廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

こちらの方が優れたピアノレス・トリオ

2017年09月17日 | Jazz LP

Sonny Rollins / In Paris  (伊 Jazzway LLL-1501 )


ブルーノートのヴァンガードは相変わらず好きにはなれないけれど、同じピアノレス・トリオのライヴならこちらのほうが圧倒的にいい。 1965年に渡仏した際に
行われたライヴで、ベースは地元のジルベール・ロヴェール、ドラムはアート・テイラー。 

数曲のスタンダードを素材に延々とメドレーでロリンズが切れ目なく歌い繋いでいく圧巻の内容だ。 吹いても吹いても、まだ吹き足りない、そういう感じで
ノン・ストップで演奏が続いていく。 ロリンズにとってアドリブを吹くということはもはや特別なことでも何でもなく、天気がいいから少し歩いて遠出しようか
という感じにすら思えてくる。 そのくらい楽器を操ることが自然な振る舞いになっている。 こんなことを感じるのは、唯一、この人だけで、ここがコルトレーン
なんかとは決定的に違う。 ロリンズを聴いていると、コルトレーンが気の毒になってくる。

これくらい楽器を楽器として意識せずに扱えるようになると、もう演奏する楽曲なんかは何でもよくなってくるんじゃないだろうか。 ここでも、一応は曲目が
記載されているけれど、演奏の中では他の様々な曲のフレーズが頻繁に挟み込まれて、思い付くままに口ずさむようにして曲が進んで行き、一体いくつの曲が
コラージュされているのかもわからなくなってくる。 そうやって音楽はどんどん多層化し多重化していく。 優れたサックス奏者、例えばコルトレーンにしても
エヴァン・パーカーにしても、そういう人たちはみんな最終的にはこうやって単音性のサックス1本で音楽を重層化してしまうようになるのかもしれない。
ヴァンガードのライヴではそういうところは全く見られなかったのとは対照的に、ここでのロリンズは大きな力で音楽全体を支配しているのを強く感じる。

このレコードは85年にイタリアの掘り起こし専門レーベルからリリースされたものだからか、一般的には相手にされない気の毒なレコードだけど、内容は
非常に優れている。 音質もナローレンジながら全く問題のない品質で、ロリンズの素晴らしい演奏をじっくりと愉しむことができる。



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2 コメント

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Unknown (dodge(bs))
2017-09-20 21:31:18
このレコードは正面を切るとなかなかupし難い一枚(自分には)ですが、ヴァンガードを梃にして掘り上げ、コルトレーンをスパイスにする手法、見事ですね!
思いつきませんでした。

1965年のライヴということが、非常にミステリアスです。

編成はトリオでも、ヴァンガードとは趣向が全く異なり、ピアノレスがピッタリですね。

余談ですが、ロリンズの頭、こんなに・・・・・・・(笑)
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Unknown (ルネ)
2017-09-21 06:47:49
本当にのびのびと吹いていますよね。 やはりピアノがあるとコードの枠があって、窮屈なのかもしれません。
これはなかなか聴かせるレコードですよね。
ロリンズの頭は見事な存在感です。 撫でると御利益がありそうですね(笑)。
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