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loisirs

日々、小さな楽しみを見つけて・・・

本 若冲

2015-07-09 | 

先日

河鍋暁斎の絵を観に行くきっかけとなった

本 「若冲」 澤田瞳子著 

 

電車の中等で読み用に

I book で求めた1冊でした。

 

町役を務める

老舗「枡源」の跡継ぎを辞して

絵描きに没頭する

若冲。

 

彼の連れ合いである三輪は

姑等の対応に

辛い毎日を過ごし

果ては

土蔵で首を吊って自殺してしまう。

 

若冲は

何も力になれなかった夫として

ひたすら

画を描く一生を貫いている。

 

そんな義兄を憎む

三輪の弟 弁蔵

ゆくゆく弁蔵は

若冲の贋作を描いて

その恨みを貫いていく。

 

しかし

弁像がいて

三輪がいて

それだからこそ

絵を描くことができてきた若冲の

死の寸前の画の中に

ずっと

兄の世話をしながら

彼の絵を理解してきた一人

志乃は

三輪の姿を発見する。

 

画家とは

いろいろな境遇や

様々な性格であってこそ

それなりの

味のある画が描けるのだという事を知る

1冊でした。

 

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本 「夢をまことに」

2015-06-29 | 

「夢をまことに」  山本兼一 著

1800年代

近江 国友村の

鉄砲鍛冶職人の家に生まれた

一寛齋が

色々

新しい物作りに挑戦していくお話です。

 

テレスコッフ(telescopeのこと)は

このストーリー

最終、

究極の発明で

オランダのお手本を元に

オリジナルな

オランダ品以上の機能を持ったものに仕上げること

で終わっています。

 

まだまだ

この方の夢は

空を飛ぶ船(飛行機)

であったり

海中を行く船(潜水艦)

であったりします。

 

この本の中では

仕上がってはいませんが

夢は次々

大きく大きく広がっていき

その道に向かって

諦めという言葉をしらない

一寛齋。

 

その努力が

国友村の飢饉を救います。

 

この本を読んでいますと

なんで??

ここは

こういう材質を使えばすぐにできるのに・・・

と思ってしまうのですが

この時代には

当然

そんな材質は存在しないのであって

だから

限りない努力が必要になってくるわけです。

 

今は今なりに

発明の苦労はあるでしょうが

この時代の発明とは

本当に手さぐりの

大変なものであったと感じさせられてしまいました。

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ブラック オア ホワイト

2015-06-01 | 

「ブラック オア ホワイト」      浅田次郎著

 

主人公、

都築君の話を

たまたま

二人共通の友人の弔いの席で再会した

もう一人の主人公、

私が聞いている

という話の流れで物語が進められています。

 

何が

「ブラック オア ホワイト」

なのかと言いますと

枕です。

ホテルで出された枕

黒か白で夢の内容が

その色の通り

黒か白になる

というお話。

都築君は

代々からの遺産で

裕福な

他人から見れば羨ましい様な生活をしている。

でも

商社マンの彼は

黒い枕で見る夢のごとくの

商社マンとして

厳しい立場に追いやられていく。

そして

最後の私の推察は・・・・

 

浅田次郎さん特有の

それこそ

夢か現か判断のつかない様な

最初

掴みどころのないストーリーで続きますが

最後の数ページで

まとまりがついてくるのです。

 

はっきり全容を思い出せないのですが

随分昔に読んだ

彼の作品

「地下鉄に乗って」

を思い起こす様なストーリーでした。

 

しかし

この方の文章には

お恥ずかしい話ですが

ワタクシ

読めない漢字や

あやふやな漢字が大分でてきます。

昔は前後の文章で判断して

飛ばし読みをしていたのですが

頭の体操と思って

最近では

ポストイットを付けておいて

後で辞書で調べています。

〇〇年生きてきて

なんと

こんなにも知らない漢字があるなんて

情けない話です。

本当に日本人なのかと思ってしまいます。

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本 なめくじ艦隊 (志ん生半生記)

2015-05-13 | 

久しぶりに本の紹介です。

 

「なめくじ艦隊」  古今亭志ん生(解説に寄ると筆者は金原亭馬の助だそうです)

 

何故「なめくじ艦隊」なのかと申しますと

志ん生さんが昔住んだ

本所業平町の貧乏長屋

ここは

池か沼の様な所を埋め立てて建てた長屋だそうで

雨が降ると

たちまち洪水

いつも

ジメジメと湿気の多い所で

雨上がりの時なんかは

日本海軍華やかなりし頃の

大艦隊の様に

ナメクジが

四方八方から攻め寄せてきたそうです。

徳川夢声さんが

この長屋風景を

「ナメクジ艦隊」という題で

雑誌に書いたことに

ホトホト感心し

この題名がつけられたと言われます。

 

志ん生さんの子供時代

(これがふるっています)

から

ずっと

落語の世界に入り

この本を書くまでの人生と考え方

それはそれは

面白い語り口の1冊です。

 

なにしろ

言葉が素敵

考え方が素晴らしい

人生の徹底さがこれまた凄い。

 

明治生まれの下町育ち

ここにあり!

