消費増税に否定的-衆院代表質問
後戻りはできなくなりました。私は別のエントリーで退路を断てと主張してきましたので、その観点からすると、鳩山氏はあらためて公約実現の決意を示したと受け取ってよいでしょう。それでも公約を守れないと弱音をはいたとき、それは自らの進退にまで及ぶ発言でもあるといえるのではないでしょうか。
しかし、国民の側からみれば、少なくとも私は民主党の公約のうち実現してほしい項目と、実現は絶対にしてほしくない項目がある。もちろん民主党がマニフェストにうたうすべての項目に賛成という人がいる可能性を私は否定するつもりはありません。しかしながら、つぶさに各項目を検討すれば、これには賛成するが、ここは同意できないという人が多かろうと思うのです。ですから、すべての項目を鳩山氏のいうとおり契約と考えるならば、契約を守ることが、一方では反感を買う恐れがある。AもBもCも実現することは、Aに賛成する人、Bに賛成する人、Cに賛成する人すべてを満足させるとは限らないわけですね。
鳩山氏のいうことを言葉どおりに受け止めれば、AもBもCも実現しなければ契約不履行という事態に立ち至るわけですから、同時にそれは反感を招くことにつながる。
私は、国民の多数が望んでいるものを優先的に実現する。これがもっとも現実的ではないかと思う。別のエントリーでのべたように、今の局面で重要な課題は、雇用確保と派遣法の抜本的改正、後期高齢者医療制度の撤廃、沖縄の米軍基地移転問題の解決など、だと考えるのですが。
問われているのは、これらの問題に民主党政権がどのような態度をとるのか、国民・有権者にはっきりした姿勢を示すことです。現実は、これらの問題で閣内不一致があったり、どうも態度が煮えきらず、先送りにされてしまいそうな雲行きすら大いに感じるのです。
そんな不安をさっとぬぐい去ることすらできないでは、契約を守るなどといえたものではありません。
鳩山首相は消費税増税には否定的な態度をとったと伝えられています。総選挙時に、すでに4年間封印という態度を明示しているはずですから、これを先にすすめた態度なのかそうではないのか、そこをはっきりさせるべきでした。記事だけではそこがはっきりしません。
鳩山さんの自論は、その良し悪しは別にして大統領的首相ということでしょうから、その意味でもイニシアティブをよい意味で発揮してほしいものです。
しかし、契約といってしまったことが墓穴を掘ることになるのでは、と一人心配もしているのですが。
(「世相を拾う」09237)
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所信表明で問題先送りさせてはならない。
昨日(26日)は国会開会日でした。政権が自民党から民主党にかわったのですから、当然、首相の所信表明演説に注目が集まりました。
長かった。もっぱら評判ですね。それだけではなく、長年の自民党政権から民主党にかわったというところに着眼する人は、その意味で歴史的な演説という印象をもつでしょう。
私はそれに与することはありませんが、しかし、歴史的な所信表明であったということは確実だろうと思います。それは鳩山氏の演説の内容がよかったか否かを超えるところにあるのではないでしょうか。
つまり、総選挙の勝利者は国民一人ひとり、今こそ日本の歴史を変える意気込みで、国政の変革に取り組むと、主張した首相があったでしょうか。なかった。
氏自身がいうように、こんな演説をさせるほどの総選挙の結果であって、鳩山氏にそうさせたのは、むろん国民だということです。
国民の意思を無視しえない国会の状況を現につくり出しているという意味で歴史的であり、その結果の首相の所信表明演説だと思いました。
ただし、鳩山首相のこうした決意がそのまま実行に移されるかどうかは、今後にかかっている。来年の参院選までの期間は、普通に考えると解散がない以上、選挙はありえないのですから、国民がいかに国会を監視し、国民の考える方向に、民意の側に国会を動かすことができるかどうかにかかっています。
鳩山氏は大上段に先ほどのべたような決意を示したのですが、演説からは、具体的な課題でどう考えているのか、はっきりせず、私は釈然としない思いで演説を一部聞き、全部を目で眺めました。
