森羅万象、政治・経済・思想を一寸観察 by これお・ぷてら
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右往左往が伝播する日本政治
政権末期の自民党がごたごたを繰り返すのは、分からぬこともないのかもしれません。振り返れば、国民の信を問わないで続いた政権が3代。この間、いったい何人の閣僚が辞めていったことか。党内も、続落する支持率を片方でにらみながら、首相批判があちこちで出てくる始末がつづいた今日まででした。
ところが、この末期症状ともいえる自民党の右往左往が最近は、まるで民主党に伝播したかのようです。
たとえば一度打ち出した見解が数日後にはひっくり返した内容で発表される。こんな繰り返しが続いています。これは何を意味するのでしょうか。単に、党内の派閥抗争、権力争いということではありません。
右往左往は、つまるところ、政治の基本に、財界・大企業への配慮を中心にすえ、米国にたいする追随を置いてきたからということに尽きます。
自民党はこの2つの勢力にたいする手厚い思いやりの結果、有権者・国民との埋めがたい亀裂をつくり、社会の隅々にまでその矛盾を広げました。だから、国民がこんな自民党ではダメだと、いわば決別宣言をつきつけるのは当然のなりゆきだったといえるでしょう。
では、最近の民主党はどうでしょう。政策的な混乱があるのでしょうか。そんな雰囲気さえ一連の経過から感じ取れなくはありません。けれど、ほんとうに政策的に混乱しているのか。
私はそうではなく、本来の民主党の政策にこそ、ちょうど朝令暮改のようにみえる対応の不自然さの要因があると思えます。自衛隊の海外派兵、消費税についての見解のように。
つまり、この2つの問題にかぎっていえば、自衛隊の海外派兵に反対ではないから、あのような態度変更がありうる。消費税増税に反対という姿勢では本来ないから、発言をかえないといけない事態に陥るのです。
そして(民主党にあるのなら)あるのは、政権交代が近づけば近づくほど、各方面にあてこすろうとする、ある意味で姑息ともいえる姿勢、思惑でしょう。典型的なのは、橋本や東国原のアピール力、つまり発言力が強いと思っているのか、民主党は、彼らの発言に揺さぶられ、政策をかえるという挙に出たことです。
政党は、政策を国民にアピールし、国民・有権者の利益のためにその実現を図るというのが社会的な使命でしょう。少なくとも、私には分かりにくい国民政党などと自らをよんできた諸政党は、それを第一義的に位置づけてとりくむべきでしょう。
ですから、政策はそうハイハイと一晩でかえるわけには通常、いかない。それだけの議論の積み重ねの結果、確立したものでしょうから。この意味でも、民主党の態度はきわめて不可解なものです。
ようは、相手の顔色をみて、自らの態度を決める、しかもトップかまたは一部の者で決めたかのような弱点がある、こう私などは思います。
ましてや、橋下や東国原の主張がはたして国民の利益にかなうようなものかどうかも分からないわけで、私たち国民にしたら、それを十分吟味せざるをえません。
昨日、消費税にふれ、あらためて消費税増税に各党がどんな態度をとるのか、米国への思いやり、財界優遇にはどうか、しっかり見定めなければならないとのべました(財源論- まるで双子のよう)。
すると、本日の「しんぶん赤旗」一面では、消費税を総選挙の重大争点にと訴えた志位委員長の会見の模様を報道しています。彼の会見での発言は、私はまったく妥当だと思います。争点という意味では、昨日、私は、「消費税増税が正面から今度の総選挙で争点になるとは考えにくい」と書いたわけですが、あえて志位発言にそっていえば、従来の消費税の争点隠しとは、今現在の情勢が異なるという点です。
自民党は消費税増税を隠していません。そして、民主党を財源論にからめてその権威失墜を考えています。先にのべた民主党の右往左往の一つ、たとえば鳩山氏が消費税について議論はすると発言せざるをえないところに追い込まれている状況にある。
民主党は、いったいどっちなのか、態度を迫ることが有権者・国民に求められています。
昨日のべたように、本来は消費税増税なのに、増税を隠さざるをえない、ここに民主党のかかえる矛盾がある。までに風見鶏のように態度をかえるのは、本来の姿勢を一旦は包み隠そうとしようとする戦術を採っているからにほかなりません。
本籍は、消費税増税だということです。それは、思いやりや優遇を温存させた上で、財政を成り立たせようする勢力の、つまり米国や財界の思惑であると同時に、彼らの権益こそ至上だと考える政党の本能とよんでいいかもしれません。
(「世相を拾う」09141)
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財源論- まるで双子のよう
もっとも民主党の財源論には見落とすことのできない弱点がある。「官僚支配の打破」という抽象的なことで問題は解決はしない。同党には米国や財界・大企業の圧力に屈せず、きちんというべきことがいえるかどうか、が問われています。米国や財界・大企業のいいなりになってきたのが自民党政治ですが、それを民主党が否定したことは一度もありません。
その姿勢が財源の問題にも影を落としています。
米国にたいして、たとえば自民党がつづけてきた法外な軍事費負担、これは不問に付されています。そして、財界・大企業への応分の負担を求め、優遇税制を廃止するなどという、小気味いい政策は皆目みられません。
結局、このように例を財源の問題にとって検討してみても、民主党が自民党政治を打破しようと(本気で)考えているのかどうか、疑問符がつくということです。
米国・米軍への思いやり、財界・大企業への優遇、この2つを続けるのであれば、その理由を明確にしなければ、政権交代の意味も問われかねません。
米国・米軍、財界・大企業いいなりを是認する立場は、財源問題の延長線に常に消費税増税を描いています。
自民党はもちろん、民主党でさえ、今度の総選挙で直接、増税をふれることはないでしょうが、その増税の準備をしている。鳩山代表は、「4年間は消費税増税論議そのものをやらない」といっていたにもかかわらず、もう「議論は行う」といいはじめています。
この際、各党がこれまでどんな立場をとってきたのか、ふりかえってみることも必要です。
自民党・公明党
- 平成23年度(2011年度)までに必要な法制上の措置を講ずる」と明記した09年度「所得税法等改正案」を今年3月国会で強行しました。同付則には、「法人の実効税率の引下げを検討すること」も明記されている。
-
経済財政諮問会議に「経済財政改革の基本方針2009」(骨太の方針)の原案を政府が提出。消費税税率を7%引き上げ12%にする必要があるとしています(読売、6・10)。
民主党
- 総選挙政策要旨(09・7・15)では、2012年度に全額税方式の最低保障年金案を成立、消費税は4年間あげない、などと言及。
-
