廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

今週の成果

2015年09月12日 | Jazz CD
今週もブラブラと探しましたが、新着中古はたくさんでていたにも関わらずめぼしいものは見つからず、新品を少しつまみました。 新品の棚を順番に見ながら
思ったのですが、新作のジャケット群はどれも似通っていて、中身への予備知識がなければ一体どれを買えばいいのかさっぱりわかりません。

一番困るのは内容とは全くリンクしない、幾何学的なデザイン画のようなものですね。 一体何が言いたいのかさっぱりわからないし、この手のものは
オリンピックのエンブレム問題ではありませんが、どれも似通った、いつだったかどこかで見たようなものばかりで、ジャケットだけでピンとくることは
まずありません。 こうなってくるとますます事前にレビューをしっかり見て置く必要がありますが、この時点ではまだ販促文しかないので、いい加減な
誇大広告を自分の中で如何に正しく翻訳変換できるかも重要になってきます。




■ The Daniel Vitale Quartet feat. J.R. Monterose, HankJones  ( 自主制作、番号なし )

ニューヨークのロチェスター生まれで音楽一家の中で育ち、いろんな楽器に手を染める中で兄弟たちからベース奏者が必要だからベースをやれ、と言われて
始めたそうで、その後は地元のローカルミュージシャンとして数多くの演奏家と共演し、そういう交流の中から生まれた演奏の1つです。

モントローズやハンク・ジョーンズの名前がなければ誰も手にしないのは間違いない自主制作盤ですが、写真を見ると一体モントローズはどこにいるの?
という感じで、もしかしてこの身体の小さな、お散歩に出かけたおばあちゃんのような人がモントローズ? とびっくりしてしまいます。 こんなに
小柄な人だとは知りませんでした。

無名のローカルミュージシャンと年老いたジャズ・ジャイアンツの演奏ということで、枯れ切ってえっちらおっちらとスタンダードが展開される内容で、
音楽としては聴くべきところは何もありません。 ベースが主役ということでアルコによる主題の演奏で始まるものが多いですが、これが音程が悪くて、
リズム感もヨレヨレで、もうお粗末以外の何物でもないですが、不思議なことに全体的には演奏のまとまりは良くて意外にちゃんと聴けます。
ベテランの味が全体にしっかりと染みわたっているんだと思います。 自主制作にもかかわらず音質も良好です。

中でもハンク・ジョーンズのピアノは別格の輝きを放っており、この人は本当にすごい人だなと改めて実感します。 年齢を感じさせない鋭いタッチや
素晴らしいフレーズを連発しています。 一方、モントローズの衰え方は著しく、聴いているのがつらくなります。 吹き始めるところなんかは
調子の悪いスタン・ゲッツのような感じで、力の無くなり方は気の毒になります。

こういうのを世に出すのがいいことなのかどうか、正直言ってよくわかりません。 


■ The Alan Simon Quartet / Without A Song  ( Whispering Pines Records WP 120651 )

ライオネル・ハンプトン楽団で活躍したそうですが、私は初めて聞く名前です。 ビッグバンドにいたのなら音楽的には間違いないだろうということで
聴いてみましたが、これが当たりでした。

1997年コネチカットでのライヴ録音ですが、とても落ち着いて地に足の着いたいい演奏で、テナーのワンホーンで参加しているラルフ・ラママがとにかく
素晴らしい演奏を聴かせます。 こういう音色のテナーを聴くのは初めてで、ちょっとクセになります。 

スタンダードをメインにただ淡々と演奏していくだけですが、全体を通して好感の持てるいい雰囲気があり、大人のための音楽だなあと思います。
最近、半年に1枚くらいの頻度ですが、こういう地味ながらもいい音盤が出てきます。 買い逃さないように新品のチェックをするのは大切です。
マイナー盤なので、機会を逃すとその後がまた大変です。 こちらも、ライヴな音場感が見事で、音質も良好です。


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