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松岡氏自殺;国対委員長・二階俊博という男
報道によれば、氏は「国対からの、上からの指示なのです。それに従うしかないんです」と語っているので、そのとおりだとすれば、国会のなかでの氏のとても我われには理解できない対応も指示どおりだったということだろう。
中川秀直幹事長は「国対に確認したが、そういう事実は一切ない」とのべているようだが、いったい自民党国対とは誰を指すのか、興味はそれでなくてもわいてくる。
自民党の国対委員長は二階俊博氏である。氏の素性はある程度のことは承知していたが、なかなかの人物のようだ。
たとえば、日経の清水真人編集委員は氏の「暗躍」ぶりを詳細に書いている。郵政民営化法案審議の際の、氏のある種鮮やかな動きについてだ(「二階俊博郵政特別委員長」小泉人事の覚悟)。これを前提にすれば、二階氏の今の局面での動きは表面にこそ出てはいないが、「フィクサー」ぶりもまた推測できるのではないか。
清水氏は先の一文をこう締めくくっている。
二階はもともと竹下派にいた。小沢一郎らに従って自民党を離党、細川非自民連立政権では運輸政務次官ながら「事実上の大臣」と言われ、運輸族として地位を確立した。小沢側近として鳴らし、新進党の結党・解党から自由党結党に参画。小渕恵三政権での自民、自由、公明3党の連立樹立まで、他の小沢側近が相次ぎ離反した中で長く行動を共にした。
ここで転機が訪れた。二階はやはり運輸族の自民党の古賀、公明党の草川昭三との3党国対委員長間で「だんご3兄弟」と呼ばれるほど緊密な連携を築く。ここに野中広務官房長官が加わり、野中と古賀は草川を窓口に創価学会と小渕政権をつなぐパイプを独占。「新実権派」として権勢を振るったのである。そこに二階も一枚かんでいた。
2000年、小沢が小渕とたもとを分かって政権離脱すると、二階はついに離反を決断。保守党を旗揚げして与党に残留する選択をした。野中、古賀と築いた関係が決定打だった。その後、保守新党を経て自民党に復党、古賀に近い位置を保ちながら、小泉や山崎とも関係を構築してきた。
かつては竹下派「経世会」で野中らとともに故金丸信元副総裁のマージャン相手をしじゅう務めていた二階。「経世会」を不倶戴天の敵と見定めてきた小泉とは自民党内でおよそ対極の位置にいた。10年余の政界再編の奔流を生き延びた末に復党し、小泉の悲願実現のカギを握る役回りを演じるとは、いったい誰が想像できただろうか――。
参議院選を前にして、昨日とりあげた朝日の表現を借りれば、自民党にとっては「窮地」なのである。これを二階氏が転機とみるならば、どのように動くのだろうか。氏は金丸信との交友のなかで、処世術・役回りを身につけたのだろうか。
世論調査によるかぎり、内閣支持率は急落の局面である。創価学会にも顔がきき、自民党内の各派、そしてかつての盟友・小沢氏のいる民主党にも人脈をもつ二階氏が何を考えているのか、これもまた事態を動かすのかもしれない。
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松岡農水相自殺;自民党の乗り切り方
自民党内でも、笹川尭元科学技術政策担当相の「首相は任命責任をたたかれるのは嫌かもしれないが、辞めさせてやらなかった責任の方が大きい」(5月28日)などの声が出ている。
笹川氏が指摘するように、スキャンダルがつきまとう松岡氏をあえて任命した責任の上に、松岡氏の死で、かばいつつけ、罷免しなかった首相の責任の大きさがあらためて浮き彫りになったといえる。この二重の責任はきわめて重い。
この事態を招いたのは、松岡氏の思いがどこにあったにせよ、つまるところ首相の責任だといってもよい。
朝日記事(5・30)はこの事態を、動転国会 首相、窮地回復急ぐという記事でまとめている。この窮地を安倍首相と自民党がどう乗り切ろうとし、たいする野党の思惑がどこにあるか、その一端をのべている。朝日の記事は、結論を先にいえば、自民か民主かという従来の視点を少しもでていない。
自民党の危機の乗り切り方は以下の筋書きが考えられているようだ。年金問題での予想を超えた国民の反発にたいして、年金時効特例法案を与党は提出する。朝日紙が26、27日におこなった世論調査結果を29日に発表したが、自民党の「素早い対応」は、この結果に歩調をあわせたものだろう。世論調査は自民党にもっとも活用されている。まるで支持率の動向をメディアに調査させているようなものだ。したがって、法案は、いわば対症療法にすぎず、提出するという形式を整える以上のものではないようだ。そして社会保険庁と抱き合わせで成立させる予定だという。
一方で自民党は、松岡氏の光熱水費問題などに端を発した「政治とカネ」の問題で、政治資金規正法改正案の提出を延期し、不動産取得を禁止する規制強化を盛り込む構え。小沢氏のあぶり出しをやろうというわけだ。小沢氏たたきに今の民主党が耐え切れるか。この揺さぶりに民主党が持ちこたえられるかどうかがやはり局面を左右するだろう。
朝日は「民主党は対決姿勢を崩していない」というが、同党の対決姿勢はそう長くは続かないだろう。「政治とカネ」の問題では、自民同様、すねに傷をもっている。これが必ずネックになるだろう。共産、社民両党にはどれだけ存在感を示せるかが問われる。民主党には、対決姿勢を最後まで貫き頑張ってほしいところだが、松岡農水相自殺も絡む「政治とカネ」問題ではおそらく自民党の対抗軸にはなれない。