民主党に期待した人すべてが、以下の問題で期待を寄せたとは思いません。自民党にかわりうる、もっとも近道という意味で民主党を選択した人がいて、その割合を私は無視できないと考えていますし。そうであっても、中には、雇用の現状を打開し、誰もが安心して働ける環境をつくってほしいとか、後期高齢者はこの際、撤廃してほしいとか、あるいは沖縄の米軍基地移転をやめ基地撤去をめざすべきだと考えている人、大企業の身勝手を許してはならない、そのために民主党に働いてほしいと考える人など、民主党の圧倒的な議席獲得は少なくともこうした人びとにも支えられていると考えてまちがいなかろうと思います。
少しは民主党がこうした期待を寄せた人びとに応えうるだろうと考えている私ですが、鳩山氏の所信表明から適切な回答が明らかにされたわけではありません。その限りで、この政権がはたして国民の期待に応えられるか、半ば疑問符をつけないといけないような率直な想いを抱きました。問題は、先送りにされた実感が強い。後期高齢者医療制度見直しは先送りということでしょう、廃止に向けて新たな制度の検討をすすめるというに留まったのですから。結局、これは廃止の先送りにすぎません。
雇用環境もまた、しかり。派遣法の抜本改正を当ブログでも主張してきましたが、ついぞその言葉は首相の口から出ることはありませんでした。
沖縄の基地問題で、政権が揺れているのは日々の報道で明らかですし、当然、首相はこの問題で踏み込むことはできません。具体策は提示されなかった。
私が民主党現政権に期待する以上の問題で(所信表明演説で)進展がないことが、はたして首相自身が語った国政の変革に取り組むという姿勢の表明とどのように結びつくのか、これは解けない難問のようです。
国会ははじまったばかりです。国会内の論戦に関心をもつだけでない、国会の外から平たくいえば圧力をかける行動を考えないといけない、そのことがはっきり明らかになった所信表明だといえるのではないでしょうか。
監視を強めないと、圧力をかけないと、問題は次々に先送りされそうな状況でもあるのです。一部では長妻氏がすでにミスター検討中などと揶揄されているくらいですから。
期待外れを私たちは望んでいるわけではないでしょうから、さまざまな意思表示を政府にぶつけなければなりません。
(「世相を拾う」09236)
『沈まぬ太陽』を100%フィクションだとあえていうのは。。
池田信夫先生が『沈まぬ太陽』を100%フィクションだと自らのブログでのべています(参照)。
同小説については、たとえばウィキペディア一つをみても分かるようにその方法論にはさまざま意見があるようです。
ならば、そもそもフィクションだとエンドロールでも明らかにしているのに、何故、池田先生はそこに拘るのか。しかも100%という修飾語をつけてまで。
理由は、労組憎しという彼の姿勢にあるのでは、こう思います。彼の表現に従えば、つまるところ、「もちろん現在の危機をもたらした第一義的な責任は、派閥抗争に明け暮れた経営陣と、JALを食い物にしてきた政治家と運輸官僚にあるが、労組の罪も同じぐらい重い」、ここに尽きるのではないかと。労組にも、今日の日航の事態をもたらした責任を負わせようという姿勢です。
池田先生は、論談というサイトから引用しています(この論談の素性について私はまったく知りませんが)。一方で、すくらむさんのブログで、作者の山崎豊子さんのインタビューが取り上げられていました(参照)。
そのインタビューを、池田氏も引用しています。
彼だって人間ですもの、つらかったと思いますよ。仲間も言います。「僕らは仕事が終われば家族がおり、友人と語れる。あなたは365日、24時間孤独ではないか」。でも、自分が節を曲げたらこの組合はだめになる、「空の安全」は守れなくなるという思いがあるのですね。 |
の部分ですね。
この山崎氏の言葉を、池田氏は、吉高諄という人物を登場させて打ち消そうとしています。
