森羅万象、政治・経済・思想を一寸観察 by これお・ぷてら
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国民の負担率は低いというけれど。
日本で消費税が導入されて以来23年。その後一度、税率が引き上げられ周知のとおり現在5%です。それを10%に引き上げる法案を政権が準備しているわけです。
その税率は、財務省の調べ(下図)では、以下のようになっていて、日本はなるほど低い。これだったら、引き上げるなっていって無茶いうな、という意見が出ても反論しづらい感じがしないでもありません。グラフからよみとれるのは、EU諸国は日本が5%ですから、いずれも15%以上と拡大に高い税率。OECD加盟国のオーストラリアも、ニュージランドも,EUには加盟していない北欧のノルウェーも、いずれも10%以上という具合に(アメリカは州ごとの売上税)。
だとしたら、引き上げたとしても他国にくらべるとまだまし。消費税増税はやむなしとなりかねないところです。財務省は、だからこのグラフ自体を引き上げに好都合なものとして掲載しているともみてとれます。
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でも、これらの国々と日本との比較では、社会保障の負担がどうなっているのかもみなければなりません。
それを示す際、政府がもちだすのが国民負担率という指標です(参照)。これも財務省を参照すると、日本は比較されている他国より負担率が低いという結果です。以下の図でみるかぎり、日本は、アメリカやイギリスより負担率が高く、西欧の国よりも低い。
日本は国民の負担割合が低いという結果が数字で示されたわけですが、しかし、ここに抜けおちている視点が実はある。
野田政権が発足して、首相が何より先に強調したのが消費税増税への決意でした。政治生命をかけるとまで言い切ったわけです。増税は何のためか、社会保障のためという当初の説明はエントリでのべたように1%だけにすぎないのですから、社会保障のためというのは増税の設計上でもウソだったことが明らかにされました。もともと消費税を目的税にするとたとえいったとしても入っている税金に色がついているわけですから、歳出として出ていくときには社会保障だけとはかぎらないことは先の政府の説明自身がそれを証明しているともいえます。
そこで、先の欠落している視点とは何か。それは、社会保障給付がどうなっているのかという点です。直観的に思い浮かぶのは西欧の福祉国家といわれる諸国はいわゆる高福祉高負担の型であって、日本はそれとは異なるだろうということですが、実際はどのようになっているのか、これをみてみる必要がありそうです。
国立社会保障・人口問題研究所によると、4ヵ国間の比較では、日本<米<ドイツ<スウェーデンの順に、社会保障給付費(対国民所得、1995年-1996年)が高くなっていて、日本の給付費が高くないことが分かります(ただし、日本は2000年数字では上記のアメリカを上回る)。
その上で、この社会保障給付費(参照)の多寡は、ただちに分かるように高齢化がすすめば給付費もあがるわけですから、必ずしも給付内容の充実度を直接的に示すものではないので、これを修正したものを筒井淳也氏が示されています(参照)。筒井氏は、「日本の社会支出の増加は人口および経済条件の変化によるもので、支出の寛容さが増えた(社会保障が充実した)ことによるわけではないことがうかがい知れる」とされています。氏はこの事実をふまえ、
税収を増やす手段が増税だけではないように、社会保障を充実させる手段は保険料の増大や給付条件の厳格化のみではない。社会保障改革は、最初から雇用制度改革と連携して議論すべきなのである。
と結論づけています。
政府の動きをみると、増税ありきの姿勢を強く感じないわけにはいきません。増税の理由が「社会保障のため」であったにもかかわらず、それにあてられるのは1%にすぎなかった。しかも、負担率が極端に低いわけでもなく、かといって社会保障給付が充実しているかといえばそうでもないという現実があるのです。
しかも、岡田副総理は、消費税増税法案を決定した、ちょうどその時に、一方で高齢者の一部負担引き上げに言及するということですから、社会保障を口実にしたこの増税計画が、政府の無責任ぶりとあわせ、根本から問われているようにしか思えません(参照)。
これを、増税はしたけれど、社会保障全体はあにはからんや切り捨てられるという今後の日本の予兆とみるのはあながちまちがいではなかろうと思えます。
そして、法案にある景気弾力条項自体がすでに(増税が)景気に影響をあたえかねない可能性を含意しているのでしょうし、増税によって税収がさがるという逆説が、つまるところ、国民にそのつけが回ってくるということを意味する以上、消費税増税をだまって認めるわけにはいきません。
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増税でミスリードを繰り返すのか。
ただ、必要だとする論拠は、これまで語られてきたものとほとんどちがいません。朝日があげている論点は以下のとおり。
- なぜ増税が必要なのか、なぜ消費税なのか
- 増税に頼らなくても、財源はあるはずだ
- 低成長が続くなか、増税して大丈夫か
このうち1.と2.の増税が必要かという問いと増税でなくても財源はあるはずだという問いは同義反復。表裏の関係にある税か税ではない他の財源かを異なる言葉でのべているにすぎません。
そこで、1.の消費税の増税が不可避であるという論拠は、社説によれば、結局のところ安定的という一点に尽きるでしょう。たしかに、昨日エントリのグラフに示されているとおり、実績はほぼ横ばいで安定した税収となっています。しかし、消費税はなるほどそのかぎりで安定的なのですが、税収総体を第一に考えることが何より重要でしょう。このグラフが示しているとおり、総体では残念ながら税収が減少している事実がある。それを無視するわけにはいかない。
つまり、消費税の安定性はあるものの、消費税増税後の税収は下がるというのが基本となっているととらえるのが妥当でしょう。とすれば、増税がやはり増税にならないというパラドクスが成り立つのです。
税か他の財源かという点で肝心なのは聖域をつくらないということです。米国で先行した富裕税をアイデアとして提起する意見も散見されます。私は、税というものは応能負担を原則に考えるべきだという立場をとります。その意味で、一例として昨日あげた規模の大きい企業はその一部を拠出できる力、ようは担税力をもっていると考えています。こうした様々なものを検討してみて、はじめて国民の理解をうることが可能になると思えます。
いずれにせよ税をどこからどのようにとるかに、政治的な立ち位置がはっきり投影されるだろうと思います。
私なら、広く浅く税をとるか、負担する能力のある人に税はより負担していただくか、どちらをとるかと問われれば、即座に後者だといわざるをえません。「広く浅く」にしても「浅く」の程度がもてる人ともたない人ではもとより意味あいはまるで異なってくるのですから。
3.の増税して大丈夫かという論点についてもまた、昨日のエントリで少し言及しました。消費税税率が3%から5%に引き上げられて以降、過去15年ばかりは、消費税増税で税収をあげる目論見が否定されてきた歴史でもありました。ねらいとは逆の結果をグラフは示しています。
消費税が消費という行為にかかるというしくみである以上、国民の購買力とかかわるのはもちろんです。購買力の低下が確実に低所得者を襲うものと推測されますし、同時に、本来の税上乗せ分をそのまま消費者からとれるかどうか、競争力のない中小・零細の小売業者にとっては頭の痛い難問のはず。その結果、税を転嫁できずに自分で負担するなんて事態はこれまでもあっただろうし、今後は税率が倍になるというのですから、さらに増えるだろうと予測しえます。景気にとってプラス要因にはなっていかないだろうと推測されるゆえんでもあります。