自民党が窮地であればあるほど、いみじくも首相が訴えたが、党内の力は分散より結束に向かうだろう。国民の反発と野党の抵抗姿勢が持続する確率と、自民党がいくらかの妥協をしながらも窮地を脱する確率のどちらが大きいかといえば、残念ながら後者なのである。
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NEC・裏金のつくり方、中村勘三郎・所得の隠し方、そして事務所費問題
現行の法の枠組みでは認められないカネを、あたかも事業に供した経費として計上するやり口が一つ。もう一つは、自分の懐に入ったカネがあるのに、入ったカネを少なく申告するやり口。所得税が収入から経費を引いたものに課税されるというしくみであるのなら、形式的に税を逃れようとすれば大別すると以上の2つしかありません。
NECの裏金づくりは、一番目のやり口です。中村勘三郎さんは2番目でした。
NECの不正支出は22億円といわれています。これだけの大金を費用化するのは並大抵ではありません。よほどシステマティックでないと。したがって、NECは、費用を払ったものとして下請け会社などに経理処理を押しつけ、カネを還流させていたのです。巻き上げたカネは自社の裏金として、接待などに遣われていたとか。発注側の強みを最大限に利用して下請会社に負担を強いるという典型でしょう。日本には大企業のもとにたくさんの子会社や下請会社が存在して成り立っています。子会社、下請けは工賃でたたかれ、架空経費(子会社、下請けからみれば架空の収益)を押し付けられるのです。
しかも、これだけの不正なのに、過去の赤字は繰り越されるために追徴課税はなしという結末です。
中村勘三郎さんは、昨日までは強気でしたが、一転、所得隠しを認めざるをえませんでした。こちらは、収入として入ったはずの襲名に伴う祝儀などを隠していました。メディアでは申告漏れというそうですが、伝えられているのは、漏れにはあたらないほどの大きな金額でした。中村さんは多額の税金を当然、追徴されたのです。
さて、この1社、1人の不正は、所得税法・法人税法にからんでいますが、亡くなった松岡氏が最後まで明らかにしなかった事務所費は、政治資金規正法の届出内容にかかわるものです。
彼は超有名になった、ナントカ還元水という常人ではとても理解できない説明で、多額の事務所費を計上していたことをかわそうとしました。これはうやむやになりそうな気配がしないでもありません。
しかし、会計責任者はいる。この際、会計責任者に一切を語ってほしい。国会は真相究明を断固やってほしい、こう思うのです。
NECも中村さんもすぐに発注担当者や経理担当者の首を切りました。でも、とかげのしっぱ切りの印象を拭い去ることはできません。
松岡氏の会計担当者はいよいよ孤独感を味わっているのかもしれませんが、真相究明のために潔くふるまってほしいものです。
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松岡氏「政治とカネ」疑惑のゆくえ
作家の佐木隆三氏は、遺書に注目し「走り書きかもしれないが、何らかの無念の思い、疑惑への言い分が書いてある可能性がある」と話す。
自殺の動機を「官製談合絡みの政治献金を受け取っていたことが駄目押したのではないか。打たれ強い人物と思っていたが、よほど追い込まれたのだろう」とみた上で「早く辞職するべきだった。大臣や議員を辞めることが潔い態度であって、死を選ぶのは釈然としない。疑惑を晴らすためとは思えないし、納得が行かない」と話した。
光熱水費問題について、政治資金規正法違反容疑で松岡前農相らを東京地検に告発した大阪市の市民団体「政治資金オンブズマン」の阪口徳雄弁護士は「これで与野党とも疑惑を追及しなくなるかもしれないが、『政治とカネ』の問題を終わりにしてはならない。(告発に絡む)会計責任者は残っているし、帳簿もあるのだから、捜査を進めてほしい」と求める。
ジャーナリストの大谷昭弘(ママ)氏は今回の事態について「議会制民主主義の敗北」と言い切る。
「内閣と国会は、政治家の疑惑や金銭問題を解明する責務を負う。安倍晋三首相や与野党が事実を明白にし、松岡氏に迫っていれば農相辞任や議員辞職の形で責任を取ることもでき、死を選ぶ必要はなかったはず。その機会を逃がしたのは国会であり、安倍内閣だ」
いずれのコメントにも私は違和感をもちませんが、皆さんはどのように感じられるでしょうか。
関連して私が知りたいのは、上記の阪口弁護士らの告発のゆくえなのです。実は、自治体行政に関連してある人物を数名の人びととともに告発した経験が私もあり、当該事件は未だに係争中なのですが、阪口氏は自らのブログで告発の今後をつぎのように語っています【松岡大臣の死亡と検察の捜査(政治とカネ71)】 。== 以下、引用 ==
告発は生きている人間に対して、刑罰を科すように求める内容であるから、被疑者が死亡した以上、公判請求は出来ない。よく言われるように、『被疑者死亡で、不起訴になる』普通は捜査は打ち切られる。
政治資金管理団体の代表が死亡したのだから、真相はヤミに葬られる可能性が高い。しかし被告発人は亡松岡利勝氏だけでなくこの政治団体の会計責任者も告発している。
≪被告発人青木昭二の下記の行為は政治資金規正法25条1項3号違反≫
http://homepage2.nifty.com/~matsuyama/matsuoka/matsuoka_kokuhatsujou.html
