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ヤクザと原発 福島第一潜入記

2012年01月16日 19時25分01秒 | 社会・報道・警察・教育

鈴木 智彦氏の著書。

鈴木氏は1966年北海道生まれ、日本大学芸術学部除籍。雑誌・広告カメラマンを経てヤクザ専門誌「実話時代」編集部に入社。「実話時代BULL」編集長を務めた後、フリーライター。週刊誌、実話誌を中心にヤクザ関連の記事を寄稿している。主著に「潜入ルポ ヤクザの修羅場」、「ヤクザ1000人に会いました」「極道のウラ知識」ほか。ジャーナリストとしては初めて作業員として福島第一原子力発電所に入った、といふ経歴であられる。

本書はヤクザと呼ばれる人々が地域に密着してゐること、土地開発等地元の合意を得るやうな場合には地域に密着したヤクザが合意を得るにいかに暗躍するか、そして原発が建つた福島の地域の人々にとつて「原発」とは「東京電力」とはどんな存在なのかを垣間見ることが出来る著著である。そして、報道されないが、芸能人の被災地支援同様のことをヤクザが行つてゐたり、芸能人の被災地訪問にも関連があつたりすることがわかる。 (芸能界といふのはもはや、やくざに関はらずに生きていける人はほんの少数なのかもしれない)

鈴木氏は原発作業員として応募し作業をするのであるが、そのルポを読むと

東電のいい加減さ
東電の殿様気分の抜けなさ (よつて、事故を起こしたことに対して申し訳ないといふ気持ちがない)
東電以外のメーカーの殿様構図
東電は自分たちでは手に負へないとしてアレバその他外国企業に助けを求めたが、外国企業の作業もなんだかあまり信用がおけないもののやうである実態
世界が注目、といふが外国人の感覚と日本人の感覚は違ふといふこと。東電の感覚はこの外国人の感覚を悪いやうに大幅にマネしたのか?
「冷温停止」「収束」と大嘘をホザゐた野田民主党内閣の恥知らずさ
「数値を挙げて安全、と誤魔化す手法は年間線量限度だけではなかつた
マスゴミはいつでもどこでもゴミ
マスゴミが報道しない、福島第二原発の危険性

等がわかつた。

特に、東電は絶対に自分たちが悪いと思つてない。すべて津波が想定外と言ふが、それを本気で信じてをり自分たちの準備が不足であつたことの反省は、この本からは絶対にないと感じられる。 (ソウプの代金を堂々と協力会社、所謂下請けに払はせるのだ。散々な迷惑と危険に協力会社の人たちを晒してをいて)

なので、東電は自分たちが給金もボオナスも貰ふのは当然のことであり、清水が辞めたのだからそれで済んだと思つてゐるのではないか?

本書にもあるが、東電は「過疎地」に仕事、それも様々な利益を持つてきてくれた「神」のやうな存在だつたらしい。人口も少なく、仕事が他にないので原発によるさまざまな恩恵は「東電様」であり、事故後も東電とおなぢ見解を述べる作業員らがゐたことから、「例え避難したくとも絶対に口に出せない、出したら村八分となる」環境であるので、東電批判が堂々としづらい状況にあるらしい。

鈴木氏は正体がばれたので、辞めることにして親方3名にあいさつに行く。そこで正体を知った親方の一人から差し入れの焼酎の受け取りを「みんな生活がかかってるんだ。電力や会社のことは絶対にかくんじゃない。迷惑だ。それにそんなことをしたらこのへんを歩けなくなるぞ」と言ふ言葉とともに拒まれる。(P226)

そこで鈴木氏は「親方の忠告により、原発の根源が理解できた。原発が都市部から離れた田舎に建設されるのは、万が一の事故の際被害を最小限にとどめるためだけではない。地縁・血縁でがっちりと結ばれた村社会なら、情報を隠蔽するのが容易である。建設場所は村八分が効力を発揮する田舎でなければならないのだ」(P226)と悟る。

確かに・・・ 都市部など、他人が多数ゐる地域に建設したらつながりのない人が多いのであッといふ間に情報は広がるだらう。下手したら集団で抗議に押しかけることにもなりかねない。

さういふことだつたのか・・・・ そして、地縁・血縁があるヤクザが暗躍してゐるといふわけなのか。(しかし、本書を出版して大丈夫なのか?)