このように考えると、朝日社説が国民をミスリードする可能性は高いといえるでしょう。繰り返しますが、消費税増税が増税にならず、むしろ財政の蟻地獄状態に一役買ったとすれば、最大の皮肉としかいえない。しかし、数字をみるかぎり、それを裏付けているように思えてなりません。
増税に賛成してきたメディアの多くはこれまでもその限りでミスリードしてきたのです。それをまた、性懲りもなく、あなたたちは繰り返すのですか。厳しくこう問わなければならないだろうと思います。
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消費税増税法案は撤回しかない
ですから、政権党内でも理由がどこにあるにせよ反対の意見が少なくなかったにもかかわらず、議論打ち切り。そして国民新党からも反対の意思表明があって、昨夜からは首相直々に調整に乗り出すなど、ほぼ綱渡りのきわどい詰めといった感じは否めません。が、とにかく消費税増税法案として内閣が確認するという事実をつくるだけのために。
しかし、こういったときだからこそ、あらためて消費税増税には反対の意思を明確にし、増税が増税にはならないという逆説もふくめて少しふりかえっておく必要があるように思えます。
そもそも野田政権下で社会保障と税の一体改革の名で、消費税増税が不可避のものとして打ち出してきました。税をどこからどのようにとるのか、いうまでもなくそれは政権党の拠ってたつところを反映するでしょう。税にはもちろん消費税だけではなく所得税も、法人税もある。だから増税は消費税しかないということをもちろん意味しないし、増税が仮に不可避だとしたら聖域なく見直して、国民が少なくとも納得できる方向を示すのが政権の責任でしょう。
もう一方で、財政を立て直すには歳入を増やす、つまり税収をあげる方向のほかに、歳出を抑える方向も当然あるわけで、これまで、消費税増税が押し出されてくるとメディアはこぞって「わが身を切れ」という宣伝に乗り出しました。たしかに、消費税増税は国民すべてにかかわってくる税金ですし、増税の根拠すら明らかに知らせてもらえないとすれば、厚遇されている自分らの身を削るくらいことに手をつけてから提起すべきだという思いは分からないでもありません。
この文脈でしかし確認されたのは、公務員の給与削減と公務員人員削減という、ある意味で当事者だけでなく、すべての国民にツケが回ってくるところを、おそらくメディアとそれに煽られた世論の後押しともとれる圧力をいいことに3党で合意するというまったく不可解な手段で決着がつけられたというのは皮肉としかいいようがありません。この歳出を抑えるという文脈での議論は、結果的に、一つは消費税増税は不可避という世論をつくり上げたこと、二つ目には、給与削減・人件費削減という形で公務員バッシングを具現化したこと-という2つの役割を果たしたのではないかと考えられます。
いずれにせよ国民の強い反対がはっきりしている消費税増税。
だからこそ政府はそこで、反対世論を回避するために、社会保障のためだと強調してきました。しかし、これも、まったくのごまかしであったことが国会の論戦をとおして明明白白となった。政府の説明によれば、5%の増税分のうち「社会保障の充実」に使うのは2・7兆円ですから1%分にすぎません。なので、残りの4%分は、既存の社会保障財源と交代するだけのことで、なんのことはない、結果的に入れ替わった従来の社会保障財源は大企業減税もふくめて他に回ることを意味します。その上、輸出額の大きな大企業には、戻し税というしくみが消費税には内在するので、5%から10%になれば単純にいえば輸出額が変わらない限り倍増することになるのですから消費税増税を経団連が強く要請する理由にもなっている(参照)といえるのでしょう。
社会保障を目的にするといったところで、以上のとおりそれは言葉だけの話にすぎません。仮に消費税増税したら、いったい税収がふえるのかどうか、これも問われるところです。しかし、過去をふりかえるとそうとはいいきれません。
むしろデータをみるかぎり、税収は上がらないと結論づけても差し支えないような結果です。
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消費は、物価とのかかわりも無視できないのですが、この間の物価指数は無視できる範囲としてプロットされたものです(参照)。消費税税率が3%から5%に税率があがった1997年に、消費税税収は4兆円ほど上乗せされ、その後は10兆円前後の横ばいです。ところが一般会計税収は1997年度こそ上向きになったものの、その後は減少し一般会計税収が税率引き上げ時より上回った年度はないのです。
ここからは消費税増税をすれば税収はむしろ下がるという経験則が成り立つと考えることができ、先にいった増税が増税にならないという逆説の正当性をこのグラフが実証しているともいえそうです。
消費税以外の税源はないのでしょうか。そのかかわりでしばしば言及される法人税は、財務省資料によれば、このような推移をたどっています。税率の推移を示したのものがこの図。景気低迷期のなか法人税税率をあげることは不可能だと思われがちでしょうが、しかし、規模の大きい企業の内部留保をみてみると、拡大こそすれ減少はしていません。たしかに内部留保はその存在する形態はさまざまですが、それでも現預金は増えているのです。
法人税引き上げには、中小企業への手当をふくめて検討すべき点はむろんありますが、法人税を聖域にしなければならない理由はみあたらないといえるでしょう。そのほかにも所得税の累進率引き上げなど、検討すべきところは少なくありません。
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消費税増税がすべての国民を対象にし、とくに生活に直結する衣食住をもとに生きていく以上、削ることのできない消費の一線というものが存在すると考えるのは妥当なことでしょう。その占める割合は、容易に推測できるように高額な所得の世帯より低所得世帯が高いはずです。ここが消費を対象にする消費税が逆進性をもつといわれるところですが、景気が低迷していればこそ、片方で可処分所得の低下がいわれるなかで、国民の負担感が重く感じられるのは論をまちません。
消費税を増税すれば税収は下がるという経験則を否定できない以上、消費税を増税することは財政を悪化させるわけですから、自ら消費税導入の口実を否定することに等しい。
だから、おそらく増税した政権は後世に悪政の名を残すことになりかねません。消費税増税法案は撤回したほうがよいに決まっています。
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輸出戻し税は凍結せよ
予算案が衆院を通過しました。が、消費税増税関連法案がどのようになるのか、先はまだ不透明と現時点でいってよいのでしょう。
そこで、この消費税増税にからんで、政府はつねづね消費税増税と社会保障を一体のものとして提起してきたことはご承知のとおりです。
社会保障と税の一体改革では、「消費税は原則として社会保障目的税とし、その使途を明確化する(消費税収の社会保障財源化)」とうたわれています。
しかし、それでは、消費税にからむ輸出戻し税(*)はどうなるのか。
消費税と戻し税がまさに一体であるのなら、戻し税も増税に伴いかわるのであれば、それは政府のいう社会保障目的という理由づけに合致するのか、こんな疑問がわいてきます。社会保障を目的にしたものだといった手前、輸出戻し税も税率引き上げにみあって扱うとすれば看板に偽りありということになってしまいます。
仮に税率5%を引き上げたとしても、少なくともその5%引き上げ分に見合う輸出戻し税については無いことにする、つまり現行どおりに凍結するというのが筋ではないでしょうか。
たとえばトヨタは2009年で、2100億円の還付を受けています。「日本全体では年6兆円ほどにもなる」にもなるそうです(浦野広明立正大法学部各員教授)。
私は消費税増税に反対します。社会保障を支える財源は消費税に限らなくても、たとえば法人税の課税強化や高額所得者への課税強化をふくめて大いに検討の余地があると考えます。その意味で聖域というものをつくってはいけないと考えています。