会計責任者が、会計帳簿や領収書類を保管をしているわけだから、東京地検の捜査が継続するし、この真相を、客観的証拠に基づき、解明する責任が逆に生じた。
何故なら、今回の多くの市民の告発をうけたあと、検察は身柄を逮捕、確保するなどの処置を講じれば今回のような不幸には至らなかった。
モタモタ捜査が、被疑者の自殺の原因ではないが、被疑者の自殺を防止できなかった、一つの要因という批判が妥当する。
法務省のサイトに≪被疑者死亡の場合の捜査≫について興味深い検事の体験談が記載されていた。http://www.moj.go.jp/KANBOU/KENJI/kenji08-01.html
【捜査線上に浮かんだ被疑者は,警察の任意の取調べで完全否認をしたまま,帰宅直後に自殺してしまった。警察から被疑者死亡として事件送致を受けたが,これを不起訴とするほかないとしても,被害者の遺族のために検事としていったい何ができるだろうかと思い悩んだ。被害者の遺族に対し,事実関係を証拠に基づいて説明し,検事としては,自殺したこの被疑者こそが犯人と判断していることを伝えることが,遺族に対する責務と考え,膨大な事件記録を精査し,事実経過とそれを裏付ける証拠をメモに起こした。そして,そのメモに沿って遺族に説明をしたところ,「誰も事件の真相を教えてくれないのかと思っていたが,検事さんから教えてもらえて助かった」と涙ながらに感謝された】
東京地検の特捜部は、亡松岡利勝氏の死亡に関わらず、今回の水光熱費問題を解明し、国民に上記検事のように、説明する義務がある。
そうすれば『国会で、安倍内閣や与党議員が必死になって隠した真実を、検事さんから教えてもらって、政治とカネの一部が解明できた』と国民は感謝する。== 引用終了 ==
明快な論理だと思います。国会もまた、全容の解明に力を尽くすべきです。そして、安倍首相は自らの責任で全容解明の先頭に立たないといけない人物でしょう。
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松岡氏自殺で問われる安倍首相の責任
そこに何があるのでしょうか。
安倍首相からみると、松岡氏は自分に近い人物であったことにまちがいなさそうです。
まず「日本の前途と歴史教育を考える会」。歴史教科書を偏向しているとして同会が動いた時、代表は中川昭一・現自民党政調会長、安倍首相は事務局長でした。そして松岡氏は副代表でした。
また、図にあるように松岡氏は、「日本会議」議運にも名を連ねています。総裁選では、安倍首相の選対本部のメンバーだったのです。
だから、首相は閣僚に起用したのでしょうが、以前から氏の疑惑が取沙汰されてきたわけで、安倍首相の任命責任は重いといわざるをえません。
国会審議でも各党から追及をうけてきた松岡氏をかばうことなく、安倍首相が疑惑解明に乗り出していれば、今回の事態はまた違った形になったと、多くの人は考えるのではないでしょうか。
疑惑解明にむけてインシャチブを発揮すべきなのは安倍首相です。
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*緑資源官製談合の構図はここ(しんぶん赤旗5・29)
追記;このエントリーを公開した直後、こんどは、緑資源機構の前身にあたる旧森林開発公団元業務担当理事が自殺というニュースが流れました。
緑資源の前身・森林開発公団の元理事が自殺(朝日新聞電子版5・29)
推測の域を出ませんが、松岡氏の自殺に加え、氏に近い地元後援者の自殺、そして今回の人物の死は、政権をはじめ、自民党、官製団体をふくむ構造的な談合・汚職腐敗事件の様相をますます強めています。
松岡農水相の自殺または「政治とカネ」
28日正午ごろ、東京都港区赤坂2丁目の衆議院赤坂議員宿舎1102号室で、松岡利勝・農林水産相(62)が首をつっているのを秘書らが発見、119番通報した。警視庁によると、松岡氏は自殺を図ったとみられる。松岡氏は新宿区の慶応義塾大学病院で治療を受けていたが、午後2時、死亡が確認された。
松岡氏をめぐっては資金管理団体の光熱水費や事務所費の不透明な支出や、入札談合事件で理事らが逮捕された農水省所管の独立行政法人「緑資源機構」に関連する団体からの献金問題など「政治とカネ」をめぐる問題が野党から次々と追及されていた。
このほか、出資法違反容疑で福岡県警の家宅捜索を受けた会社の関連団体のNPO法人申請をめぐって、松岡氏の秘書が審査状況について照会していたことが発覚。松岡氏の後援者に対し、都内の会社経営者が「松岡氏への資金協力」として渡した100万円が使途不明になっていることが判明するなど、「政治とカネ」をめぐる問題を指摘されることが絶えなかった
。松岡氏の事務所費問題は、「日経」(1・11)が指摘するように、共産党機関紙「しんぶん赤旗」が火をつけました。
その後も、上記朝日記事が伝えるとおり、緑資源機構をめぐる談合疑惑では、林野業界団体から10年間にわたって1億3千万円の献金を受けていたことを明らかにしました(同党・紙参院議員)。緑資源機構への捜査のメスが入ったあとだけに、直接的にはこれが、松岡氏の今回事件の引き金になっていると考えられるでしょう。
そこで問題になるのは、安倍首相の任命責任と、氏をかばいつづけた首相ら政府・自民党の責任です。たとえば中川秀直幹事長はこう語っていました。
松岡農相への業者献金 「適切に処理」と中川幹事長 緑資源談合(西日本新聞5・27)