「消費税はわが国の基幹税の一つとなっているが、今なお多くの国民が不信・不満を抱いている。消費税の重要性が今後ますます高まることは不可避。不信・不満を解消し、信頼できる税とすることが重要。消費税率の引き上げについては、総選挙で国民の審判を受け、具体化する。法人税-課税ベースが拡大した際には、法人税率を見直し(引き下げ)ていく」(税制改革アクションプログラム、08・12・24)
日本共産党
- 消費税の増税にきっぱり反対し、将来的には消費税の廃止をめざしつつ、当面、次の改善をすすめる。
- 緊急に食料品非課税を実施する。消費税の延納措置を認めるとともに、免税点を引き上げる。
- 医療には「ゼロ税率」を適用し、医薬品などにかかった消費税が還付されるようにする。
- 大企業の法人税率は37.5%にもどす(総選挙の政策、08・9・25)
社民党
- 消費税率の引き上げはしない。飲食料品分は実質非課税とする。
- 法人税の基本税率を34.5%にもどす。(衆議院選挙政策、09・7・16)
自民党は増税を明確にうたっています。民主党の上記政策からも消費税増税が単に匂ってくるというだけでなく、表裏の関係にある法人税の引き下げを明記していることに着目しなければなりません。これは、最近のエントリーで指摘した財界のエールにこたえようとする姿勢の具体化の一つでしょう。少なくとも両党は財源論では双子だといえる。
消費税はじめにありきではありません。米国への思いやり、財界優遇、これに一切ふれずに消費税増税しか選択肢がないかのような宣伝がふりまかれています。
この点でも、あらためて消費税増税に各党がどんな態度をとるのか、米国への思いやり、財界優遇にはどうか、しっかり見定めなければなりません。
(「世相を拾う」09140)
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米国の圧力に耐えられる? 民主党
冒頭の引用記事は、また現実路線? 現状を肯定するための美名というエントリーでふれた民主党の態度と関連しています。
このエントリーで扱った民主党の態度は、そこで引用した朝日記事によれば、こう記されています。
民主党は23日、衆院選マニフェスト(政権公約)の土台となる09年版政策集を公表した。焦点の外交・防衛分野では、6月当時の原案にあったインド洋で給油活動を行う海上自衛隊の撤収を削除し、期限内の派遣を容認。日米地位協定見直しの表現も緩和した。マニフェストにも反映する。政権交代が視野に入り、現実路線にかじを切った。 |
そして、地位協定について同記事は、
日米地位協定は原案で「抜本的な改定に着手する」としていたが、「改定を提起」に和らげた。穏当な表現にとどめることで、政権獲得後も当面は、米オバマ政権との信頼関係の醸成に努めることを重視したものだ |
と紹介しています。
冒頭の記事は、こうした現実路線という名のもとに現状を結果的に肯定する方向を打ち出したことが報道され、世間に知れる結果となったことにたいして、対有権者対策と私は考えますが、軌道修正する意向を語ったということになる。現実路線の名で右にかじをきったものを今度は左に切ろうという発言、組み立てになっています。
ただし、記事は、こう語った人物を特定せず、「民主幹部」といっているところが案外、ミソなのかもしれません。
さて、すでに在日米軍トップが会見し、あらためて日米軍事同盟の強化の意義を強調、すなわち民主党のマニフェストに反発しています。記事はこれを牽制と表現しています。
【09衆院選】在日米軍司令官が民主マニフェスト案を牽制 在日米軍のエドワード・ライス司令官が23日、都内の日本外国特派員協会で会見し、日米地位協定の改定を提起することなどを盛り込んだ民主党の衆院選政権公約(マニフェスト)原案を念頭に「これまでの合意は日米両政府にとって重要であり、今後も持続させていくことが重要だ」と述べ、民主党による衆院選後の対米関係の見直しを牽制(けんせい)した。 ライス司令官は、日米地位協定や米軍再編、在日米軍基地のあり方などは「全体としては日米両政府にとって建設的なもの」と評価、「合意の完全実行まで、両国政府が支持し続けることが重要だ」と述べた。オバマ米大統領就任後の日米関係を引き合いに「50年間で築いた土台は強固だ」とも述べ、衆院選の結果が日米関係を大きく左右することはないとの見方を強調した。 |
だから、もうこの時点で、「日米地位協定の改定を提起する」とした同党マニフェストのゆくえは前途多難、というのが私の見立てです。だいいち、日米軍事同盟について党内の一致がみられないのに、マニフェストに地位協定の見直しに言及すること自体、厳しくいえば責任ある態度とはいえないでしょう。
ですから、米軍からのこうした圧力に、民主党が耐えうるのか、この点でははなはだ疑わしい。こう率直に思うのです。
つけ加えれば、このことは、この間の国会会期中での同党の対応一つとってみても裏づけられるでしょう。あいにく(?)、腰くだけ、こういってよい状態が繰り返されてきました。民主党にとっては、有権者の前で語る言葉と実際の、たとえば国会内での対応がかならずしも一致しないことにたいしては、今後、有権者の目は一段と厳しくなるでしょう。政権につけばなおさらです。
財界の圧力と同時に、米国の強い圧力が存在し、そのいいなりを続けてきたのが自民党とその政治。それだけに、私は米国との関係のあり方に注目する。それでも米国の圧力にも屈せず、民主党が断固、地位協定は見直しますと主張しつづけるなら、これまでの以上の私の認識はまったく根本からあらためないといけません。
そうなる可能性はさて、どうでしょうか? 私には、あらためずにすむ可能性が依然、大きいとしか思えません。
(「世相を拾う」09139)
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「反国民政党」- 言葉は本質を語る
朝日の記事を借りると、
衆院解散後初の週末となった25日、政権を争う自民、民主両党の党首は対照的なやり方で支持拡大を訴えた。これまで業界団体回りをしてきた麻生首相は屋内で「身内」の会合を重ねた。一方の鳩山代表は街頭演説に重点を置いた。その中で首相から高齢者への配慮に欠ける発言が飛び出し、鳩山氏はさっそく批判。舌戦は熱を帯びている。
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これを聴いて、見て、何とも思わない人は少ないでしょう。例にあげられた高齢者が立腹して当然。
高齢者はいうまでもなく、日本の高度成長を支えてきた人びと。日本の資本蓄積のために、汗水流して働いて来た人びとだから、企業の膨大な利益確保は、彼らの働きによって築かれた。別の言い方をすれば働かされた。そうしたのは企業なのですから。「働くことしか才能がない」という言葉は、その意味でもただしくありません。
かつて自民党議員が高齢者の社会保障をめぐって、「枯れ木に水をやるようなもの」といったのは余りにも有名です。このかつての発言、首相の発言は、この党が、働く者、懸命に働きリタイアした者をどうようにみているのか、端的に示しています。自民党の政策の基本に、いかに国民にたいする視点を欠いているのか、ということでしょう。結局、国民の方をみず、大企業や財界に目が向いているということです。