そして、マスゴミはやはりゴミといふ「線量より汚染度」(P244-246) 「実際の汚染度は10倍」 (P246-250)

業者の言葉が同頁にあるのだが。

「知識のない人たちは(放射性物質が)舞い上がってるの知らないですっちゃったりするから、一律ちゃんとつけなさいと徹底管理するしかない。みんな線量に頭がいってるじゃないですか。じゃあ汚染はどうなのってことなんです。基本的に各地の放射線量が上がったと報じられるけどもともとの線量はいくらなんですか、と。大理石でも温泉でも線量高いじゃないですか。線量よりも敏感にならなくちゃならないのは汚染なんですよ。道路が汚染されてる場所で、がばーッと車走らせると埃みたいに舞って吸っちゃいますから。それで内部取り込みするんですよ」(1Fの協力会社幹部) (P246)

・・・・・・ 

汚染されてゐなかつたところがどこなのか、今となつてわかるのだらうか? 

そして、作業員たちの汚染度を調べる手順にも「汚染されてゐないやうになる」だましのテクニツクが用いられてゐる。それがP247-250に書いてある。しかしその告発ができない。なぜなら、仕事を失うからである。 

年間線量限度が、一般人の場合年間1ミリシーベルトから20ミリシーベルトといふ20倍に上がつた。民主党政権は堂々と法律を破る宣言をしたわけである。本来なら年間で放射性物質を1ミリシーベルトしか浴びてはゐけないのに、汚染がひどくなるとわかつたら急に20ミリシーベルトまで浴びてもよひと言ひだしたわけだが、健康への影響は「ただちに」とかなんとかである。

しかし

ここで、マスゴミが報道しない(少なくとも見てない)事実がわかつた。

除染の目安が、突然引き上げられた。
IAEAの定める10万カウント、これは作業員にずつと携はつてきた業者からみるとありえない数値らしい。500カウントでも完全にアウトなのに、1万3000カウントを超えない限り、Jヴィレッジではモノも人もそのまま出してゐた。130カウントを基準にすると100倍の汚染度である。除染しきれなかつたら10万カウントまでなので最終的には750倍以上である。(P255-256)

なんでも、数値で誤魔化せばそれでいいといふことなのか?

P256-259には、原発の実情が書いてある。

汚染がひどいため、人が直接行つて釜の中を確認するわけにはいかない。遠隔操作するしかない。

本書が出版されたのは2011年12月なので、それ以前の状況として「無理して『かろうじて冷温停止の定義に、カスるような状態』に持って行ったところで、それが一瞬で終われば意味がないからです。本店には事故収束のグランドデザインがないんでしょうね。そのための費用も底をつきかけていて、とりあえず収束した、という形にしたんだと思います。実際、あちこちで予算が削られています」(P258)

このとおりになつた・・・・ 収束もしてない、冷温停止の定義からすでに外れてゐる釜なのに野田は「冷温停止となり収束した」と宣言した。

しかし。

4号機がをかしい、とささやかれてゐる昨今である。

安全だと嘘を吐いて、あの事故を起こし
事故が起きたあとにも収束したと嘘を吐く

この嘘が嘘と露呈したときに、実際原発がだうなるのか?

わかつて宣言してゐるのだらうか?

嘘吐きが人の上に出てくると、国民がすべて被害を受ける。

原発を止めることに反対はしないが、本書を読んで原発で生活をする人たちの転職先を確保しないと、だうにもならないのではないかと思つた・・・・ 



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