しかし、池田氏がどのように労組、あるいは小説の主人公となった、かつての労組委員長を貶めようとしても、今日の日航の事態は、経営のあり方に起因するものでしょう。第一、労働組合の数が片手を超え存在している現状は、この日航だけに限らず繰り返されてきましたが、まさに労務政策、管理の手法として組合分裂策がとられてきたことの証左でしょう。この一点をとりあげても、経営陣と同罪といわんばかりの池田氏の論法には同意できるものではありません。だから、山崎さんがインタビューでのべている「不条理を拒否する意志の力と人間としての誇りが彼(=労組委員長、引用者)にはあった」という言葉に素直に私は共感します。
日航はこれまで、相次ぐ運航トラブルによる旅客離れや放漫経営といわれる過剰な設備投資がしばしば指摘されてきました。
その上に、航空行政と日航経営との結びつきの問題を無視はできません。たとえば、過大な需要予測による空港建設と路線就航の誘導、米国側からの航空機購入の圧力、諸外国に比べて異常に高い着陸料など公租公課、日米間の不平等な航空協定―などなど。
再建は、まさに航空行政のあり方の転換を求めているのです。
その意味でも池田氏が100%フィクションと言う言葉を強調するのは、日航の現状を『沈まぬ太陽』にダブらせる想像力をかき消そうとしているということなのでしょう。
(「世相を拾う」09235)
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東アジアの共同体に米国を入れる理不尽
東アジア共同体構想 首相、米の関与求める姿勢示す 鳩山首相は24日、日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)の首脳会議に出席し、新政権のアジア外交について「東アジア共同体の構築という長期的なビジョンを掲げている」と説明した。鳩山氏がASEAN諸国に同構想を説明するのは初めて。また、「日米同盟を外交の基軸と位置づけている」とも述べて、共同体構想への米国の関与を求める姿勢を明確にした。 鳩山政権が掲げる「東アジア共同体構想」の中で米国をどう位置づけるかを巡っては、岡田克也外相が「米国まで含めることになっていない」と発言。「除外するつもりはない」という鳩山氏も、10日の日中韓首脳会議で「日本は米国に依存しすぎていた」と述べていた。 |
東アジアのことはなぜ東アジアに任せることができないのか。
米国を入れる意味を問わざるをえません。
そもそも「東アジア共同体」の構想とはそういうものではなかったでしょうか。たしかに鳩山氏は国連でそれを語ったのですが、彼の構想には米国が入っているのでしょうか。そうなると、一般に理解されている共同体構想と似て非なるものではないでしょうか。鳩山氏の「動揺」がみられる背景には、下記エントリーで言及したような経緯があります。米国はこの東アジア共同体構想に強い警戒心をもっているということ。
しかし、平和と繁栄をめざす東アジア共同体の創造、発展にとってその行方を左右しかねない一つが日本の動向でしょう。日本が安保条約を米国と締結している現状がある。これから脱却し、むしろ東アジアの大半の国が加盟し、中国がオブザーバーとなっている非同盟諸国首脳会議に加われば、構想がより現実味を帯び、急転換することは明らかでしょう。
日本が米国のくびきから離れること。それが、東アジアの平和に貢献する道でしょう。だから、鳩山氏が強調する日米同盟の強化は、その意味で、東アジア共同体構想と整合がとれないように私は思うのです。
(「世相を拾う」09234)
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【関連エントリー】
東アジアのことは東アジアが決める。。
「東アジア共同体」具体化への道
匿名献金は底なしなのかな。
小沢氏につづき、鳩山氏も「政治とカネ」問題が急所となっている。
朝日が25日、伝えるところによれば、04年から08年分の政治資金収支報告書に記載された約1.8億円の小口献金の大半が、鳩山氏の資金管理会社「六幸商会」の管理資金だったという。偽装献金の疑いが強まった。
匿名献金の大半、鳩山家から 偽装総額2億円に
偽装献金が疑われているのは、つぎの点にかかわっている。