その上で、政府のいう消費税増税の口実が社会保障のためというのであるのなら、この輸出戻し税についても、本来、還付なしくらいの方針をとってもよさそうなものですが、百歩譲っても輸出戻し税については凍結すべき、少なくとも現行の5%とするよう凍結の提案がされてしかるべきだと思います。
* 現行消費税率5%の場合
いったいどれくらいの税金が企業にもどってくるかといえば、つぎのようになります。これが5%引き上げで10%になれば倍になります。
- 仕入(原材料・部品など)額 100億円
- 販売価額 120億円
この企業では、仕入れの時に100億円にたいする消費税(5億円)を支払うことになっています。
販売する時には、販売額の120億円にたいする消費税(6億円)分を上乗せし126億円で売ることになる。
のですが、輸出の場合は、外国にむけて売るのですから消費税を上乗せし回収できません。
そこで、仕入時に支払う消費税額5億円が還付されるというしくみです。
これが、国内で売る場合なら、
この企業は5億円を仕入時に支払い、販売時に消費税6億円を負担するのは消費者で、これを企業が預かり税務署に差額1億円(=6億ー5億)を納税します。ですから、この場合は企業に税金が戻るようなことはありません。
輸出戻し税については、以下を参照ください。
大企業が消費税を歓迎するワケ
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20XX年財政破綻の名で朝日が煽るもの
このエントリーでふれたように、2010年度予算案は92兆円を超える最大規模になっています。一方で見込まれている税収は37兆円程度。その差を埋めるのが、国債。44.3兆円の発行が予定されています。膨大な発行残高を抱えるわが日本国。予算案ではなにしろ税収を国債発行が上回るのは史上初ということですから、この先どうなるのだろうという不安が先立っても不思議ではありません。
「20XX年念財政破綻 その時…」。朝日が昨日付朝刊一面に立てた見出しです。センセーショナルなところにいかにもマスコミという感を抱かざるをえません。が、しばらく朝日のいうことに注目してみたいと思います。やや長くなります。
ある週末の夜、首相官邸の記者会見場は熱気に満ちていた。緊急会見に臨んだ首相が震えた声で切り出した。 「国民の皆様、深刻なお話を申し上げなければなりません。日本の財政は破綻の危機です。本日、国際通貨基金(IMF)に緊急支援を要請し、関係国と協議に入りました。挙国一致内閣で危機を乗り切るため、野党各党に政権協議を呼びかけます」 続いて財務相が「前年度比5%以上の歳出削減を5年間続ける」などの「財政再建緊急プラン」を公表した。極秘に練り上げたプランだ。数カ月前から国債の引受先を決める入札が不調に終わるようになり、海外の市場関係者の間に「日本は投資先として危険」とのリポートも出回っていた。 財務相が、1年前に税率が20%に上がったばかりの消費税について「当面の間25%にします」と語ると、テレビ中継を見ていた財務省幹部は、若手にささやいた。 「おれが入省した時の首相は『4年間は5%から上げない』と断言していたんだぜ。今思えば、その時の10年度予算が転落の節目だった。戦後初めて当初予算で税収より多い国債を発行したんだ」 外国為替市場で円安ドル高が一気に加速。週明けの市場でも国債が投げ売りされ、長期金利は跳ね上がった。株価も過去最大の下落幅に。市場は「日本売り」一色となった。 「お札が紙くずになる」「預金封鎖も近々ある」。うわさがネット上を飛び交い、現金を引き出そうと、銀行には長蛇の列ができた。貴金属店は、金塊や宝石を買い求める人でごったがえした。 輸入品などの物価が高騰。ガソリンは連日1㍑当たり10円以上のペースで値上がりし、野菜や肉、魚も2倍以上の値段に。スーパーでは「クレジットカードや電子マネーでの支払いはお断りします]との張り紙。人々は現金をかき集め、日用品の買い占めに走った。 原料を輸入に頼るメーカーは経営難に陥り、工場の操業停止と従業員の解雇が相次いだ。銀行は国債暴落で巨額の損失を抱えた。混乱は金融システムに飛び火し、誰にも制御できなくなっていた。 |
このいわばリードにつづいて、朝日は、3面に大きなスペースをとって日本国の破局のシナリオを描いています。記事の契機には前述したように、国債発行が税収を上回るという「異常事態」があります。
朝日の論調は、破綻必至といわないまでも、相当程度に破綻する可能性が高いというところでしょうか。こう危機感を煽るのは何故でしょうか。上にあげた引用部分のなかで、唯一、破局回避策に思われるような部分をあげられています。それはこのくだり。
財務相が、1年前に税率が20%に上がったばかりの消費税について「当面の間25%にします」と語る… |
こう財務省に朝日は語らせています。むろん現実の菅直人財務相が消費税増税にすでにふれたのは周知のこと。私は、朝日のこの特集の核心はこの部分にあると思います。明言こそしていないものの、破局回避は諸費税増税だということを読者に暗示する役割を、この記事は果たしているとみます。
たとえば、3面のQ&Aで、日本破綻を防ぐには、どうしたらよいのという問いで、「財政赤字と借金を減らす努力を続けるしかない。方法は歳出削減と歳入増の2つ。税金の無駄づかいを減らすことが大事だけど、それだけで十分とは考えにくいし、福祉を切り捨てるわけにもいかない。何らかの増税は避けられないだろうし、国民が「広く浅く」負担する消費税が有力だといわれてきた」と応えるという具合に。
しかし、ここで立ち止まらざるを得ません。今日の事態がもたらされたのは、朝日もいうように、税金の無駄づかいと税金のとり方と無関係ではありません。朝日は、「方法は歳出削減と歳入増の2つ」と一般的にのべるにすぎません。その中身、たとえば何を無駄づかいととらえるのか、それはその人の立場を反映し、考え方を表わさざるをえないでしょう。朝日も同じように、朝日の今日の立場から財政破綻を語っているというわけです。すでに、経営の少なくない部分を新聞広告収入に頼る大手の新聞メディアは、今や消費税増税派といえる。財界・大企業にモノがいえないというわけです。消費税増税は、あの御手洗富士夫がなんども強調しているように財界・大企業が旗をふってきました。自らが法人税減税と輸出戻し税の恩恵を受けるという権益を保持しつつ、今後も保持するために。
今、必要なことは、消費税増税をいう前に、すべてを洗いなおせということです。枝野が登用され、第2弾に着手すると宣伝されている事業仕分けも、やはり聖域を残しました。そこに踏み込めなかった現実があるのです。消費税増税論者、または不可避論者は、その聖域に触れないということで一致しています。
日本国のこのようなメディアの現状ですが、対照的なのはフィナンシャルタイムズのこの記事。客観的にものがみえていると私は思います。
長年苦しんだ日本から世界は何を学べるか |
記事は、そもそもどうして巨額の財政赤字が生まれたのか、その要因にふれ、「追いつけ追い越せの高度成長が終わった後に、企業による過剰な内部留保と投資機会の減少が組み合わさったことが、構造上の根本的問題になった」とのべています。
この内部留保に踏み込むこともふくめて、聖域なしで議論をよびかけることこそ、ジャーナリズムに求められているのではないか。無駄づかいをいくら国民・有権者によびかけても、隠してある部分があっては誰もついていかないのです。
ペンは折れている。そう思える今日のメディアの現状です。財政破綻という言葉で朝日が煽ろうとするのは、消費税増税やむなしという意識ではないでしょうか。
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超簡単増税法=消費税増税を撤回し、洗い直せ。
下衆の言い方でいえば、超簡単増税法といえるでしょうか。消費税増税が、俎上にのぼっています(参照)。
国家財政のバランスを考えると、容易に理解できるように、歳出が過去最大規模というのですから、それに見合う歳入が必要ですね。その歳入に関しては、年初から消費税増税しかないというキャンペーンが張られてきました。民主党政権にとっては初めての予算編成作業。昨年末に発表された当初予算としては最高の92兆3000億円でしたね。歳入は税収が37兆4000億円に落ち込むと予想。したがって、不足分を埋蔵金10兆6000億円と44兆3000億円の国債発行でまかなうというものでした。