それに輪をかけ、細田幹事長の発言も失笑ものです(参照)。
彼らは、失言を訂正することで事足りると考えているのでしょうが、連続する発言についていえば、同党の政策的な軸足が国民が置かれていないことにこそ、言葉が飛び出してくる本質があると思えます。
いよいよ政権の座から堕ちようというとき、あるいはその可能性が大きいと指摘されているときに、でてくるこのような反国民的な立場こそが、結果的に自らの将来を追い込んでいるという認識すら、微塵も首相は持ち得ていないということです。この発言一つとっても、厳しい審判が下されて余りある。
ああ、自民党も、国民政党などとあいまいな定義で自らを呼んできた、その一人であったはずなのに。
(「世相を拾う」09138)
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財界に媚をうるのだろうか。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2009072402000247.html
今後、解雇を準備していく先頭に立つのは、いうまでもなく大企業なのでしょうが、白書の立場は結局、予想される解雇を容認するものといえるでしょう。たとえば、「02年から07年にかけて、製造業などで正社員を削減し、派遣社員を増加させる動きが目立った」と、こうした過剰雇用の要因を非正規労働の拡大と指摘しておきながらその責任にふれず免罪しています。
この大企業。国民へのいっそうの痛みを押し付けることになるわけですが、そのためには政治の後押しが必要となる。大企業や財界の思惑どおりに、たとえば過剰な解雇を減らすために、協力する政党が要るのです。これまでは自民党が財界・大企業の権益を守ってきましたが、近づく総選挙では政権の交代が予想されている。経団連が、この事態にどんな態度をとるのか注目されるわけで、当ブログでもいくつかのエントリーでそれをとりあげてきました。
政党と財界の関係は、財界のいいなり、財界をただすべき事態であっても(財界に)モノがいえない、この繰り返しだったと総括できるでしょう。自民党政治のゆがんだ一面、特徴はまさに財界・大企業との関係であって、彼らの権益を最優先する、その結果、国民の暮らしが後景に押しやられてきたといえるでしょう。
政権の交代が言われる中、経団連は、政党評価を11月に先送りしたそうです。財界が、これまでも財界の要望がどれだけ具体化できるのか、それぞれの要望項目を実践できるのか、自民党や民主党をその視点で評価し、企業献のあっせんをすすめてきたのは周知のことです。政党評価とは、このことであって、これまでは9月頃には決定されてきたという。今回は、交代という事態も予測した上で、民主党にたいする評価に一定の時間をかけるというものなのでしょう。つまるところ、財界が、俺に従えという言質をとろうというものでしょう。
逆に、民主党は財界にたいしてさかんに秋波をくりかえしているようで、岡田幹事長の「経団連加盟企業のみなさんに民と運考え方を説明する機会があればと思う」とのべ、「機会をぜひつくっていただきたい」とエールを送っています。冒頭にふれたように、財界がおそらく大量の解雇に踏み切るだろうことが推測されるなかで、岡田氏の発言は、同党の考えと財界の考えが正反対であればでてくるはずがない発言でしょう。基本線で一致しうるものであったればこそのことです。
(「世相を拾う」09137)
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3つの選択- 有権者が日本の行く末を決める
こうして総選挙に近づくにつれて政治の世界の一連の動きをみると、消費税、改憲そして定数削減が財界・大企業の要望であって、あるいはあるだけに、この課題を新しい政権にとってみれば、どのようにやりとおすのかが焦点となってくるように思えます。とくに、最近の民主党の動向は、なおいっそうそのように思わせるに十分ではないでしょうか。
だから、自民も、民主もどちらも単独で過半数をとれなかった場合の、大連立の可能性を否定し去ることはできません。
なので、自民党から民主党に政権が移るにしても、その移行の際の国会の議席状況がどのようになるのか、これが今後を考える上で重要になる。自民党政権が終焉をむかえることは積極的に受け止めつつも、こうした留保をつけざるをえません。もし、民主党が単独で、同党はもちろんそれを目標に動いていますが、政権をとれば、以上にのべた大企業の要望に応える動きは加速される方向が、そうでない方向より強くなるだろうことは自明だといえましょう。
ずっと以前に、総選挙の3つの可能性というエントリーを公開しています。
総選挙の結果は、このエントリーでのべた3つ以外には論理的にはありえません。が、エントリーでのべたのは、この3つの方向のどれを国民が選ぶかが、日本のこれからを大きく決めるだろうということでした。橋下氏も同じような表現で、今回の総選挙を性格づけていますが、彼がいうのとは異なる意味で。
氏は、自民か民主かという選択肢のみがおそらく頭の中にあるのでしょうから、二者択一という形式の上で、有権者が将来を決めるといっただけと推測するのです。
つまり、自民が勝利する場合はともかく、民主党が勝利する場合であっても、そのあり方が、その後の日本政治に大きく影響するだろうということです。
エントリーではこうのべていました。8カ月前の記事だということを前提にお読み下さい。
今回の総選挙は、しかし、選挙後のありようが、選挙の結果の議席配置で異なる。 一つは、自民党・公明党が過半数を制した場合。 自民党は、民主党を切り崩し、派兵恒久法を実現すると予測できる。 消費税増税を実施するだろう。 もちろん小沢代表は退陣し、先にのべた2つの課題で一致する部分で少なくとも大連立が可能となる。 2つ目の可能性。 3つ目。最後の可能性は、共産党が前進し、共産党もふくめて野党が過半数を占めた場合だ。つまり、民主党は共産党を無視しえない立場に立たされる。この場合にのみ、反構造改革の展望はみえてくる。野党4党共同提案の後期高齢者医療制度廃止法案がいま衆院で議論されているが、この制度の廃止が現実となる可能性は高い。 |
このエントリー公開からすでに8カ月が経過しています。
この間、3つの可能性のうち、1つ目の可能性の相対的比重が格段に少なくなったことは多くが認めるところでしょう。別の言葉でいえば、国民・有権者は1つ目の可能性を消し去ろうとしているということです。
その上で、考えたいのは、残る2つの可能性のうち、消費税、改憲そして定数削減を阻止しようと思えば、第3番目の選択をするしかないということです。消費税には反対だが、2つ目を選択したい。行動としてあり得るのはいうまでもありませんが、その行動が、結局、消費税には反対という意思を将来、裏切る可能性の大きさを私は懸念するのです。憲法改悪には反対、だから2つ目を期待する。これもありうる。が、戦後受け継がれてきた9条の精神がどこかで捨て去られる場合を、2つ目を選んだら覚悟しておかねばならない、こう考えるのです。