自民党の中川秀直幹事長は26日、独立行政法人「緑資源機構」の官製談合疑惑に絡む事業の受注業者から、松岡利勝農相が多額の献金を受けていた問題について「政治資金規正法に基づき、適切に処理されていると思う」と語り、参院選への影響はないとの認識を示した。視察に訪れた熊本市で、記者団の質問に答えた。
同機構の官製談合事件について、中川幹事長は「あってはならないこと。官製談合を根絶するため、政府は公務員制度改革に懸命に取り組んでいる」と語り、再発防止のため、同機構の組織改革などの必要性を強調。松岡農相への献金については「説明責任が足らないと指摘されるならば、いささかな疑惑も持たれないよう、本人が説明すればいい」と述べた
。私は「松岡氏の今回事件」と上述しましたが、自殺以外の可能性もふくめて明らかにされる必要があります。すでに緑資源機構への強制捜査を前に、松岡氏に近い地元関係者が自殺している。真相究明を快く思わない勢力が厳然としてあるように思えてなりません。
今ひとつは、この緑資源機構の談合にからんで受注団体は自民、民主両党議員に広く献金していたことが明らかになっています。一連の事務所費問題でもそうでしたが、「政治とカネ」のしがらみの中にもっとも深くかかわっているのが両党でしょう。
緑資源談合 受注の関連団体 自民・民主に広く献金(しんぶん赤旗5・28)
農林水産省所管の独立行政法人「緑資源機構」の官製談合事件で、東京地検特捜部が独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で同機構理事らを逮捕しましたが、同機構から工事を受注する業者らでつくる任意団体「特定森林地域協議会」(特森協)の政治団体「特森懇話会」が松岡利勝農水相だけでなく、自民党や民主党の林野族議員などに幅広く献金していたことが27日、わかりました。
松岡農水相は、2000年から05年までの6年間に特森懇話会から計520万円、特森協宮崎地区協議会から05年に200万円の資金提供を受けていたことがすでに判明しています。(本紙8日付)
氏の自殺によって真相を闇に葬ってはならない。このままでは疑惑の霧は晴れない。安倍内閣には真相を究明する責任があります。そして自民党も、民主党も。
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【関連エントリー】
松岡農水相殿、領収書添付方針に「従う」だけでよいのか
ホリエモン実刑判決と松岡農水相「虚偽記載」の接点
政治とカネをめぐる問題
消えた年金、高まる不安と反発
安倍首相は27日、公的年金の保険料の納付記録が誰のものか分からなくなっていたり、消えたりしている問題で、本来の受給額と実際の受給額との差額を受け取れる期間が過去5年分に限られている現行制度の時効を撤廃し、全額受け取れるようにする救済法案(議員立法)を今国会に提出するよう、自民党の中川秀直幹事長に電話で指示した。政府・与党は今国会での成立をめざす。
与党側は当初、秋に予定されている臨時国会に法案を提出する構えだった。だが、この問題への世論の反発が予想以上に強く、首相は今夏の参院選を控え、被害者救済策が後手に回れば野党側が勢いづき、選挙にマイナスになると判断したと見られる。
社会保険庁解体・民営化法案は25日、衆院厚生労働委員会で強行採決されました。
5千万件にのぼる年金記録ミスが国民の前に明らかにされて、反発が日に日に高まる中での強行でした。
解体・民営化法案で「消えた年金」問題も解決するのなら別ですが、問題を不問にし、むしろ予測されている、これから新たに発生する問題の解消策も提起できないままでは、いっそう不安は高まるばかりでしょう。
社会保険庁では、外部委託がすでに大規模にすすめられています。社保庁が解体・民営化されると個人情報漏えいや新たな年金記録ミスがいっそうを生まれることが国会論戦で指摘されました。
国民年金、健康保険・厚生年金などの届出書の入力業務はすべて派遣会社に委託し、不安定で、複雑な勤務シフトが避けられない派遣労働者には業務ミス・事故がついて回ることが予測されるわけです。個人情報がつねに漏洩の危険にさらされているのでは国民の信頼をかちとることなどできないでしょう。
22日の衆院厚労委・参考人質疑では、(政府案と民主党案に共通している管理運営の細分化・民間委託について)「「世界の潮流に反する非効率的な政策であり導入すべきでない」(立正大学・渡部記安教授)という発言がありました。
社会保障全体の運営管理を国が包括的一元的に行うのが世界の流れなのに、社会保障の監督庁の解体・民営化が世界の流れに逆行するという厳しい指摘です。
「消えた年金」問題では、国の責任で調査し、一人も不利益になる人を出さない対策が必要です。今回の安倍首相が打ち出した「年金支給漏れ救済法案」は国民の反発を前にあわてて指示をしたものでしょうが、あらためて国民の不利益が生じないよう確認させなければなりません。
何よりも、政府がその十分な対策を示さないまま、年金業務を民間委託しようとしていることを告発する必要があるのではないでしょうか。
政府は国民の財産を守るのが仕事の一つでしょう。
「消えた年金」は、今の政府が自らその責任を放棄しているともいえるものです。
社会保険庁の解体・民営化は、国会審議の大詰めをむかえていますが、「消えた年金」問題が浮上した今、あらためて政府の責任は重く、厳しく問われなければならないと思うのです。
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評判悪い自治体、よい自治体;企業からみれば
評判悪い自治体、ランキングは秘密 経産省(朝日新聞5・26)