この予算編成にそえば、10年度末には国・地方をふくめて長期債務は862兆円、これは、GDP(国内総生産)の1.8倍にのぼる規模となるわけ。ですから、国民の不安感もあおりながら、メディアは年末年始に、ここぞとばかり消費税増税を主張しつづけてきたといえましょう。たとえば、「財源なしに公約は通らぬ、財源は消費税だ」(朝日・09年12月23日)のように。
今一度、話をさかのぼると、歳出にみあう歳入を以下に確保するのか、これが論点です、ね。だとすると、歳入をどのように確保するのか、それは為政者のよって立つところが如実に反映されるということです。メディアがすでに昨年末から消費税増税以外にはないかのようなキャンペーンを張っています。拠って立つところといういい方をしました。そこに、どんな階層の意向をふまえうるのかという、政治的には大事な問題がひそんでいる。マスコミがこぞって消費税増税を強く主張するのはなぜか。
それを考える際に、これまで経団連が消費税を強く要求してきた事実を見逃してならないのではないか、と私は考えています。経団連が、政党のいわば勤務評価をおこなってきたことは、すでに当ブログで指摘してきたところです。その際、経団連は消費税に対する政党の姿勢を問うてきた。ようは、消費税増税にどんな態度をとるのか、それを政党評価の基準にするというわけです。献金はそれによってきます。とりあえず、その対象は自民、または民主と考えてよい。
すでにマスコミの台所事情を広告料という外形で財界は握っている。ですから、メディアが消費税増税のキャンペーンを張る背景にこうした経済的非対称な関係が存在することを見つめておくことが必要でしょう。そうであればこそ、メディアは財界の思惑どおり、消費税増税にたいする協力体制はできあがっていると考えてよいでしょう。大手メディアの収入源は広告料。それを事実上、握るのは財界なのですから。経団連の政治支配は、小泉時代の経済財政諮問会議にとどまりません。「21世紀臨調」(「新しい日本をつくる国民会議」)の存在を忘れるわけにはいきません。その21世紀臨調には、朝日が10人、共同通信が10人、毎日が9人、産経8人、読売4人などというように各社が、編集局長や編集長などを派遣しているというのですから。そこに共闘体制があることを率直に指摘せざるをえません。メディアのこうした財界追従の姿勢は、自らの「新聞倫理綱領」にてらし、いかにそこからはずれているのか一目瞭然です。消費税増税の主張は、第一に財界・大企業の強い意向を受けたものだということを考慮に入れておいてよいでしょう。
別の言い方をすれば、税をどこから、どのようにとるのか、それは政権の舵取りに深くかかわります。これまでの経過は、大企業や大資産家の税負担が緩和されながら、その分、消費税増税に象徴されるように、大衆的に、つまり広く、「浅く」、大規模に税を取る方法論が採用されてきました。冒頭にもどれば、それは端的にいえば、超簡単増税の方法論だといえるでしょう。
消費税というのは、消費にかかって税がかけられるわけですから、日常の生活にかかわる支出の、全体(の支出)に占める割合が高いほど、税負担率は高くなるというわけです。消費税が大衆課税の典型といわれ、逆累進性が高いといわれるのは、この性格によっています。
民主党政権は、大々的にムダの排除をかかげ、事業仕分けなるものをアピールしました。しかし、整理・統合された中に、(自民党政権時代からの)大企業への優遇制度は扱われなかった。そこに民主党政権の拠って立つところが反映されているともいえます。税金のムダ使いをいいながら、けっして財貨・大企業の優遇を改めようとしない姿勢。
消費税のほかに税収を確保する道はないのか。それを問わねばなりません。
大規模な企業への優遇を改めれば、消費税増税を避けることは可能だという試算がすでに伝えられています。そんな声を無視したかのような、直近の菅財務大臣の消費税増税を視野に入れた発言が話題を呼んでいます。あえて確認すれば、4年間は封印をするといったのは民主党ですからね。その意味で、幾重にも国民・有権者を裏切るといってよいかもしれません。税は、もてるものからとれ、この原則を今一度、とらえかえしてよいのではないでしょうか。
(「世相を拾う」10030)
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消費税増税という既定の路線
衆院選で消費税上げ提起を 仙谷氏「財政持たない」 仙谷由人行政刷新担当相は27日のNHK番組で、次期衆院選で消費税率の引き上げを提起すべきとの認識を示した。「議論を始め、3年後か4年後か分からないが、選挙のときにお願いすべきはお願いするという立場じゃないと(財政が)持たない」と述べた。 同時に「産業構造が転換し、所得が10年で100万円も下がる時代には財源をどう調達するか、財政規律をどう守るかという展望が必要だ。部分を議論しても太刀打ちできない」と指摘。消費税の税率引き上げを含め税制全体の抜本改革に向けた議論を急ぐべきだと強調した。 |
民主党政権の予算案は、子ども手当や高校授業料無料化など、改善と評価できるものがあっても、全体としては有権者の期待にこたえるものでしょうか。何より、財源を借金と埋蔵金頼りという予算であっては、今後の行方に不安が残るものでした。
結果、この発言です。2つ前のエントリーで「消費税増税という「切り札」が今後、準備されていることは容易に推測される」とのべました(参照)。
仙谷発言はこれを裏づけました。消費税増税の前に手をつけるべきところがあるのではないか。法人税減税を元に戻すことが可能ではないか、このことを当ブログでは再三、のべてきました。が、それは民主党政権をもってしても叶いませんでした。依然として、自民党政権同様に、財界、あるいは米国を聖域とする考えが貫かれています。こうした聖域を根本から問い直すことなく、大衆課税の最たるものと消費税はこれまで指摘されてもきましたが、消費税増税という財源確保を採ることについて反対せざるをえません。メディアでは、高福祉低負担はありえないなどと、くりかえし消費税増税のための世論づくりが強調されています。そうした議論は、法人税の減税には一言たりとも触れないという共通する特徴があるようです。
構造改革がすすんだ時期に労働者の懐は温まらず、一方で、大企業といわれる一握りのグループは内部留保という貯め込みを倍加させたことが指摘されてきました。その一部を吐き出すことくらい、可能なはずなのですが、民主党政権もまた、財界には甘い。あれほど事業仕分けでは削減を口にしてきたのに、財界にたいしても、米軍にたいしても、仕分け人といわれる議員たちの振り下ろす刃は鈍かった。というよりも、振り下ろさなかったのではないのか。ここに、民主党の政権の性格の一端が正確にでているのではないでしょうか。
まず、法人税減税を改めることを検討したのか。むしろ研究開発減税(*1)など、大企業向けの施策を継承してきたのが事実でしょう。減税をほぼ独占してきた大企業と財界。
仙谷由人のこの発言は、そうした民主党の宿命を語るべくして語ったといえるのではないでしょうか。消費税の前に、法人税減税を以前の税率まで戻すことを本気で考えよ、そう民主党に迫らないとならないでしょう。民主党が軸足を国民・有権者に置くのか、それとも財界や米国を優先することに置くのか、いよいよ問われることになります。
(「世相を拾う」09293)
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*1:試験研究費総額の8~10%を法人税額から控除できるしくみ。限度額は法人税額の20%まで。税額から相当する額を差し引くのですから減税効果は大きい。この研究開発減税の97%は大企業が占めており、ほぼ独占する形です。なお、09、10年度は限度額は法人税の30%とされています。
税収不足の先に消費税- 財政法も解釈次第?