政治資金規正法は、政治団体にすべての収支を記載した会計帳簿の管理を義務付けており、寄付者の名前、金額、日付などを記載しなければならない。収支報告書には、年間5万円超の寄付分について、会計帳簿から名前を抜き出して1件ごとに記載し、5万円以下の分は匿名のまま総額だけを記載すればよい。 |
一定額のカネを、5万円以下の寄付を受けたことにすれば報告書に誰から受けたのか、記載する必要がないからだ。
こうして、調べによれば、04年から08年分で、個人献金総額2億8643万円のうち、匿名分は61%、約1.8億円にのぼる。
だが、政治資金規正法では、政治家個人は資金管理団体に年額1000万円まで、一般の個人は150万円までと上限が定められている。鳩山氏の資金管理会社「六幸商会」では、一定の額がまとまると、それを5万円以下の寄付に分散させて、献金総額にふくめていたという。
すでに氏の資金管理団体の収支報告書で故人から寄付を受けていたように報告されていた件で、自らの資産であったことを認め2000万円を修正している。
事態は、5万円を超える部分で多くの虚偽記載があって、したがって5万円以下でも偽装献金があるのではないか、こんな疑惑を解明する方向に動いてきた。
政治資金規正法は、政治資金を公開し、国民の「不断の監視と批判」のもとに置くことを定めている。収支報告書の虚偽記載を禁止し、名義を偽った献金も禁止している。
鳩山氏はこの点で政治資金規正法違反といわれても弁解の余地はない。巨額の届け出をなぜ偽装したのか、もともとはどんな金だったのかを、氏には説明する責任がある。
ヤミ献金、不正な献金の疑いはいよいよ強まる。
(「世相を拾う」09233)
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「朝生」のこと
「朝生」での東浩紀の独壇場が話題になっているようです。
http://benli.cocolog-nifty.com/la_causette/2009/10/post-7a7a.html
http://d.hatena.ne.jp/lovelovedog/20091025/azuman
とくに(ネットがあれば)政治家はいらない、ネットをつかって直接民主主義が可能になるという彼の発言部分について。この提案について私自身、思うところ(*1)はありますが、とにもかくにも、小倉さんもいっているように、面白かったのは城繁幸でした。出る幕がなかった。
当の城繁幸の感想は以下に。
雑感@朝生
読むべくもありませんが。無念さが伝わってきますね。
本番前の彼のエントリーとあわせてみると、そもそも最初から決着がついていたということなのかもしれません。
(「世相を拾う」09232)
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*1;直接民主主義だという以上、ネット環境に住民が等しく置かれていなければならない。その条件がまず現状ではないわけですから。仮に環境が整ったとしても、情報のコントロールをクリアできるのか。ネットへのアクセス志向の多寡は、ほとんど投票行動と峻別つかないのかもしれません。など、考えます。
とどのつまり- 辺野古移転へ
首相は年内に移転先を判断するといいます。日米合意の辺野古を容認する方向が確実視されています。
鳩山首相、普天間の辺野古移転認める可能性 年内判断へ
この間の政府・民主党の対応の移り変わりはこのエントリーでみたところです。結局、米側の姿勢を崩すことなどできなかった。崩す気があったかどうか、それも不明なのですが。しかし、マニフェストには、在日米軍再編の見直しを掲げていたのですから、それに期待をかけてきた、とくに沖縄県民の失望は察するに余りあります。
鳩山政権の発足以来、首相らの発言に振り回され、一喜一憂を繰り返した沖縄。県幹部からは政府の統一見解を早く示すよう求める声が上がる一方で、名護市の移設反対派からは民主党の「公約違反」に対し「県民への裏切り」との声も飛び出している。 |
