廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

今週の成果

2014年08月30日 | Jazz CD
なぜか急に涼しくなった1週間でしたので、久し振りに少しつまんでみました。





■ Willem Breuker Kollektief / Metropolis  ( BVHAAST CD 8903 )

名前はもちろん知っているけど、どれを聴けばいいのかよくわからなかったし、いわゆるフリーだし、ということであまり積極的な興味もなく
ここまで来ていたのですが、安いのにぶつかったので聴いてみました。

あのー、これ、ジャズじゃないですよね!? ただの軽音楽です。 映画音楽やライトクラシックに所々でチャルメラ風ソプラノが入るだけ。
ハイドンのコンチェルトやヴォルフの小品が出てくるのですが、こんなのをこのアルバムでやる意味って、一体、何?
調べてみると、この人の音楽はこういうものらしい。 まあ、それならそれで別に構いませんが、なぜこれをフリージャズという括りに入れる必要が
あるのかがさっぱりわかりません。 もしかして、サックスを吹いているから、なんて理由じゃないでしょうね?

欧州にはジングシュピールという伝統が脈々と流れているので、もしかしたらその系譜なのかもしれませんが、どうも私には音楽への敬意が欠落している
ような感じがして、いささか嫌な感じを覚えました。


■ Anthony Braxton / For Aito  ( Delmark DE-420 )

その筋では泣く子も黙る名盤ですが、これまた今までちゃんと聞いたことがなかったので買ってみました。 CDでは意外に見かけないような気がします。

これは文句なく素晴らしい演奏です。 イメージ通りのフリーですが、同時に、無伴奏アルト組曲、と呼びたくなるような格調高さすら漂っています。
アルトソロ、と言えばオーネットのチャパカ組曲で(正確には違いますが、時々そよ風がさっと吹く程度にバックが鳴るだけなので、実質的には
無伴奏と言っていい)、どうしても比べてしまいますが、同じフリーとはいえ、このブラクストンという人はかなり構造的に音楽を捉えているんだなあ、
と直感的に感じます。 逆に、オーネットは脱構造的です。

このCDはアルトの音がとても生々しくきれいに鳴ります。 最後まで途切れることなく一気に聴けるし、このCDで十分ですね。






■ Zbigniew Seifert Quartet / Nora  ( GAD Records CD 001 )

まったく知らない人でしたが、アルトのワンホーンで「廃盤」「当店推薦盤」とのことでしたので買ってみました。

ポーランドのミュージシャンで、一般的にはジャズ・ヴァイオリニストとして知られているんだそうですが、活動初期はアルト奏者だったようで、
これは1969~1970年にワルシャワで行われた3つのライヴ公演での演奏を集めたものだということが判りました。

時代が時代だけにコルトレーン・カルテットの影響が色濃く、ポスト・モーダルなジャズを中々アグレッシブに演奏しています。 
演奏はいいのですが、録音があまりよくないです。 これだから、ライヴ録音はあまり好きではないのです。 
他にアルトでの録音があれば聴いてみたいですが、どうやら無さそうで残念です。 


■ Nick Brignola / On A Different Level  ( Reservoir Music RSR CD 112 )

コレクターには Reese Markewich Quintet のレコードでお馴染みのバリトン奏者のワンホーン。 バロン、ホランド、ディジョネットという
魅惑のトリオが聴きたくて買ったのですが、バリトンもペッパー・アダムス系で好きなタイプです。 とにかくこの人はバリバリバリバリと
延々と吹きまくります。 よくもまあ、ここまで吹き続けられるもんだ、とあきれつつも感心してしまいます。

バリトンという楽器はソロ楽器には向いていないにも関わらず、こうやってアルバム1枚をつくってしまう人が何人も現れて止まないのは
この楽器にはきっと演奏する上で何か魅力があるんでしょう。 聴く側にしたって、普通に考えればお世辞にもきれいな音とは言えないのに
こうやって最後まで聴いてしまってそれなりに感動しているのですから、楽器というのは不思議です。

ペッパー・アダムスはこの楽器が持つ独特の効果音をうまく使って聴き手を魅了しましたが、この人はまるでアルトかクラリネットのように
この楽器を軽々と扱っている感じがします。 内容も現代の優秀なハードバップで、これはとてもよかったです。



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