税収不足が、いちだんと強調されているように思います。
2010年度の概算要求額が95兆円にのぼる一方で、税収は40兆円をはるかに下回るだろうといわれている。こんな状況で、藤井財務大臣は、50兆円にのぼる国債発行を示唆しているのですね。
一方での冷厳な事実がある。これは、消費税導入の年、1989年には国債発行高は7.1兆円だったものが、2009年度には44.1兆円にのぼっています。実に、6倍以上の水準に現在、伸びているのです。
日本国では戦後、国債発行が禁止されてきたということも私たちは忘れてはなりません。戦争遂行のために膨大な国債が発行されてきたということから、財政法にこの反省を込めて、発行禁止を決めてきた。事実、1964年までは一般会計の歳出の財源として国債は発行されなかった。けれども、この経過を、自民党政権はくつがえし、1965年に赤字国債発行に踏み切った。1年限りの特別措置法をつくって。ところが、66年度から74年度にかけて、財政法4条の但し書きをもちいて、建設国債を発行しました。その上で、75年からは毎年のように特例法を制定し、赤字国債を発行し続けたのです。
債務をこれほどに増やし続けるのには、それを担保する条件を自民党政権が考え、見出していたからにほかなりません。その条件とは、いうまでもなく消費税です。これだけの規模の債務を「帳消し」にするに足る税は消費税以外にはないというわけです。消費税は、大衆収奪の税といわれるわけですから。
今の民主党政権が、想定できる税収の水準からみて、はるかに上回る規模に国家財政を広げた事実に、平然としているようにみえるのも、最終的には消費税があるという魂胆が見え透いているように私には思えます。
選挙勝利のための方便、4年間の(消費税増税)封印というのを、ですから風前の灯だといえなくもない。
あらためて財政法をあげてみますと、以下のとおりです。
第4条 国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。 前項但書の規定により公債を発行し又は借入金をなす場合においては、その償還の計画を国会に提出しなければならない。 第一項に規定する公共事業費の範囲については、毎会計年度、国会の議決を経なければならない。 |
明確ですね。「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない」とうたうのですから。同時に、歴代の自民党政府が拝借してきたのは、このあとのくだり。「解釈の力」によってきた。ところが、結果は、片方で法人税の減税をやってきいたのですから、「ただし」という条件すら、満たしていない。減税分を消費税で補ったという見方がでてきて当たり前。
国債発行の連発は、すでに消費税という収奪のしくみが前提にあるからこそ可能といえます。2010年の予算案の提案の過程で、民主党が封印などといってきたとしても早晩、消費税増税が俎上にのぼるのは容易に推測のつくことです。
税をどのような形で、どこからとるのか、この問題は、政権のよってたつところがどこにあるのか、それを浮き彫りにせざるをえないということでしょう。
(「世相を拾う」09274)
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民主党政権は税をどうする気か。。
民主党政権は、国民向けの施策を次々に打ち出してきました。その一つが子ども手当の創設でしょう。
たしかに子ども手当創設は、その点だけを切り取って考えると、その恩恵をうける世帯以外では、増税を心配しないといけない制度設計になっています。手当を支給されない家庭では、増税の痛みだけが押し付けられる。その上、住民税の扶養控除まで廃止されれば、国民健康保険料や医療費窓口負担などの引き上げに波及するのですから、手当をつくることには反対とならざるをえませんね。ここが、醜悪でもあります。国民のなかに分断をもちこむという、陰険極まりないと私は思わざるをえないのです。峰崎直樹財務副大臣は、再三、子ども手当導入と同時に所得税の扶養控除を廃止するという発言を繰り返しているのですね。この解きほぐしがたい発案そのものを見直し、子ども手当創設のための財源は、ほかに財源確保の手立てを追求してほしいと率直に願うのです。
ところが、民主党政権の考えていることは、私の考える方向とはどうも異なるよう。国家財政の一大事なのだから、歳入をどう確保し、増やするのか、そして歳出をどう減らし、頭を痛めるところでしょう。
まず事業仕分けという民主党政権がとった手法は、歳出をどう減らすのか、それを有権者にも見える形で整えたという意味で、従来の自民党政治とは一線を画したといえるのかもしれません。けれど、その削減の視点そのものは、少しもこれまでの自民党政治の枠組みを乗り越えたとは私は考えません。結局、一つ一つ有権者にとって削減か、そうでないのか確かめなくてはなりませんが、その線引きの基準はは少しも明確ではない。
一方の、歳入にかかわって、民主党政権がどのように考えているのか。この記事にあるように、メディアはすでに消費税増税の論陣を張っている。
ならば政権はどうするのか。周知のように、4年間は消費税増税を封印すると断言したのですね。では税源をどこに求めるのか、これが興味あるところ。
先の峰崎氏はこの点にかかわって、つぎのようにのべています。
所得税、法人税、そこに大胆に税率を上げるとか手をつけない限り、財源は出てこない |
と。
増税するとすれば仰るとおりとのべざるをえません。けれど、ほんとに法人税の増税が議題になるのかといえばそうではありません。所得税の累進課税税率アップも話題にならないのが実情のようです。だとすると、同氏が考えているのは、選択肢はほかになく消費税増税ということにほかならないのでは。
すでに、マスメディアは、それをけし掛けています。
消費税上げ「容認」が61%…読売世論調査
しかし、過去にさかのぼってみて考えると、福祉国家の経験をへず日本は企業社会ともいわれる、労働者を労働組合を企業が抱え込むことによって支配していく構造をつくり出してきました。年功序列賃金と終身雇用、それに退職金をふくめて老後を企業が支えているかのようなシステムがつくられてきました。その中で、労働者はわが身を削るがごとく目いっぱい働くことが位置づけられてきた。けれど、この支配構造が日本企業のそれまでの競争力の源でしたが、90年代の国際的な競争の中で見直さざるをえなくなったわけですね。競争に負けないためのステップを踏み出すことになる。その結果、賃金の抑制、企業負担の軽減、そして規制緩和という3つの手法でもって構造的な改革をおこない、競争力を維持し、利益をあげようと企業はしたのです。この点については、別の機会に詳しくふれようと思います。この(日本)企業の競争力強化のための3つの方策のうち2番目が注目を要します。
企業の負担を軽減するというのは、一つは税金です。上記にのべたように、かつての法人税率が見事に引き下げられているように、企業の税という直接的負担は見事に軽くなっています。民主党は、つまりこれに手をつけようとしない、手をつけようにもつけられないのです。モノがいえないのです。それだけでなく、法人税を安くあげるためには、国家財政の規模そのものを小さくする、これに代わるものはありません。法人税を安くあげるためには財政を小さくすればいい。財政が大きくなると、法人税をやすくするためには、企業からみて余分の社会保障に手を「つけ、縮減するのが手っ取り早いのです。高齢者のための医療と福祉は、格好のターゲットになってきたのです。
賃金抑制も、思うように企業は実施できなかったのですが、99年の労働者派遣の原則自由化、2003年の製造業への派遣解禁で、一気に先に進んだ。99年以降、正規社員は500万人が減り、非正規が500万人増えたというのですから、置き換えに成功したのですね。
こうした経過と、派遣切りの事実、キヤノンやトヨタがまっさきに製造業の派遣切りに乗り出したことを重ねてみる必要があると思います。
こんな経過をたどって、国民・有権者の構造改革路線にたいする反発が爆発したのが、07年参院選であって、その延長の今年の衆院選でしょう。