民主党の行動そのものの選択肢を限定させる。民主党が勝利した場合の鉄則だと思います。この限りで、有権者・国民の主体的なかかわりが必要になる。その具体的表現の出発点が、以上の3つの可能性のうち、3つ目の可能性を現実のものとすることではないでしょうか。
橋下氏が語ったという「有権者の判断で日本の行く末が決まる選挙」という言葉は、この意味でこそ存在するのではないか、と私は考えます。
(「世相を拾う」09136)
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また現実路線? 現状を肯定するための美名
民主、「インド洋撤収」を政策集から削除 現実路線へ
数日前のエントリーで言及した麻生首相とはちがった角度から、私は民主党の外交・防衛政策を懸念するのです。
案の定、海自の給油活動を「大目にみる」という。麻生首相が心配する左寄りへのかじ取りなど、ほとんど可能性はないに等しい。むしろ記事が指摘するように、徐々に現状を肯定する、正確に表現すればあからさまに認める方向が今後もしばしば強調されることになる、と私はみます。
これを、この間、当ブログではくりかえし指摘をしてきました。
現実路線の美名のもとに、事実上、現状肯定、あるいは右寄りに表面上も態度をかえることになる。
政権交代の可能性をいよいよ大に自ら認識する度合いが強まるにつれて、路線上は少なくともこれまでの自民党がとってきた方向を是認するか、それに近づく道筋が一方で次第にみえつつあります。
このことが、当ブログで主張してきた「矛盾が深まる」ということです。おそらく、総選挙での民主党の優位はうごかないのでしょうけれど、同時にその優位が政権に結びつけばその結果はもちろん、この「矛盾が深まる」傾向はさらに進行すると私は考えます。そうでなくても、つまり政権につかなくても、このような「路線の変更」を公表せざるをえないのですから。
自民党はこれまで、民主党の防衛・外交政策を批判してきましたし、政権争いのなかの論点の一つにこの分野をあげようとしてきたのはいうまでもありません。しかし、これまでも表面上でも対決したかといえば私にはそうはみえませんでしたが、こんな「路線変更」をこの時期にやれるということは、すなわち表面だけの対決姿勢を強調してきたことの反映であるとともに、両党の間に根本的な路線上のちがいがみあたらないことの証左でもあるのでしょう。
今回は、海自の給油活動に関してですが、つぎつぎに同様の問題が起こる可能性は少なくありません。
政権が近づけば近づくほど、これまで自民党政権を応援した階層の支持を得たいものでしょう。それは裏を返せば、国民・有権者と民主党との距離がしだいに離れるということを意味します。自民党政治からの転換を願う人であれば、もちろんこの距離感を無視するわけにはいかないのではないでしょうか。
最悪の構図は、総選挙を前にして改憲にふれない民主党ですが、海賊法案を盾に動き出している改憲派と歩調をあわせ、総選挙後、民主党自身が改憲案を出すというものです。鳩山氏のたとえば非核三原則容認発言はその可能性を示唆する一つでもあると私などは思います。
民主党が動きができないようにするためには、同じ自公政権を倒すにしてもその内容で大きくかわるということです。改憲反対を明確に打ち出す共産党などが一定の議席を確保するのとしないとでは、また民主党が単独政権につくのかつかないかのちがいでは、大きく条件が異なるのです。
(「世相を拾う」09135)
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橋下知事「戦後初、有権者が日本の行く末決める選挙」 訪韓中の橋下徹・大阪府知事は21日、衆院の解散・総選挙について「(投開票日の)8月30日に日本を変えなきゃいけない。戦後初めて有権者の判断で日本の行く末が決まる選挙になる。国民の怒りを政治家にぶつけていかなきゃいけない」と報道陣に語った。 また、各党の政権公約(マニフェスト)について「これやります、あれやりますと約束するのは簡単。どう実現するかまで踏み込んで提示してほしい」と注文。自民党については「今回のゴタゴタだけで、ずっと政権を担当してきた積み重ねを全部ご破算というわけにはいかない」としながらも、「政治的リーダーシップを発揮するための仕組みを提示していただきたい」と述べた。 |
橋下知事もたまにはましなことをいうのかしら。そう思わせる発言です。
戦後初めて有権者の判断で日本の行く末が決まる選挙になる |
これは、長年、政権を保持しつづけた自民党が政権の座を降りるだろうという意味において正しいといえるでしょう。自民党が文字どおり下野するという意味で。たしかにわずかの間、たとえば細川政権などがかつて存在はしましたが、基本的には自民党がほぼ戦後50年前後、政権を牛耳ってきたことは否めません。
橋下氏の発言はその限りで認めてよい。
その上で、日本の行く末をどの方向にかじを取るのか。これがつぎの問題になるでしょう。自民党を政権の座が引きずり降ろすことは、すなわち自民党政治に決着をつけるということではありません。当ブログで繰り返すように。
日本の政治のゆがみを、大企業・財界優先の政治、米国を何よりも大事にする政治から根本的にあらためるということと、これが自民党を政権にひきずり降ろすこととはイコールでしゃないということです。
自民党が下野しても、これまでの自民党がやってきた政治を今後やらせないためには、有権者の主体的な政治のかかわりが不可欠であることは、この間のエントリーで繰り返してきたところです。
その限りでは、橋下氏がいう「日本の行く末が決まる」というのは正しいとはいえない、ということになる。留保がつくのです。
おそらく、というよりも今回の選挙で行く末を決するような結論はもちろんでないと私は考えます。
行く末を有権者・国民がどの方向にもっていくのか考えなければなりません。
先にのべたような自民党政治からの転換を願うのであれば、今回の選挙で民主党が絶対多数を握る事態を招来するよりも、共産党など第三極が一定の地位を占める、つまり民主党が絶対多数を握れない状態が、よりその可能性をもつと考えてよいでしょう。それくらい今の民主党の現状は、ややもすれば自民党のやってきた政治といっこうに変わらない結果にもなるということです。
当ブログはその兆しのいくつかについて、エントリーで言及してきました。
おそらく橋下氏が「有権者の判断で日本の行く末が決まる選挙になる」というとき、彼の考えることと私の考えることは異なるでしょう。はたして彼が自民、あるいは民主、どちらを支持するか、それはほとんど意味をもちません。
なぜなら以上にのべた理由から、現状をそのまま理解すれば、その可能性は少ないでしょうが、自民党が総選挙で勝利する場合はいうまでもなく、民主党が自民党を上回ったとしても、けっして無条件に日本の行く末を決める結果にはならない。
これまでとは異なる行く末、転換を臨むのであれば、自民党を政権の座から引きずり降ろす際にも、引きずり降ろし方によって、その可能性が大きくもなり小さくもなるということです。