こう朝日は35面の記事(西部版)でのべています。今でも明らかにならない民主党の見解。「日米関係を規定する日米安保条約にどんな態度をとるのか、国民・有権者の前にはっきり提示せよ」と先のエントリーで指摘しましたが、沖縄県民が煮え切らない政府と民主党に苛立ちを覚えるのは当然のことでしょう。その典型が鳩山首相だったかもしれません。
彼は、来年1月の名護市長選後の判断をちらつかせてきたわけですが、先ほど来日したゲーツ国防長官は重ねて日米合意の早期履行を強く要求しましたし、たとえば「最も厄介な国」というような表現をもちいて米国内で日本の対応を懸念する世論形成が同時におこなわれ、日本にも発信されてきたことは周知のことでしょう。こんな中、岡田外相はすでに県外移転はありえないことを表明し、北沢防衛相も判断を先延ばしにすることに否定的でしたから、鳩山氏はまさに宙に浮いた格好で事態は推移してきたわけです。
そして、つまるところ、現時点で、日米合意を民主党政府が追認する可能性だけが大きくなった。
一方では、米軍での思いやり予算をこれまでの自民党政権と同様に聖域として扱い、8月までの自公政権による概算要求をそのまま認めているのです。これは何を意味しているのか。米国への端的な追随姿勢がこれに表れているとみてよいのではないでしょうか。
したがって、基地移転問題での政府の「右往左往」も、結局は、基地再編見直しどころか、日米合意を追認することになるのでしょう。
ですから「公約違反」、「裏切り」という言葉を甘んじて受けざるをえない、こういえるのです。
(「世相を拾う」09231)
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【関連エントリー】
日米関係のゆくえ- 基地問題で揺れる民主党政権。
月額2万3000円の復活。
母子加算:「修学旅行に行ける」…復活に胸なで下ろす
この記事をめぐって、2ちゃんねるニュース速報+で話題になっているのは、おすしの話題です。
記事の、
「復活したら、息子とおすしを食べたい。ずっと食費も削ってきたから」と話すものの、息子が来年3月に高校を卒業すれば、母子加算の対象から外れる。 |
の部分。
けれど、記者と記者のインタビューを受ける側との間のやりとり、つまり記事になった部分の前後の脈絡を無視して単純化してしまうと危険です。生活保護の母子加算の削減が問われず、生活保護受給者がすしを食べる是非が現実に語られているように。
インタビューに応じた女性は、もちろんおすしを強調しようとか、そんなつもりはなかったでしょうが、加算が廃止され切り詰めてきた今日を振り返り、少しは余裕がでるという話をしたのでしょう。このように私は推測しますが、世間では、生活保護世帯という存在が、あろうことか寿司を食するとはけしからん、コメントではこんな調子が散見されるわけです。言葉をかえると、弱い者にたいする徹底した排除意識がそこにある。それはしばしば、生活保護世帯にたいしてであり、在日韓国・朝鮮人であったりする。
しかし、そもそも母子加算が廃止される以前にはあったわけですから、そこから話ははじまらざるをえません。そのことにふれずに、復活後の将来を語る生活保護受給の母子家庭の語った一言一言を論じてもこの問題の出発点を欠落させているという決定的な弱点にたいする批判は免れません。
遡って、生活保護削減で老齢加算や母子加算が廃止の対象になったのは、2006年の財政審の建議が発端でしょう。加算がつけられてきたのは、老齢や母子がより弱い存在であるからにほかなりません。そもそも社会保障というものが、社会的な弱者の生きる権利を最低限度で保障しようとうする点から出発していると考えるなら、しごく当然のことです。財政審は、社会保障費削減という課題をいかに成し遂げるかという点で、老齢加算と母子加算に照準をあてたのです。理由は簡単。財政的問題。歳出削減ということでした。
母子加算は先にものべたように、一人親の生活保護世帯に対し、子どもの健全な育成のために出されているもので、子育てに欠かせない給付と位置づけられてきましたし、それを廃止するには(はたして理由が存在するのかどうか?)明確な根拠がなければなりません。
その点で、もう随分、昔のことですが、朝日訴訟というものがありました。