本来なら、さかのぼってみれば、民主党政権のとるべき方向は明確であるといわざるをえません。少なくとも、民主党自身の政策への共鳴というよりも、自民党のとってきた政策にたいする反発の結果の民主党選択だったのですから。
ところが、民主党の出自は否定できない。自民党と交代可能な政党として誕生したというそれ。それを破り捨て、脱皮しようなどという考えは、残念ながら民主党にはないように思えます。
子ども手当という国民の一部に手当てをする格好でいて、所得税の不要控除を廃止しようという設計は、その限界を物語っています。法人税を以前と同水準に戻し(以前以上に引き上げよといっているのではありません)、大企業から税金をとるなど毛頭、考えていないようですから、もう完全に「自民党と交代可能な」域に留まろうとしているということでしょう。
(「世相を拾う」09267)
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税収確保にふれないのは何故。。
藤井財務相:増発に否定的な見解 10年度予算の国債 藤井裕久財務相は9日、テレビ番組の収録で、10年度予算の国債発行額について「09年度の44兆円より減らさないと、国債市場の信認に応えることにならない」と述べ、今年度より増発することに否定的な見解を示した。 政府は、来年度予算で子ども手当などの新たな政策を実現するために7.1兆円の財源を必要としている一方で、経済危機の影響で税収は大幅に落ち込む見通し。しかし、藤井財務相は「今年度より減らさないと、財政規律を守ることにならない」と、無駄の削減などで財源を確保する姿勢を示した。 また藤井財務相は番組収録後、記者団に対し、今年度の補正予算についても「税収が減ったとしても、国債増発は必要ない」との考えを述べた。 |
ムダの削減といわれるのですが、ムダの中身にもよりますね。
どう絞っても、一般的にいえばそれ以上は絞れない、いわば臨界点があるのでしょうからね。
こうしたムダの削減論は、どうも大事な点を回避しているようでなりませんね、私は。
ようは、税収の確保にかぎっていえば、この間の税制改正の柱そのものを問うてしかるべきではないでしょうか。
はたして大企業といわれる階層が、税の負担能力に欠けているのでしょうか。そうではないでしょう。少なくとも年収200万円以下の人の占める割合が確実に増えている現状と比較しても、税を負担する能力がどこにあるのか明確ではないでしょうか。
国債発行増発に否定的な見解をのべる藤井さんですが、では、分かりやすい選択肢の一つであるはずの法人税率のアップなどになぜふれないのでしょうか。
ですから藤井財務相が「税収が減ったとしても、国債増発は必要ない」とたとえのべたにしても、まったく説得力を欠いていませんか。やはり、能力のあるところから、しっかり税をとるという立場にたたないと、先にすすめないような気がしてなりません。
財源の問題は、民主党政権のアキレス腱になりかねない。財源確保で民主党がどんな立場をとるか、この点で、この政権の性格づけができるというわけです。
再三のべているように、税をどこからとり、どこに配分するのか、この問いはすぐれて階級的なそれ。
藤井さんのこれまでの発言によるかぎり、およそ大企業を「敵に回して」まで財源を確保しようとは、民主党政権はさらさら考えていない、大企業の権益はしっかり守ろうとする立場が冒頭の見解に示されている。こう結論づけて誤りはないと私は思います。
(「世相を拾う」09218)
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消費税増税の誘い水か。。
新しく政権についた、かつての野党、民主党の議員の6割近くが消費税増税に賛成している。まあ、民主党に4年間封印した消費税の増税を早くやれとけしかけているようにさえ私には思えます。
ただ、記事は、こんな具合にも伝えています。
「予算の無駄を省いた後に必要ならば検討」など、将来の課題ととらえる声も目立った |
しかし、一般的にいえばムダ使いをあらためるのはもちろん必要なのですが、歳入構造をどのようにあらためるか、この点についての言及が上の記事にはありません。第一、歳入の問題、つまり消費税増税によるかどうかにふれようとするとき、その構造に一言もふれないのでは合点がゆきません。もちろん民主党議員にまったくこの視点が欠けているのかどうかは定かではありません。
でも、歳入の構造は現状から変えられないのかどうか、この点は検討が必要だと思います。繰り返し指摘してきたように、法人税の税率は下方に、つまり税率が緩和されつづけてきました。その一方での消費税の税収に占める割合はどうだったのでしょうか。
この点で、明確に路線が分かれる。
つまり、税は負担能力のある者が支払うべきだという命題を認めるか否か、ここで大きく対処の仕方がちがってくる。
自民党の政権は、法人税を下げ、その分を消費税増税で補ってきたというわけですから、応能負担という原則とは逆の方向を採ってきたといえるのではないでしょうか。
社会保障制度の負担と給付の在り方で、「負担は増やさず、他の歳出を削って給付を充実させるべきだ」が54・8%。「税や保険料の負担を増やし、給付を充実すべきだ」は22・9%にとどまり、消費税率を引き上げても全体として国民負担を抑えるべきだとの考えが多数を占めた。消費税増税を含めた「負担と給付」の在り方は、今後の国会などで政策論争の焦点となりそうだ。 |
この記事の表現も微妙で、核心にふれてはいない。核心をむしろ避けている。それは、税金を負担する能力のある者から税をとっているかどうか、という問題です。負担をふやすといえば国民からとることを意味するし、歳出の問題で一般的なムダ使いをやめるとはいうが、どうしてもふれない部分を残しているのが率直なところではないでしょうか。
税制の優遇、高額所得者への優遇、大企業にたいする法外な優遇をどうするのか、今こそ議論しないといけないでしょうに。そこにはふれないという態度では、以後の議論を大きくゆがめてしまう結果になってくる。
記事による限り、民主党議員の多くが、これまでの議論の枠組みに収まっているという感じを私は拭いきれません。
4年間封印をいったん民主党は国民に約束しているのですが、それから先の道筋はすでにみえたも同然、そんな思いを喚起させる記事といえないでしょうか。。
消費税しかないと決めてかかるには議論は到底、尽きていない。こう私には思えてなりません。
(「世相を拾う」09213)
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税金のムダ使いをいうなら、これだろ。。
民主党の関係者がいわゆる聖人君子-これを理想だといっているわけではありませんが-では到底ないだけでなく、これまでの自民党とこの点ではほとんど区別がつかないことを示しているのでしょうかね、この記事は。江田議長や直嶋氏の名前が出てくるのですから、こんな事態は見えないだけで、もっと広く存在するのかもしれないと腹をくくったほうがよいのかもしれません。
ただ、結論は、この部分だと私は思います。
民主党は03~07年に計約548億円の政党交付金を受け、これは党本部の全収入の約8割。同党が所属議員に配る「政党交付金ハンドブック」は、交付金から酒を伴う飲食費の支出を禁止している。 |
とくに、この記述の前段部分です。民主党という政党は圧倒的に国民の税金、つまり政党交付金によっている政党なのですね。その使い途がこれでは、ふだん同党が税金のムダ使いを主張しているのと、どのように整合性がとれるかということです。この点で、この記事に関する限り、深刻な反省を同党は迫られなければなりません。税金のムダ使いをいうなら、まさにこれでしょう。
クラブ、キャバクラを経由して何が議論されているのか、それを国民・有権者が知る術はまったくないのですが、仮に何かが議論、あるいはそこで検討されているとしたとしても、クラブ、キャバクラでないといけない理由は存在しないでしょう。あるのなら、あげてほしいものです。
つまり議員活動に必要な支出とはみなされえないと考えるのが常識的というものでしょう。政党交付金がこんな形で消える現実がある。政党助成金の意味そのものが沿われなければならず、交付金をもらい、こんな支出をしていることに一片の反省もないとしたら、それこそ大問題でしょう。