「たらい回しランキング」は断念――。経済産業省は25日、国内に工場を建てる企業に、現地の役所の対応に対する満足度を聞いたアンケート結果を発表した。甘利経産相の発案で、問い合わせへの対応をたらい回しにするなど評価の低い自治体も含む番付にしようと狙ったが、結局は満足度の高い都道府県を並べた内容にとどまった。
低い評価の公表をやめたことについて、甘利経産相は同日の記者会見で「今の努力をなえさせてはいけない。改善途中の自治体もあるかもしれない」と説明。経産省は「自治体から聞かれれば順位を伝える」という。
企業の満足度が高いのは、北海道や北陸、山陰の各県など、景気回復が遅れる地域で目立った。同省は「補助金などで工場を誘致する力勝負より、対応の早さやきめ細かい気配りが重要」とみている
。これは企業の側から自治体の仕事ぶりを評価したものです。のどから手がでるほど企業誘致を実現したいと考えている自治体は多いわけで、だとすると企業を相手に懇切丁寧に応対すると考えられるのですが。
やはり企業の満足度の高かったのは、北海道や北陸、山陰の各県など、記事の言葉を借りれば「景気回復が遅れる地域」、つまり地方の自治体でした。
経産相は、補助金などで工場を誘致する力勝負より、対応の早さやきめ細かい気配りが重要とみている、と記事は伝えていますが、しかし企業の側はこの補助金をもらって地方に進出しているのが実態。けっして財政状況のよくない自治体であっても、莫大な金を出すのですから(図、単位;億円)。補助金の額はそれぞれの自治体の財政規模にもよるでしょうから、その大小だけでは判断できませんが、地方の自治体も結構の補助金を出していることが分かります。
このニュースにふれて感じるのは、地方の雇用創出をどうするのかを考えた場合、やはり地場の産業育成や地方の中小企業のための施策を充実させることが必要ではないかということです。もう一つは、医療や福祉に金を回して雇用を創出することも課題の一つになるのではないのでしょうか。厚労省も社会保障分野の経済波及効果をこれまで評価してきているのです。
ですから、今日膨大な利益をあげる大企業にわざわざ金をくれてやり工場を誘致することを一度考えなおして、地域の雇用も生み出し、消費も広げるような自治体の政策が不可欠なのだと考えるのです。この限りで、経産省がこんな調査を実施したことは、企業誘致を奨励する立場にたっているともいえるでしょう。
しかし、内閣府が発行した『地域の経済2005』も企業誘致制度の効果に疑問を投げかけています。
何よりも、事実が物語っています。たとえば神奈川県は日産に116億円も補助金を交付しましたが、新規採用はゼロでした。雇用の創出に結びつかないのです。
やはり自治体の仕事は、その地域の住民がきちんと評価しなければならないのでしょう。
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この「中国バッシング」は何だろうか?
日本人の感染率は高く、 40 歳以上の男女の 50 %以上に感染しているといわれています。こいつが高じると、胃の粘膜に炎症が起こり、慢性胃炎をきたすことがある。その結果、「ムカムカする」「脂っこいものが苦手」「しくしくと痛い」などの症状が出ます。また、胃潰瘍や十二指腸潰瘍を起こすこともあります 。
幸いに私はあまり胃が痛むことはないので、この苦しみがどんなものかは分かりません。
なぜ日本は感染率が高いのか。戦後しばらくの衛生事情が関係している。ピロリ菌は糞便中に排泄されますので、ナマ水を飲めるのと関係しているかもしれない。また、野菜の肥料に人糞を使っていたのも影響しているのでしょう。このようにとらえられてもいるようです。
ようするに日本は敗戦後も、糞便を農作物の肥料にしてきました。田舎育ちの私の小中学生の頃までは、あぜ道のあちこちで肥溜めがみられたものでした。その後、日本は高度成長を経験し、格段に社会の環境が変わり、生活環境、衛生事情も一変してきたのは事実でしょう。だが、最近まで、日本も多くの東アジア諸国と同じような環境のなかで生活してきたこともはっきりしているでしょう。
最近、気になっているのは、メディアが報じるアジア諸国のなかで、とくに中国の社会事情を報じるものが多いということだけではなく、その視点についてです。
独断でひろってみますと、つぎのようです。
中国産アンコウにフグ混入 米当局、患者発生で注意喚起(朝日新聞5・26)
偽食品、中国深刻 キクラゲ・粉ミルク……(朝日新聞5・21)
中国からの「危険食品」、米が107件差し押さえ(朝日新聞5・21)
中国新幹線、備品盗難はじめ「非文明的行動」相次ぐ(産経新聞電子版5・20)
情報隠し感染拡大? 手足口病 2人死亡 中国山東省 「謎の奇病」デマも(西日本新聞5・24夕刊)
伝えらている内容は事実なのでしょうが、異常なまでに集中していると感じられないでしょうか。中国のたとえば衛生環境の悪さ、マナーの悪さなどある意味でいえば無政府性を強調し、そして非文明的だと断定するものも中にはあって、中国をバッシングしているといえなくもない。これらのニュースは、おそらく見聞きした日本人に、中国にたいするある種の脅威や不安の感情をかきたてるものになるでしょう。
たしかに、中国国内のこうした事情は、国際的に報じられなければならないもの、我われが知っておくべきものはある。