あらためて有権者・国民の選択が問われているということを強調したいと思います。
(「世相を拾う」09134)
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解散の日に- 暮らしを守るかどうか、見極めが必要
衆院は21日午後の本会議で解散されました。政府はただちに臨時閣議を開き、総選挙の日程は「8月18日公示、同30日投開票」と決められました。
いよいよ総選挙。
朝日の記事のいうところをそのまま借りれば、「自民、民主の2大政党が激突する『政権選択選挙』が事実上スタートする」わけです。
解散を決めた首相が会見し、その詳報を毎日新聞が伝えています。
長い会見詳報の一番目のタイトルは以下のようにつけられています。
麻生首相会見:【詳報その1】「日本を守り、暮らしを守るのはどちらの政党か」
麻生首相が自民か、民主かを念頭において会見に臨んでいるのは明らかなのですが、私はひそかに、タイトルをみて笑ってしまいました。
第一の理由は、「日本を守り、暮らしを守る」という点で自民党政権が失格だったことはすでに明らかではありませんか。その点では、自公政権に厳しい審判が今回総選挙で下されてしかるべきだと思います。その上で、民主党は選挙によって場合によっては政権につくことになる。だから、「「日本を守り、暮らしを守るのはどちらの政党か」と問われた場合、民主党がどうかはこれからの課題ということになるでしょう。
ただし、私は当ブログで繰り返しているように、日本を守るという点でも、暮らしを守るという点でも疑問符をつけなければならないと考えています。その上で、疑問が解かれるのか、それとも疑問を抱いた方向に同党が流されていくのか、それをある意味で決するのは有権者だと考えてきました。何もしなければ、結果的に民主党政権といっても自民党政権とかわるところはないということになりかねません。目利きのよい日本人は、先ほど公表された朝日新聞の世論調査では、「あまりかわらない」と判断している人が多数を占めています。そのようになって、困るのは当の国民です。そうなれば、政権交代の意味そのものが不在だということになりかねません。
そうならないためには、同じ政権が交代する事態になっても、民主党に軌道修正させる力を国会が持ちうるか、という点が重要になる。民主党に勝たせたとしても第三極の、共産党などの議席を増やすか否かも、ファクターになるでしょう。
かつて自民党をぶっつぶすといって、同じ自民党の小泉を勝利させたところから、少なくとも野党を標榜する民主党を勝たせようとする意思は、前進だとみてもよいのでしょう。
が、それが前進と断定するには以上のようなカッコでくくらなければならないということでしょう。
暑い夏。
下された選挙結果から、さらにすすみ、日本の政治が熱く燃え、自民党政治からの転換にむけて動き始めるよう期待するばかりです。
これまでの民主党にそれが可能だとは私は思いません。それが可能なのかどうか、しっかり見極めるのは国民・有権者です。
(「世相を拾う」09133)
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前途は多難かな? 民主党- 野党から与党へ
高校授業料の無償化とは画期的です。
無償化は民主党が従来から主張してきた政策のようですが、政権交代すれば、実現させるという。諸手をあげて賛成と喜べるでしょうか。それとも、お手並み拝見でしょうか。
無償化のための財源が当然、気になるところです。財源は記事によれば、同党は年間約4500億円の追加予算が必要と試算しているようです。
ここから先が、その政党のよって立つところを決する大事な部分です。民主党はそれをどのように捻出しようとするのか。
国の事業の無駄を洗い出し、不要と判断したものを廃止・縮小することで財源の確保は可能、だそうです。これだけでは曖昧糢糊としたものです。ようは、ムダの見直しという一般的な掛け声以上の、具体性を示しえない点に弱点がある、と私は思います。
ようするに、国民向けの見直しは、一方の、対極にあるともいえる大企業や財界向けの優遇の見直しをふくめて、彼らへの税のとり方・配分の一部を手直しすれば可能なわけで、国民の立場に立つということをこれ以上、鮮やかに国民に示しうる手立てはないと私は思います。そうした大企業や財界に応分の負担をさせたり、優遇をただしえない、少なくとも主張できない、ここに民主党の弱点があり、自民党との連続性が明確に表れています。
ですから、こんな事態にも鈍感さがみえる。
子ども手当:子なければ負担増 民主がマニフェストで説明
民主党が、次期衆院選マニフェスト(政権公約)の看板政策「子ども手当」で、「制度を創設すると子供のいない世帯は負担増につながる」と説明して有権者に理解を求めるよう、各候補者に助言していることが分かった。子ども手当の財源には、所得税の配偶者控除や扶養控除を見直して充てるためで、負担増の中身を初めて具体的に説明する。政権交代が現実味を増す中で「バラマキ一辺倒ではなく、現実的で率直な説明が必要」(政調関係者)と判断した。
子ども手当は、中学生までの子供1人当たり月額2万6000円を支給する。マニフェストには「10、11年度は半額の1万3000円を支給。所得税控除見直しの法改正を行う12年度から全額支給」と掲げる方針だ。
民主党が全候補者に配布したマニフェスト主要政策の「ポイント解説集」によると、「子どものいない世帯には増税となるのではないか」との質問に対する答えとして「65歳未満で子のない世帯(妻は専業主婦)では負担増となる」と明記した。「年収500万、配偶者は無職の場合、年間約3.8万円の負担増」と具体的に金額まで挙げている。
これも国民をひきつけるための政策なのでしょう。しかし、手当てを創設すると、子どものいない世帯は負担増になるという。ばかばかしいような制度設計ではありませんか。
子ども手当ては、子どものいる世帯への所得分配を意味するのでしょうが、一方で子どもいない世帯は負担増になるのでは、いったいこの政策は誰のためのものか。どこを向いているのか。
この問題でも、明らかなのは、財源をけっして大企業・財界から用立てしようなどとは考えていないことです。圧倒的多数の庶民のなかから財源をむしり取り、それを子どものいる世帯にまわすのであれば、手当てを受け取る世帯を複雑な思いは隠しきれないでしょう。
65歳未満で子のない世帯(妻は専業主婦)では負担増となる
年収500万、配偶者は無職の場合、年間約3.8万円の負担増 |
とマニフェストに無神経に書ける同党の姿勢に私は同意できません。それならば、大もうけの財界の利益のごく一部でカバーできるではありませんか。
これを現実的な対応などと美辞麗句で飾り立てられては困ります。
ようは、ここに基本的な姿勢の一端がみてとれる。これは、まさに自民党政治の継承でもある。
同党は、以上にのべた論点をふくめて、候補者向けに「民主党 主要政策のポイント解説」を配布しまもようです。世論調査によるかぎり、多くの有権者は自民党政権とたいしてかわらないとみているようですが、しかし、自公政権からどのようにかわるのか、それが同党への期待でもあるのですから、これに同党は応えなければならない。解説集には案の定、安保・外交政策には全く触れられていません。どこまで、素性をはっきりさせず、隠すつもりでしょうか。