これに、江田氏や直嶋、あるいは川端氏がどのように反論するのでしょうか。いずれも同党の幹部であることは自他ともに認めることでしょうから。
今後、このような民主党にとってのネガティブな記事が出てくるのでしょうね。
それは、ある意味で政権党にとっては必至のことなのかもしれません。参院選までの曲折が予想されるというわけです。
だから、われわれ国民・有権者の前には、政権党が矢継ぎ早に打ち出す国民向けの諸政策と一方でのこうした弱点の暴露、政権党にとっては正と負の部分が提示されるというわけです。その質と量においてどちらが勝るのか、それはおそらく次期参院選を左右するものとなるのでしょう。傍目からみれば、守りに強い政党とは到底、思えない、つまり負の部分が少ないないのですから。
今回は、こうしたメディアの一記事に表れた、民主党の弱点をつくものでしょうが、すでに保守派の巻き返しが周到に準備されていることも匂わせるものでもある。自民党の総裁選をあたかも国民的行事であるかのように、連日、メディアが追うのを目の当たりにしてあらためてそう思うのですが。。
それにしても、民主党もまた、(政党の)水準がこの程度で自民党との峻別がそもそもつかないということが、露呈した格好です。
(「世相を拾う」09206)
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財源論- 証券税制を見直すべきでは。
このまま、推移すると、すでに執行分もあって、民主党が選挙前に打ち出した政策の財政的な手当てがおぼつかなくなるという一面もでてくるのです。
そして、民主党内には4年間は「封印」と公言している消費税について、すでに増税をもちだしている人もいるようですから。
当ブログの主張は、消費税という選択肢しかないのか、財源を考える際に、予めふれない部分を横においていては議論が歪むということです。消費税増税をスムースにおこなうために、たとえば社会保障の充実のために使うといってみたり、あるいは食料品には課税しないで増税するという主張もある。
しかし、そもそも消費税の増税以外に財源確保の道はないのか、これを問い返してみる必要があります。消費税増税の片方で法人税は減税され続けてきましたし、これは元に戻せるかどうかもふくめて検討の余地はあるでしょう(参照)。
証券税制をここではみてみたいと思います。日本では、株や配当金所得に課税される場合も、株式売買でもうけた利益に課税される場合も同じ20%。しかし、これが10%に軽減されています。
国際的には、以下のとおり(①配当課税、②株式譲渡益課税、*1)。
- フランス ①源泉分離課税30.1%、②申告分離課税30.1%
- アメリカ 総合課税15%+住民税(6.55%~10.05%、ニューヨーク市)
- イギリス ①総合課税(10%、32.5%)、②申告分離課税18%
いずれも日本より高い税率になっています。配当や株式譲渡は、一般には金持ちのやることでしょうから、この点で、日本の金持ち優遇が際立っているといえるでしょう。たとえば、100億円を超える莫大な利益を得たものは、一人あたり約35億円も減税の恩恵を受けるとされています。こんな世界に縁のない私には、まさに想像もつかない世界。しかし、35億円が減税を一挙にされるというのは、私たちの生涯収入がせいぜい数億円とかでしょうから、途方もない金額の減税ということは推測がつくわけです。
小泉政権時代に実施されたこの減税は、2003年度から07年度までで累計4兆300億円にのぼっているのです。こうした大金持ちへの優遇をあらため、もともとの20%に戻せば財源を捻出できるではありませんか。
ただし、民主党は「証券税制については、現行の優遇税制を延長する」(昨年の税制抜本改革アクションプログラム)と明言しています。
同党は4年間の「封印」はいっているものの、消費税増税を考えているわけですから、そうではなく、証券優遇税制の廃止と税率20%に戻せと強く要求しなければならないと私は思います。消費税増税しか方法がないのではけっしてありません。
(「世相を拾う」09180)
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*1;『NO 消費税』(消費税をなくす会)から
財源の問題- 民主党の目算ははずれつつある。。
一方で、マニフェストで「消費税を財源とする月7万円の最低保障年金の創設」をかかげています。これは、消費税の増税が際限のないものと想定させるに十分な表現だと私は思います。
民主党は政権を今後、担うわけですから、消費税増税に新しい政権がどんな態度をとるのかを問うと同時に、国民の声をとどけ、消費税増税を断行させない社会的運動が必要だと少なくとも私は考えるわけです。
社会保障の充実、これは国民が等しく考えるところでしょう。しかし、ことこの財源をどのように確保するのか、この論点は、どうも意見が割れるようです。この点で、私は、財源をどのように確保するのかで、これまでの自公政権が議論をはじめる際に、始めから、予め考慮の対象としないで横においていた部分が現実にあることを繰り返し指摘してきました。たとえば、社会保障をまかなうことを口実にするか否かは別にして、消費税の税率を高くし、高福祉・高負担をうたう国が国際的にみてないわけではありません。これと同様に、日本でもかじとりをせよという意見もあるでしょう。
しかし、今日の日本で、この議論をやるためには、先にふれた聖域を残したままではなりたたない。議論がゆがむのです。この点を問わずして、消費税増税を主張しても、一面的な主張のそしりは免れません。
民主党のマニフェストに話を戻しますが、同党がマニフェストとは別に「政策集」なるものを作成したことをご存知の方があるかもしれません。マニフェストは国民向けに作られたものですから、そこには、消費税を財源とする『最低保障年金』を創設し、すべての人が7万円以上の年金を受け取れるようにする、「所得比例年金」を一定額以上受給できる人には「最低保障年金」を減額すると書いています。
ところが、「政策集」、これは議員・候補者向けということになるのでしょうが、ここには消費税増税に以下のように踏み込んで表現しています。このこと自体、政党のとるべき姿勢としてはアンフェアといわざるをえない。
消費税を決して財政赤字の穴埋めには使わないということを約束した上で、社会保障以外に充てないことを法律上も会計上も明確にします。
税率については、社会保障目的税化やその使途である基礎的社会保障制度の抜本的な改革が検討の前提となります。その上で、引き上げ幅や使途を明らかにして国民の審判を受け、具体化します。 |
これが「政策集」の表現です。
国民が目にするマニフェストには、(消費)税率引き上げについてはふれないでおいて、議員など一部の人しか目にしない「政策集」で引き上げを主張するとは、どう考えてもおかしなことでしょう。ちなみに、同党のマニフェスト自体、つぎのような変遷を遂げています。
- 年金目的消費税の創設(税率3%?) →04年参院選・05年衆院選用
- 基礎年金は全額を税で賄うことにし、消費税の全税収をその財源に充てる 消費税率は据え置く →07年参院選
しかし、問題は、こうした主張の移り変わりということよりも、主張の前提になっている同党の認識そのものにあるように私には思えます。
それは、消費税があたかも社会保障に充てられるかのような主張で貫かれているということです。そもそも日本で消費税が導入される際の宣伝文句が福祉目的などというものでしたが、現実はどうでしょうか。さまざま指摘されているように、日本の財政状況をふりかえってみると、消費税導入あるいは増税は、法人税や資産家・高額所得者への減税によって、ほとんで消えてしまったというものでしょう。民主党が今いっているのは、「社会保障以外には使わない」という水準のものですから、これまでの主張とまったく同様のもので、税率の引き上げを国民が納得しやすいような言い回しで表現しているにすぎないといわれても仕方がありません。
そもそもこうした主張は、財界・大企業のものといっても過言ではありません。彼らは、早くから「直接税と間接税の比率を5分5分にせよ」などといって、自らの減税を要求してきたのでした。ときには(消費税を)福祉目的税などと主張しながら。また、私たちは御手洗ビジョンで「社会保障の経費が、国の財政難の最大の要因」といいきって、社会保障費の削減と消費税増税を抱き合わせにしてきた事実をしっています。