その上で私が思うのは、当ブログでとりあげた「価値観外交」の押し出しとの関係です。安倍首相と、彼の考えに近い日本会議などのグループが何かと話題になっていますが、彼らを中心にうちだされている「価値観外交」とは、強硬な対中国姿勢をあらためて 確認したものといえるでしょう。同時に強調された真の保守主義とは、それと対になったものでしょう。
そこで、一連の中国関連の記事がこうした、価値観外交の強調と歩調をあわせるものになっていないかという思いが少なくとも私はするのです。
中国が急速な発展をとげ、そのことが日本の支配層にも脅威になっている。そして中国の国際的発言力が高まるにつれて、日本の国際的な立場、とくにアジアにおける立場が相対的に低くなっているともいえるかもしれません。高まる中国の評価と脅威が、支配層はもとより、マスメディアをもかきたて、その結果、こんな記事が連発されるのはいかがなものかと思うわけです。杞憂で終わればそれにこしたことはありませんが。
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6月から住民税値上げ。税制のあり方はこれでよいのか
今年に入って税金が安くなったと感じた方もおられるでしょう。現に1月分給与から天引きされる所得税は多くのかたが額面は少なくなっています。しかし、逆に6月から住民税が上がるのです。税源委譲という国から地方へ「税金の差し替え」がおこなわれるためです。だから、多くの人は住民税が約2倍にはねあがる。高齢者は年金課税が強化させるためになかには4倍になる人もでてくるのです。そろそろ届きはじめた通知書をみて、その税額に驚いた人も少なくないかもしれません。
財務省の計算では、定率減税の廃止で生みだされる財源は3.3兆円。今回住民税増税分は1.7兆円。一方、今年の予算では減価償却制度の見直し、証券優遇税制の延長で1.7兆円の減税を盛り込んでいます。
定率減税を推進したきた公明党は、基礎年金への国庫負担引き上げさせるために定率減税をおこなってきたといわんばかりの宣伝をしていますが、これはまやかしというもの。財務省が示しているのは、わずか2200億円を国庫負担引き上げに使うというものです。
だから、定率減税の廃止による増税分はほぼそっくり大企業などの減税分にあてられるということです。
政府は、年金への国庫負担のためには、必要額の8割をまかなうために消費税をふくむ税制の抜本的見直しが必要だといっているのが現状です。
4期も連続して過去最高益を更新する大企業。他方で、我われ一人あたりの給与に関するデータは芳しくありません。11カ月連続して所定内給与は減少。
大企業に富が集中し、庶民のふところは一向に温まらない構図がここにみえてきます。
それは、税制における大企業や金持ちへの減税の一方で、今回の定率減税全廃やこれまでの消費税増税に端的に象徴されるような庶民増税をつづける自民党政治がつくり出した結果だといえないでしょうか。
最近はややトーンダウンしつつあるようですが、景気回復などといわれた割に庶民の懐が温まらず、国内の消費が伸びない一因はここにあるでしょう。
参院選はこの意味で、税制に映し出される政治のあり方を問う、またとない機会ではないかと思うのです。
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クラスター爆弾で日本を守ろう;久間防衛相
久間章生防衛相は25日午前の記者会見で、クラスター爆弾の禁止条約作りを目指す「リマ会議」に関連して「日本を守る時にそれに代わるいい武器がない。攻撃されて蹂躙(じゅうりん)されっ放しでいいか、守り抜いて後はその処理をしたらいいか、国民がどちらを取るかだ。私は後者だと思う」と述べ、国防の観点から同爆弾が必要との認識を示した。
防衛相は日本は海岸線が長く水際での防御がしにくい点を強調。「日本は攻撃用に使うことは100%ない」とも語った
。久間章生氏もいろいろと話題に事欠きませんが、これはその名のとおり爆弾発言かもしれません。
海岸線が長い日本では、この兵器がいいと。
しかし、これは隣国がミサイルを打ち上げれば、すわ一大事と、それに対応するために核兵器が必要だと閣僚や自民党幹部が発言してきたところ。
何よりも時期がよくないでしょう。あるいは、あえて時期を選んだともいえなくもない。
23日から開かれている国際会議「クラスター爆弾禁止リマ会議」では、クラスター爆弾の禁止条約づくりが議論されているのです。私たちは、この爆弾がかつてベトナム戦争時にはボール爆弾とよばれ、多数のベトナム人に被害を与えてきたことを記憶しています。同爆弾の禁止がこれだけ重要視されているのは、不発弾が非戦闘員、市民に大きな被害を与えているからにほかなりません。
日本はこの問題でも国際世論に背を向けたことになるのではないでしょうか。「リマ会議」には、同爆弾を大量に保有しているアメリカはもちろん参加していません。
しかし、国際世論の力を感じるのは、97年に策定された対人地雷禁止条約にも、米露中など大量保有国は参加しなかったわけですが、これら3カ国は99年の条約発効以降、地雷の使用を見合わせているのです。国際的な圧力が現実に国際的な秩序を動かしていると、大いに確信を深めるのです。
いつまでも、アメリカにならえの姿勢は即刻あらためてほしいのですが、今回の久間氏の発言はそれだけなのでしょうか。それとも格上げされ、防衛大臣となった氏の「気負い」がそこにあるのでしょうか。
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米も最低賃金引き上げ、日本はどうする?
