廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

皮肉な結果

2018年05月20日 | Free Jazz

Chick Corea / Circle 1, Live in German Concert, Circle 2, Gathering  ( 日 CBS/SONY SOPL 19-XJ, SOPL 20-XJ )


金曜日の夜、DU新宿の新店舗1Fで拾った安レコ。 未だに新店舗に慣れてなくて、どこに何が置いてあるのかがまだよくわかっていない。 エレベーターを
待っている時に1Fの奥に何気なく目をやると、ジャズのレコードが置いてあるのに気が付いた。 行ってみると、国内盤中心の中古コーナーだった。
どうやら1Fはロックなどオールジャンルの国内盤中古をメインにした一般ピープル向け、3Fは我らが変態オタク向け専門フロアということらしい。

チックのサークルは聴いたことがなかった。 チックが一時的に齧ったフリーということは知っていたが、そもそもが彼の音楽をあまり聴かないせいもあって、
これまで聴く機会もなくきた。 内容を知らない初めて聴くレコードを買って家に帰る帰り道はいつも楽しい気分になる。

第1集はドイツでのライウ、第2集はニューヨークのスタジオ録音。 ライヴ演奏は聴衆を楽しませる要素がふんだんに織り込まれていて、スタジオ録音のほうは
緻密に計算されたガチンコの実験的な現代音楽。 第2集の方が完成度が圧倒的に高いけれど、私自身は第1集のライヴの方がずっと楽しかった。

チックはこのサークルというユニットでは過去の音楽が生み出した全てのものを統合しながら更に新しいサウンドをつくろうとしたのだと語っていて、
正にこの言葉通りのものが第2集で聴くことができる。 「過去の音楽を統合して」というのがミソで、よくも悪くもこれ以前のフリーや現代音楽の様々な部品が
ここにギュッと凝縮されている。 ただ、ここにそれまでの音楽には無かった新しい響きがあるのかどうかは私にはピンと来なかった。 録音当時には何か
新しいものがあったのかもしれない、ただ今の耳で聴くとそれらはどれもがどこかで聴いたことがあるような気がする。

一方、ライヴはチックの軽快なピアノソロから始まる。 まあ、とにかくチックらしい明るく軽いピアノで、このミスマッチ感が今までのフリーには見られなかった
まったく新しいタイプの響きだ。 フリーや現代音楽について回るある種の胡散臭さを上手く吹き飛ぼしていて、これは面白いと思った。
これこそがチック・コリアがフリーに取り組む意味なんじゃないか、とさえ思えてくる。 練りに練ったスタジオ録音が不発で、自分らしく弾いたライヴの方が
斬新だった、というのは何とも皮肉だ。

尚、この第2集は発売当時、スイングジャーナル誌がゴールド・ディスクに認定したんだそうだ。 何とも困った雑誌である。


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