という感じで

軽妙な文に浸って

1冊楽しませていただきました。

 

私自身

母親は下町の出で

その後

大阪

東京、青山と

なんとも癖のある土地で暮らした人ですので

下町も山の手も

至極

興味があるのです。

 

そして

下町言葉は

ず~~っと

胸の奥深く響いて

懐かしさの様なものを

浸透させてくれるわけです。

 

最近

こういう語り口の方は

ほんの

その世界の方しかおられなくなった気がします。

寂しい限りです。

 

言葉は

勿論

共通語というものがあってこそ

意味の疎通ができるのであって

標準語は大切なのですが

方言

昔言葉

が消えていくのは

やはり寂しいし

味気ない感じを持ってしまいます。

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本 土漠の花

2015-03-24 | 

「土漠の花」  月村了衛 著

 

ソマリアでの

海賊対処行動

ジブチの

自衛隊活動拠点に墜落した

有志連合海上部隊連絡ヘリの

捜索救助要請に従事していた

自衛隊員の所に

命を狙われている女性が駆け込んで来た

そこから

この壮絶なストーリーが始まります。

 

石油をめぐる

アフリカの闘争で

信じられない虐殺が行われ

罪のない村人たちが

次々と殺戮されている。

 

ハラハラ

ドキドキ

ストーリーの流れの中に

根付く

男の友情に胸をうたれ

ほんのりと

見え隠れする

ラヴロマンスに

優しい時を感じ

素朴な村人や子供達に

心温められ

文章の

あらゆる要素が組み込まれた

止まらぬ勢いで読んでしまう本でした。

 

なんだ、かんだと

ニュース性のある話が

テレビや新聞で交される中でも

まだまだ

平和ボケの感じられる日本。

我々は

まだ

幸せの中に生きている

ということを

実感させられてしまいました。

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本 北緯66.6°

2015-03-19 | 

「北緯66.6°」  森山伸也 著

登山家?フリーライター?

登山家 + フリーライターの

30台後半の、

青年(?)さん。

 

好きなところを

歩いていい

好きなところで

眠っていい

旅を目指して

2度にわたる

ラップランド歩きをした時の事を書いた本です。

 

この方は

ある意味必要なことではあるけれど

日本は山歩きに規制が多すぎる

と言われます。

確かに

山歩きに限らず

「~禁止」

の立札は

この国

多いと思います。

 

それが

日本人の国民性であり

良く言えば繊細

悪く言えば細かい

人種なのだと思うのです。

 

今年の冬は

雪山でのスケートボードが

よく話題になりました。

確かに

向こう見ずに危ない所に踏み入れば

危険が待っているでしょうし

それを

命をかけて救助される方々の苦労は

本当に大変なことだと思います。

 

でも

この本を読んでいると

北欧(特にスウェーデンが)の人達は

普通に

高原でも歩くかのような出で立ちで

ラップランドを歩いているようです。

 

道標も殆どなく

踏跡を頼りに歩く。

全て

自己責任に委ねられているようです。

生活と密着しているのかもしれません。

意気込みの様なものがないのです。

 

我が家の

オーストラリアの居候御仁が

そういえば

「なんで?」

という言葉を口にする時

日常でも

こんな規則の様なものが見え隠れして

理解できない

という様なことがあった様です。

 

まだ、

外国人に慣れていなかった私は

「こちらこそ なんで?」

とか思いましたが

そんな時は

国の違いというものが

川となって

我々の間に流れていたのかもしれません。

 

でも

又それが面白くて

ホストファミリーを止められない

私でもありました。

 

話が大分反れましたが

私も

男性に生まれていたら

ラップランドの様な

自然の中を歩けたら

どんなにか

素晴らしい人生であったろうかと

思います。

 

ところで

この本の前に読んだのが

ドナルド・キーンさんの本。

あくまでも

正しい日本語に忠実に。

をモットーでおられるキーンさん。

くずれた日本語は話したくないとおっしゃいます。

そして

続いて読んだこの本

森山さんの

ワイルド且つ今風な言葉。

このお二人の言葉のギャップが

最初

可笑しくて仕方ありませんでした。

 

キーンさんの日本語は美しい

でも

自然を書いた本には

森山さんの様な言葉づかいも

らしくて

良かったのだろうと思いました。

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本 わたしの日本語修行

2015-03-13 | 

ドナルド・キーン  「わたしの日本語修行」 

この本は

キーン氏への

東京外国語大学大学院総合国際研究所教授

河路 由佳さんのインタビューの形で書かれています。

 

キーン氏は

18歳で源氏物語を読み(英語版)