何度も当ブログでとりあげた最低賃金。これにかかわって提出されている最低賃金法改定案では、現在地域ごとに定められている最低賃金の決定にあたって「生活保護との整合性に配慮する」としています。
これは、検討過程のなかで、現状の最低賃金が生活水準にも満たないことが指摘され、いわば国民の批判に押された格好で出てきたもの。しかし、一方で、生活保護水準の引き下げを検討しているのですから、ようするに生活保護も、最低賃金も抑えておきたいというのが正直なところでしょう。
まともに働いていても、憲法で定められる生存権を保障するにはほど遠い実態がある。
全国平均は672円ですから、週40時間労働だと年間で約140万円になります。生活保護基準に達しないのです。仮にこの最低賃金で働いていれば、ワーキングプアとくくられるでしょう。
同じく貧困と格差がすすむアメリカでは、10年ぶりに最低賃金が引き上げられたそうです。
米最低賃金:時給7.25ドルに 10年ぶりに引き上げへ(毎日新聞5・25)
米上下両院は24日、法定最低賃金を現行の時給5.15ドル(約620円)から7.25ドル(約880円)に引き上げる法案を賛成多数で可決した。最低賃金は、議会多数派だった共和党の反対で97年から据え置かれ、10年ぶりの引き上げになる。民主党は昨年11月の中間選挙で「格差是正」を訴え、最低賃金引き上げを公約に掲げ、勝利していた。
最低賃金は2年間で段階的に引き上げられる。週40時間労働だと、年収は現行の約1万700ドル(約130万円)から約1万5000ドル(約180万円)に上がる計算。
日本の最低賃金は地域別、産業別に定められている。厚生労働省によると、06年度の地域別の最低賃金の全国平均は時給673円。最高は東京都の719円で、最低は青森、岩手、秋田、沖縄県の610円。
引き上げられたとはいえ、アメリカの水準も決して高くはない。なんでもアメリカのあとを追い、またいいなりになるのはいただけませんが、これはアメリカ同様、引き上げるべきではないでしょうか。
その際、憲法25条にてらし生存権保障に足る生計費とは何か、その基準を確立することや、いまのような地域ごとの制度でよいのかどうか、などの論点について議論されなければならないと考えるのです。
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【関連エントリー】
貧困と格差是正の処方箋 -最低賃金見直し
格差社会支える日本の「最低賃金制」
市場開放論者の医療観;八代尚宏氏
労働市場改革、規制改革による雇用創出がカギ=諮問会議・八代氏
八代尚宏氏の発言です。自説を曲げずに堂々と発言するのは一向にかまわないのと思うわけです。が、まちがったことを語っていけない。ましてや、アカデミックな世界にいる人物が。とはいえ、しょせん経済財政諮問会議の委員を引き受けている人物だと、私はまず、そのことを疑いたくなる。
八代氏の立場は、新自由主義のものでしょう。氏の発言の意図はすぐに読み取れます。それだけ自分の思いに正直なのかもしれません。
氏のいう「『社会主義的経済』といってもよいくらい政府の規制でがんじがらめになっている」という発言はひとまず譲るにしても、そのあとがいけません。2つ、あげておけば、(下線部は八代氏の発言)
- 政府はいまの国民皆保険をきちんと守る。そのために公的医療を確実に保障する。しかしそれ以上は自由に民間が提供する。“混合診療”を全面的に認めれば、医療サービス産業は飛躍的に発展する余地が大きい 。
- 国民皆保険というのは、公的保険に何らかの形で入っていることをこれまではさしてきました。八代氏にかかれば、私的保険に入っている、あるいはカバーしている部分もふくめて皆保険というらしい。
- 医療機器分野も、日本が得意とする分野のはずだが、かなり大幅な輸入超過になっている。これも規制が原因としか言えない。
- 多くの人が知っているように、これは例の年次改革要望書のなかで常にアメリカが要求していた規制緩和の対象でしょう。輸入超過になっているのは、アメリカの要求にいわれるまま応じているだけのこと。「輸入超過は規制が原因」のレトリックは正しくないのです。
途中の論立てはこのように歪んでいても、結論だけははっきりしています。ICUにもかわった教授がいるものだ。
社会主義的な日本の医療は、生産性が低い。成長性があるのだから、規制をとっぱらえ、市場を民間に開放せよ、と露骨です。何でも社会主義にむすびつけ、その名を借りて批判しようというのは常套手段ともいえそうです。氏の考えは、医療のみならず、教育にもねらいを定め、利潤追求の場にしていこうというものです。
医療も教育も、受けたい人、あるいは受けなければならない人が無条件に受けられる環境を知恵をだしつくりあげていくことこそ、政治の責任だと私などは考えるのですが、こうみてくると、この学者の「学説」の階級的性格はみごとにはっきりしているといえる。氏の立場はいうまでもなく財界・大企業の意向にそったもの、そういわざるをえないのです。
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米軍再編推進法;日米関係の60年