率直にいえば、野党から与党へかわっても前途は多難。だから綱をきちんと引いておかねばなりません。
(「世相を拾う」09132)
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朝日世論誘導調査からみえるもの
橋下府知事がいいたいことをいっています。しかし、賞味期限切れといえば、すでにとっくに切れていたといえなくもない(参照)。
ともかく氏はこういっています。
多くの国民は「自民党にもう政権担当能力がない」と見ているだろう
自民は賞味期限切れ…橋下知事一問一答(1)
「自民は賞味期限切れ」とは、多くの国民が一致するところでしょうか。それを問うた世論調査があります。朝日が本日、公表した調査です(参照)。
それによれば、自民党に政権担当能力が「大いにある」と答えた人は、5%。「ある程度ある」39%という結果です。民主党にたいしては、それぞれ5%、53%となっていますから、極端に両者に差があるとは有権者は考えていないと私は思います。ですから、橋下氏のいうことはこれだけの自民党政権の醜態が続き、さらに昨今の終末期的症状をみせつけられれば多くは目をそむけたくなるわけですから、当たっているともいえ、しかし、数字の上で一方に極端に集中するという結論を出したとはいいきれないでしょう。
だいいち同調査では、政権交代して、日本の政治が大きく変わるかという設問もあって、その結果は、「大きく変わる」はわずかに10%、「少しは変わる」が54%というものですから、ともかく自民党ではダメという水準が有権者の意識ととらえてよいのではないか。ようは民主党が交代しても、今とそれほど変わらないが、ともかく交代というところでしょうか。
その結果、政権の担当能力の有無にかかわらず、今の自民党がやってきた政治に対する拒否意識、これが明確だということを調査は物語っていると私は思います。
逆にいえば、担当能力の有る無しで政党を選択するのではないということです。
同調査は、丁寧にも、つぎのような設問を設けました。
次の衆議院選挙で投票する政党や候補者を決めるとき、あなたは「政権を選択する」ということをどの程度意識すると思いますか |
設問にたいする結果は、
|
というものでした。
率直にいって、これは自作自演だと思います。世論誘導調査ですね。これまで衆院選を政権選択選挙だと吹聴し、宣伝してきたのはマスメディアでした。その宣伝効果は、全体としてこの朝日調査の結果に反映しているのではないかと思います。
政権交代を意識する者は上記結果によれば80%を超える。しかし、ではどんな(政権)交代なのか、そこを少しだけ踏み込むとすれば、今回調査によるかぎり、それほどの変化は生まれないとみているのが有権者であって、中身を問わずにとにかく変えたいというところに意識の集中があるということがみてとれます。
このことから、メディアの世論の操作が奏功している。こう私は思います。
この調査自体も、全体が二大政党政治を軸に組み立てられていることは明らかです。
が、唯一私が救われるのは、次の設問にたいする結果が、ある意味で有権者の健全な思いを反映している点です。
その設問は、こうでした。
仮に、あなたが選挙で投票した政党が担当し、その実績が期待外れだったとき、その次の選挙ではどうすると思いますか |
それにたいする調査の結果はつぎのとおり。
|
その可能性は、てんびんで測れば今のところ「期待外れ」のほうが大きいというのが私の見立てです。回答者の多くも、先にのべたように、交代しても大きく変わらないとみているのが大勢ということなのですから。
それだけに、そうならないような有権者の政治への関与がこれまで以上に必要だと思います。
その意味で、日本の政治は新しい段階に移行しつつあるのでしょう。
(「世相を拾う」09131)
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日米軍事同盟はどうする?!
日米同盟、再確認の必要性示す 米国務次官補
米国務次官補、民主・岡田幹事長とも会談
当然といえば当然ながら、米国も日本の政情に敏感に反応しています。
朝日記者の直截な質問にも、たとえばこうのべています。
――日本の政治は大きく変わろうとしています。 外務、防衛両省とだけでなく、政党や政治家とも幅広い関係をもつことが重要だ。米国は日本でどのような政権が誕生しても対応する用意があるし、強固な関係を築く自信がある。90年代と違って今は、日米関係が平和と安定の基礎となっていることについて両国民の間に深い確信があり、より希望が持てる。 |
まあ、政権が民主党に仮に変わろうと、米国はノープロブレムということでしょうか。逆にいえば政権交代で、日米関係は揺るぎないという自信を表白できるだけの条件が整っているということです。
日米関係を端的に表現するのは、いうまでもなく日米軍事同盟。
つまり、日米軍事同盟にかんする限り、自民党と民主党とのちがいはなく、同様に対処できると米国が判断しているということを意味します。
ふりかえってみれば、この2月、クリントン米国務長官との会談で、米側の「日米同盟をさらに強固にしよう」という提起に対して「全面的に同意する」と応じたのは、当時の民主党代表・小沢一郎でした。氏はつねづね、対等な日米関係と語ってきましたが(参照)、そもそも日米軍事同盟そのものが従属的関係を日本に強いるものですから、それを認めながら片方で「対等」をいうのはまさに欺瞞ですね。
ともかく、民主党との間でも、日米軍事同盟を基軸にするという点で米国は一致しているという認識でしょう。
ですから最初に戻ると、「日米関係が平和と安定の基礎となっていることについて両国民の間に深い確信があり、より希望が持てる」というわけです。
ただ、日米軍事同盟に象徴される日米関係のありようがどんなものか、最近の核密約証言がそれを私たちの前にいっそう照らし出してくれました(核密約証言が語るもの)。
こうした歴代の4人の外務次官経験者という日本側の政府当局者が日米の核密約の存在を認める発言は、これまで密約を否定してきた政府答弁が、ほぼ50年にわたるウソであったことを明らかにしてきました。そして、政府は逃げ場を失いつつある。
すでに米国では、公文書公開法にもとづいて秘密指定を(一方的に)解除しています。ようは日本政府も秘密扱いにする義務はなくなっている。政府が隠し続ける理由はありません。密約にかかわる文書すべてを公開し、密約そのものを廃棄する必要があります。
一方で、密約をめぐる一連の経過のなかで警戒をしなければならない動きが出てきています。
その一つが、鳩山氏がいみじくもかたった現実路線です(参照)。核兵器を搭載した艦船の寄港や領海内の通過は日米両国の事前協議の対象外とすることを容認する考えをのべたのです。あわてて後日、非核三原則は守るなどと言い出しましたが、信頼するに足る発言の修正でしょうか。そうは思えません。