つまり、税のとり方は、それぞれの階層の思惑が端的に集中するところであって、税のとり方を支払い能力のある人からとるのか、あるいはそれとは別に広く、浅く、たとえば誰もがかかわる消費という行為に課税する消費税に頼るのか、これが今日の争点となってきたのです。しかも、その際、聖域が必ず設けられ、議論の前提としてこの聖域には手を付けないという暗黙の了解があったといえましょう。つまり、裏を返せば、聖域を聖域として認め、それを除外して組み立てるのは、自民党も、民主党もかわりはないということです。
政権が交代します。交代による新たな問題の発生が伝えられています。
たとえば、私は、朝日が4日に伝えた記事に着目します。
この記事は今回の選挙戦の前に、自民党麻生政権が補正予算を組んだことにかかわる問題です。
15兆円にのべる経済危機対策のなかには09年補正予算の基金の問題がありました。地方自治体に30の基金を創設し、それまでにあった基金は増額するというものでしたが、不況の長期化を理由に、事業継続を政府は訴えたものの、それ自体にばらまきの批判が集中しました。
したがって、民主党はこれをとらえて、ばらまきを中止し、自らが主張してきた政策を実行するための財源にこれを充てる計画だったようです。が、すでに基金の半分以上が実施済みであって、民主党の思惑がくるっていることを記事はのべています。
ばらまきとはいってもその中には、単純な判断は避けるべきでしょうが、たとえば、「介護職員処遇改善等臨時特例基金」など、働く者の処遇改善の方向に寄与するものも散見されるわけで、朝日記事によれば、同基金の執行率は6割近くにのぼっている。したがって、民主党が当て込んだ財源は日に日に少なくなっている、というのが、記事の主旨でしょう。
この事態で考える次の問題は、民主党(政権)が財源をどこに求めるかということです。
私なら、ただちに、新しい政権にまず議論の聖域を求めるなと迫ります。ようするに、(税を)取れるところからとれていない事実はないのか、これを点検し直すということです。現実にこれまで聖域が設けられてきたのですから、これはあらためれば、少なくない効果があるはず。これに着手できるかどうかを新しい民主党政権に迫らなければならないと私は思います。
そうでなければ、すなわち聖域をあらためられないということは、財界の意向を容認するということでしょうし、それは消費税増税を意味している、こう言い切ってよいと私は思います。
(「世相を拾う」09179)
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財源論- 税のとり方とパイの配分
そのうちの5分の1は冷蔵庫にしまい、残り5分の4をどのように兄弟で分けるか。
総選挙の争点に、財源の問題がクローズアップされてきたようです。
冒頭のたとえは、自民党と民主党に共通する構図です。
財源論- 聖域ありでは議論がゆがむ。。というエントリーでふれたように、税のつかいみちととり方をどのようにするのか、これを正面から問わなければならないのに、両党は、税のとり方にしても、つかいみちにしても、手をつけない部分があって、しかも、その手をつけない部分が共通している。
上記のたとえはパイのいわば配分の問題ですから、これを税のつかいみちにたとえてみましょう。
話し合いの最初から除外されている5分の1のパイは、米軍や財界などへの補助金がこれに含まれます。自民、民主はここに手を付けない。たとえ、朝日がもちあげたように「「日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む」とのべたとしても(参照)。
見直すというのなら、税の配分上もこのようにあらためますと謳ってしかるべき、そう皆さんは思われませんか。片方でマニフェストでかっこよく「米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む」などといいながら、米軍への思いやり予算をはじめ、肝心の税の配分を今後どうするのか、これに沈黙するのでは、国民の皆さんの不安がもちあがるのは当然だといえましょう。
即座にできないのであれば、段階的に解消しなすくらいのことは、本気で「米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直」すという立場にたっているのなら、明記できるでしょうに。こんな態度こそ、国民の不安をあおる結果になっていると思います。
社会保障費をここ数年、自民党政府は自然増部分でさえも2200億円削ってきたわけで、批判が沸騰しついに1年は見直すと公言せざるをえなかったくらいですね。つまり、自民党政府というものは、社会保障費を目のかたきにしてきた。片方で、財界や米軍のためには、あらかじめパイを確保しながら。上のたとえでいえば残り5分の4のうち、できるだけ社会保障にはパイの分け前を少なくしようとしてきたのです。2009年度の一般歳出予算案(参照)では、社会保障費は全体の約48%を占めていますから、全体を5分の4のパイにたとえるなら、そのうちのほぼ半分の5分の2が社会保障費ということになります。
ムダをなくそうといっても、すぐに理解できるように、5分の4のなかでのことです。だから、冷蔵庫にしまわれた5分の1のパイの分け前にあずかる米軍と財界は、まさに涼しい顔をしていうrことができるというわけです。自民・民主のムダをなくすという議論の落とし穴は、最初から手をつけないところが前提に組み立てられているということです。ゆがむとはこういうことです。
同じように、税のとり方もまた、いびつにゆがめられてきました。
自民党が消費税増税を打ち出し、民主党は交代後の4年間はやらないという。
民主党のいう4年間を額面どおりにうけとって、では、税のとり方で聖域がないのか、手をつけない部分がないのかといえば、そうではない。
いくつかのブログで消費税増税反対のキャンペーンがはられ、そこでも指摘されているように、消費税導入後の消費税による税収は、同期間の法人税減税額を補って余りある。たとえば大企業は法人税は税率が下がりっぱなしです。ですから、法人税を下げる代償を、つまり税収不足分をどこが担うか、それが国民、消費者だったわけです。この間の消費税増税などによって消費税総額は、以下のような手厚い一部のための優遇政策を支えるために使われてきたといってよい。
法人税率の動向(基本税率%)
- 1988年 42.0%
- 1991年 37.5%
- 1995年 37,5%
- 1998年 34.5%
- 1999年 30.0%
所得税率の推移
数字は、最高税率 最低税率 段階の順。
- 1986年 70% 10.5%、15
- 1988年 60% 10.0%、12
- 1989年 50% 10.0%、 5
- 1999年 37% 10.0%、 4
2つの指標をあげました。どちらも右肩下がりになっているのがよく分かります。
法人税率は上の期間で42%から30%に、所得税最高税率は70%から37%に下がったというのです。最高税率の適用を受けるのは高額所得者。しかも所得税の税率段階が15段階から4段階に平準化されています。所得税という直接税自体がそもそも所得の再分配機能を持たせるために負担能力のある人から負担能力のない人を細かく段階を区切って税率を定めてきたのに、これをフラット化させるということは、税の累進性とはまったく逆の方向です。あらためて税率の構造でこそ応能負担の原則を貫くべきだと私は思います。
ですから、法人税を元に戻す、所得税最高税率を元に戻すことをふくめて、税をどこからとるのか、検討すべきだと思うのです。支払える能力のある人には応分を負担を求めるという立場をとる、こう私は考えます。
ムダづかいをなくす論がしばしば話題になります。そして、華々しい政策が打ち出されていますが、そうした際に、話題にしない部分、たとえていえば冷蔵庫にしまっておくパイを除いて議論しても、配分の仕方はまるっきり異なってくるということです。
(「世相を拾う」09165)
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