アメリカとの関係を抜きに、戦後60数年の日本の政治、経済を語ることは不可能です。この視点からながめてみると、今度の米軍再編法の成立は、新たな日米関係を照らし出すものといえないだろうか、と思うわけです。
同法の成立を報じる記事があります。
米軍再編推進法 「お金で釣るのか」 受け入れ候補地 住民、怒りと困惑(西日本新聞5・23夕刊)
記事が報じているのは、国民のなかの受け止め方の差異です。どれが多数なのかは措くとして、この受け止め方のちがいは、ある意味で日米関係にたいする国民の感情のそれぞれの一面を、そのまま映し出すものになっているのでしょう。
敗戦後、日本を支配したのは米占領軍でした。そのもとで、一定の民主的改革がおこなわれる一方、時の経過とともに、とくに朝鮮戦争を前後して、米占領軍軍は政治革新を求める共産党などの左翼勢力、そして労働運動、民主運動に牙をむくことになります。
大ぐくりにとらえるならば、全国に広がる日本の米軍基地をめぐって、はげしい基地闘争に象徴されるような反米闘争は、この時期を経て60年安保闘争に引き継がれていったとみてよいでしょう。この時期、日本国民は多かれ少なかれ基地問題と相対していたといえるでしょう。この基地闘争に表される、アメリカにたいする国民の感情を反米と仮によぶならば、日本国民の感情が反米に収斂されていったかというとそうではないでしょう。反米の感情とともに、日本人の生活がアメリカナイズされていくとともに親米の感情もまた醸成されていったといえる。
先の記事に話を戻しましょう。
住民の声にあるように、札束をちらつかせる政府のやり方には少なからず反発があるようです。
そして、もう一つは現にある基地、あるいは予定される基地移転をめぐる利害関係をそのまま反映をしているということでしょう。たとえばこれまで基地施設に関連する仕事や周辺の米軍相手の歓楽街などでは、まさにアメリカのおかげ、基地のおかげという意識を免れなかったのも事実でしょう。記事が伝える声は、たとえばこうした複雑な感情をあらためて映しだしていないでしょうか。
戦後の日本において、右翼の側からの「反米」が政治の中心に位置することはこれまでありませんでした。占領軍と天皇のスナップに象徴されるような融合が、それを許してこなかったともいえます。そして、これは今日にも引き継がれ、当ブログでよぶような「歪んだナショナリズム」の形をとらざるをえないのです。
イラク戦争勃発後、もっとも従順にアメリカのあとを追い、失敗が明らかになった後にも、どこまでもアメリカに一人追従する日本。
基地の再編はふたたび、日本全域に基地問題の矛盾を広げることになるでしょう。それは、日本とアメリカの関係がこのままでよいのか否かという問題に、日本国民が直面せざるをえないということでもあるでしょう。そして、戦後60数年をあらためてとらえなおす機会になってほしい、と私は思うのです。
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札束ばらまき、基地再編 -在日米軍再編促進特別措置法が成立
アメリカのための基地を、日本国内に移転、再編するために日本が移転費用を払ってまでもすすめるという、まことにアメリカにとっては好都合の法律です。
しかも、交付金という札束をちらつかせて移転、再編に強力させるという代物。アメリカいいなりの日本政府もここに極まれり、という思いが率直にします。
再編法案を閣議決定したときに、つぎのエントリーをたてました。
米軍再編に金で誘導 -再編法案を閣議決定
その一部を以下、引用します。
日米両政府は、グアムでの米軍基地を強化するために、海兵隊移転経費のうち約7300億円を日本側が負担することですでに合意しています。米軍の海外基地増強のために日本が負担すること自体、前例がありません。日本のアメリカ隷従をみごとに示すものではないでしょうか。
しかも、当ブログで再三ふれてきたように、この米軍基地の再編計画をすすめるために交付金を増額するというのですから。この点は、血税を使い自治体の仕事の出来具合、従順さを金で計る。金でつって、自治体を分断しようという魂胆です。
また、政府は沖縄の負担を減らすといってきましたが、結論は減りませんでした。政府の言い分は在沖縄の米海兵隊1万8千人のうち8千人をグアムに移転し1万人にするという前提です。実際のグアム移転は2千人程度で戦闘部隊はほとんど沖縄に残る計画です。
こうしたことを考えると、まずアメリカの軍事戦略にそってグアムの陸・海・空軍と海兵隊の強化こそがほんとうのねらいだということが私たちにもみえてきます。また、沖縄の基地利用は海兵隊だけでなく米四軍が使うともいわれており、いよいよ日本がアメリカの世界戦略に組み込まれていく姿がみえてなりません。
閣議決定された案では、「再編交付金」とは別に、再編による影響が特に大きい自治体(再編関連振興特別地域に指定する)には公共事業への補助率をふやす仕組みもつくるという念の入れようです。つまり、この部分が「かさ上げ」されたのです。
日米の従属関係、そもそも日本に米軍基地はいるのかどうかという問題、基地再編によって「平和ならざる状態」を日本全国に普遍化する問題、そして税金のつかいみちの問題など、数多くの問題がそこに表れる「再編交付金」です。== 引用終了 ==
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