同様に、元防衛庁長官の中谷元自民党安全保障調査会長は、「密約ではなく、国民の合意」でのべ、領海通過や寄港は容認すべきだと政府に求めていますし、山崎拓も容認すべきと言い出しています。これらの動きは、ようは追いつめられた政府を救おうとするものであって、密約を公開させた上で、密約そのものを廃棄させる世論を広げることがいよいよ重要になってきました。
たとえばこの密約が成立する歴史的経過が明らかにするのは、その大本にある日米軍事同盟の存在と日本の従属的関係です。
自民党の先行きが取りざたされる、その意味で日本の歴史的な政治場面で、米国の政府高官が自信ありげに日米の同盟関係の堅固さを強調する現象。私には異常とも思える(日米の)関係を自民党政権から交代しても連続して保持するといえば、その時点でノーをつきつけなければならないと強く思うのです。
(「世相を拾う」09130)
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今日の政党模様-終焉か、再編か、それとも
自民、総選挙分裂含み 21日の「懇談会」開催決定
もはや解党状態の自民党。
党内のさまざまな動きは、その先頭に立っている人物はともかく、各議員にとっては次の身の確保から思考がはじまる人も多いでしょうから、当選できる条件のそろっている方向になびくのでしょう。したがって、自民党という政党にたいする帰属意識は希薄になり、新しい条件を探してマニフェストも乱立するというところでしょうか。
麻生首相の求心力などもはや微塵もありません。
そこで浮上する再編。民主党に身を寄せる者、新たな潮流に吸収される者、いろいろでしょう。しかし、どのような再編があろうと、今のたとえば自民、民主の総合を一つのフィールドとしてみるならば、民主党(の一部)が仮に再編にからんだとしても、再編後の姿がそのフィールドの枠組みに収まっているのは確実でしょう。そこにその他の政党がからんだとしても、基本的には同じでしょう。
こうして、総選挙を前に繰り広げられる騒動は、いよいよ堕ちていく自民党の姿をいっそう貧相にみえさせます。考えてみると、しかし、その自民党は絶対多数を保持できなくなって久しく、高度成長期の支持基盤は、すでに自らの政治と政策によって堀り崩し、今日では公明党の力も借りながら政権についてきたのですから、すでに自民党の力は地に堕ちたものだったといってもよいかもしれません。
そして、ゆきづまりがさらに深化し、この状態です。
この記事をみても、自民党という政党はこの時点ですでに終わったという感想を私はもちます。
それならば、自民党政治が終わるのか。
それには疑問符がつきます。自民党がおしまいになれば、自民党政治の終焉を意味するかといえばただちにそうとはいえません。読者の皆さんは、すでにご承知のとおり、党ブログは自民党政治の象徴を、財界・大企業優先、米国追随という政治姿勢にみてきました。この2つの、財界・大企業と米国のいいきればいいなりの政治を続けてきた結果、今日、日本社会は見事に引き裂かれ、分裂しています。どの面をとっても、一部の優遇された者、苦しまずにすむ者と、痛みをおしつけられ、苦しむ大多数の者という具合に。
こうした現状は直ちに手をつけただしてほしいのですが、そのためには、財界・大企業優先、米国追随という政治姿勢をあらためなければなりません。自民党にとってかわる政治、とってかわるのは民主党が想定されるのでしょうが、その民主党がこれを見直せるかどうか、それが問われるでしょう。
その点で、数日来、言及している民主党の直近の対応をよく観察しておく必要があるのではないでしょうか。
このエントリーでは、それに今一つ、次の事例を挙げておきたいと思います。
民主:一転「給油継続」 特措法期限まで 米国に配慮 民主党は16日、海上自衛隊によるインド洋での米艦船などへの給油活動について、政権獲得後は、これまでの反対姿勢を転換し、当面は継続する方針を固めた。同党はこれまで、活動の根拠となるテロ対策特別措置法や、給油を継続するための法改正に反対してきた。だが米国側が公式、非公式に民主党の主張への懸念を繰り返し伝えたことを受け、日米関係を重視する立場から方針を転換した。 |
日本のジョーシキは世界の非常識ともいわれます。日本の米国追随ぶりは、米軍への思いやり予算一つとっても、常軌を逸している。世界中ながめても、それだけの国は見あたりません。
この現状は一刻もあらためるべきだと私は思うのですが、そうでなくても、米国追随をやめ、対等な関係を構築するために民主党に働いてほしいものです。
けれども、この記事によれば、米国を慮り、給油継続を認めるのだそうです。こうして、一つひとつの問題で、自民党との連続性があらためて民主党の対応から読み取れる。こうしたなし崩しは、世界と日本の平和と安全に寄与するものとは到底、私は考えません。
民主党の動きに注目すべき。私はこの点で、昨日のエントリーにふれたとおり国民・有権者の綱をゆるめない努力が必要なことをのべました。ようは、国民に目をむけた政策を政党がかかげるよう、国民自身がより政治にかかわる努力を払うことです。期待を裏切れば即、審判を下すという・・・
(「世相を拾う」09129)
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【関連エントリー】
綱を緩めれば民主は彼方に。。
自民党を右寄りに乗り越える? 民主党
民主党は財界とどうつきあうのか。。
都議選が終わって矛盾は深化する。
綱を緩めれば民主は彼方に。。
新しい時代というのは、このように、これまでの自民党政治からの根本的転換を私は頭のなかで想定しているのですが、そこまでとはいはなくても、民主党が政権について少しはかわるのでしょうか。
それに水をさすようで、どこかに居心地の悪さを感じないわけでもない。しかし、この間のいくつかのエントリーで紹介したように、民主党の対応に変化がみられると私は思います。
先の都議選でも、自民党との対決色を強調しながら、議席を獲得してきた同党。政権につくためには、旧来の支配層もまた味方につけざるをえませんので、次第に主張の内容が、都議選のような野党色の払拭を図ろうとする意思を私は感じる。非核三原則を横に措いて、現状を容認する鳩山氏の発言のように。おそらく、このような個別の問題にたいする民主党の踏み込んだ発言が、次々にでてくるのではないでしょうか。政権交代の可能性が語られ、可能性が次第に大きくとらえられるようになればなるほど。
このことは、比喩的にいえば政策の上で自民党との溶解現象だといえるでしょう。ほとんど、ちがいがみえなくなるという意味で。鳩山氏の発言などは、むしろ自民党政権がいえなかったことを、交代するということをある意味で絶好の機会として、態度をかえる予兆だともうけとれる。その意味で、私は民主党が自民党を右寄りに乗り越えると表現したのでした。