日本思想史や日本文学を学び

古典も現代も

日本文学を翻訳し

更に

能をアメリカやメキシコでプロデュース。

更に 更に

多くの事をなされておられるのは

世に知られたことですが

それにしても

この本

ワタクシ、

目から鱗が

何枚落ちたことでしょう。

 

この方は

翻訳する時には

音をとても大切になさると言っておられます。

例えば

「柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺」

言わずと知れた

子規の句ですが

この句は東大寺でよまれたものですが

東大寺

というより

法隆寺

と言った方が鐘にふさわしいといいます。

「夏草や 兵者どもが 夢の跡」

の句

この兵者ども

兵隊たち

としてしまったら

ラッパの音が聴こえてきそう

と言います。

そして

つわものども

だと

オ段でまとまり

オ段というのは

悲しみを表現する音なのだと言います。

 

キーン氏は

いきなり漢字交じりの文から勉強したそうです。

これが幸いして

後に出てくる漢字の部首が良くわかったのだそうです。

これらの漢字は

この文字自体が部首なのです。

こういう難しい部首も

きちんと勉強されておられます。

 

その他

「ワ行五段活用」

何故

「ア行」でないのか

とか

挙げればきりがないほど

勉強になりました。

日本語ボランティアをしているなど

穴があったら

どこまでも

どこまでも

入りたい

私。。。。。

 

 

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本 親鸞

2015-03-05 | 

「親鸞 完結編」   五木寛之 著

9歳にして出家し

その後下山して法然の門下に入る

念仏禁制の裁きで

師 法然は讃岐へ

親鸞は越後の地へ流罪

やがて届いた法然の訃報

その後

関東常陸の国より誘いがかかり

その地で説法を続ける。

さてさて

この巻は

その後

激動の地

京都に戻ってから

親鸞91歳で

生涯を閉じるまでのお話となります。

息子善鸞との

噛み合わない親子関係

同じ法然門下でありながら

親鸞と全く反対の仏道を唱える覚蓮坊の策略。

遵念寺建立のあかつきには

親鸞に法要の導師を勤めて欲しいと願っている

宋から来た女借上、竜夫人。

これら

多くの人々の渦中にあって

ただ一筋

念仏を唱えることに徹する親鸞

京都での生活は

人々に説法をするというよりは

生涯得てきた仏道を極め

それらを文字にあらためる

静かな生活をしながら

色々な矛盾に苦悩する姿が描かれています。

 

それにしても

いろいろ本を読んでいると

昔、

こんな大昔でも

80歳を超える人や

親鸞のように90歳をも超える人がいたのかと

驚かされます。

 

注 : 作者五木寛之さんは

    この本は

    どこまでも小説であると言っておられます。

    正確な伝記でもなければ

    格調高い文芸でもない

    あくまでも

    俗世間に流布する作り話のたぐいにすぎない

    のだそうです。

 

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本 鹿の王

2015-02-23 | 

「鹿の王」  上橋菜穂子 著

国を征服していく為に使われた

犬を媒介とする

人的病巣

この病は死に至る。

 

ところが

この病から逃れることの出来る地域の人々がいます。

そこからヒントを得た

免疫という医学的な話の進展と

戦の話

これらの話の中で

心温め癒してくれるのが

ユナという幼子。

 

児童文学の賞も取られたという

上橋菜穂子さんならではの

子供描写表現が

なんとも可愛らしく描かれています。

 

人間と生き物の物語であるという

又、サスペンスでもある

医学を学び

社会をも学ぶ。

いろいろな要素の詰まったストーリーです。

上・下巻共

550ページ位の本ですが

中弛みなく

夢中になって読める本です。

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本 「奇跡の人」

2015-01-22 | 

「奇跡の人」  原田 マハ 著

サリバン先生とヘレンケラー

の日本バージョンです。

というと

原田マハさんには叱られるかもしれません。

 

時は明治

舞台は東北、弘前。

弘前の男爵の御息女

れん は、三重苦

彼女の教育係として

伊東博文の紹介で

遠く東京から

(その頃は黒磯までは鉄道が通っていましたが

そこからは、弘前まで

馬車を乗り換えての旅。

本当に遠路はるばるだった様です)

赴いた

9歳でアメリカ留学をした

弱視の安。

二人の葛藤と感動を描いた本です。

 

ここで

ヘレンケラーのお話とたがう所は

安 と れん。

又そこに

れん と きわ

二人の関係がお話の中心ともなる所です。

れん は、6歳

きわ は、10歳

 

きわ も盲目の旅芸人です。

ひょんなことから

二人は

人生初めての友達同士となります。

 

最初と最後は

昭和時代

彼女等が

ある時点から

会うことが叶わず

離れ離れの時を過ごした後

年老いてのお話になります。

 

この方の本は

決してミステリーではないのですが

次々と先を急ぎたくなる本です。

今回も

ドライアイの厳しい中

目薬をい注し注し

一昼夜で一気に読み上げました。

 

 

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