憲法25条に明記された「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」、つまり生存権を保障するための最低限度の水準というものは、予算の有無によって決定されるものではないと、東京地裁はこの裁判で断じたのでした。判決はさらに、最低限度の水準は、予算を「指導支配する」とさえ言い切ったのです。
この立場から判断すると、財政審建議や、たとえば母子加算にみられる生活保護削減の違憲性が浮き彫りになってしまう。
2ちゃんねるスレッドにみられる生活保護世帯にたいする意見は、それを確認・立証した上での発言なのか。そうでなければ偏見といわざるをえません。
人間は社会的存在だとよくいわれます。自分より弱い立場の人へのまなざしとまず手をつなぐことで、はじめてそれが確認されると私には思えてならないのですが。
(「世相を拾う」09230)
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日米関係のゆくえ- 基地問題で揺れる民主党政権。
米軍普天間基地移設問題で、政府が県外移転を断念したそうです。
普天間移設で年内に新候補地策定 「県外は断念」米側に打診へ
以下に、この問題での政府と民主党の対応を(当ブログのエントリーから拾い)列記しました。
鳩山首相は米国との対等な関係をあれほど強調してきましたから、常々、考えてきた日米関係のありようにてらして、民主党のこの発言を私は積極的に受け止めてきたわけです。一方で、また腰砕けになるという想定もしていました。
結果は、後者の方でした。列記した記事の末尾の記事に、すでに今回の結論は暗示されています。つまり、民主党の態度の変化は、列記の最初の記事からあとになるにしたがい、おそらく民主党のいうであろう現実的対応が強まっていき、しだいに「原則的立場」が後退していったということです。
ただし、あえてかっこ付きで原則的立場と表現するのは、この党にこの問題での原則性があるのか否か、疑念をもつからです。
この記事のかぎりでは、鳩山氏がいった米国との対等な関係の構築をめざすという一点を原則だと理解して、話をすすめます。
参院選のさなかの記事で、米国高官がこのようなことをのべていました。
当然といえば当然ながら、米国も日本の政情に敏感に反応しています。 朝日記者の直截な質問にも、たとえばこうのべています。 ――日本の政治は大きく変わろうとしています。 外務、防衛両省とだけでなく、政党や政治家とも幅広い関係をもつことが重要だ。米国は日本でどのような政権が誕生しても対応する用意があるし、強固な関係を築く自信がある。90年代と違って今は、日米関係が平和と安定の基礎となっていることについて両国民の間に深い確信があり、より希望が持てる。
|
高官のコメントに貫かれているのはいうまでもなく日米軍事同盟の強化です。投票日前の記者会見ですが、すでに高官は政権交代を視野に入れていて、そのことによって米国の対応がかわることはないことをあらためて強調しています。
それから、交代なって数日後、今の鳩山首相はオバマ大統領と電話で会談。そこで鳩山氏は日米同盟強化でオバマ氏と一致したというわけです。それにたいして、当ブログは以下のように言及しました。
民主党の鳩山代表は3日未明、米国のオバマ大統領と電話で12分間会談した。鳩山氏によると、鳩山氏は「日米同盟が基軸だ。建設的な未来志向の日米関係を発展させよう」と呼びかけるとともに、「大統領は気候変動、核廃絶・不拡散にリーダーシップを発揮されている。私たちも同じ気持ちの政党だ。経済問題も互いに解決するよう努力しよう」と表明。こうした問題で足並みをそろえ、日米関係を発展させることで一致したという。
|
もう、この時点で、はっきりと米国の示す強固な姿勢の枠組みに民主党ははめられています。そもそもはめられやすい、その限りで対等な関係を追求できる確固とした原則的な立場など、民主党にはないということを以上の事実は示しているのかもしれません。
米国の考える枠組みにしっかり取り込まれたわけですから、民主党の対応は以下のように当然ながら動いているはずです。「県外が基本」というのが、ミソでもあるのですが、基本をそこに置くということは、基本からはずれることもすでに考慮されているということです。