こうしてのべてくると、仮に政権が交代しても、自民党の政権とかわらないという点で暗澹たる域持ちにならざるをえません。が、民主党にとっては、上記のような転換は、これまでの自民党政治からの転換を考える人にとってはマイナスの方向を意味しますから、交代で自民党の政治からかわることができると考えてきた有権者の期待を見事に裏切る結果になるわけで、それは、あの郵政選挙で大量議席を獲得し、悪政をつづけてきた小泉政治と、結果的に同じ運命をたどる。今日の自民党の解党的状況はその端的な表現でしょう。
民主党にとって、都議選から総選挙を経るまでの時期は以上の点で重要な期間といえるでしょう。政権につこうとすれば、自民党に近づかざるをえず、さりとて、有権者の離反をあえて招くのかというジレンマに置かれるのです。別のいいかたをすれば、ここが、有権者・国民にとっても重要なところ。綱をゆるめれば、気を許せば、民主党は遠くに離れていきかねない。
有権者としては、自民党政治からの脱却を民主党につきつける必要がある。一つひとつの問題で、民主党の対応を問わねばなりません。大企業や財界を税金のつかいみちでも、税金のとり方でも応援したり、米国のいいなりになるようであれば、それはこれまでの自民党政治と本質的に同じだということですから、その時点で民主党に審判を下さなければならない。
今日の事態はまさにこんな図式を準備しているのではないでしょうか。
そして、その図式のなかにいくらかでも自らの存在価値を見いだそうと右往左往しているのが、伝えられる自民党の党内事情ではないでしょうか。
(「世相を拾う」09128)
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自民党を右寄りに乗り越える? 民主党
都議選終了時点から総選挙が終わるまで、自民党はもちろん、民主党にとっても、極端なことをいってしまえば後世の語りぐさになるような、重要な意味をもつ時期になる気配をみせています。
自民党にとっては、どのような形で転落していくのかという意味で。むろんそうならない可能性がまったくないではありません。民主党はどうか。国民・有権者にとって「歴史的な転換」をとげるのでしょうか。それとも、国民・有権者にとってマイナスの転換をしてしまうのか。興味深いところです。いうまでもなく、選挙後の変化がないことをこれは意味しないし、その変化が重要でないことを指摘しているわけではありません。
自民党の転落の可能性は、首相の姿勢に典型的なように、個人的思惑をふくめて支配者、権力の座にとどまろうとする醜いまでの執念のようなものを感じる一方で、その座から結局はひきずりおろそうとする勢力の動きまで、すべての動向が示唆しているように思えてくるのです。醜い争いを、こと今日に及んでみせつけられる日本国民は最大の不幸を背負っているのかもしれません。しかし、所詮はこんな自民党を今日まで、ほとんど戦後一貫して権力の座につかしめたのも国民という理屈が一方では成り立つのでしょう。とはいえ、自民党の政治がどこからみてもいきづまり、有権者の関心から現に離れてしまっているのは、誰の目にも明らかです。
こうした有権者の、自民党への決別の度合いが強まれば強まるほど、政権を誰にまかせるのか、いきおいそこに関心が集中する。したがって、今日の(国会の)議席配置と、二大政党政治キャンペーンが繰り返されるたびに、民主党の動向が強調されてきたわけです。同党自身、いってきたのは政権交代だけといってもよい。政権交代すれば、多くの矛盾や問題が解決するかのような同党議員たちの語り口。党内の結束は、ただ政権交代という一点で保持されてきたといっても過言ではないでしょう。ですから、政策的に党内で一致しえないような問題については、これまで先送りされ、交代後に統一した見解を出すという具合に語られてきたわけです。
別の言い方をすると、先の都議選は、有権者の少なくない部分は民主党が政策的にまとまらない事情をもっていることをすでに知りながらも、それ以上のこれまでの自民党政治の弊害とそれをすすめた自民党そのものにたいする反発がまさったということでしょうか。都議選はそうした有権者の意識が民主党側により強調された結果だと思えるのです。
都議選終了時点から総選挙が終わるまでを重要な意味をもつ時期と私がいうのは、こうした政治的バランスに変化が生まれる可能性をこの時期がはらんでいると考えるからです。ここ2、3日のエントリーで、すでに関連した事象についてふれてはいます。
繰り返すと、民主党が矛盾のなかに置かれるということです。
形の上だとはいえ、これまで、民主党は自民党と対決する姿勢を少なくとも有権者にはみせる必要があった。この点で、私たちがすぐに思い出せるのは、一昨年の参院選での同党の選挙戦術です。小沢一郎は、生活重視を全国に説いてまわり議席増にそれを結びつけました。しかし、その後、小沢はどうしたでしょうか。同党本来の主張と、左寄りに進化させた参院選時の主張のずれを修正せざるをえません。その結果、それを解決しようとして、とった一策が、件の大連合密室協議でした。
同じような矛盾に今、民主党はとらわれている。都議選で勝利し、さらに総選挙で勝利し、彼らの主張してきた政権の座につく上でクリアしなければならないハードルがある。たとえば、それは財界・大企業の支持のとりつけであり、米国の支持のとりつけにほかなりません。
そこで、こんな(表面上の)変化が報じられる。
核搭載艦、寄港・通過の容認を示唆 民主・鳩山氏
私は、鳩山由紀夫氏がもともと非核三原則を断固遵守する、させようという立場に立っていたとは考えません。したがって、氏の本来の考えがこの際、表出していると考えるのですが、一般には自民党政治を根本から転換しようと考えない以上、いかに自民党政治からのソフトランディングができるのか、これを第一義的に追求するでしょう。それは、これまでの自民党政治を支え、ともに歩んできた財界・大企業、米国との関係を維持するということが前提です。
鳩山氏の発言は、結果的に米国の利益を最優先させるもので、まさに米国にとっては願ったりかなったりにちがいありません。なにしろ非核三原則は公式にこれを否定することは歴代自民党政府もできなかったのですから。
当ブログでは、たとえば派兵恒久法に関しては民主党が自民党以上に右寄りの立場をとってきたことを批判してきましたが、この報道が伝える鳩山発言は、自民党政権ではけっして語ることのできなかったことです。こうして民主党は、自民党のやれなかったことを右寄りから乗り越えていくというわけです。
元に戻ると、そうあってはならないわけですが、都議選終了時点から総選挙が終わるまでの時期の重要な変化は、国民・有権者にとってプラスというより、マイナスの転換を意味する可能性が高いと私は考えます。
とにかく自民党はだめだというところから少しすすんで、ではどんな政治が可能なのか、各党に明確にさせる必要がある。その意味では、総選挙までの時期は、どんな政治をやるのか、とくに民主党にとっては問われるし、いやがおうでもはっきり語らざるをえないという意味で転換を迫るものとなるのではないでしょうか。
そうでなければ、フリーハンドのまま将来を託すということになるのですから。
(「世相を拾う」09127)
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