しかも、問題なのは「県外」と言う表現で沖縄県民の願いに応えたつもりなのでしょうが、県外移転によって事態は何もかわらないということです。
それから以後、首相が、普天間移設は県外が基本とのべました。
鳩山首相の視点では基地問題は解決しない、これが結論です。 県外移転といっても、これは、たらい回しにすぎません。たしかに発言はSACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)合意を念頭に置いたものではあるとは思いますが。SACOは、1996年に米軍基地の(沖縄)県内たらい回しを決めたものですからね。 たらい回しを解決するには、基地の無条件撤去という立場にしっかりとたたなければならない。そうしないと解決しないでしょう。
再編は、米(沖縄)海兵隊のグアム移転の条件として、名護市辺野古沖へ海兵隊新基地を建設することがセットされていること。移転と新基地建設は切り離せない条件されていること。 沖縄県民の負担軽減というウソ八百。日米両国政府は海兵隊1万8千人のうち8千人を減らすと宣伝するものの、そもそも1万2千人が海兵隊の現勢。実際は2千人の削減で1万人は残すという内容でごまかし。 というものでした。 |
こんなたらい回しにのっかってしまうと、問題がこじれてくるのが目にみえています。利害が移転先と元で対立してしまう。対立させる方向を提案するというのですから、矛盾が生まれる。そのことに以下のとおり言及しました。
自らのよって立つところを明確にすることと、実際の外交交渉をどのように進めるかということを何も直結させる必要はない。私はこう思います。今必要なのは前者を国民の前に明らかにしておくことです。「板挟み」という現象以前に、では民主党の基地問題解決の道筋を示してもらわないと困るのですね。 それをはっきりさせないでいて、双方によい顔をしようという構図でしょうか、今の政権の姿は。 追記 |
そして、ついに防衛大臣は困り果てたのでした。「難しい」ですって。
ここで少なくとも、勇気をふりしぼって、最初に立ち戻り、原則的な立場を追求すべきでした。
民主党政権の考えは、県内であろうと、県外であろうと、そしてそれが国外であろうと、基地を平行移動するにすぎません。米軍基地とその周辺地域との間にいくつもの問題が常に発生してきたのは誰もが知っていることです。 こんな状況がありながら、県外移転などといえるのは、いったいどのあたりからくる発想でしょうか。 鳩山首相は米国との対等な関係を口にしていますが、沖縄県民の実情をよく理解できるのであれば、今こそ基地撤去を主張しなければならないでしょう。 だからどうよ。移転案を撤回すべきでは。 |
しかし、それをやれない政府と民主党は、沖縄相にこう語らせたのでした。筋道、民主党が探ろうとする落としどころはこの辺りにくれば、はっきりみえているのではないでしょうか。
前原誠司沖縄担当相は3日、就任後初めて沖縄県を訪問し、米軍普天間飛行場(宜野湾市)を視察した。この後、記者団に対し、自民党政権下で日米が合意した同飛行場のキャンプ・シュワブ沿岸部(同県名護市)への移設計画について「鳩山政権の下で、新たな移設先の検討と、それ(移設)を実施することを考えた」と述べ、抜本的に見直す必要があるとの考えを表明した。
そもそも米軍の戦闘のための基地を日本が確保するという協力の是非が問われないといけません。民主党が、見直しをやるのなら、その観点からやるべきではないでしょうか。前原氏のように移設先を最初に考えるのではなく。 |
重ねて問いたいと思います。
少なくとも、この一連の対応は、鳩山さんが公言した対等な日米関係からはほど遠いのではないか。
そもそも日米関係を規定する日米安保条約にどんな態度をとるのか、国民・有権者の前にはっきり提示せよ。そうして退路を自ら断ってこそ、(民主党の)原則的対応というものが可能になるのです。
(「世相を拾う」09229)
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